2024年1月20日土曜日

「アメリカにしがみついていたら日本は終わる」〜羽場久美子・青山大教授

 共同テーブルが主催する「新しい戦前にさせない」連続シンポジウム8回目18日「パレスチナ・イスラエル」問題をテーマに行われました
 パネリストは、小田切拓さん(ジャーナリスト)、羽場久美子さん(青山学院大学名誉教授)、前田朗さん(朝鮮大学校講師)の3人で、小田切拓さんは、イスラエルは20年前から、計画的に綿密にパレスチナ人が苦しむ方法を考え実行してきた。それが今も続いている」と語り。前田朗さんは、国際人権法の観点からイスラエル・パレスチナ問題を語りました。
 羽場久美子さんは、いま世界で孤立しているのはイスラエルとアメリカで彼らは軍事力で世界を押さえつけているだけ」と述べ、「米国の金融機関の調査によれば、2075年GDPランキング1位は中国で、インド・アメリカと続き日本は12位に転落すると予測されている」ことや「1人あたりGDPは現在でも32位に転落している」ことを明らかにし、「孤立しているアメリカにしがみついていたら日本は終わる」と語りました。
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「アメリカにしがみついていたら日本は終わる」〜共同テーブルシンポで羽場久美子さん
                       レイバーネット日本 2024-01-19
  全動画(3時間13分)

 共同テーブル(代表 佐高信)が主催する「新しい戦前にさせない」連続シンポジウムが盛況だ。8回目を迎えた1月18日のテーマは「パレスチナ・イスラエル」問題。会場の衆院議員会館大会議室は、200人以上の参加者が詰めかけた。司会は纐纈厚さんで質疑もあわせて、3時間をこえる熱い集いとなった。

 パネリストは、小田切拓さん(ジャーナリスト)、羽場久美子さん(青山学院大学名誉教授)、前田朗さん(朝鮮大学校講師)の3人。それぞれの分野からこの問題に迫った。現地に何度も足を運んできた小田切拓さんは、20年前のガザの生々しい映像を見せてくれた。子どもたちが無残に傷つけられ、ショックで失神状態になっている女児の姿が映し出される。「子どもたちは肉体だけでなくメンタルがやられている。イスラエルは20年前から、計画的に綿密にパレスチナ人が苦しむ方法を考え実行してきた。それが今も続いている」と。前田朗さんは、国際人権法の観点からイスラエル・パレスチナ問題を言及した。

 羽場久美子さんは、マスメディアが伝えていない事実をスライドを使ってわかりやすく解説した。「昨年12月の国連事務総長による即時停戦を求める決議案は、153か国が賛成しました。これは国際社会の8割です。安全保障理事会でも15か国中13か国が賛成したが、イギリスが棄権しアメリカは拒否権を発動して停戦の道を止めてしまった。西側メディアはこのことを批判していない、これが問題なんです。いま世界で孤立しているのはイスラエルとアメリカです。かれらは軍事力で世界を押さえつけているだけです」

 グローバルサウスの研究家でもある羽場さんが、データを示して語ったことは衝撃的だった。「アメリカの金融機関の調査データによれば、50年後の2075年GDPランキング1位は中国で、インド・アメリカと続きます。日本はインドネシア・ナイジェリア・パキスタン・エジプト・ブラジルなどに抜かれ、12位に転落すると予測しています。経産省の知人にこのことを伝えたら、『50年後ではなく10年後ではないか』と言っていました」「また1人あたりGDPは現在でも、世界4位から32位に転落しています。アベノミクスの失敗で、賃金は下がるばかりで日本はどんどん貧しくなっています。そして将来、少子高齢化で労働人口は半分になり、その人たちが65歳以上の半分の人を肩に背負っていかなければならない時代がやってきます。こんな状況の中で、トマホークやイージス艦を購入していていいのでしょうか。能登の災害のときに自衛隊が軍事演習をやっていていいのでしょうか。税金は国民のために使うべきではないですか」
 そしてこう締めた。「いま世界は大転換期です。世界の8割以上を占めるグローバルサウスが台頭し、アメリカ支配が終わりつつあります。グローバルサウスの国々は、アラブ世界との共存をめざしています。孤立しているのはアメリカです。そんなアメリカにしがみついていたら、日本は終わります武器を買っている場合ではありません。世界に必要なのは、戦争ではなく“対話・共同”です。私たちは日本の市民は、苦しんでいるパレスチナの人々と連帯して、平和と命を守るためにたたかっていきましょう」。会場からは割れんばかりの拍手がおきた。(M)

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