安倍首相はアベノミクスで雇用が改善したと成果を強調していますが、その実態は非正規労働者の急増に支えられたものです。
雇用者数は昨年1月から11月までの間に106万人増えましたが、それは非正規にあたるパートやアルバイトが111万人増えたためで、正規雇用は逆に26万人も減少しました。そして非正規労働者の比率は雇用者全体の37・2%で、もうじき4割に届きます。
そのうえ安倍政権は企業の競争力を強化するために昨秋、国家戦略特区法を成立させましたが、そこでは規制緩和の一つとして、現在は契約社員などの有期雇用者は5年勤めれば正社員となれるように要求できるのを、10年程度に延長することを検討しています。
「期間を区切ったプロジェクトがやりやすくなり、専門家を集めやすくなる」という口実ですが、安倍首相の言葉にはいつものように真実が伴いません。確実なことはそれによって正規雇用になる道が狭められるということです。
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非正規 最多更新続く 安倍政権 正規減少の政策推進
東京新聞 2014年1月9日
派遣社員やパートなど非正規労働者の数が過去最多を更新し続け、四割に近づいている。安倍晋三首相は経済政策の成果として、雇用の改善を挙げるが、実態は非正規労働者の急増に支えられ、正社員など正規雇用は減っている。安倍政権は企業の競争力を強化するため、正社員のさらなる減少につながる政策も推し進めようとしている。 (横山大輔)
首相は年明け後も景気の回復を強調し、七日の会合では「今年も経済最優先で日本経済をしかるべく成長させていく」と述べた。だが、少なくともその恩恵は国民全体にまで広がっていない。
総務省の労働力調査によると、非正規雇用者は昨年十一月時点で、千九百六十四万人と過去最多になった。雇用者全体に占める割合も増加傾向が続き、政権発足直後の昨年一月と比較して1・9ポイント増の37・2%。働く人の三人に一人が非正規雇用という水準を大きく超えている。
雇用改善を主張する首相の根拠は、全体の雇用者数が昨年一月から十一月までの間に百六万人も増え、五千二百七十四万人となった点だ。しかし、それは非正規にあたるパートやアルバイトが百十一万人増えたためで、正規雇用は逆に二十六万人減少した。
厚生労働省がまとめた有効求人倍率にも同じ傾向が見られる。
昨年一月に〇・八五倍だった有効求人倍率は、十一月には一・〇〇倍に回復。ただ、正社員に限れば〇・六三倍にとどまる半面、パートは一・三〇倍に上る。ここでも非正規雇用の求人が全体の倍率を押し上げている。
安倍政権はさらに、正規雇用の減少につながりかねない政策に意欲を示す。
昨秋の臨時国会で成立した国家戦略特区法では、規制緩和の一つとして、有期雇用期間の延長を検討している。現在は契約社員などの有期雇用者は、五年勤めれば正社員となれるように要求できるが、それを十年程度に延長する。
政府は「期間を区切ったプロジェクトがやりやすくなり、専門家を集めやすくなる」というが、正規雇用になる道を狭めかねない。