厚労省が8日に発表したところによると、生活保護を受けている人は昨年10月の時点で216万4338人、受給世帯数は159万4729世帯で、いずれも過去最多となりました。
世帯数では65歳以上の高齢者世帯が全体の約45%を占め、低年金や無年金で生活保護に頼らざるを得ない高齢者が増えているものと、厚労省は分析しています。
生活保護制度はいうまでもなく憲法25条によって保障されている「健康にして文化的な最低限度の生活を営む権利=生存権」を行政面で具体化したものです。
過去最多に達した昨年10月の段階でも、受給者率は人口(1億2700万人)の僅かに1・7%で、諸外国に比べると格段に低い値です。これは受給資格のある人のうちで、実際に受けているのは15~20%にとどまっているため、といわれています。
問題はそれが必ずしも国民の側が自己抑制しているためだけではなくて、役所によって違法な「水際作戦」と呼ばれる申請受付拒否が行われていることによるものです。
問題はそれが必ずしも国民の側が自己抑制しているためだけではなくて、役所によって違法な「水際作戦」と呼ばれる申請受付拒否が行われていることによるものです。
実際、昨年秋の臨時国会で50年ぶりといわれる生活保護法の改正案が成立しましたが、これまでも役所の窓口での違法な申請受付拒否が問題になっていたのに、改正法によって、扶養できる親族がいる場合や、申請書をきちんと用意できない人は公然と門前払いになるなど、更に給付のハードルが上がり申請がしにくくなりました。
またそれに先立つ形で、マスメディアによって不正受給の追及キャンペーンも行われました。
不正受給はあってはならないことですが、ある自民党議員の告発をきっかけに始まった受給者バッシングのキャンペーンには、「貧困問題の本当の追究を避ける狙い」があったように思われます。
日本の場合は所得再分配後も一向に貧困率が改善されないという、不正常さが顕著です。これは国家の機能が発揮されていないということに他なりません。
政府は軍備や軍事に走るのはやめて、貧困問題にこそ真剣に取り組むべきです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
生活保護受給216万4000人 昨年10月、過去最多
東京新聞 2014年1月8日
厚生労働省は八日、全国で生活保護を受けている人が昨年十月時点で二百十六万四千三百三十八人(前月比四千五百三十人増)となり、過去最多だったと発表した。これまで最も多かった昨年三月の二百十六万一千五十三人を七カ月ぶりに更新。受給世帯数も百五十九万四千七百二十九世帯(同三千八百十八世帯増)で、過去最多だった。
厚労省は、低年金や無年金で生活保護に頼らざるを得ない高齢者が増えていると分析している。
世帯別では、六十五歳以上の高齢者世帯が全体の約45%を占め、七十一万九千三百九十八世帯(前月比二千三百九十九世帯増)。働ける世代を含む「その他の世帯」は二十八万八千六百三十世帯(同四十五世帯増)だった。
受給者は二〇一二年十二月に二百十五万人を突破し、その後も高水準で推移している。
政府は生活保護費のうち食費や光熱水費に充てる「生活扶助」の基準額を今年四月に0・4%引き上げる。物価下落などに伴い実施する基準額引き下げ分と、消費税増税に伴う引き上げ分を相殺し、決定した。