文科省は22日、事故の経緯や学校対応の調査結果を公表し、米軍普天開基他の辺野古移設工事に関する同校の学習内容について、政治的中立性を定めた教育基本法14条2項に違反するとの見解を示しました。
【教育基本法(政治教育)】
第14条 良識ある公民として必要な政治的教養は、教育上尊重されなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育
その他政治的活動をしてはならない。
共産党の山添拓政策委員長は同日、教育内容に対する政治の介入は抑制的でなければならないとして、文科省が研修旅行の学習内容が教育基本法14条2項に反するなどとして学校側を指導したのは「教育内容に対する行政による介入だと言わざるを得ない」「同基本法14条が禁じているのは、特定の政党を支持、または反対するための政治教育や政治的活動であり、学校で政治教育を行ってはならないという決まりはなく、主権者を育てる上で政治的教育を行うことは大切なことだ」と強調しました。
そして「現時点で14条2項違反だと断定したことは極めて乱暴な認定」で、「もしも辺野古のテント村への訪問や辺野古新基地建設に抗議する船による見学、抗議活動についての説明が行われたことが14条2項違反であるならば、政府が進める政策に否定的な意見を持つ人に話を聞くことや、実態を示す場に赴くこと自体が許されないということになりかねない」、逆に「文科省が同校の教育内容を根拠もなく違法と判断したことは、教育基本法16条1項が禁止する『不当な支配』に当たる」と批判しました。
松本文科相は会見で、全国の学校を対象に安全確保や教育活動の状況の調査をするとも述べました。今回の事故を契機に安全確保に努めることは大切ですが、それを口実に適切に行われている教育活動を押さえつけることは許されません。
しんぶん赤旗の6つの記事を紹介します。
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文科省、辺野古転覆事故の調査結果公表 文科相、校外活動を「全国調査」
しんぶん赤旗 2026年5月23日
沖縄県名護市辺野古沖で小型船2隻が転覆し、研修旅行中だった同志社国際高校(京都)の女子生徒ら2人が死亡した事故で、文部科学省は22日、事故の経緯や学校対応の調査結果を公表しました。米軍普天開基他の辺野古移設工事に関する同校の学習内容について、政治的中立性を定めた教育基本法に違反するとの見解を示しました。根拠については事前学習で同校が沖縄県の見解を学習していたことなどをあげ「総合的に勘案」したとしました。
同省は同校の安全管理について、事前の下見を怠り、当日も引率教員が同行しないなど「著しく不適切」だったと指摘。運営する学校法人同志社や、所管する京都府に対し、改善を求める通知を出しました。
松本洋平文科相は22日の記者会見で、全国の学校を対象に、近く校外活動の安全確保や教育活動の状況について調査を行う考えを示しました。
沖縄知事 平和学習継続を訴え
沖縄県の玉城デー〒知事は22日、同県名護市辺野古を研修旅行で訪れた同志社国際高(京都)の学習内容を巡り、文部科学省が政治的中立性を定めた教育基本法に違反するとの見解を示したことについて、「特に言及することはない」と述べました。その上で「沖縄の過重な基地負担の現状を考えることは、これからも行われるべきだ」と平和学習の継続を訴えました。
沖縄の夏服「かりゆしウエア」贈呈のために訪れた首相官邸で、記者団の質問に答えました。
文科省、辺野古学習を「教基法違反」教育内容への政治介入 山添氏厳しく批判
しんぶん赤旗 2026年5月23日
日本共産党の山添拓政策委員長は22日、国会内で記者会見し、沖縄県名護市辺野古沖で研修旅行中の高校生らが死亡した船舶転覆事故を巡り、文部科学省が研修旅行の学習内容が教育基本法14条2項に反するなどとして学校側を指導したのは「教育内容に対する行政による介入だと言わざるを得ない」と指摘しました。
山添氏は、「研修旅行の安全管理上の問題は当然問われなければならない」と強調。一方で、「教育内容に対する政治の介入は抑制的でなければならない」と述べました。
教育基本法14条が禁じているのは、特定の政党を支持、または反対するための政治教育や政治的活動であり、極めて限定されていると指摘。「学校で政治教育を行ってはならないという決まりはなく、主権者を育てる上で政治的教育を行うことは大切なことだ」と強調しました。
文科省の発表によれば、辺野古のテント村への訪問や辺野古新基地建設に抗議する船による見学、抗議活動についての説明が行われたことが14条2項違反の根拠とされていると指摘。「そうなれば、政府が進める政策に否定的な意見を持つ人に話を聞くことや、実態を示す場に赴くこと自体が許されないということになりかねない」と批判しました。
さらに、現時点で把握できる範囲の情報で14条2項違反だと断定したことは「極めて乱暴な認定だ」と批判。また、指導を受けた同志社国際高校の所管は京都府で、「所管を飛び越えて高校の教育内容について文部科学行政が物を言い、史上初めて14条2項違反だと断定するのは、重大な問題だ」と重ねて指摘しました。
文科省対応こそ不当 辺野古学習 教基法違反ではない
しんぶん赤旗 2026年5月23日
沖縄・辺野古沖で同志社国際高校(京都府京田辺市)の生徒が犠牲となった船の転覆事故に関する文部科学省の調査結果について、名古屋大学名誉教授の中嶋哲彦さんに聞きました。
名古屋大学名誉教授中嶋哲彦さん
同志社国際高校の沖縄・辺野古への研修旅行で女子生徒が亡くなった事故は、とても残念なことです。安全管理には不十分な点があったのかもしれませんから、学校法人などの設置者や学校自身が主体的に安全管理体制を検証し改善してほしいと思います。
他方、文部科学省はこの事故を口実に、同校の教育内容を「総合的に勘案」して「政治活動を禁止した教育基本法14条2項に違反する」と断定しました。しかし、同校の教育活動のどの部分が14条2項に違反するのか、具体的な根拠を示していません。私は同法に違反する教育活動はなかったと思います。たとえば、同校が沖縄県の資料を使って学習したことについて、文科省はー方の見解しか学習していないといいます。しかし、県は国の主張に反論する形で見解をまとめていますから、県の資料を読めば国の見解も理解できます。一方の見解しか学習していないという、文科省の判断は適切ではありません。
同校の教育活動は新基地建設に反対するよう仕向けるものではなく、生徒がナマの現実に触れ自分自身の考えを形成できるようにすることを目的とするものでした。社会的・政治的対立を含む事柄について学び考える機会をもつことは、教育基本法14条1項が求める政治的教養を育てる教育にほかなりません。
文科省が同校の教育内容を根拠もなく違法と判断したことは、教育基本法16条1項が禁止する「不当な支配」に該当します。文科省が具体的根拠を示すことなく同校の教育活動を14条2項違反と判断したことは、「良識たる公民たるに必要な政治的教養」を育てる政治教育を進めることを定めた14条1項に反する行為です。これでは他の学校が政治的に意見が分かれる事柄について学習機会を設けることをためらうことになります。
松本洋平文科相は会見で、全国の学校を対象に安全確保や教育活動の状況の調査をするとも述べました。今回の事故を契機に安全確保に努めることは大切ですが、それを口実に適切に行われている教育活動を押さえつけることは許されません。
辺野古事故文科省「教基法違反」沖縄2紙が社説で批判 「『政治的中立性』は飛躍」
しんぶん赤旗 2026年5月24日
沖縄県名護巾辺野古沖で研修旅行中の高校生らが死亡した船舶転覆事故を巡り、文部科学省が研修旅行の学習内容が教育基本法に違反するとして学校側を指導したことについて、地元の沖縄2紙が社説で、平和教育を萎縮させると批判しています。
「琉球新報」は、「研修旅行の安全問題を調査する中で政治的中立性を持ち出すのは飛躍しているのではないか。生徒の安全管理と学習内容の問題は分けて考えるべきだ」と指摘。「沖縄の現状を学ぶために辺野古を訪れ、運動の当事者から話を間くことが直ちに政治的中立性を欠くとは言い切れない」として、「今回の文科省判断が学校現場の実践を阻害することがあってはならない」と強調しています。
「沖縄タイムス」は「学校側は、年間を通じて実施する平和学習で、基地問題以外にもさまざまな内容を扱い、政治的中立性は確保していると主張している」として、「沖
縄戦など総合的に取り組む同校の平和学習を、辺野古の視察をもって教育基本法に反すると決めつけるのは乱暴ではないか」と批判。「学校側に不適切な対応があったのは否定できないが、教育基本法が定める政治的中立性を逸脱するものがあったという政府の判断には疑問が残る」と指摘しています。
全国紙でも、「朝日」が「時々刻々」で、文科省が「異例の判断」を下したのに先立ち、自民党の文科部会などが連名で官邸に教育内容の確認を求める提言を出していたことなどを挙げ、「結論の背景には、こうした力もあったのか」と分析。「毎日」も「クローズアップ」で「教育現場 萎縮の懸念」との見出しを立て、平和教育などに取り組む教員らの声を伝えています。
潮流
しんぶん赤旗 2026年5月24日
その歴史的な意義を新聞はこう強調しました。「考えてみるがよい。従来の教育勅語にかわって、人民みずからが教育の指導理念を定めるということが、どんなに大きな革命であるかを」
焼け野原から新しい国づくりに踏みだした1947年、教育基本法が定められました。天皇やお国のために命を捨てることを最高の徳目とし、あまたの人びとを犠牲にした戦争推進の土台をつくった教育勅語。そこからの大転換は戦後の民主化に息吹を吹き込みました。
めざす教育の目的は「人格の形成」。前文には日本国憲法とともに民主的で文化的な国家をつくり、「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期する」と掲げられました。
その後、自民党政権による改悪はあったものの、教育関係者をはじめ幅広いたたかいによって理念は今も息づいています。その教育基本法に違反すると文科省が認定しました。
研修旅行中だった京都・同志社国際高の生徒が辺野古沖の転覆で死亡した事故をめぐり、同校の学習内容は政治的中立性を定めた基本法に反すると。とても痛ましく、あってはならない痛恨の事故。安全管理の責任が厳しく問われるのは当然です。だからといってそれを口実に国が教育内容に不当に介入するとは。
学校現場を萎縮させると懸念する声はさっそく。憲法の教育の自由、教育基本法の肝は教育への政治介入を許さないことに。そこにあるのは、国家のための人づくり、国民を戦争にかりたてた戦前の反省と教訓です。
「重大な責任痛感」 同志社国際高の運営法人
しんぶん赤旗 2026年5月23日
沖縄県名護市辺野古沖で、研修旅行中の同志社国際高校(京都府)の女子生徒ら2人が死亡した転覆事故を巡り、文部科学省が調査結果を公表したことを受け、運営する学校法人同志社は22日、「極めて重大な責任を痛感している」とのコメントを発表しました。
コメントでは、遺族や生徒ら関係者に謝罪した上で、「事故は生徒の安全を最優先とすべき教育活動において、安全確保が十分に果たされなかった結果発生した」と総括。遺族らへの継続的かつ丁寧な支援に取理を統括する部署の設置、マニュアルの見直しなどの再発防止策を実施すると明示しました。
文科省からの指導については、速やかに改善措置を実施し、継続的な検証と見直しを行うと説明。外部の専門家で構成する特別調査委員会による調査結果などを踏まえ、必要な対応を速やかに実施し、信頼回復に全力で取り組むとしました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。