2013年10月8日火曜日

秘密保護法案 Q&A 2

 
 しんぶん赤旗連載の「秘密保護法案 Q&A 2」は、「国民の知る権利」についてです。
 そして隠したいことは国民には知らせずに、逆に国民のことは密かに監視するという政府の行為についてです。
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秘密保護法案 Q&A 2 ワイン購入まで闇の中
しんぶん赤旗 2013年10月7日
Q: 憲法では国民の「知る権利」が保障されていると思いますが、それとの関係はどうなるのでしょうか。
A: 「知る権利」とは、国に対して情報の提供を求める権利や、国家の妨害を受けずに自由に情報を受け取る権利をいいます。国民主権の原理や基本的人権である「表現の自由」から説明されます。

回答も「黒塗り」
 「秘密保護法案」で政府は「知る権利」を明記するといっていますが、本当に「知る権利」を尊重し、擁護するものではありません。「秘密保護法案」の概要や原案を読む限り、軍事・外交・テロ活動などの情報統制強化や、国民監視につながる基本的人権の抑圧、国家安全保障会議などでの活用を目的にしているからです。
 実は、政府の情報は今でも「秘密」だらけです。米軍が日本に核兵器を持ち込む日米核密約、アメリカに日本を売り渡す環太平洋連携協定(TPP)交渉、首相や官房長官らが領収書なしで使える内閣官房機密費、在外公館のワイン購入に関する情報に至るまで政府は秘密にし、国民の「知る権利」を侵害しつづけています。
 政府の「秘密保全法制」の検討経過について「しんぶん赤旗」が情報公開請求したところ、「黒塗り」の文書が返送されてきました(写真)。秘密保護法案そのものが闇に隠されています。

国民監視の活動
 それどころか、自衛隊の秘密漏えい防止を目的とする自衛隊情報保全隊が、国民個人の名前・住所・学歴・所属団体・所属政党などを収集し、文書にまとめる活動をしています。自衛隊のイラク派兵の際には、著名な映画監督や集会、デモ、学習会、日本共産党員作家の小林多喜二の展示会まで監視されました。
 国民の「知る権利」というなら、自衛隊情報保全隊による監視活動を直ちにやめ、情報公開法の改正、公文書管理法の改正に着手すべきです。「秘密保護法案」は提出すべきではありません。



写真

2013年10月7日月曜日

通信 平和の輪 第93号を掲示します

 
 
 今月号は 「国民・メディアの目耳口ふさぐ秘密保護法案 政府・与党 臨時国会へ提出狙う」を特集しました。
 併せて「立憲主義と憲法9条をまもる新潟県民の集い」のお知らせを載せました。 
 記事は2面にわたっています。


 下のタイトルをクリックすると、まず画面の下側に選択肢:「ファイルを開く」・「保存」が表示されるので、「ファイルを開く」を選択すると表示されます。

通信  平和の輪  第93号

「通信 平和の輪 第73号」以前及び「戦争体験30-3」以前の記事は、バックナンバー集に収録してありますので、そちらをご覧ください。
 
 

秘密保護法案 Q&A 1

 しんぶん赤旗が「秘密保護法案 Q&A」の連載を始めました。
 第1回は、藤原紀香さんのブログに触れています。
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秘密保護法案 Q&A 1 「秘密」範囲 歯止めなし
しんぶん赤旗 2013年10月6日
 安倍内閣は秋の臨時国会へ「秘密保護法案」を提出しようとしています。安倍首相が「日米同盟強化のため」と強調するこの法案で、何を目指すのか、国民にどのような影響があるのかをQ&Aで考えていきます。
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Q: 「秘密保護法」の対象になる「秘密」ってなんですか?
A: 政府の原案では、国の安全保障に関わる(1)軍事(2)外交(3)外国の利益を図る目的で行われる特定有害活動の防止(4)テロ活動の防止―の4分野が対象です(図)。各分野で秘密にする「事項」をリスト(別表)にして“絞り込む”方式ですが、秘密にするかどうかは行政機関の長(閣僚など)次第。何が秘密かも「秘密」―という事態になりかねません。

紀香さんの懸念
 女優の藤原紀香さんは9月、自身のブログにこうつづりました。
 「もし国に都合よく隠したい問題があって、それ(法律)が適用されれば、私たちは知るすべもなく、しかも真実をネットなどに書いた人は罰せられてしまう…なんて恐ろしいことになる可能性も考えられるというので、とても不安です」
 法案の本質をついた指摘です。秘密を漏らした国家公務員に加え、秘密を知ろうとするメディアや一般国民にもこれまでにない重罰を科そうというのが法案の狙いです。
 「国家機密にあたる範囲が曖昧なのが問題なのだと思います」

 藤原さんは別の問題点も指摘しています。
 法案は、例えば(1)軍事のリストでは10項目を列挙。中身をみると「自衛隊の運用、これに関する見積もり、計画、研究」などとあります。これでは、自衛隊の活動についての非常に広範な情報が秘密の対象になります。

運用で膨大な量
 この軍事リストは現在の自衛隊法が定める「防衛秘密」と同じもの。「防衛秘密」の場合、法律で決められている10項目が運用にあたって233項目に細分され、それにしたがって指定された3万752件という膨大な量の秘密が保有されています(2011年時点)。
 リストが秘密を“絞り込む”どころか、政府の裁量でいくらでも増やせるというこの仕組みで、(4)テロ活動防止の分野では原発関連の情報なども「秘密」になりえます。国家の恣(し)意(い)的運用を防ぐ歯止めはありません。
図

 

慰安婦「軍強制」の記録を開示 +

 太平洋戦争中、旧日本軍がインドネシアの捕虜収容所からオランダ人女性約35人を強制連行し、慰安婦としたとする公的な資料が、国立公文書館で市民団体に開示されました。
 資料は軍の関与を認めた河野官房長官談話(1993年)の基となるもので、その存在と内容の骨子は知られていましたが、詳細が明らかになるのは初めてということです。

 太平洋戦争当時、オランダは300年来インドネシアを植民地として支配していました。そこに日本軍が侵駐しオランダ人を捕虜収容所に収容するとともに、そこから女性たちを慰安婦として強制連行したもので、スマラン事件と呼ばれています。
 他にもブロラ事件、マゲラン事件など8件のオランダ女性に対する日本軍・官憲による略取があったことが、オランダによるバタビア臨時軍法会議のなかで明らかにされていました。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
 
 + 「BC級バタビア裁判・第106号事件」に関する韓国中央日報の記事を追記
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慰安婦記録「軍強制」の詳細開示 公文書館、河野談話の原資料
東京新聞 2013年10月6日 
 戦時中、旧日本軍がインドネシアの捕虜収容所からオランダ人女性約35人を強制連行し、慰安婦としたとの記載がある公的な資料が6日までに、国立公文書館(東京)で市民団体に開示された。資料は軍の関与を認めた河野官房長官談話(1993年)の基となるもので、存在と内容の骨子は知られていたが、詳細な記述が明らかになるのは初めて。

 法務省によると、資料名は「BC級(オランダ裁判関係)バタビア裁判・第106号事件」。49年までに、オランダによるバタビア臨時軍法会議(BC級戦犯法廷)で、旧日本軍の元中将らを強姦罪などで有罪とした法廷の起訴状、判決文など裁判記録などが含まれる。(共同)

+
慰安婦強制動員の証拠示す日本軍戦犯の判決文公開
中央日報日本語版 2013年10月8日
  太平洋戦争当時、日本軍がインドネシアの捕虜収容所でオランダ人女性35人を強制連行し慰安婦にしたという内容の資料が公開されたと日本のメディアが7日に報道した。軍の慰安婦動員の強制性を否定する日本の安倍内閣の主張と全面的に矛盾するものだ。 

  530ページ余りにわたる資料の題名は「BC級バタビア裁判・第106号事件」だ。東京の国立公文書館が市民団体の強制動員真相究明ネットワークの情報公開請求により先月公開した。 
  バタビア裁判は太平洋戦争末期の日本軍によるオランダ人女性強制売春動員を審判するため49年までインドネシアのバタビアで開かれた戦犯裁判だ。日本軍将校5人と民間人4人に対する起訴状と判決文、裁判の後に行われた追加調査結果が今回の公開資料に含まれた。 
  これは日本政府が慰安婦動員の強制性を認めた1993年の河野談話作成でも関連資料として活用された。このため大まかな内容の骨子は知られていたが、詳細な記述が公開されたのは今回が初めてだ。 
  裁判で12年の有期刑を受けた旧日本軍中将の判決文などには「1944年インドネシア・ジャワ島スマラン州に収容されていたオランダ人女性たちが日本人将校の命令によって4カ所の慰安所に連行され、強制的に売春させた」という趣旨の内容が含まれている。 

  具体的記述では「××少佐が慰安所の指揮・設立・施設・管理などを担当した」「婦女は××将校の要請により州の役人が連れ出した」「女たちは遊女屋に入るまでどういう仕事をするのか聞かされていなかった」という証言が判決文に含まれている。また、1966年に行われた別途の追加調査で該当中将は「(慰安婦になるという)承諾書を取る際も若干の人々に多少の強制があった」という内容を述べた。

慰安婦動員の強制性を裏付ける内容で、日本政府はこうした資料を根拠に1993年に河野談話を発表した。 
  だが、第1次安倍内閣は2007年3月、「政府が発見した資料には軍と官憲による強制連行を直接示す記述は見つからなかった」という政府答弁書をまとめ、現在まで同じ態度を維持している。 
  「バタビア裁判」の文書が注目されたのは6月だ。日本共産党の赤嶺政賢衆議院議員が、「強制動員の事実を具体的に示すバタビア軍法資料があったのになぜ2007年にこのような資料の存在を否定したのか、誤った2007年の答弁書を直さなくてはならないのではないか」と安倍内閣に質疑したためだ。安倍内閣は「バタビア裁判資料」が河野談話発表当時の政府調査時にすでに存在しており、2007年の政府答弁書の中で「政府が発見した資料」にも含まれていると認めた。「バタビア記録」の存在を知りながら、「政府が発見した資料には強制連行の記述はない」と発表したということだ。 
 
 

2013年10月6日日曜日

テレビ、全国紙は 消費税率アップ祝賀報道

  首相が来年4月から消費税率を8%に引き上げると表明した1日夜のTVの報道番組は、それぞれに首相の「決断」を評価し、平行して行われる5兆円の経済対策に期待を寄せるものでした。そして翌2日の全国紙も消費税率アップ祝賀報道の一色で、TVとは違い首相のインタビューこそはないものの多くの紙面を財務省の健闘への翼賛などに費やしていました。
 官僚の意向に沿って2年も前から消費税の引き上げの必要性を周到に宣伝してきたマスメディアとしては、念願が成就したということで当然の反応なのでしょう。
 それにしても低所得者の苦衷や中小企業へのしわ寄せへの視線が殆どないというのは、どういうことなのでしょうか。

 5日のしんぶん赤旗は、「テレビ、全国紙 おかしいゾ 消費税報道 『歴史的会見』と持ち上げ 首相の主張垂れ流し」 と題する記事を載せました。
 マスメディアが、増税決定の安倍演説をTVで垂れ流し、生出演させ、あるいは社説で支援し、翼賛の記事で埋めるという異常ぶりであることに対して、「権力の監視というジャーナリズムの使命はどこにいったのか」 と批判しています。
 
 そして参院戦後も頻繁に、マスメディア幹部と安倍首相の密接な会合・会食が続いていることを報じています。
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テレビ、全国紙 おかしいゾ 消費税報道 
「歴史的会見」と持ち上げ 首相の主張垂れ流し
しんぶん赤旗 2013年10月5日
 「世界も注目」「“歴史的”会見」―テレビ各局は、安倍晋三首相が来年4月から消費税を8%に引き上げると表明した1日の記者会見を大々的に報じ、その後の生出演を含めて、まさに“安倍演説”を垂れ流しました。消費税増税法を強力に後押ししてきた全国紙も翌日の社説で、首相への“支援”を表明。巨大メディアがあげて増税を支援する異常ぶりです。権力の監視というジャーナリズムの使命はどこにいったのか―。
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 消費税を8%に上げると宣言した1日、安倍首相のテレビ対応は二段構えでした。
 まず夕方6時に増税表明の記者会見を設定。NHKと民放全局がいっせいに生中継し、「“歴史的”会見」(日本テレビ)と銘打って、増税をアピールする首相の姿がテレビを占拠しました。
 これに先立つ時間帯には、各局ともニュース・情報番組が並んでいます。これらの番組で、記者会見への前宣伝が仕掛けられていったのも見逃せません。
 
 「消費税増税について世界も注目」(日本テレビ)、「総理は重要な政策は、自ら説明する形をとってきた」(TBS)と持ち上げ、フジテレビは「ついに決断!」と特集を組みました。
 安倍政権の二つ目の策は、夜のニュースへの満遍ない対応です。NHKの「ニュースウオッチ9」に続いて、10時からはBS日テレ「深層NEWS」に生出演。11時台のTBS「NEWS23」とテレビ東京「WBS」には収録した単独インタビューで応じ、日本テレビ「ニュースゼロ」はBS日テレ分を借用して放送しました。
 
 いずれも番組の基調は、申し合わせたように「首相の決断と、5兆円の経済対策」。そこには消費税増税への批判的検証はありません。首相は、復興特別法人税減税で企業に活力が戻れば賃金が上がる、法人対個人という考え方はナンセンス(ばかげている)、と繰り返しました。
 
 来年4月から消費税増税をすることについては依然、国民の多くが反対・慎重の態度です。各局の番組が伝えた街の声は、増税の負担がのしかかることへの「不安」「やっていかれない」という切実なものがほとんど。とくに被災地からは「生活必需品もいる。消費税増税は絶対に反対」(宮城県石巻市)と強い叫びが届きました。この声に立った報道がなぜできないのか。
 国民の気持ちに耳を傾けず、政権にコントロールされ、増税を後押しする大手メディアの異様さが際立っています。
 
ゴルフ・会食 密接会合いまも
 異常な消費税増税垂れ流し報道の裏で、巨大メディア幹部と安倍首相の密接な会合が続いています。(表参照)
 参院選が終わるやいなや、7月22日には、「朝日」の木村伊量(ただかず)社長や日本テレビの大久保好男社長らが首相と会食。首相の夏休み中には、日枝久フジテレビ会長や杉田亮毅前日経新聞会長らが首相とゴルフを楽しみ、その後に会食しています。
 消費税増税法の旗振り役だった「読売」も渡辺恒雄会長が、国際オリンピック委員会(IOC)総会から帰国した首相と会食しています。会食はいずれも2時間から3時間をかけており、高額な料金で知られている高級店ばかりです。
 
 こうした会合を続けているトップに、消費税増税に悲鳴をあげる庶民の痛みや不安、怒りがわかるのか―。首相の消費税増税表明の翌2日、全国紙は国民への負担増を解説する記事を載せたものもありましたが、社説ではこぞって支持。「日経」「産経」は1面で礼賛論評も載せました。「読売」や「朝日」も、「受け止める」「やむを得ない」などとしました。
 全国紙には、参院選の結果を踏まえた国会での審議も抜きに首相が消費税増税を「決断」したことへの批判も皆無で、権力監視の役割は消し去られたかにみえます。
 

表

 

日米防衛協力指針(ガイドライン)改定への懸念

  新潟日報は5日、「防衛指針改定 戦争への歯止めはどこに」と題する社説を掲げました。その中で1978年に策定された最初の指針では、当時の橋本龍太郎首相が、防衛協力はあくまでも「憲法の枠内」で行うことをクリントン大統領との首脳会談で明言した結果、自衛隊が行いうる行為は補給、輸送などの後方支援に限定されたことをまず述べて、それに対していまの安倍首相は9条を含む憲法改正への意欲を隠さず、集団的自衛権容認にも踏み出そうとしているので、そういう中での再改定となれば、前回の改定で残された歯止めさえ外れかねない懸念があると述べています。
 
 今回17年ぶりの改定がおこなわれるに当たっては、5日だけでも下記の各紙がそれぞれ歯止めが甘くなることを懸念する社説を掲げました。

  防衛指針再改定 国是変更の国民合意はない    琉球新報 
  防衛指針改定 対話の努力も忘れずに          南日本新聞
  日米防衛指針改定 国民への説明を怠るな       徳島新聞 
  日米防衛協議 平和と安定にどうつなぐ            神戸新聞 
  日米防衛指針 法治の立脚点を崩すな             京都新聞 
  防衛指針改定 日米にずれはないか                朝日新聞 

 またNHKによれば、同じ「2+2」会議で小野寺防衛大臣が北朝鮮の弾道ミサイルに関連して、「発射基地への打撃力の在り方についての検討が必要だ」と述べたのに対して、ヘーゲル国防長官は「日本側の取り組みを理解する」と述べたということです。
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 ところでジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官は3日、東京 千鳥ヶ淵戦没者墓苑に献花し、「日本の防衛相がアーリントン国立墓地で献花するのと同じように」戦没者に哀悼の意を示したと述べました。
 何気なく見過ごされがちなニュースですが、これには、安倍晋三首相が靖国神社を米国のアーリントン国立墓地になぞらえたことに対するけん制という意味(アーリントン国立墓地に当たるのは靖国神社ではなく千鳥ヶ淵戦没者墓苑ということを示した)があると言われています。(^○^)
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社説 防衛指針改定 戦争への歯止めはどこに
新潟日報 2013年10月5日
 日米両国政府が、外交・防衛担当閣僚による安全保障会議(2プラス2)を開き、日米防衛協力指針(ガイドライン)を2014年末までに改定することで合意した。
 米国などとの集団的自衛権行使へ向け、憲法解釈の変更が議論される中での改定作業だ。
 日本防衛の枠を超え、米国主導の戦闘行為に巻き込まれる可能性が高まりかねない。武力行使を厳しく制限している憲法の精神をないがしろにする改定であってはならない。
 ガイドラインの改定は1997年以来、17年ぶりとなる。
 1978年に策定された最初の指針は、日本が外国から攻撃された場合、いわゆる「日本有事」への対処を前提にしていた。
 前回改定では、冷戦終結後の国際秩序維持に対する日本側の協力強化を求める米の要請に添う形で、対象を日本「周辺」有事(周辺事態)にまで、拡大した。
 それでも、日本の自衛隊が行いうる行為は補給、輸送などの後方支援に限定され、戦闘地域への自衛隊派遣も制限されてきた。
 当時の橋本龍太郎首相はクリントン大統領との首脳会談で、防衛協力はあくまでも「憲法の枠内」で行うことを強調していたのだ。
 だが、今回の改定作業を取り巻く状況は、当時と大きく異なる。
 安倍晋三首相は9条を含む憲法改正への意欲を隠していない。正規の手続きにのっとった憲法改正を待たず、米国などと共同での戦闘行為を可能にする集団的自衛権容認にも踏み出そうとしている。
 そうした動きの中での再改定となれば、前回の改定で残された歯止めさえ外れかねない懸念がある。
 逆に、有識者懇談会で検討されている集団的自衛権をめぐる論議に、再改定へ向けた日米協議が影響を与えることも予想される。
 ガイドライン再改定と集団的自衛権容認が車の両輪となって実質改憲へと進む図式が浮かび上がる。
 改定作業着手に合意した閣僚会合では、尖閣諸島周辺での中国の動きを念頭に「力による現状変更に反対し、法の支配が重要だ」との認識で一致したという。
 北朝鮮の動きも含め、日本周辺に不安定な状況があり、緊張が高まっていることは確かだ。不測の事態に備え日米両国が協力して対応方法を検討しておくことは必要だろう。
 だが、その場合でも日本の行動は憲法の枠内にとどめるという原則が守られなければ、平和国家としての基盤が失われかねない。
 軍事同盟強化だけが地域安定の手段ではないはずだ。
 前回のガイドライン改定に関連し、米軍が有事の際、新潟港を含む地方港湾や空港などの施設利用の可能性を示したことで議論が起きた。橋本大二郎高知県知事が高知港の「非核港湾条令」を提案したことなども話題となった。
 地方、とりわけ環日本海圏の拠点として地域の平和と繁栄を願う本県にとって、再改定の動きは無関係でないことを肝に銘じたい。


日米「敵基地攻撃能力」議論へ
NHK NEWS WEB 2013年10月5日
政府は、自衛隊が敵の基地を攻撃できる能力「敵基地攻撃能力」の保有の検討を巡って、先の日米の外務・防衛の閣僚協議で、アメリカ側の理解が得られたとして、日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直し協議で、両国の役割分担などを議論していくことにしています。

3日に東京で開かれた日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2+2」で、小野寺防衛大臣は、北朝鮮の弾道ミサイルに関連して「発射基地への打撃力の在り方についての検討が必要だ」と指摘しました。
そのうえで小野寺大臣は、先制攻撃は念頭にないとしながらも「技術、装備、情報面で、日米両国の役割分担も含めて議論したい」と述べ、北朝鮮の弾道ミサイルによる脅威に対抗するため、自衛隊が敵の基地を攻撃できる能力「敵基地攻撃能力」の保有を検討したいという意向を伝えました。
これに対しアメリカのヘーゲル国防長官は「日本側の取り組みを理解する」と述べました。
これを受けて、政府は来年末までに行う日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直し協議で「敵基地攻撃能力」を巡って、日米が共同で作戦を行う場合の両国の役割分担などについて議論していくことにしています。
 
 

2013年10月5日土曜日

ジェーン・ケルシー教授の指摘と日本のTPP交渉団

 オバマ大統領は政府機関の一部閉鎖への対応のため、急遽インドネシア・バリ島で開かれるAPEC首脳会合を欠席し、8日のTPP交渉首脳会合も欠席することになりました。これにより、TPP首脳会合を主宰し交渉の大筋合意を目指していたオバマ氏の構想は、大幅に後退することになりました。
 そのことにはひと先ずは安堵したいと思います。

 ところでローリー女史のメッセージと平行して日本国会議員たちに送られてきた、ニュージーランドのジェーン・ケルシー教授からのビデオメッセージの翻訳文※が、4日の「マスコミに載らない海外記事」ブログに掲載されました。
 この機会に同教授の指摘を踏まえながら、日本政府と交渉担当者の不可解な挙動について見てみたいと思います。

 メッセージを発する段階では教授は、APECのTPP閣僚・首脳会合の議長を務めるのはオバマ大統領なので、彼の巨大な政治的圧力によって今年末までに強引にTPP協定を締結することが合意される可能性が極めて高いと見ていました。しかし予期しないオバマ氏の欠席で、その可能性は非常に小さくなりました。

 TPP交渉は、「関税の撤廃・削減」「衣料品と繊維の取扱」「環境」「公的医療保険制度」「特許ルール」「製薬会社の権限」の分野で行き詰まっていることに加えて、まだ交渉が始まったばかりの「国有企業の運営と情報開示」の分野は、日本の、「日本郵政の保険」、「銀行及び郵便業務」「日本放送協会」「地方行政機関」「地方政府所有の公益事業会社」「国立大学」、「年金投資基金」「日本政府が創設した政府系投資ファンド」さらには「JRグループ」「農林中央金庫」、「JA全中(全国農業協同組合中央会)」に適用される可能性があると教授は述べています。

 それにもかかわらず、前回ブルネイ会議の最後の2日間にだけ出席した日本は、なぜか現地でいち早く10月中にTPP交渉を妥結させる必要があると叫び出しました。一体、紛糾のさなかにある膨大な課題を、闇雲に、近い将来において決着させなければならないとする主張に、どんな合理性があるというのでしょうか。反対を唱えている国に反対するのは止めろというに等しい行為です。
 いくらアメリカから強要されたとはいえ、まさにアメリカの驥尾に付しアメリカの言い分には何でも無条件で従うといぶざまさには、あきれるほかはありません。

 前述の、全参加国が関係する6分野も勿論ですが、日本だけが関係する10項に余る事柄についても、重大でないものはひとつもありません。それにもかかわらず交渉の早期妥結を主張するということは、取りも直さず日米2国間交渉のときと同様に、アメリカに対して「べた降り=100%承服」をしようとすることにほかなりません。
 日本の政府と交渉担当者たちの辞書には、そもそも『国益』という言葉がないのでしょう。一体どういうメンバーなのか? ここまでくればもはや「何をかいわんや」です。 
 
 教授はまた一部の国は代償が大き過ぎるとして、TPPから撤退していく可能性があるとも語っています。
 マレーシア政府は、形ばかりの期限など設けるべきではないと主張し、いくつかの項目において「交渉の余地はない」との立場を示しました。チリもTPPで失うものの方が多く、特に知的財産に関するアメリカの要求は発展途上国にとって「到底受け入れがたい」コストを強いるものであると主張したということです。ベトナムも衣料品と繊維の取扱については譲りません
 それなのに彼らとは比較にならないほどのダメージを受けることが明らかな日本は、なぜ一言の反論もできないのでしょうか。不可解きわまる話です。

 ニュージーランドは、オーストラリアと同様に原住民をほぼ完全に排斥して占領した白人(アメリカと同じアングロサクソン民族)の国であり、両国とも実はTPPの妥結を望んでいます。
 しかし教授は、各国が自国の立場を主張することで、「WTOドーハ・ラウンド交渉」がそうであったように、結果的に「TPP交渉が鈍化」していくのが理想的であると述べています。さすがは学者らしい態度です。

 以下に東京新聞の記事を紹介します。

   追記 同教授のメッセージの全文は下記URLでご覧になれます。
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米大統領 TPP首脳会合欠席 APECも 政府閉鎖対応で
東京新聞 2013年10月4日
 【ワシントン=竹内洋一】 米ホワイトハウスは三日、オバマ大統領が政府機関の一部閉鎖への対応を優先し、七~八日にインドネシア・バリ島で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合を欠席すると発表した。並行して予定されている八日の環太平洋連携協定(TPP)交渉首脳会合も欠席する。オバマ氏はTPP首脳会合を主宰し、交渉の大筋合意を目指していたが、政府閉鎖の影響が外交・通商にも及ぶことになった。

 ホワイトハウスは声明で、外遊の取りやめは「下院共和党が政府を閉鎖した結果だ」と指摘。「避けられたはずの政府閉鎖のせいで、米国は世界で最も成長する(アジア太平洋)地域への輸出促進を通じた雇用創出、指導力や国益の増進を後退させている」と共和党を非難した。
 同時に、オバマ氏が九~十日にブルネイで行われる東アジアサミットも欠席することを表明。一連の首脳会合には、ケリー国務長官が代理出席することも明らかにした。
 オバマ氏はこれに先立ち、インドネシアのユドヨノ大統領、ブルネイのボルキア国王と相次いで電話会談し、一連の会合欠席に遺憾の意を伝えた。
 オバマ氏は東アジアサミット後に予定していたマレーシア、フィリピン歴訪も政府閉鎖の影響で中止するとすでに表明している。東南アジア歴訪全体が撤回に追い込まれ、政権が掲げるアジア太平洋重視戦略に打撃となった。