2024年1月13日土曜日

南ア ガザ侵攻を「ジェノサイド」と提訴 公聴会始まる(しんぶん赤旗ほか)

 ガザは「死と絶望の場所」「ガザは居住不能になった」・・・しんぶん赤旗が、国連のグリフィス事務次長(人道問題担当)の言葉を紹介しました。

 イスラエルは、パレスチナ人をエジプトに逃亡させることでガザの居住者がなくなることを目指して、史上空前のガザ虐殺行為を継続しています。それなのに西側諸国のリーダーらはそれを支持こそすれ止めさせようとはしません(エジプトがそれを拒否している事情は別掲の田中宇氏の記事をご参照ください)。
 しかしこれだけ西側諸国が「非人道」の一色に染め抜かれたこともかつてなかったことです。彼らの道義はどうなったのでしょうか。正に地に堕ちました。

 そんな中で南アフリカは昨年末、イスラエルを「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約」(ジェノサイド条約)違反としてオランダのハーグにある国際司法裁判所に提訴しました。同条約の締約国はガザでの集団殺害を防ぐ義務があると述べ、同じく締約国のイスラエルに軍事作戦の停止を命じるよう求めています
 11日からその公聴会が始まり、南アの代理人は84頁に及ぶ陳述書を読み上げ、「イスラエルは作為的、不作為的にパレスチナ住民の命を奪い、生活を維持できる環境を破壊しているとして1948年の国連総会で採択されたジェノサイド条約に違反していると訴えました。
 12日にはイスラエル側代理人が出廷し意見陳述するということですが、どんな弁明が出来るというのでしょうか
 今回は国際司法裁判所が正しく機能するのかが試されます。しんぶん赤旗と読売新聞の記事を紹介します。
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きょうの潮流
                       しんぶん赤旗 2024年1月11日
 ガザは「死と絶望の場所」―国連のグリフィス事務次長(人道問題担当)が語りました。10月7日以降のイスラエルによるパレスチナ自治区への攻撃のすさまじさを物語る言葉です。「ガザは居住不能になった」とも
 南アフリカは昨年末、イスラエルを「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約」(ジェノサイド条約)違反として国際司法裁判所(ICJ)に提訴しました。同条約の締約国はガザでの集団殺害を防ぐ義務があると述べ、同じく締約国のイスラエルに軍事作戦の停止を命じるようICJに求めています

 提出された訴状には、ジェノサイド行為の列挙とともに、ネタニヤフ首相をはじめイスラエル政府高官から相次ぐ、ガザ破壊の意図を示す言葉が並べられています
 地球上からガザを消し去る。われわれには共通の目的がある」(バツゥーリ国会副議長)、「民族全体に責任がある。(ハマスの蛮行を)民間人は知らなかった、関与していなかったというレトリックは通用しない」(ヘルツォグ大統領)…
 ある民族や宗教的集団を全部または一部を破壊する意図を持って行われる殺害―これらを国際法上の犯罪とし、防止し、処罰するのが同条約です。南アフリカの提訴を受けた弁論は11日から。世界が注視しています
 イスラエルと最大の支援国・米国に対し、国際社会は国連総会や今回のICJなど、あらゆる手段で停戦を迫っています。世界各地の街頭で、市民の抗議も決してやみません。「ジェノサイドをとめろ」と。


南アフリカ、ガザ侵攻を「ジェノサイド」と提訴…イスラエル側「テロリストと戦闘」徹底抗弁の構え
                            読売新聞 2024/01/11
【ブリュッセル=酒井圭吾、エルサレム=福島利之】イスラエルのパレスチナ自治区ガザへの侵攻がジェノサイド(集団殺害)にあたるとして、南アフリカ政府がイスラエルに侵攻の即時停止を求めた裁判の公聴会が11日、国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)で始まった。イスラエルは南アがジェノサイドで訴えたことに反発しており、徹底抗弁する構えだ。

ガザで戦闘続けるイスラエル軍、レバノンのヒズボラ軍事拠点を攻撃
 ICJの判決には通常、数年を要するが、侵攻の即時停止を命じる暫定措置を早々に出す可能性がある。
 南アの代理人は11日の公聴会で、「イスラエルは作為的、不作為的にパレスチナ住民の命を奪い、生活を維持できる環境を破壊している」と批判した。
 イスラエルの行為は、国連総会で1948年に採択されたジェノサイド条約に違反していると訴えた。一方でイスラム主義組織ハマスによるイスラエルへの越境攻撃や、人質を取る行為も国際法違反だと批判した。

 南アは84ページの訴状で、イスラエルがガザのパレスチナ住民2万人以上を殺害しただけでなく、必要物資の輸送を阻害し住民を強制移動させているなどと主張している。
 12日にはイスラエル側代理人が出廷し意見陳述する。
 イスラエルはナチス・ドイツのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の反省に基づき制定されたジェノサイド条約違反で提訴されたことに衝撃を受けている。国際法に詳しい英国の法律家を雇ったほか、最高裁判所元長官で国際法の権威であるアハロン・バラク氏(87)をICJの判事の一人として送り込んでいる。
 ベンヤミン・ネタニヤフ首相は10日、「イスラエルは国際法に従い、パレスチナの人々でなくハマスのテロリストと戦闘を続けている」との声明を出した。
 焦点は、ICJが侵攻の即時停止を命じる暫定措置を出すかどうかだ。ICJの暫定措置に強制執行権限はないが、イスラエルへの国際的圧力を一層高める可能性がある。ICJは2022年3月、ウクライナを侵略するロシアに対し、侵略の即時停止を命じる暫定措置を出している。