ハマスとイスラエルの戦闘が始まってから1カ月となりました。
イスラエル軍のガザ民間人への無差別攻撃・ジェノサイドは、米・英・仏・独などNATOの諸国民も含めて世界各国で批判の渦にさらされ、「いますぐ停戦」を求める世論が高まっています。
しんぶん赤旗の3つの記事を紹介します。
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戦闘1カ月 イスラエルの無差別攻撃 虐殺やめよ 高まる声
しんぶん赤旗 2023年11月7日
【カイロ=秋山豊】イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まって7日で1カ月となりました。イスラエル軍のガザ民間人への無差別攻撃は、国際社会から「ジェノサイド(集団殺害)」と批判されています。世界各国では、いますぐ停戦を、と求める世論が高まっています。
ガザ保健当局によると、死者は5日現在9770人に上り、1万人に迫っています。被害者の7割が子どもと女性です。また5日時点で、人口230万人のうち家を失った人は150万人。
イスラエルは、「ハマスを破壊する」として、住宅や難民キャンプのほか、救急車、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の施設さえ空爆。民間人の保護を義務付ける国際人道法を公然と踏みにじっています。
イスラエル軍は2日、北部ガザ市の完全包囲を発表。5日にはガザ地区を南北に分断したことも明らかにしました。同日、ガザでは電話やインターネットなどが遮断されるなかで複数の病院の周辺が猛烈な爆撃に見舞われたとの情報もあります。通信遮断はこの1カ月で3度目です。
イスラエル側はハマスの越境攻撃などで1400人以上が殺害され、約240人が人質になっています。ネタニヤフ首相は5日、「人質解放がなければ停戦はない」と言明しました。
イスラエルは10月9日にガザへの食料、電気、燃料の供給を遮断。その後、わずかな食料などの通過は認めましたが、ガザの医療体制は崩壊寸前で、住民の食料や飲料水の不足も深刻です。衛生状態が極度に悪化しています。
一方、ヨルダン川西岸でも、イスラエル兵やユダヤ人入植者によってパレスチナ住民が死傷する事件が相次いでいます。イスラエルとハマスの戦闘が始まって以降、西岸のパレスチナ人153人が死亡しています。
米欧日に怒り アラブで拡大 ガザへの無差別攻撃 なぜ不問
「民間人虐殺が自衛か」
しんぶん赤旗 2023年11月6日
【カイロ=秋山豊】アラブの人たちには、イスラエルとともに、米国、英国、ドイツ、日本などに対する強い怒りが広がっています。これらの国は、パレスチナのガザ地区を無差別に攻撃するイスラエルを批判しないばかりか、同国に「自衛権がある」として即時停戦さえ求めていないからです。
SNSでは、米国のコーヒーチェーン大手スターバックスや米国に本社があるコカ・コーラなどの不買も呼びかけられ、数えきれない怒りの文章が投稿されています。
「イスラエル軍の犯罪を支持する者は損失を被れ」「安売りし始めた企業もあるが、誰が買うか」
米ファストフード大手マクドナルドのイスラエル法人は、イスラエル軍に食事を大量に無償提供して強い怒りを買っています。
来店客ゼロ
3日午前10時半、エジプト首都カイロ近郊の同店に客は全くいませんでした。この日は金曜日。エジプトの休日で、普段ならレジの前に列が出来ています。
従業員の女性(26)は「お客さんは来ないし、配達の注文も減った。不買運動を支持してやめた従業員もいる。ガザの子どもがどんなに苦しんでいるかみてほしい。私も退職を考えている」と言いました。
同店の近くに住むマイ・ムハンマドさん(30)=建築家=は「欧米はイスラエルに自衛権があると言う。民間人の虐殺や病院への空爆が自衛に関係あるのか」「私にとって欧米製品の購入は、パレスチナ人を殺す弾丸への資金提供と同じだ」と話します。
ヨルダン首都アンマン在住のオサマ・ハムザさん(34)=会社員=は「飲食店や化粧品、タバコなどの不買運動を行っている。イスラエルと、それを支持する国は、民主国家だと言いながら争いの論理しか持っていない」と怒ります。
「恥を知れ」
国連総会は人道的休戦を求める決議を121の賛成で採択していますが、その採決で棄権した日本政府への怒りも渦巻いています。
カイロに暮らすラマダン・アブデルラハマンさん(41)は「私は日本製のテレビを持っている。しかしガザでの虐殺に目をつぶり、人道を尊重しない国の物はもう買えない。日本政府は恥を知れ。ガザの人びとに謝れ」と言いました。
ガザ在住の政治アナリスト、アイマン・ラファティさんは「日本政府は、数千トンの爆弾を落としているイスラエルに加担したとみなされている。日本政府が停戦に背を向ける態度を改め、虐殺に反対しない限り、怒りはおさまらない」と言います。
ラファティさんは「人権と国際法、国際人道法を擁護する日本国民のみなさん、あなた方の政府の態度をただしてほしい。日本政府が米国に追従するのを止めてほしい」と訴えました。
大虐殺をやめろ 世界で抗議 ガザ停戦を 声上げる 各地でデモ
しんぶん赤旗 2023年11月6日
【ロンドン=ロイター】パレスチナを支持する抗議デモが4日、ロンドンやパリ、アンカラなどでも取り組まれ、ガザでの停戦を求める一方、イスラエルを激しく非難しました。
ロンドンでは、テレビ映像によると群衆が座り込みで市内中心部を封鎖し、その後、トラファルガー広場まで行進しました。参加者は「パレスチナに自由を」と書かれたプラカードを掲げ、「今こそ停戦を」などと唱和しました。
スナク英政権はイスラエルの自衛権を支持。米政府と歩調を合わせ、停戦は呼び掛けず、ガザヘの支援搬入のための人道的な戦闘停止を主張しています。
パリ中央では、数千人が停戦を求めて行進。「暴力の悪循環を止めろ」「何もしない、何も言わないのは共犯だ」と書かれたプラ力ードが掲げられました。
この日はハマスによる10月7日のイスラエル攻撃以来、パリで初めてとなる大規模なパレスチナ支持集会となりました。フランス政府は同趣旨の集会を禁止していました。
参加者の1人は「私たちが今日ここに来たのは、フランス国民がパレスチナの人たちに連帯し、2国家共存を支持することを示すためだ」と語りました。
トルコのイスタンブールとアンカラでも、ブリンケン米露務長官の訪問を前に、数百人が集まって抗議しました。トルコ政府はイスラエルと欧来諸国を厳しく非難しています。
最大都市イスタンブールのサラチャイン公園では「ブリンケン、大量虐殺の共犯、トルコから出ていけ」と書かれた横断幕をかかげて抗議。参加者の1人は「子どもが死んでいる。赤ちゃんが死んでいる。爆撃されたからだ」と語りました。
アンカラからの映像によると、米大使館近くで抗議集会がありました。「イスラエルが病院を爆撃する。バイデンがそれに金を払う」と書かれたポスターを掲げた人たちがいました。
市民は正義の側に 【米国】
【ワシントン=石黒みずほ】米首都ワシントンで4日、米政府がパレスチナのガザ地区で攻撃を強めるイスラエルを支援していることに抗議し、即時停戦を訴える大規模集会が行われました。米メディアの報道などによると、少なくとも数万人が結集しました。
集会で発言した「パレスチナ若者運動」のモハメド・ナプシさんは、イスラエルの攻撃により約1万人が犠牲となり、今も多くの人々が米国製造の武器によって破壊された建物の下敷きになっていると指摘。「米政府や世界に、米国民の大多数が正義、尊厳、パレスチナ人の自由の側に立つということを示そう」と訴えました。
「米国イスラム教徒関係協議会」のニハド・アワド事務局長は、多くの市民が抗議の声をあげてきたことで、世論や政府に変化が起きていると指摘。2024年に行われる大統領選にふれ、「もし今すぐ停戦しないのならば、私たちの票はない」と、バイデン大統領に訴えかけました。
参加者は「子どもへの爆撃は自衛ではない」「米国は虐殺への投資をやめろ」「ガザと共にある」などと書かれたプラカードを掲げて行進。最終地点のホワイトハウス前では「今すぐ停戦を」「パレスチナに自由を」と声をあげました。
ボストンから参加したパレスチナ人のリアム・ガパイアンさん(26)は、ガザに残る親戚を亡くしました。「米政府は私たちの声を聞いてくれていない。私たちの税金を虐殺に使わないでほしい」と話しました。
米下院議員が大統領を非難
【ワシントン=ロイター】タリープ米下院議員は3日、パイデン米大統領がパレスチナ人の「ジェノサイド(大量虐殺)」を支持していると非難し、来年の大統領選挙に影響すると警告しました。タリープ氏は米下院初のパレスチナ系女性議員です。
X(旧ツイッター)に掲載した動画でタリーブ氏はバイデン氏に対し、イスラエルとハマスの停戦を支持するよう求めました。
米国務長官が即時停戦反対 アラプ外相らに伝達
【ワシントンー時事】ブリンケン米国務長官とアラプ首長国外相らは4日、ヨルダンの首都アンマンで会合を開き、イスラエルとハマスの衝突を巡り協議しました。プリンケン氏は人道目的の「戦闘の一時停止」を目指す考えを示し、アラブ側が訴える「即昨停戦」に反対しました。
ブリンケン氏は会合後、ヨルダンのサファディ外相、エジプトのシュクリ外相と共同記者会見を行いました。シュクリ氏は「ガザでの即時停戦を無条件で求める」と主張し、イスラエルに「人道支援物資搬入の妨害中止」を要求しました。プリンケン氏は「今停戦すれば、ハマスが再び部隊を整えることを可能にする」と述べ、10月7日のイスラエル攻撃を繰り返すことにつながると反論しました。
米国はハマスの統治継続につながる停戦に応じない立場。ただ、ガザの人道状況が悪化する中、国際社会はイスラエルを支持する米国に厳しい視線を向けています。
政府は歴史に学べ 【独】
【ベルリン=岩本博美】ドイツの首都ベルリンで4日、ガザ地区での即時停戦を求める集会とデモ行進が行われました。警察発表で8500人以上が参加し「ガザでのジェノサイド(大量虐殺)をやめろ」「パレスチナに平和を」と力強く訴えました。
集会はドイツ政府に対しガザヘの人道支援の強化や、ドイツ国内のパレスチナに関する表現の自由を認めるよう求めました。
イスラム組織ハマスが10月7日にイスラエルを攻撃して以降、ドイツ政府は国内でパレスチナヘの連帯を表明する集会を厳重に監視するほか、パレスチナ国旗やアラブの伝統的頭巾クーフィーヤの学校への持ち込みは「反ユダヤ主義を助長する」と事実上禁止しています。
4日の集会では無数のパレスチナ国旗がはためき、多くの人がクーフィーヤを巻いて参加しました。パレスチナ出身のナディさんは「世界中でパレスチナ連帯や反戦集会が行われているのに、声を上げる権利が取り上げられるのはおかしい」と憤りました。
ドイツ政府は、10月27日の国運総会でイスラエルとハマスの衝突を巡り「人道的休戦」を求めた決議に棄権。ナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺の歴史を踏まえて「ドイツはイスラエルに特別の責任を負っている」と、ハマスを糾弾しイスラエルの自衛権を強調しつづけています。
「今すぐ停戦を」とプラカードを持ったベンジャミンさん(31)は「イスラエルによってガザで大勢の人が殺されようとしているのに、なぜ真剣に止めようと動かないのか。ドイツ政府は歴史から学んでいない」と批判しました。
平和促進こそ役割 インドネシア
【ハノイ=面川誠】インドネシアの首都ジャカルタで5日、「パレスチナを守る大行勣」をスローガンに数万人規模の集会が開かれました。ルトノ外相、プアン国会議長らも参加し、イスラエルによるガザ侵攻を停止し、パレスチナ占領を終わらせるよう訴えました。
同国のイスラム聖職者団体{インドネシア・ウラマー評議会」は集会へのメッセージで、国連がイスラエルの侵略をやめさせる明確な行動を取るべきだと主張しました。
現地メディアはルトノ外相の参加について、パレスチナの大義に対するインドネシア政府の積極厖な姿勢を表していると指摘。政府による人道支援の供与と外交努力は、中東の平和を促進するインドネシアの役割を示していると伝えました。
インドネシア政府は4月ガザ住民を支援するために食料、医薬品、衣類、毛布など51・5トンの物資を送りました。
イスラエル大使をトルコ政府が召還
【イスタンブール=時事】トルコ外務省は4日、パレスチナ自治区ガザで市民が多数犠牲になっているイスラエルの軍事作戦に抗議し、駐イスラエル大使を召還すると発表しました。声明で「停戦の呼び掛けを拒否し、継続的な人道支援物資の搬入を妨げている」とイスラエルを非難しました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。