2016年1月12日火曜日

このままゆけば日本版全権委任法制定は確実

 安倍内閣が何故か支持率を回復させている一方で、今年7月の参院選に向けての野党共闘の方は一向に進んでいません。このまま行けば自民・おおさか維新などの改憲勢力が参院でも3分の2を獲得するかもしれません。
 そうなれば改憲の手始めに「緊急事態条項」が盛り込まれることは間違いありませんが、その緊急事態条項」こそはこれ以上ないほど危険なものです。そのことはこれまで再三紹介してきたとおりです
※ 1月11日 緊急事態条項はこんなに怖い
 
 植草一秀氏が「このままゆけば日本版全権委任法制定は確実」とするブログを発表しました。
 ヒトラーはワイマール憲法の48条を根拠にして「全権委任法」を成立させて、あの歴史に残る恐怖の独裁政治を遂行しました。
 自民党が目指している「緊急事態条項」は直接憲法に盛り込むのですから、それだけで直ちにナチスの「全権委任法」を上回る絶対的な権力を手にすることになります。 
 それなのに何故かマスメディアはその危険性に触れようとしませんし、共産党・社民党を除く野党も「緊急事態条項(国家緊急権)」に対する反対を表明していません。これ以上はない危機が迫っていることを知らないのでしょうか。そんな筈はありません。彼らが危険性を知らせずそれに反対しなければ主権者はその危機に気付きません。

 メディアは、もはや基本的人権や民主主義などとは無縁で、権力に迎合して自分たちの儲けが保証されればそれでいいと考えているようです 
 本ブログではどんなに繰り返しになろうとも、「緊急事態条項(国家緊急権)」の危険性を指摘するブログは今後も紹介し続けていきます。
 
 植草一秀氏のブログと萩原一彦氏のツィッターを紹介します。
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このままゆけば日本版全権委任法制定は確実
植草一秀の「知られざる真実」 2016年1月11日
安倍氏がテレビ番組で、憲法改定の意向を示した。
憲法改定が現実の問題になっている。2016年は参議院議員通常選挙が行われる年だ。
この選挙で安倍改憲勢力に参議院3分の2議席を付与すると、安倍政権は改憲に突き進む。
日本の憲法改正は、逐条改正の手続きを取る。条文ごとに発議し、主権者の承認を得なければならない。
改憲で何に手を付けるのかが問題になる。
改憲で手を付けようとしているのが緊急事態条項である。これは、改憲というよりも加憲である。自民党憲法改正草案に盛り込まれている。
 
第九章 緊急事態 (緊急事態の宣言) 
第九十八条 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。 
 第2項以下は省略
 
(緊急事態の宣言の効果) 
第九十九条 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。 
 第2項省略
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。 
4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
 
1933年にナチスドイツのヒトラー政権が全権委任法を成立させて、ドイツの独裁政治が始まった。その後のドイツがたどった道は、人類史上最悪の道のひとつであったと言って間違いないだろう。
安倍政権の改憲方針に賛同する勢力が参議院3分の2勢力を占有してしまうと、安倍政権が日本国憲法に緊急事態条項を盛り込む可能性が高い。
そして、その緊急事態条項が、安倍独裁政治をいよいよ本格稼働させる根拠になる危険が極めて高い。
日本の終焉と言っても過言でない状況が生まれると見て、まず間違いない。
 
日本終焉の危機が迫っていると言って過言でないと言える。
上記自民党憲法改定案を見ると、「内閣総理大臣は」「内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において」「特に必要があると認めるときは」「閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる」
つまり、
内閣総理大臣は「必要があると認め」れば、「緊急事態の宣言を発する」ことができるということになる。
緊急事態が宣言されると、
「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができ」
「内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い」
「地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」
こととされる。
さらに、
「何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない」
「法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる」
ことになる。
選挙をやらなくてよい。法律を勝手に決めることができる。基本的人権を制限できる。まさに、ナチスドイツの全権委任法と同じ効力を有することになるのだ。
 
そして、問題は、現在の選挙情勢では、改憲勢力が参議院3分の2勢力を占有する事態が生じる恐れが極めて大きくなっているのだ。
とてつもない危機が目前に迫っていることに、ほとんどの主権者が気付いていない。
 
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「決められない政治よりも決められる政治を」← 安倍首相の言葉じゃない
萩原 一彦 晴耕雨読 2016年1月11日
「決められない政治よりも決められる政治を」← 安倍首相の言葉じゃない。
ヒトラーがナチズムの良さをアピールするときに使った言葉。
NHK「映像の世紀第3集ー時代は独裁者を求めた」より。
 正しくは「議論ばかりで何も決められない民主主義に代わって強力な独裁政治ファシズムこそがドイツを救う」
 
「平和は戦いがあってこそ」 
安倍首相の言葉じゃないよ。イタリアのムッソリーニの演説した内容がこれ。
NHK「映像の世紀第3集ー世界は独裁者を求めた」より。
 正しくは「いつの時代も、どんな状況でも、戦争あってこその平和だ」
 
今しがたから僕がツイートしていたのは昨年暮れ12月21日にNスペで放送された 「『新・』映像の世紀」についてです。 「新・」を書き忘れていました。
この番組は、過去に放送された「映像の世紀」の映像をデジタルリマスターして、台本を書き直して新編集したものです。
 
 「ヒトラーはまもなく一つの法案を提出した。 『全権委任法』。
 内閣があらゆる法律を国会の採決なしに制定できる法案である」(NHK「新映像の世紀第3集」)
ヒトラーにこれが可能になったのはワイマール憲法の48条が「緊急条項」を含んでいたから。
安倍政権が改憲して入れようとしてる条項。
 
最初、米国はナチのドイツに投資していたためドイツとの戦争を望まず中立を保った。
ドイツはソ連牽制のために日本と日独同盟を結んでいた。
真珠湾攻撃で米国民は日本となら戦争する気になった。
ドイツは集団的自衛権を行使して米国に宣戦布告した。
世界大戦が始まった。
集団的自衛権とはそういうもの。