2023年11月27日月曜日

規範破り大規模パーティー 首相は22年に6回で1・3億円 利益率89%の荒稼ぎ

  閣僚には大規模な政治資金パーティーの開催を自粛するという大臣規範があります

 岸田首相が22年に、1回の収入が1千万円を超える大規模なパーティーを計6回開催していたことが、総務省が公開した政治資金収支報告書から分かりました。
 合計収入は1億4730万円。経費を引いて得た利益は1億3100万円で利益率は89%にのぼります。岸田内閣では政務官の辞任が相次いでいますが、首相自身のモラルが問われます。しんぶん赤旗が報じました。
 併せてしんぶん赤旗の「主張 政治資金収支報告 相次ぐ疑惑 脱法違法を許すな」と「日本共産党の22年政治資金収支報告」を紹介します。 
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規範破り大規模パーティー 首相 年6回 22 3億円 利益率89%の荒稼ぎ
                       しんぶん赤旗 2023年11月25日
 岸田文雄首相が2022年に、1回の収入が1千万円を超える大規模なパーティーを計6回開催していたことが、24日に総務省が公開した政治資金収支報告書から分かりました。閣僚には大規模な政治資金パーティーの開催を自粛するという取り決めがあります。岸田内閣では政務官の辞任が相次いでいますが、首相自身のモラルが問われます。(矢野昌弘)

 岸田首相の資金管理団体「新政治経済研究会」の政治資金収支報告書によると、22年だけで1回の収入が1000万円を超える政治資金パーティーを6回も開催していました。
 合計収入は1億4730万円。経費を引いて得た利益は、計1億3100万円でした。利益率は、89%にのぼります。
 最も収入が多かったのは、昨年12月19日に都内のANAインターコンチネンタル東京で開催したパーティー。収入は約3654万円で1200人が支払いをしていました。
 岸田首相は22年に限らず閣僚就任中に大規模なパーティーを繰り返し、多額の収益を得てきました。01年に閣議決定された「国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範」では、政治資金パーティーについて「国民の疑惑を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する」と定めています。
 この「規範」は、新内閣ができた直後の初閣議で閣僚が必ず目を通します。22年8月に岸田改造内閣が発足した際には、松野博一官房長官が「必ずお読みいただき政治と行政への信頼を確保するため、これを順守されるようお願いいたします」と呼びかけていました。


主張政治資金収支報告 相次ぐ疑惑 脱法違法を許すな
                       しんぶん赤旗 2023年11月25日
 相次ぐ「政治とカネ」問題で岸田文雄政権への不信が高まる中で、2022年の政治資金収支報告書(総務相提出分)が公表されました。政治資金規正法は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われる」ため、政治資金の収支は疑惑を招かないよう「公明正大」に行うことを定めています。いま国会では、自民党の主要5派閥の政治資金パーティー収入(18~21年)で約4000万円もの不記載があったことが大問題になっています。悪質な脱法・違法行為を徹底的に解明するとともに、金権政治の根を断つことが必要です。

パーティー収入で不記載
 22年の収支報告書によると、政治資金パーティーを開いた政治団体数は21年より増加しました。収入総額も34・5%増で80億円を超えました。自民党の5派閥では、麻生派が2億3511万円、二階派1億8845万円、岸田派1億8329万円、茂木派1億8142万円、安倍派9480万円と上位に位置しています。派閥がパーティー収入を頼りにしていることを浮き彫りにしています。
 政治資金規正法は1回のパーティーで20万円超のパーティー券購入者の名前を報告書に記載することを義務付けています。ところが自民党の5派閥は18~21年に開いたパーティーで、20万円超の大口購入者の名前が記載されていないことが発覚しました。本紙日曜版が昨年11月6日号で報じ、連続追及しています。上脇博之神戸学院大教授が刑事告発し、東京地検特捜部が捜査しています
 国会で追及された岸田首相は不記載を認め、茂木敏充自民党幹事長に派閥ごとに説明するよう指示したと答えました。各派閥は「事務的ミス」などと弁明しますが、購入した団体と派閥で事前に金額や枚数の確認をしていたとの証言もあります。報告書に記載できない裏金づくりの疑いも濃厚です。
 加藤鮎子こども政策担当相も21年のパーティー収入を巡る不透明な会計処理で刑事告発されています。自見英子地方創生相もパーティー券購入を巡る疑惑が指摘されています。
 政治資金パーティー疑惑が次々明らかになるのは、寄付と比べ透明度が低く、名前や金額が明らかにされにくいためです。主要5派閥で大口購入者を特定しにくくする手法がまん延していたことは、構造的問題です
 政治資金パーティーは、費用をかけずに巨額な収入を得ることができる手段にもなっています。22年の報告書でみても麻生派は開催費用2042万円で2億3000万円以上の収入を得ています。
 企業・団体が支払うパーティー券代は、形を変えた企業・団体献金です。政治家個人に対する企業・団体献金は禁止されているにもかかわらず、「政党支部」を隠れみのにした政治家個人への献金も事実上行われています。抜け道をなくすことが不可欠です。

企業献金は腐敗の温床
 自民党側への献金の大手は自動車や電機などの大企業です。営利が目的の企業が献金するのは見返りを求めるからです。「カネの力」で政治をゆがめることを許さないために、企業・団体献金はパーティー券購入も含め全面禁止すべきです。税金頼みで政党の劣化を招いている政党助成金の廃止も一体で進めることが重要です。


2022年政治資金収支報告 日本共産党
財政も国民と結びつき 財務・業務委員会 岩井鐵也責任者が談話
政党助成金や企業・団体献金は受け取らず
                       しんぶん赤旗 2023年11月25日
 日本共産党の岩井鐵也財務・業務委員会責任者は24日、2022年政治資金収支報告書の公表にあたり次の談話を発表しました。

 一、政党・政治団体の2022年政治資金収支報告書が公表されました。日本共産党中央委員会の収入総額は190億9543万円(前年比94・7%)、支出総額は194億2345万円(前年比96・3%)、繰越金は11億0013万円でした。収支の概要は別表のとおりです。

 二、収入構成で明らかなとおり、日本共産党は、憲法違反というだけでなく、政党の堕落につながる政党助成金も、カネの力で政治をゆがめる企業・団体献金も、いっさい受け取っていません。日本共産党は、党員が納める党費、「しんぶん赤旗」読者からの購読料、個人からの寄付など、「国民が主人公」の姿勢を貫く政党として、党員と支持者、国民から寄せられる浄財のみですべての活動資金をまかなっています。
 また、収入の87・2%、支出の63・2%を機関紙誌等事業活動が占めています。このことは、日本共産党が「しんぶん赤旗」を中心に国民と深く結びついて活動していることの反映です。

 三、党財政においても「国民とともに」の立場をつらぬく日本共産党には、毎年、他のどの党よりも多くの個人寄付が寄せられます。中央委員会と全国の都道府県・地区委員会に寄せられる個人寄付の合計額は、毎年約80億円にのぼっています。2022年も、党は参院選募金をはじめ、積極的に個人寄付にとりくみました。なお、中央委員会の2022年の個人寄付は前年より減っていますが、これは、亡くなられた党員・支持者からの遺贈が多い年と少ない年があるためです。

 四、日本共産党は、来年1月に開催する第29回党大会を、自民党政治のゆきづまりのもと、国民に希望をとどける党の綱領路線をさらに豊かに発展させ、党躍進の反転攻勢ののろしをあげていく大会にすること、また党勢のうえでも後退にピリオドをうち、新しい上げ潮に転じる歴史的党大会にすることをめざし、党大会成功にむけた活動に全力をあげています。党勢の後退は、収入の減少などとなって財政収支にも反映していますが、歴史的な第29回党大会を何としても成功させ、それを力に党財政の面でも、現状打開と新たな発展をかちとっていく決意です。