2023年11月6日月曜日

06- 世界の激動、首相の無策の先に地獄絵 一寸先は闇の年末

 少し前まで岸田首相は「内閣支持率はいずれ上がるから」と楽観視していました。しかし一向に上がらないどころか下がる一方なので、今度は、どうしたら支持率が上がるかと考えたようで「減税」を口にし出しました。ところがその意図がバレバレなので支持率など回復する筈がありません。

 そもそも軍事費に向こう5年間に43兆円、その先は年間11兆円もの額が毎年出ていく以上、本来的に減税のしようがありません。それでは当面どういう政治を行っていくのか、 それも一向に見えてきません。

 ひたすら財界のいう通りに、そして財務省のいう通りにというのであればそんな首相は不要です。
 日刊ゲンダイが掲題の記事を出しました。
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世界の激動、首相の無策の先に地獄絵 「今日より明日」どころか「一寸先は闇」の年末
                          日刊ゲンダイ 2023/11/3
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
「増税メガネ」のニックネームが定着した岸田首相のままで、我々は平穏無事な年末を迎えることができるのだろうか。
 この臨時国会では、岸田の経済無策ぶりが浮き彫りになっている。
 最大の問題は岸田が掲げた経済対策だ。「成長の成果である税収増を国民に還元する」と言って打ち出したのは、所得税と住民税の「定額減税」と給付金だった。1人当たり4万円の減税と、低所得世帯への7万円給付だが、一時しのぎのバラマキであることを、国民にスッカリ見透かされている
 それもそのはず、岸田は所信表明演説で経済対策について「物価高を乗り越える国民への還元」と言いながら、「デフレ完全脱却のため」と支離滅裂なことを口にしていた。値上げラッシュが続く現状をインフレでなく、デフレ局面と捉えるとはどういう了見なのか。
 スジの通らない発言を展開しているのは、経済対策がただの「人気取り」でしかなく、大した中身がないからだ。そんなことは国民もお見通しで〈減税ウソメガネ〉が、X(旧ツイッター)でトレンド入りしたほどだ。
 自民党内の四分五裂も明らかになった。世耕参院幹事長は代表質問で「岸田首相の決断と言葉については、いくばくかの弱さを感じざるを得ない」「還元という言葉が分かりにくかった」と酷評。石破元幹事長も週刊文春(11月2日号)で「どこまでも場当たり的で、根拠がないんです」と批判していた。
 こんな弥縫策に経済効果など期待できやしない。年末に向け、物価高も続き、生活苦も続く。株価も暴落は必至だろう。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「既に日経平均は下降局面に入っており、年末には節目の3万円割れもあり得るでしょう。元凶は、政府・日銀が物価高を放置していることです。今は、円安によるインバウンド効果でゴマカされていますが、国内消費は確実に落ち込んでいます。実質賃金の下落だけでなく、約2000兆円の個人の金融資産も物価上昇により目減りしている。消費に回す余力がなくなってきていますから、企業業績にもジワジワと悪影響が及ぶでしょう。場当たりの減税も貯蓄に回るだけで、景気押し上げ効果は期待できません」

米国ベッタリの「岸田外交」
 経済無策だけじゃない。パレスチナの武装組織ハマスとイスラエルの衝突で国際社会が混乱する中、「外交の岸田」も迷走している。
 ハマスによる攻撃が発生した当初、岸田はXに〈全ての当事者に最大限の自制を求めます〉と投稿。欧米諸国がハマスの攻撃を「テロ」と非難したのに対し、中立的な態度をとっていた。ところが、その数日後、欧米に足並みを揃えるように「テロ」に言及するようになった。
 10月27日の国連総会では、「米国寄り」の姿勢を打ち出した。アラブ諸国を代表したヨルダン提出の「人道的休戦」を求める決議案の採決では棄権し、G7の一角を担うカナダが提出したハマスを名指し非難の決議案に賛成してみせたのだ。「カナダ案支持」を訴えた米国に、日本が忖度したのは明らか。G7メンバーのフランスが両案に賛成したのとは大違いだ。
 いつも通りの「米国ベッタリ」だが、その姿勢は危うい。パレスチナの人道支援より「イスラエル重視」を鮮明にしすぎるバイデン大統領に米国内でも批判が続出。来年の大統領選での再選に赤信号がともっているのだ。
 米NBCによると、約24万人のイスラム教徒が住む中西部ミシガン州のイスラム社会では「二度とバイデンに投票しない」といった声が噴出。同州では、20年大統領選でバイデンが約15万票差で共和党のトランプ前大統領を破ったが、次の選挙は見通せない。米国内ではウクライナの追加支援についても疑問視する見方が広がっており、ウクライナ支援を「停止する」と明言したトランプを支持する世論が高まっている。バイデンと一騎打ちになればどちらに転ぶか分からない状況だ。

 今こそ日本外交は独自の立ち位置をしっかり持たないと、激動する世界で路頭に迷うことになるのではないか。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)はこう言う。
「国連総会でヨルダン、カナダ両案が採決にかけられた際、日本がカナダ案にだけ賛成したのは、米国を意識したからでしょうが『資源確保』の観点から、その選択は間違いでした。仮に、ハマスとイスラエルの戦闘が第5次中東戦争に発展したら、日本はどこから原油を調達するのか。国力の低下する米国が手を差しのべる余裕はありません。本来、ヨルダン案に賛成し、アラブ諸国に寄り添う姿勢を示すことで、ある意味“恩を売る”べきではなかったか。それくらいシタタカな外交を展開できなければ、複雑化する国際社会で生きていくのは難しいでしょう」

「年内解散」は無理スジ
 株価上昇や米国追従による外交成果も、もう頼りにはできない。岸田政権自体も内閣支持率ダダ下がりで上がり目ナシである。
 日経新聞とテレビ東京の世論調査(10月27~29日)では、支持率が9月の前回調査から9ポイント下落し、33%だった。この日経を含め大手メディア7社の世論調査で政権発足以降の最低を更新し、もはや目も当てられない。
「年内解散」説が浮上しているが、とても選挙ができる状況じゃないだろう。
 前出の五野井氏はこう言う。
「年内解散どころか、岸田政権は年末までに立ち往生してもおかしくありません。『減税』を打ち出しても、今後は防衛費倍増や少子化対策の財源を含め『増税』の議論は避けられない。支持率回復の“起爆剤”である外交を巡っても、この体たらくです。『G7広島サミット』のようなイベントもありません。国民のみならず、自民党内からも突き上げられ、にっちもさっちも行かなくなるのではないか」
 所信表明で「明日は今日より良くなる」と言っていた岸田だが、政権も国民生活も外交も「一寸先は闇」の年末となりそうだ。