2016年1月8日金曜日

学者・弁護士・俳優ら「民間 立憲 臨調」設立 野党共闘に最強応援団

 安倍内閣は昨年9月に強引に安全保障法案を成立させた直後には支持率を落としましたが、その後は不思議なことに徐々に支持率を回復しています。7月に行われる参院選の結果によっては改憲に乗り出すのではないかといわれています。またその参院選で圧勝するためには衆参同時選挙も辞さないとも言われています。
 
 それに対して共産党が昨年9月に提唱した野党共闘には生活の党や社民党はいち早く賛同しましたが、野党第一党の民主党はいまだに態度を鮮明にしないためにほとんど進んでいません。
 生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎共同代表は4日の定例記者会見で、「このまま行けば自公とおおさか維新で3分の2を取る」との認識を示しましたやはり野党連合を推進しようとしている山口二郎・法政大学教授も、昨年末同様の見解を表明したということです。もしもそうなれば間違いなく改憲に踏み切ることでしょう。まことに由々しき事態です。
 
 日刊ゲンダイによれば、樋口陽一東大名誉教授や小林節慶大名誉教授らを中心に学者、弁護士、俳優など180人が、19日に「民間『立憲』臨調」を発足させ、「憲法の危機」に対し真の国民主権を取り戻すために定期的に情報発信をしていく予定だということです。
 野党にとってはこんな追い風はありません。
 これを機に是非共闘する方向でまとまって欲しいものです。
 
 田中龍作ジャーナルと日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。
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小沢代表「このまま行けば自公と大阪維新で3分の2取る」  
田中龍作ジャーナル 2016年1月4日
 生活の党と山本太郎となかまたちの小沢一郎共同代表は、きょうの定例記者会見で「このまま行けば自公とおおさか維新で3分の2を取る」との認識を示した
 
 改憲発議の条件となる議席の3分の2については、昨年末にも山口二郎・法政大学教授(政治学)が野党の地方議員の集会で同様の見解を示している。
 理由は野党が結束していないことだ。32ある1人区(改選121議席)で候補者調整ができた選挙区は数えるほどだ。
 衆院選とのダブルともなれば、295ある小選挙区での調整は、今の野党にとっては至難の業となるだろう。
 小沢代表や山口教授が指摘する「自公とおおさか維新で3分の2」は確かに合理的だ。
 
 憲法改正で最も怖いのは9条ではない。自民党改憲草案98、99条にある「緊急事態条項」だ。
 内閣総理大臣の判断で基本的人権をも制限できる条項である。戒厳令と言い換えてもいいだろう。
 小沢共同代表は緊急事態条項について次のように危機感を示した
 「安保法制もそうだが、国民の生命、財産を守るんだという美名の下になんでもできる既成事実をつくるというやり方(中略)・・・今の極右的安倍政権の下では、運用やら解釈やらが捻じ曲げられて利用される可能性が非常に高い」。
 山本太郎共同代表は「恣意的な運用をするに決まっているだろう」と喝破した。
 この秋、日本は一気に戦前戦中の暗い時代に逆戻りするのだろうか。   ~終わり~
 
 
学者、弁護士、俳優…野党共闘に「最強応援団」凄い顔ぶれ
日刊ゲンダイ 2016年1月5日
 異例の正月国会が幕開けした。今年の政局の焦点は何と言っても夏の参院選を野党がどう戦うのかだが、それは、4日の小沢一郎生活の党代表の記者会見でのこの発言に集約されている。
「(野党が)現状のままなら、自公3分の2議席獲得は現実的にありうる」
 
 野党共闘はカメののろさではあるが、この日、民主と維新が衆院で統一会派を組んだ。民主の岡田克也代表は「安倍政治の暴走を許すようなことがあれば政権交代可能な政治は遠のいてしまう」と意気込み、維新の松野頼久代表は「春先には新党を結成して、参院選で必ず勝ち抜く」と決意表明した。共産党はこれまでの方針を転換し、天皇が臨席する開会式に出席した。安倍狂乱政治を前に、四の五の言っている状況じゃないのは、どの野党も頭では分かっているはずだ。
 
 そんな野党を後押しする強力な応援団もできる。樋口陽一東大名誉教授や小林節慶大名誉教授らを中心に、今月19日、「民間『立憲』臨調」が発足する。昨夏の「安保法反対」で活動した知識人や弁護士などが再び立ち上がり、「憲法の危機」に対し、真の国民主権を取り戻すために定期的に情報発信をしていく予定だという。
 賛同者は180人。長谷部恭男早大教授、水島朝穂早大教授、中野晃一上智大教授ら学者。元スイス大使の村田光平、元経産官僚の古賀茂明、女性弁護士の草分けの角田由紀子、俳優の宝田明、音楽評論家の湯川れい子、作曲家の三枝成彰、シールズの奥田愛基ら各氏の錚々たる顔ぶれだ。
 
 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏がこう言う。
「通常は受け身の有権者側が、ここまで能動的に野党を応援する。野党にとってこんな恵まれた話はありません。それもここまで野党がグズグズしていたら、有権者が諦めてしまいそうなものなのに諦めない。学者や学生や弁護士ら利益団体ではない人たちがこれだけ声を上げているのに野党が共闘できなければ、今後、政治は完全に国民から見放されてしまうでしょう。小異を捨てて大同に就くしかありません」
 ネックは一番グズグズしている民主党だが……。
「岡田代表は一気にエイヤーではなく、地域ごとに話をしながら手順を踏んでいる。岡田代表の頭の中に、解党して新党という選択肢はあると思います」(鈴木哲夫氏)
 強力応援団が野党の尻に火をつけることになる。