植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
記事は志賀原発に関する事柄から始まっているので「原発を亡くす湯沢の会」のブログに掲載する予定でしたが、これは決して原発関連に留まるものではなく「災害時の避難所の在るべき姿」について啓発しておられるので、「湯沢平和の輪」のブログにも紹介します。
今回の能登半島地震では家・建物が大々的に破壊された上に、ライフライン(上水道・下水道・電気・ガスそれにアクセス道路など)が全滅状態のため、仮に僅かしか存在しない避難所に行くことが出来ても、厳寒の中とても生活できるような状態ではありません。
植草氏は3日以降、
・避難所の設備は貧困そのもので、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は完全に侵害されている
・しかも震度5以上の地震(余震)が頻発し最大震度6の地震も多数回発生した
・したがって被災者の命を守るためには、遠隔地避難が必要であることは明白になっている
ことを繰り返し指摘してきました。
そして植草氏は12日付で
・被災地の避難所での生活が基本的人権である生存権を侵害するものであることを当然とする行政対応はそもそもの間違いである
・安全な遠隔地でライフラインの完備した避難所に(希望者全員に)2次避難させるべきである
・移動にはヘリコプターを使うべきである
と具体的に提案しました。
これまで避難所の劣悪な環境については「やむを得ない」してきたことに改めて警鐘を鳴らすもので、為政者は傾聴すべきものです。以下に紹介します。
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希望者全員の即時2次避難告知せよ
植草一秀の「知られざる真実」 2024年1月12日
石川県で発生したマグニチュード7.6、最大震度7の大地震。
最大震度7と最大加速度2828ガルを記録したのはいずれも石川県志賀町。
ここに北陸電力志賀原子力発電所が立地する。
当然のことながら志賀原発の放射能事故が警戒される。
しかし、北陸電力が発表する情報に虚偽が多い。
これはいまに始まった問題ではなく、過去から継続している問題である。
その北陸電力が関与して原発敷地内に活断層が存在しないとの主張がなされて原子力規制委員会がこれを認めた。
しかし、疑念を抱く専門家が多い。志賀原発の一刻も早い廃炉決定が求められる。
また群発地震の震源地が広がりを見せており、佐渡に近い中越沖を震源地とする地震も多く観測されている。
中越沖で巨大地震が発生する場合の柏崎刈羽原発への影響も警戒される。
政府はそもそも珠洲原発の建設を検討していた。
珠洲原発が稼働していたらどのような事態が発生していたのか。
想像するだけで背筋が凍り付く。
柏崎刈羽原発の廃炉も迅速に決断するべきだ。
1月4日の岸田首相官邸記者会見で質疑が一方的に打ち切られた際、記者の一人が岸田首相に原発に関するコメントを求めたが岸田首相は質問を完全に無視した。
「聞く力」など持ち合わせていない。「聞き流す力」に表現を改める必要がある。
この地震で約3万人の被災者が避難生活を強いられていると伝えられている。
しかも、被災者の数に対して避難所のキャパシティーが圧倒的に小さい。
ライフラインも断ち切られている。
水道、電気、ガス、下水道、通信のライフラインが断ち切られ、燃料の供給も断ち切られて十分な暖を取ることもできない。
1月6日からの「小寒」、これに続く「大寒」の時期が1年で一番寒い。
避難所の設備は貧困そのもので、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」は完全に侵害されている。
しかも、震度5以上の地震が頻発。最大震度6の地震も多数回発生してきた。
したがって、被災者の命を守るためには、遠隔地避難が必要であることは震災発生直後から明白になっている。
本ブログ、メルマガでも1月3日以降、この点を繰り返し提言してきた。
重要点は二つ。
第一はヘリの全面活用。
ヘリの特性は狭隘な平地でも離着陸が可能であること。
能登空港での旅客機等の離着陸は不能だが、ヘリの離着陸は可能。
能登空港をヘリ活用の拠点にすれば、物的資源、人的資源の大規模な空輸が即時に可能であった。
石川県がようやく遠隔地への2次避難を開始したが、スローモーションを見ているようなスピードだ。
馳浩知事が唯一スピード感をもって対応したのは、自分が石川に戻るために自衛隊ヘリを利用したときだけである。
鉄道輸送が完全に断ち切られた1月1日の深夜に自衛隊ヘリを利用して石川県に帰還した。
自分のためにはスピード感をもって対応できるのであるから、県民のためにもスピード感をもって対応するべきだ。
被災地の避難所での生活は基本的人権である生存権を侵害するもの。
これを当然とする行政対応がそもそもの間違いである。
余震が続き、最大震度7の地震が発生する恐れは強く残されている。
ライフライン確保、寝具、トイレ、暖房、食事、衛生管理、そしてプライバシー確保の可能な環境に被災者を保護することを政府の責務にしなければならない。
余震が続くなかでこの要請を満たすには2次避難を実施するほかない。
石川県の対応がようやく始まったが、地震発生から10日の時間が流れている。
すでに10人近い震災関連死が報告されている。
1月11日時点で2次避難施設に移ることのできた被災者は277人にとどまる。
桁が一けた、二けた違う。
2次避難所キャパシティーについて、「1万人分確保へ」の方針が示されたが、実際にはまだ6000人分しか確保されていない。
3万人近い被災者がいるのだから3万人分確保すべきだ。
当然のことながら、被災者の意思に基づいて避難が行われねばならないが、希望する者は一人残らず直ちに2次避難できる対応を示すべきだ。
優先順位はあってもよいが、希望する者全員の2次避難の権利を保障すべきだ。
行政の対応が遅すぎる。
被災者全員に、まずは、希望者全員が迅速に2次避難できることを周知すべきである。
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「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。