2023年11月4日土曜日

知られざる日本経済凋落の惨状(植草一秀氏)

 岸田首相は2日の記者会見で、企業の賃上げ支援や所得税の減税などの一連の対策を通じ、来年夏には国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態を確実に実現したいと強調しました。
 企業の賃上げがインフレ率を上回ることがこれまでになかったことは植草一秀氏が常に述べていることです。何という無責任な発言でしょうか。
 そもそもベースとなる中小企業の賃上げをどう実現していくつもりなのか。「全力で支援していく方針」と口で言うのは簡単ですが、そんなその場しのぎの発言の連続で、一体、首相就任以来 何か国民生活に利する施策を実行したことがあったでしょうか。
 浮ついたことを言うのは止めて日本経済の惨憺たる状態をよく認識すべきです。
 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
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知られざる日本経済凋落の惨状
                       しんぶん赤旗 2023年11月 3日
日本経済は長期停滞に陥っている。
日米中3ヵ国のドル換算名目GDP推移を見てみよう。
1995年の名目GDP水準は以下の通り
米国  7兆6398億ドル
日本  4兆2375億ドル
中国    7310億ドル
27年が経過した2022年の名目GDPは以下の通り。
米国 25兆4627億ドル
日本  4兆2375億ドル
中国 17兆8863億ドル
           G5+中の名目GDP推移(ドル換算)











1995年を100として2022年の名目GDP水準を表示すると
米国  333
日本   76
中国 2447
になる。
         G5+中の名目GDP推移(1995年=100)















この27年間に中国経済規模は24倍に拡大、米国は3倍に拡大した。
日本のGDPは1995年の76%に縮小した。
これが現実だ。
購買力平価換算の平均賃金水準で日本は1995年にG5のなかで第3位にランキングされたが2022年にはG5最下位に転落。
2016年には韓国に抜かれ、その後は格差が広がる一方である。
日本の凋落がすさまじい。

2012年に発足した第2次安倍晋三内閣は「成長戦略」を前面に掲げた。
しかし、日本経済が成長を実現することはなかった。
成長戦略の具体的な柱は五つだった。
1.農業の自由化
2.医療の自由化
3.労働規制の自由化
4.特区の創出
5.法人税減税
これらの施策の結果生じたことは大企業利益の増大と労働者所得の減少だった。
成長戦略とは大企業利益の成長戦略であり、労働者不利益の成長戦略だった。
経済全体の成長はまったく実現しなかった。
岸田首相は当初、「分配の是正」を唱えたが、すぐに撤回した。

初めは「分配の是正」を唱えたが、すぐに「成長も分配も」に変わり、結局「まずは成長」に回帰した。安倍内閣の「成長路線」に回帰。
しかし、安倍内閣の成長戦略は失敗に終わっている。岸田内閣の下でも成長は実現していない。
日本経済は坂を転げ落ちるように凋落を続けている。

日本はコロナ対応にも失敗した。
世界のなかで最後の最後までコロナ異常規制を維持したのが日本である。
マスク規制、ワクチン規制を世界のなかで最後まで継続したのが日本と米国だ。
その甲斐もあって、日本は極めて珍しく世界第1位のランキングに輝いた。
人口100人当たりのワクチン接種回数で日本は堂々の世界第一位のランキングを獲得した。
日本がいかにワクチン利権に呑み込まれたのかが分かる。

そのワクチ大接種と連動して発生したのが異常な死亡数の激増だ。
死亡数激増とワクチン接種の因果関係を立証することは容易ではない。
ワクチン利権勢力は懸命に両者の因果関係を否定しようとするだろう。
しかし、ワクチン以外に死亡数激増を説明する要因を提示できなことも、紛れもない事実なのだ。日本はコロナへの過剰対応で経済の著しい悪化を発生させた。

本年5月に、ようやくコロナ規制が解除されて、日本経済が浮上する環境がようやく整った。
しかし、日本経済の浮揚力は極めて弱い。最大の原因は日中関係の悪化だ。
日本が中国に対して十分な説明もせずに処理後放射能汚染水の海洋投棄を開始した。
この影響で日中関係が悪化。日本経済浮上の大きな原動力が失われてしまった。
処理後汚染水海洋投棄問題で日本は中国が悪いとの世論を創作したが「盗人猛々しい」とはこのこと。
日本側の対応に問題がある。日本経済低迷持続に関する岸田内閣の責任は重大である。

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