2014年1月12日日曜日

靖国参拝の正当化が行われていますが

 安倍首相の靖国参拝は海外からも猛烈な批判を浴びましたが、NHKやBSフジテレビなどのマスメディアは靖国参拝を正当化しようとしています。特にBSフジテレビは連日正当化の論客を登場させ、8日には安倍総理自身も登場させたということです。
 
 「首相が英霊に尊崇の念を表すことは当然」とする安倍総理の説明を支持する人たちには、若い人たちが比較的多いといわれています。マスメディアの成果かもしれません。
 
 安倍首相は靖国参拝後「平和を祈り不戦の誓いをした」と欺瞞の説明を行いましたが、7日の自民党総務会で「靖国神社は不戦の誓いや国家の平和を祈るところではない」などの異論が出て、最終的に党の運動方針案で靖国参拝の継続の箇所から「不戦の誓い」と「平和国家」の文言を削除することになりました。
 その方が靖国参拝の意義に適うものなのでしょう。
 
 先には「高校生大会」で憲法9条と自衛隊の存在は整合しないので、「憲法9条を変えるべきだ」が多数意見になったということもありました
       2013年8月8日ハイスクール国会は平和主義ですが・・」
 
 やはり感覚だけで判断するのには危うさが伴います。
 何ごともそれが生まれた歴史や背景にまで立ち戻って考えてみるべきです。
 
 しんぶん赤旗が「靖国神社って何? 「参拝」何が問題? 首相は国に殉じた人に尊崇の念を言うが…」という記事を載せました。自民党総務会の記事と一緒に紹介します。
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靖国神社って何? 「参拝」何が問題? 
首相は「国に殉じた人に尊崇の念を」言うが…
しんぶん赤旗 2014年1月11日
 安倍晋三首相の靖国神社参拝をめぐって、NHKなど一部のメディアが「『不戦の誓い』をした」などという首相の説明を無批判に流しています。靖国神社とは何か、首相の参拝がなぜ世界から厳しい批判をあびるのか、問題の根本を説き明かした報道はほとんどみられません。靖国神社のそもそもを知れば、首相の参拝が「内政問題」や「内心の自由」では絶対に片付かない、深刻な問題であることがはっきり見えてきます。
 
戦前・戦中はどんな施設
戦争動員の精神的支柱
 靖国神社は、明治時代の1869年、新政府軍と旧幕府側との間で戦われた戊辰(ぼしん)戦争で戦死した軍人をまつるために創建された「東京招魂(しょうこん)社」が前身です。79年に「靖国神社」へと改称。「別格官幣(かんぺい)社」という特別の社格を与えられ、国家神道の中心的神社と位置づけられました。
 一般の神社とは異なり旧陸軍、海軍両省が管理する軍事的宗教施設でした。明治維新からアジア・太平洋戦争までの戦没者240万人余をまつっていますが、いずれも“天皇のため”にたたかって死んだ軍人・軍属だけです。
 このため、西南戦争(1877年)で天皇に背いた“賊軍”の西郷隆盛や捕虜となって病死した兵士、原子爆弾や空襲の民間犠牲者、旧「満洲」など外地で死んだ一般国民などはまつられていません。
 
 天皇制政府と軍部は、天皇への「忠義」を尽くして戦死し「靖国の英霊」になることを最大の美徳として宣伝。靖国神社を、侵略戦争に国民全体を動員するための精神的な支柱として持ち上げました。
 安倍首相は、「国に殉じた人に尊崇(そんすう)の念を示す」などと繰り返しています。しかし、靖国神社への合祀(ごうし)は、天皇のためにたたかって死んだかどうかにあり、死者を選別することに本質があります。また「英霊」としての合祀は、戦死者や遺族の意思に関わりなく行われます。戦争遂行や侵略戦争美化の“道具”として人の死を利用することは、戦争犠牲者を冒とくするものではないでしょうか。
 
戦後果たした役割
戦争美化する発信地に
 靖国神社は戦後、信教の自由や政教分離を厳格に定めた日本国憲法のもと、一宗教法人となりました。しかし、“日本の行った戦争は正義の戦争だった”とする特異な戦争観を「国論」とするための策動が、同神社を中心に続きました。「国家護持」や天皇・首相などの「公式参拝」を求める運動などです。
 とりわけ、1986年に同神社の付属施設・遊就館(ゆうしゅうかん)が再開されると、日本の過去の侵略戦争を美化・正当化する「靖国史観」の宣伝センターの役割を強めていきます。
 遊就館は、「近代史の真実」を学ぶパネルや「英霊」の遺書・遺品、当時の兵器を展示している軍事博物館です。いまでも、「先の『大東亜戦争』は、わが国の自存自衛と人種平等による国際秩序の構築を目指すことを目的とした戦いでありました」(3月から靖国神社が開く「遊就館特別展 大東亜戦争七十年展Ⅲ」の案内チラシ)などと公然とのべています。
 こうした靖国神社の本質は、小泉純一郎首相(当時)らの度重なる参拝や神社の実態を批判した日本共産党の不破哲三議長(同)の講演(05年5月)をきっかけに広く知られるようになり、国内外のメディア・世論から「軍国主義の過去を再評価しようとする動きの象徴的中心」(米紙)などと厳しい批判が起こりました。
 
 07年には、遊就館の展示パネルを一部改修。太平洋戦争が「資源に乏しい日本を、禁輸で追い詰めて開戦を強要」したルーズベルト米大統領の陰謀だったかのように描いた「反米」的な部分を削除しましたが、先のチラシのように戦争を賛美する本音は隠しきれません。
 首相の参拝は、日本の過去の侵略戦争を肯定・美化する靖国神社の立場に自らを置くことを意味します。それは、日独伊のファシズムと侵略戦争を断罪した戦後の国際秩序への挑戦とみなされるのです。
 
戦争指導者を「神」
国際社会への公約違反
 靖国神社は1978年に、東京裁判(極東国際軍事裁判)でA級戦犯とされ処刑された東条英機元首相ら14人を合祀しています。
 A級戦犯とは、東京裁判で、侵略戦争を計画・準備・開始・遂行した「平和に対する罪」(a)、占領地での殺人や捕虜への虐待などの「戦争犯罪」(b)、「人道に対する罪」(c)などすべての罪で裁かれた犯罪人です。一般将兵がbとcの罪に問われた「BC級戦犯」と区別し、A級戦犯と呼びます。
 安倍首相の祖父、岸信介元首相も東条内閣の商相などを務めたA級戦犯容疑者でした。
 
 靖国神社は、このアジアと日本の国民に多大な犠牲を強いた戦争指導者を、“神”としてまつっているのです。実際、遊就館には「靖国の神々」のコーナーでA級戦犯の東条元首相らの写真を展示しています。
 A級戦犯合祀の理由について、宮司だった湯澤貞氏は、同神社の崇敬者総代会で「A級戦犯だけ合祀しないのは極東裁判(東京裁判)を認めたことになる」との意見もあり、合祀が決まったと語っています(『正論』05年8月号)。合祀の狙いは、日本の戦争を侵略と断罪した東京裁判を否定する意思を示すためなのです。
 
 日本は、米国など連合国と結んだサンフランシスコ平和条約(51年調印)で東京裁判を受け入れており、同裁判を否定することは国際社会への公約に反することです。
 
 A級戦犯合祀が明らかになって以降は、昭和天皇も現天皇も同神社を参拝していません。
 
自民方針案「靖国参拝受け継ぐ」明記 「平和国家」削除
朝日新聞 2014年1月9日
 自民党は8日、2014年の党運動方針案を決めた。「靖国神社への参拝を受け継ぐ」と明記し、党の憲法改正草案を説明する対話集会を開いて改憲の機運を高めることを狙うなど、保守色の強い内容となった。19日の党大会で正式決定する。
 靖国参拝について、当初案では「不戦の誓いと平和国家の理念を貫くことを決意し、靖国神社の参拝を受け継ぐ」と例年通りの記述だった。だが、7日の総務会で「靖国神社は不戦の誓いや国家の平和を祈るところではない」などの異論が出た。一方で「自衛隊員にもしものことがあった場合、靖国神社に奉る覚悟を示すべきだ」と表現を強めるよう求める声も出たため、総務会での了承は見送り、石破茂幹事長に一任された。
 最終的に「不戦の誓い」と「平和国家」の文言を削除し、「日本の歴史、伝統、文化を尊重し、靖国神社への参拝を受け継ぎ、国の礎となられた方々に対する尊崇の念を高め、感謝の誠を捧げ、恒久平和への決意を新たにする」との文言に落ち着いた。
(後  略)