2016年1月7日木曜日

緊急事態条項で独裁政治が行われる

 6日のブログ「晴耕雨読」に、「国家を守り、人権を制限するのが国家緊急権。多くの国で権力に濫用されてきた過去がある」と題された、岩上安身氏による永井幸寿弁護士インタビュー (2015.12.19) 記事 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/279662 の抜粋・要約版が載りました。
 長文の元記事(前半の公開部分)のポイントがとても簡潔にまとめられています。
 
 岩上安身氏は元記事の冒頭で、今年の参議院選挙を見据えて安倍首相自身が口にした「憲法改正による緊急事態条項の創設」について、要旨次のように述べています。
 
 安倍政権の真の狙いは「本丸9条」であって、「緊急事態条項」は、その前哨戦に過ぎない、いわば「お試し」改憲である、などといわれるがそれは大間違いで、「緊急事態条項」は万能のカード「ジョーカー」に等しいもので、その一枚を手にするだけで、憲法の他の条項を無にしてしまうことができる。安倍総理がヒトラーのような全権を手に入れてしまい、国民の反対の多い9条の改正などは必要なくなってしまうのだ。
 
 戦争や大災害などの非常時に、国家体制を維持するため、一時的に法の秩序を停止する権限が国家緊急権で、自民党の改憲草案では「緊急事態の宣言があった時、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる」とされており、行政府のトップが立法府の権限をも一手に握ってしまうということである。しかも、いつ緊急事態が終わるのか、期限の縛りがなくて、事実上の戒厳令が永続化してしまう可能性がある。
 
 とこの上なく危険なものであるとしています。
 萩原一彦氏による要約文を紹介します。
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岩上氏:緊急事態条項の後には反対勢力の弾圧が来る。
    お試しどころではな
萩原 一彦 晴耕雨読 2016年1月6日
永井幸寿弁護士「第一次大戦後の世界でもっとも先進的だったワイマール憲法は、その48条に国家緊急権が定められていたばっかりに、ナチスの独裁を許してしまった。意図的に日本国憲法には国家緊急権は定めてないが、自民党は「お試し改憲」と称して憲法9条に国家緊急権を滑り込ませようとしている」
 
永井幸寿弁護士:歴史的に「国家緊急権」を認めると国家は
      不当な目的で緊急事態を宣言しがち、
      一旦宣言した緊急措置を延長しがち
      緊急措置中は人権を過度に制限しがちとなり、
      司法は政府に遠慮して人権保護に消極的になる傾向がある。  http://bit.ly/1IKLcPt 
 
岩上氏:ナチスはワイマール憲法48条の国家緊急権を行使して、まず反対勢力の大弾圧を行い、反対勢力を一掃してから全権委任法を成立させて、ヒトラーの独裁体制を確立した。
緊急事態条項の後には反対勢力の弾圧が来る
お試しどころではない。 http://bit.ly/1IKLcPt  
 
永井幸寿弁護士:昭和21年7月15日第13回帝国憲法改正案委員会議録で、日本国憲法には国家緊急権は規定しないと明言されている。
その理由は「乱用の危険があるから」災害時には法令の整備で対処すると。
明治憲法下で国家緊急権が乱用された反省。 http://bit.ly/1IKLcPt  
 
永井幸寿弁護士:現行日本国憲法下で衆参同時選挙中に大災害に見舞われたとしても、参議院の半数が残っているので参議院の緊急集会を召集できる。
そこでの議決は選挙後次の衆院開催から10日以内に衆院で承認すればいい。
緊急災害時にも対応できる。 http://bit.ly/1IKLcPt 
 
 永井幸寿弁護士:日本国憲法は国家が国家緊急権など持たなくても緊急事態に対応できるように実に用意周到に作られている
自民党の言うような緊急時に対応できない欠陥憲法などではない。
国家に国家緊急権を持たせることこそ国民にとって危険。 http://bit.ly/1IKLcPt  
 
永井幸寿弁護士:国家緊急権はテロを理由にして作るべきではない。なぜか。
テロは政策的に防げるもので、急に起きたり避けられないものではない。
外交内政がうまくやれていれば防げるものに国家緊急権などいらないし国家緊急権ではテロは防げない。 http://bit.ly/1IKLcPt
 
永井幸寿弁護士:テロが起こった際の治安回復目的には国民保護法で対処できる。
国家緊急権を憲法に入れる必要はない。 http://bit.ly/1IKLcPt 
  
こうして話を聞いてくると、緊急事態条項を憲法に入れたがる理由は自民党の独裁体制が確立したいからにすぎないように思える。
 
永井幸寿弁護士:テロ自体 国家緊急事態などではなく、国会も選挙も警察機構も平常に機能している中における「犯罪」に過ぎないので、国家緊急権の発動用件ですらない。
 
tanu 「国家緊急権は必要だと長年主張してきた小林節氏と、永井先生とのディベート(2015年10月21日)の結果、小林氏が永井先生の論旨に得心され、『国家緊急権は不要だ』と自説を撤回しました。これには感動しました」
 
永井幸寿弁護士:自民党の改憲案では緊急事態の要件は国会で定めると言っているがそれだと過半数の賛成でなんでも「緊急事態」にしてしまえる
さらに適用期間に制限がない。
最初の目安が100日というのも長すぎるしそれを超えて延長もできる。 http://bit.ly/1IKLcPt 
 
永井幸寿弁護士:自民党案の緊急事態条項では、適用時には内閣は法と同様の効力を有する政令を指定できるが事後に国会の承認を要するとかいてあるだけで、承認されなかったら効力を失うとは書いてない
国会の否認を無視することもできてしまう。 http://bit.ly/1IKLcPt  
 
永井幸寿弁護士:自民案の緊急事態条項にはどこまで人権を制約していいかの歯止めがない。
どんな人権でも制限できる。
どんな政令でも指定でき、政令で戒厳も指定できる。
事実上国会を無力化する。
ナチスの全権委任法を憲法に盛り込むようなもの。 http://bit.ly/1IKLcPt 
 
>志位和夫 1月4日の訴えから。「『共産党アレルギー』という声も聞こえてきます。しかし、日本の政治は独裁政治を許していいかどうかの歴史的岐路に立っている。好き嫌いを言っているときではない。好き嫌いを乗り越えて大義のために手を結ぼう」
        http://t.co/vYOjzrHY38 #FNN  
   
だれの名言だか知らないけど、「泥の船に乗ってると気づいたら、細かいことは置いといてとにかくみんなで大急ぎで漕いで一刻も早く岸につけなきゃ沈んじゃう」という状態が今の日本だって。
本当にそう思う。
 
 >増子典男 言葉を失う。右が「朝日」、左が「赤旗」。辺野古事業の8割は防衛庁と自衛隊の天下り先の会社が受注(「朝日」)。それらの受注企業が自民党に6300万円を献金しているという(「赤旗」)。「沖縄の心」など、歯牙にもかけない行為。
      許せない❗