2023年11月4日土曜日

日本政府は、イスラエルの蛮行を批判し、即時停戦の外交努力を

 日本共産党の志位和夫委員長は2日、イスラエル・ガザ紛争の現局面と日本政府の対応について次のように述べました(しんぶん赤旗)
イスラエルによる難民キャンプに対する空爆は、明白な国際人道法違反であり、まごうことなき戦争犯罪である。大規模な空爆、封鎖、地上作戦をただちに中止すること
日本政府がイスラエルの国際人道法を蹂躙した蛮行に対し、国際法違反だと批判することを一貫して回避すろのは無責任きわまる態度である
日本政府が休戦を求めることを一貫して回避し国連総会で世界121カ国が賛成して人道的休戦を求める決議が採択された際にも、日本政府棄権したことは大問題である。
日本政府アメリカの顔色をうかがう態度は止め、危機的現実を直視し、イスラエルの国際法違反の蛮行の中止を求め、即時停戦、休戦を強く働きかける外交努力を行うべきである。
 
 併せてしんぶん赤旗の記事「ガザの惨状伝え続けるジャーナリスト ~ 」とアルジャジーラ通信社の記事「イスラエル軍、ガザ市包囲、停戦要請を拒否」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本政府は、イスラエルの蛮行を批判し、即時停戦の外交努力を
                       しんぶん赤旗 2023年11月3日
志位委員長が会見
 日本共産党の志位和夫委員長は2日、国会内で記者会見し、イスラエル・ガザ紛争の現局面と日本政府の対応について次のように述べました。
 一、イスラエル・ガザ紛争の現局面と日本政府の対応について、まとまって発言しておきたい。
 イスラエル軍は10月31日、ガザ地区北部のジャバリヤ難民キャンプに対する空爆を行った。多数の子どもを含む数百人の民間人が死傷したと報じられている。難民キャンプに対する空爆は、明白な国際人道法違反であり、まごうことなき戦争犯罪だ。これを強く非難する
 これまでにイスラエル軍の攻撃によって、ガザ地区の人々が8500人以上も犠牲となり、そのうち3500人以上が子どもだと報じられている。イスラエルに対し、国際法に違反する大規模な空爆、封鎖、地上作戦をただちに中止することを強く求める。
 一、この問題にかかわり、国会審議を通じ、日本政府の対応の問題点が明白になってきた。二つの大きな問題点を指摘する。

 第一の問題点は、日本政府がハマスの無差別攻撃に対する非難を行っても、イスラエルの国際人道法を蹂躙(じゅうりん)した蛮行に対し、国際法違反だと批判することを一貫して回避していることだ。
 1日、日本共産党の山添拓議員がこの問題をただしたが、首相は答弁で国際法違反とは一度も言わなかった。「現地の状況を十分に把握できないので、法的判断はできない」と繰り返した。驚くべき無責任な答弁だ。現地で子どもたちがどんどん殺されていると、毎日のように西側のメディアも含めて報道されている。国連子ども権利委員会も3500人以上の子どもを殺害されたとして強く非難している。現地の状況が分からないから、法的判断できないというのは、あまりにも情けない、無責任きわまる態度だと言わなければならない。

 一、第二の問題点は、日本政府が休戦を求めることを一貫して回避していることだ。
 この間、国連総会で緊急会合が行われ、世界121カ国が賛成して人道的休戦を求める決議が採択されたこの決議に、日本政府は棄権という態度をとった。国会質疑で、わが党が「なぜ棄権という態度をとったのか」とただすと、首相は「バランスを考えて」という答弁だった。ハマスへの非難が明示されていないということを、棄権の理由としてあげた。総会決議は、確かに名指しはしていないが、イスラエル、ハマスの双方の行った暴力行為に対する批判を明記している。そういった点では、きちんとバランスが取れているものだ。ハマスへの非難は行っても、イスラエルは非難しないという日本政府こそ、まったくバランスを欠いた対応だと言わなければならない。理屈にもならない理屈で、国連総会の決議に棄権するという態度をとったことは、たいへん大きな問題だと厳しく批判されなければならない。

 一、1日の山添議員の質疑で、「休戦を日本政府として求めるべきだ」との繰り返しの質問に対し、首相は「休戦」あるいは「停戦」を求めることをかたくなに拒否した。首相が繰り返したのは、「人道的な戦闘休止」だった。「戦闘」、つまり個別の司令官が判断するようなレベルの戦闘行為の休止は求めるが、「戦争」そのものの「休戦」「停戦」はあくまでも求めないという姿勢だ。これは結局、イスラエルの行動を「自衛権の発動」として容認するアメリカの態度に追随したものだ。アメリカの顔色をうかがう情けない態度だ。
 現在のガザ地区における人道的危機はきわめて深刻なものだ。わが党は、日本政府に対して、危機的現実を直視し、イスラエルの国際法違反の蛮行の中止を求めること、即時停戦、休戦を強く働きかける外交努力を行うこと、この二つの点を強く求めたい

 一、今、この問題では、全世界でイスラエルの蛮行に対する抗議の声が起こっている。私たちは、「即時停戦」、「ガザへの攻撃を中止せよ」、「子どもたちを殺すな」の一点で、世界の民衆と連帯し、たたかいを日本でも起こしていきたい。すでにさまざまな形で始まっているが、そうしたたたかいを日本でも大きく発展させていく決意だ。


ガザの惨状伝え続けるジャーナリスト
   妻と子、孫まで犠牲に 「悲しみと決意のはざまで」
                       しんぶん赤旗 2023年11月3日
【カイロ=秋山豊】パレスチナ自治区ガザでは、記者やその家族もイスラエル軍の無差別空爆で殺害されています。命の危険にさらされ、家族を失ってもなお、住民の苦難とガザの惨状を報じ続けるジャーナリストがいます。
 カタールの衛星テレビ局アルジャジーラのワエル・アルダハドゥー・ガザ支局長が10月31日、本紙の電話取材に応じました。同氏の妻と15歳の息子、7歳の娘、1歳の孫が空爆で殺されたことは世界中に報じられました。「自分の家族の死がニュースになってしまった。悲しみと喪失感、ジャーナリストとしての決意と誇りのはざまで矛盾した感情を抱いている」と語りました。
 アルダハドゥー氏は10月25日、空爆の様子を放送している最中、家族のいる中部ヌセイラット難民キャンプが空爆されたと知らせを受けました。家族はイスラエルが住民に退避を勧告した北部ガザ市から避難先を求めて転々とした後、同キャンプにたどりついたばかりでした。
 アルダハドゥー氏は「PRESS(報道)」と書かれたベストを着たまま病院に駆けつけ、遺体となった息子の顔に手をふれ、白い布に包まれた娘を抱きました。息子の夢は父と同じ記者になることでした。

 家族の埋葬後すぐに現場に戻ったアルダハドゥー氏。「泣いている時間はない。ここで起きていることを知る権利が人々にはある。家族とガザの人びとの死が、イスラエルの犯罪を世界に伝え続けなければならないという思いにさせる」と語りました。
 多くのジャーナリストが空爆で命を奪われています。サラム・ミイマさんは北部ジャバリヤ難民キャンプの家が空爆され、数日後にガレキの下から遺体で発見されました。
 サルマ・モヘイマさんは南部ラファで爆撃されて子どもと一緒に死亡。ヤセル・アブナモウスさんは南部ハンユニスの家にいる時に空爆されました。
 ヨルダン川西岸のパレスチナ・ジャーナリスト組合ナセル・アブバクル代表は「ガザの記者たちは空爆と戦車の砲撃のなか、命の危険にさらされても取材を続けている。ガザの記者からジャーナリズムを奪い、真実を隠すことはできない」と語りました。


イスラエル軍、ガザ市包囲、停戦要請を拒否
     ハマスの武装部門は、侵略するイスラエル兵は「黒い袋に入れて」帰国するだ
      ろうと警告している。
                    アルジャジーラ通信社 2023月10月3
イスラエル軍は、包囲されたパレスチナ領土での流血を止めるための停戦を求める国際社会の呼びかけの高まりを拒否する一方で、イスラエル軍がガザの主要都市を包囲したと発表した。
イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は木曜日、イスラエル軍がハマスが支配する飛び地での地上作戦を拡大してからほぼ1週間、ガザ市が包囲されたと述べた。
「イスラエル軍兵士は、テロ組織ハマスの中枢であるガザ市の包囲を完了した」とハガリは記者団に語った。
ハガリ氏は「停戦は今のところ全く交渉のテーブルに載っていない」と述べた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は先週、地上戦が激化する中、ハマスに対する戦争は「第二段階」に入ったと述べたが、木曜日の夜、イスラエル軍は「戦闘の頂点」にあると述べた。
「我々は目覚ましい成功を収め、ガザ市の郊外を通過した」と彼は言った。「私たちは前進しています」
イスラエル軍はソーシャルメディア上の別の声明で、その優先事項は「ハマスに人質に取られている子供、女性、男性を帰国させ、ハマスがもはやイスラエル人を攻撃する能力を持たないようにすること」だと述べた。
これに対し、ハマスの軍事部門であるカッサム旅団は、ガザは「イスラエルにとって歴史の呪い」であり、飛び地に入ったイスラエル兵は「黒い袋に入れて」帰国すると警告した。
イスラエルの発表は、米国のジョー・バイデン大統領が、ハマスに拘束されている捕虜の解放を可能にするための人道的戦闘の「一時停止」を支持すると表明した後に行われた。
ホワイトハウス高官はその後、バイデン政権は完全な停戦を支持していないが、人質の支援と解放を可能にするために、戦闘の一時的かつ局地的な一時停止を強く求めることを明らかにした。
木曜日、7人の国連特別報告者がガザでの停戦を呼びかける声明を発表し、パレスチナ人が「ジェノサイド⇒民族殺戮)の重大な危険」に直面していることへの懸念を表明した。
イスラエルのガザ攻撃は、今週初めにイスラエル軍がガザ北部のジャバリア難民キャンプを連続して空爆して以来、ますます非難されている。
火曜日と水曜日の攻撃で少なくとも195人が死亡し、数百人が負傷したと、ハマスが支配する飛び地の当局者は述べた。
国連人権高等弁務官事務所(UNHCR)は水曜日、難民キャンプでの「多数の民間人死傷者」と「破壊の規模」を考えると、攻撃は戦争犯罪にあたる可能性があると述べた
イスラエルは、空爆はハマスの司令官と、キャンプの敷地の下にある「広大な」トンネル網を標的にしたと述べた。
少なくとも9,061人のパレスチナ人が、107日にイスラエル南部のコミュニティをハマスが攻撃したことに対抗してイスラエル軍が開始したガザへの爆撃で殺害された

イスラエル当局者によると、陸、海、空からの侵攻を伴うハマスの奇襲攻撃で、少なくとも1,405人(大半が民間人)が殺害された。