2014年1月2日木曜日

中国防空圏は3年前に提示

 毎日新聞が、中国が最近宣言した防衛識別圏を3年前に日本に対して説明していたと報じました。
 2010年5月北京で開かれた非公式会議で、中国の軍幹部が日本政府関係者に説明したことが、同新聞が入手した「機密扱」の発言録に記載されていました。そしてその際中国軍の複数の幹部が、「日中の防空識別区(圏)が重なり合うのは約100カイリ(約185キロ)くらいある」ので、航空自衛隊と中国空軍の航空機による不測の事態に備えたルール作りを提案したということです
 
 それに対して日本側は「尖閣に領土問題は存在しない」という公式的な立場を守るため、「どこが重複しているのかわからないのでコメントできない」と突っぱねました。しかし中国側が単なる思い付きなどで防衛識別圏を宣言したのではなく、それなりの手順を踏んでいたことがこれで明らかになりました。
 
 中国との政治的対話のルートが閉ざされた現状では動きようがないにしても、「尖閣に領土問題は存在しない」という日本の主張は、もはや事態を解決するものではなくなっています。
 政府はその主張を決して下ろさない一方で、逆にもしも尖閣列島で何かあればそれを機に軍事力を発揮する良い機会と考えているふしさえあります。
 
 軍事力と軍事体制の強化に励み、話し合いによる解決を拒否する姿勢は、二度とあの悲惨な戦争を起してはならないと誓った国民の願いと平和憲法の精神に真っ向から反するものです。
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中国:防空圏3年前提示 日本コメント拒否 非公式会合
毎日新聞 2014年01月01日 
 中国人民解放軍の幹部が、2010年5月に北京で開かれた日本政府関係者が出席した非公式会合で、中国側がすでに設定していた当時非公表だった防空識別圏の存在を説明していたことが31日、明らかになった。毎日新聞が入手した会合の「機密扱」の発言録によると、防空圏の範囲は、昨年11月に発表した内容と同様に尖閣諸島(沖縄県)を含んでおり、中国側が東シナ海の海洋権益の確保や「領空拡大」に向け、3年以上前から防空圏の公表を見据えた作業を進めていたことが改めて裏付けられた。
 
 非公式会合は10年5月14、15の両日、北京市内の中国国際戦略研究基金会で行われた。発言録によると、中国海軍のシンクタンク・海軍軍事学術研究所に所属する准将(当時)が、中国側の防空圏の存在を明らかにしたうえで、その範囲について「中国が主張するEEZ(排他的経済水域)と大陸棚の端だ」と具体的に説明し、尖閣上空も含むとの認識を示した。
 
 また、この准将は「日中の防空識別区(圏)が重なり合うのは約100カイリ(約185キロ)くらいあるだろうか」と述べるとともに、航空自衛隊と中国空軍の航空機による不測の事態に備えたルール作りを提案した。
 人民解放軍の最高学術機関である軍事科学院所属の別の准将(当時)も「中国と日本で重なる東海(東シナ海)の防空識別区(圏)をどう解決するかだ」と述べたうえで、同様の提案をしていた。
 
 中国の防空圏に尖閣諸島が含まれていれば、「尖閣に領土問題は存在しない」という日本政府の公式的な立場を崩しかねない。このため、日本側出席者の防衛省職員が「中国は国際的に(防空圏を)公表していないので、どこが重複しているのかわからない。コメントできない」と突っぱねた。
 
 中国政府はこの会合の1年前の09年5月、沿岸から200カイリ(約370キロ)を超える海域に大陸棚の拡張を求める暫定申請を国連の大陸棚限界委員会に提出。12年12月に正式申請した。これらの申請地点と、昨年11月に発表した防空識別圏はほぼ重なり合う。
 
 日本政府は、一連の中国側の動きを踏まえ、防衛省・自衛隊が警戒・監視活動を実施。中国側が昨年初めから、対日安全保障政策の立案を担う国防大学や軍事科学院を中心に、防空圏公表に向けた調整を本格化させたことも把握していた。
 
 非公式会合は「日中安全保障問題研究会議」と呼ばれ、日本側からは石原信雄元官房副長官を団長に、荒井聡首相補佐官(当時)や複数の事務次官OBが出席。現職の外務・防衛両省の職員も「オブザーバー」の立場で、議論に加わっていた。中国側は王英凡元外務次官を団長に、国防大学や軍事科学院などの幹部が出席した。