2024年1月13日土曜日

能登壊滅 何もかも遅すぎる 飢えと寒さ、災害関連死は岸田人災(日刊ゲンダイ)

 日刊ゲンダイが掲題の記事を出しました。

 昨年後半 支持率の急落を続けた岸田首相は能登半島大地震の直後に非常災害対策本部の本部長に就きました。こういう場合には大抵支持率は回復に向かうということですが、これまでの処見るべきものは何もなく「何もかも遅すぎる」、「不十分」だと相変わらす不評のようです。
 当人も当然人気回復を目指したと思いますが、「習い性とな」っているのか一向に真剣らしさが感じられずに、逆に陽気に新年の諸行事に臨んだ様子などが批判に晒されています。

 ところで大地震に見舞われると、毎回改憲派から「非常事態条項」必要の声が挙げられました。東日本大震災から始まり熊本大地震でもそう叫ばれました。ところが仮に首相にそんな大権が与えられたとしても、何をすればいいのかという構想自体がないので何の役にも立たないことが、繰り返し明らかにされてきました。
 今回の能登半島地震ではあまり聞かれないのは当然の成り行きで、元々「非常事態条項」は彼らが言うような単純なものではなくて、それを枉げて運用すれば9条の空文化は勿論、国の在り方を好きなのように変えられるという危険なものです。そうした間違った主張が影を潜めたのは喜ばしいことです。
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能登壊滅 何もかも遅すぎる 飢えと寒さ、災害関連死は岸田人災
                         日刊ゲンダイ 2024/01/10
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 違法な裏金づくりのためなら、あの手この手の悪知恵を働かせるクセに、大災害に直面した国民にはまるで関心がないとしか思えない。
 その恐るべき政治的な鈍感力をまざまざと見せつけられている国民は怒りを通り越して驚愕しているのではないか。最大震度7を観測した能登半島地震に対する岸田政権の動きだ。

 被害を受けた石川県では10日も、警察や消防、自衛隊などが不明者の捜索を続けたものの、道路寸断や天候悪化などで被害の実態把握が難しい状況。発生から1週間以上が経過しても、連絡が取れない安否不明者が68人にも上っている。
 県によると、10日午前9時までに確認された死者は203人で、珠洲市が災害関連死を含めて91人。ほかに輪島市81人、穴水町20人、七尾市5人、能登町3人など。能登町でも災害関連死が1人確認された。県内の避難者は約2万6000人に上り、輪島、珠洲両市を中心に約3300人が孤立状態となっているほか、断水も5万戸を大幅に超えている。
 防衛省は救助活動のヘリに加え、昨年4月に沖縄・宮古島周辺で墜落事故を起こした陸自ヘリ「UH-60」も現場に投入して物資輸送を行う方針を決定。9日目にして、ようやく本格的な活動が始まったわけだが、国民誰もが感じているのが「なぜ、今頃なのか」という疑問だろう。

能登半島では早急な地震対策が叫ばれていた
 地震発生から一夜明けた今月2日、防衛省は陸上自衛隊中部方面総監を指揮官とし、陸海空3自衛隊部隊の指揮系統を一本化した1万人態勢の統合任務部隊を編成。ところが、9日時点で、実際に現地に投入された隊員数は約6300人だ。
 同じ震度7を記録した2016年の熊本地震や18年の北海道胆振東部地震では、3~4日目で派遣隊員数が2万人を超えており、秋田県の佐竹知事が9日に秋田市内で開かれた連合秋田の新春賀詞交歓会で、政府対応について「少し後手後手だ」などと批判していたのも当然ではないか。
 木原防衛相は会見で、野党などから自衛隊派遣の逐次投入を問題視する声が出ていることに対し、道路の寸断や半島先端部という地形的制約などを理由にしつつ、「その時点で必要となる最も効果的な活動を見極めつつ人員を振り向けることとしている」などと、もっともらしく説明していたが、言い訳と受け取られても仕方ないだろう。
 災害予測は難しいとはいえ、能登半島では近年、地震が続いており、早急な対策が叫ばれていたはずだ。2023年5月5日にも、今回と同じ珠洲市を中心に震度6強の地震が発生。直後に行われた衆参の災害対策特別委員会では「能登半島の群発地震」が取り上げられ、監視、観測の強化の必要性や、地形や地域住民の高齢化に伴う地震発生時の救助・救援作業の困難さが課題となっていた。
 つまり、岸田政権が昨年の段階で、能登半島で頻発していた地震の備えに本気で取り組んでいれば、これほど後手後手の対応にならなかったのではないか。
 衆院事務局に30年余り勤め、災害対策にも関わった元参院議員の平野貞夫氏がこう言う。
「最大の問題は、災害に対して各省庁が縦割りで動いていること。強力な権限を持った省庁がないことがありますが、岸田首相にはそれらをまとめる力がない。歴代自民党政権は国土強靱化などと称して多額の税金を投じてきましたが、結局、票と自分たちのカネになるところに予算をつけただけ。実際の災害には何ら役に立たないのです」

岸田も馳も頭の中は防災対策よりもパー券を売ることばかり
「現地の状況を把握した上で適切な時期を考える」と視察に慎重姿勢だった岸田首相だが、ようやく13日にも、被災地を視察する方向で調整に入った、と報じられた。
 岸田は現地視察の際、財政支援や被災者の避難先確保について政府方針を示し、復旧・復興に万全を期す姿勢を強調するつもりらしいが、今さら感はぬぐえないだろう。
 岸田周辺は、総理大臣が現地入りすれば、現地の救命、救助活動や復旧作業に支障をきたす--などと、それらしいことを言っていたが、詭弁を弄するとはこのこと。地震発生直後から、これまでの岸田の動きを見ていると“本気度”がてんで感じられないからだ。
 4日の年頭会見を「地震関係の公務がある」などと言って切り上げながら、その後、民放テレビに出演し、番組キャスターや政治ジャーナリストらと笑顔で政治談議。8日の「首相動静」を見ても、「午前10時現在、公邸。朝の来客なし」「午前中は来客なく、公邸で過ごす」などと完全に休日モードだった。岸田は、連日のオンライン会議で現地状況を把握し、指示を出しているから問題ないと考えているのだろうが、それならそれで、やるべきことがあるのではないか。何といっても、能登半島地震の非常災害対策本部の本部長なのだ
 後手後手との批判を受け、“やっている感”の演出に懸命なのだろうが、国民はとっくにお見通しだ。

「赤坂自民亭」から続く腐った体質は変わらず
 200人超の死者を出す大惨事となった2018年7月の西日本豪雨の発生時、東京・赤坂の議員宿舎で「赤坂自民亭」という名の酒宴が開かれ、当時の安倍首相が初動体制の遅れを国会で指摘されていたが、この酒宴で、安倍の隣で赤ら顔でニヤけていたのが、党政調会長だった岸田だった
 つまり、災害に苦しむ国民生活なんて知ったこっちゃない。その腐った体質、姿勢は何があっても変わらず、批判の声が高まれば、形ばかりの反省のポーズを見せ、国民が忘れるのをひたすら待つ。この繰り返しなのだ。
 そんな国民愚弄の体質にどっぷりと漬かった元自民党国会議員の馳が、この非常時に石川県知事というのも、県民にとっては不幸と言うより他ないだろう。地震災害による負傷の悪化や、避難生活の負担による疾病で亡くなる「災害関連死」とみられる死者はすでに7人に達しているが、愚鈍、無策の岸田と馳という「やっているフリ」コンビに今後の対応を任せていたら、この先、どれほど被害者が増えるか、2次被害が拡大するのか分からない。
 ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
現地入りした医療関係者によると、自衛隊、県、国などの指揮命令系統がばらばらで混乱していると聞きました。本来は県が主導し、夜でも飛行可能な自衛隊ヘリを活用するべきなのに全く機能していないと。岸田首相も馳知事もそろってリーダーシップも何もなく、いたずらに時間だけが過ぎているよう。最悪な状況です」
 岸田も馳も、頭の中は防災対策よりもパー券を売ることばかり考えていたのだろう。まさに最悪の人災だ。