2014年1月29日水曜日

「慰安婦問題解決」組織が籾井発言に抗議声明

 日本軍慰安婦問題解決全国行動」組織は27日、NHK籾井新会長の就任会見で「慰安婦」問題に関する発言に対して、「安倍首相の責任を問う籾井会長は発言の責任をとって直ちに辞任せよ」とする抗議声明を出しました。
 
 声明は、籾井会長が「戦争地域にはドイツ、フランスなどヨーロッパはどこでもあった」「今のモラルでは悪い。だが、その時の現実としてあった」などと問題発言を繰り返し、「韓国は補償しろと言っているが日韓条約ですべて解決しているなぜ蒸し返すのか」などと述べたことに対して、間違った事実認識をさらに広めるものであり、公共放送の長にあるまじき言動としています
 
 そして「慰安婦」問題、発案、設置、管理に至るまで日本政府と軍が主導した「戦時性奴隷制度」であることは数々の証言、文書等で明らかになっており、こうした国家主導の性奴隷制度は、日本を除けば、ドイツで類似のものがあったとされている以外には確認されていない。今回のことで、2001年のNHK「慰安婦」番組改ざん事件で、当時の安倍晋三内閣官房副長官らが中心になってNHKに圧力をかけ「慰安婦」関連番組を改ざんさせたことを思い出させるとし、昨年11月に安倍首相がNHK経営委員会に自らの歴史認識に近い委員を送り込んだことは、NHKの番組全体に自らの意向を反映させるべくその権限を濫用したもので、それによりこのよう不見識な人物の会長就任を促した安倍首相の責任を厳しく問うとともに、籾井氏の即刻辞任を強く求めるとしています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
抗議声明
 安倍首相の責任を問う!
 籾井勝人NHK新会長は発言の責任をとって直ちに辞任せよ!
 
 1月25日、NHK籾井勝人新会長は就任会見で「慰安婦」問題に関連 「戦争地域にはどこでもあった」「ドイツ、フランスなどヨーロッパはどこでもあった」「慰安婦そのものは今のモラルでは悪い。だが、その時の現実としてあった」など問題発言を繰り返し、辞任論に発展しています。これは昨年5月の橋下徹大阪市長による「慰安婦は必要だった」「どこの国にもあった」という発言と重なります。橋下市長発言は女性に対する人権侵害であり被害者の尊厳を踏みにじる発言として瞬く間に広がり、国内はもとより世界中で非難が起こったことは記憶に新しいところです。続けて「韓国は日本だけが強制連行したみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか」と述べています。
 こうした発言は間違った事実認識をさらに広めるもので、公共放送の長にあるまじき言動です。
 「慰安婦」問題に関して言えば、発案、設置、管理に至るまで日本政府と軍が主導した「戦時性奴隷制度」であることは数々の証言、文書等で明らかになっており、募集においても軍の要請を受けた民間業者らが関与したことが明らかになっています。このような国家主導の性奴隷制度は、日本を除けば、ドイツで類似のものがあったとされている以外には確認されていません。籾井会長はそうした一つひとつの調査・研究の積み重ねを無視し、公の場で持論を展開し、無知をさらけ出しました。戦時下・武力紛争下で女性に対する性暴力は、現在も世界各地で続いています。しかし、他国の例を責任逃れの文脈で語る籾井会長の発言は、被害の連鎖を断ち切ろうとする日本軍「慰安婦」被害者たちの願いに真っ向から逆行するものです。私たちは、日本政府が被害者たちの要求に応えることこそが、今も続く戦時下における性暴力の再発防止に役立つことだと改めて訴えます。
 今回のことで私たちは2001年のNHK「慰安婦」番組改ざん事件を思い起こさずにはいられません。当時の安倍晋三内閣官房副長官らが中心になってNHKに圧力をかけて「慰安婦」関連番組を改ざんさせました。裁判では最高裁で敗訴したもののBPO(放送倫理・番組向上機構)は意見書を通じて放送前にNHK幹部管理職が政府高官・与党有力政治家に面談し、改編を指示したことをNHKの自主・自律を危うくさせる行為であると指摘しています。
 昨年11月、安倍首相がNHK会長の任命権を持つNHK経営委員会に自らの歴史認識に近い委員を送り込んだことは、「NHKと政権との距離が 問われかねない人事」と問題視されてきました。
 まさに、今回の事態は、心配されたことが現実化したということです。番組編集権を持つ会長人事を経営委員会が持ち、その経営委員会の任命権者が首相であることを利用して、かつてNHKのいち番組に国会議員として改ざん要求を出した安倍首相が、今度はNHKの番組全体に自らの意向を反映させるべく、その権限を濫用したとしか言いようがありません。
 このたびの会見を通して、籾井氏がNHK会長としてふさわしい人事でないことは明確になりました。私たちは、このような不見識な人物の会長就任を促した安倍首相の責任を厳しく問うとともに、籾井氏の即刻辞任を強く求めます。そして何よりも、このようなことが再び繰り返されれば、戦時性奴隷制の被害者たちをさらに傷つけます。戦時下・武力紛争下での女性への性暴力をなくそうという世界の人権の流れに応え、安倍政権が速やかに日本軍「慰安婦」問題の解決をはかることを要求します。
 2014年1月27日            
 日本軍「慰安婦」問題解決全国行動
 共同代表梁澄子渡辺美奈
 
 連絡先:アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)気付
 〒169-0051東京都新宿区西早稲田2-3-18AVACOビル2F
 e-mail:ianfu-kaiketsu@freeml.comfax: 03-3202-4634