今回17年ぶりの改定がおこなわれるに当たっては、5日だけでも下記の各紙がそれぞれ歯止めが甘くなることを懸念する社説を掲げました。
防衛指針再改定 国是変更の国民合意はない 琉球新報
防衛指針改定 対話の努力も忘れずに 南日本新聞
日米防衛指針改定 国民への説明を怠るな 徳島新聞
日米防衛協議 平和と安定にどうつなぐ 神戸新聞
日米防衛指針 法治の立脚点を崩すな 京都新聞
防衛指針改定 日米にずれはないか 朝日新聞
またNHKによれば、同じ「2+2」会議で小野寺防衛大臣が北朝鮮の弾道ミサイルに関連して、「発射基地への打撃力の在り方についての検討が必要だ」と述べたのに対して、ヘーゲル国防長官は「日本側の取り組みを理解する」と述べたということです。
・・・・・・・・・・
ところでジョン・ケリー国務長官とチャック・ヘーゲル国防長官は3日、東京 千鳥ヶ淵戦没者墓苑に献花し、「日本の防衛相がアーリントン国立墓地で献花するのと同じように」戦没者に哀悼の意を示したと述べました。
何気なく見過ごされがちなニュースですが、これには、安倍晋三首相が靖国神社を米国のアーリントン国立墓地になぞらえたことに対するけん制という意味(アーリントン国立墓地に当たるのは靖国神社ではなく千鳥ヶ淵戦没者墓苑ということを示した)があると言われています。(^○^)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
社説 防衛指針改定 戦争への歯止めはどこに
新潟日報 2013年10月5日
日米両国政府が、外交・防衛担当閣僚による安全保障会議(2プラス2)を開き、日米防衛協力指針(ガイドライン)を2014年末までに改定することで合意した。
米国などとの集団的自衛権行使へ向け、憲法解釈の変更が議論される中での改定作業だ。
日本防衛の枠を超え、米国主導の戦闘行為に巻き込まれる可能性が高まりかねない。武力行使を厳しく制限している憲法の精神をないがしろにする改定であってはならない。
ガイドラインの改定は1997年以来、17年ぶりとなる。
1978年に策定された最初の指針は、日本が外国から攻撃された場合、いわゆる「日本有事」への対処を前提にしていた。
前回改定では、冷戦終結後の国際秩序維持に対する日本側の協力強化を求める米の要請に添う形で、対象を日本「周辺」有事(周辺事態)にまで、拡大した。
それでも、日本の自衛隊が行いうる行為は補給、輸送などの後方支援に限定され、戦闘地域への自衛隊派遣も制限されてきた。
当時の橋本龍太郎首相はクリントン大統領との首脳会談で、防衛協力はあくまでも「憲法の枠内」で行うことを強調していたのだ。
だが、今回の改定作業を取り巻く状況は、当時と大きく異なる。
安倍晋三首相は9条を含む憲法改正への意欲を隠していない。正規の手続きにのっとった憲法改正を待たず、米国などと共同での戦闘行為を可能にする集団的自衛権容認にも踏み出そうとしている。
そうした動きの中での再改定となれば、前回の改定で残された歯止めさえ外れかねない懸念がある。
逆に、有識者懇談会で検討されている集団的自衛権をめぐる論議に、再改定へ向けた日米協議が影響を与えることも予想される。
ガイドライン再改定と集団的自衛権容認が車の両輪となって実質改憲へと進む図式が浮かび上がる。
改定作業着手に合意した閣僚会合では、尖閣諸島周辺での中国の動きを念頭に「力による現状変更に反対し、法の支配が重要だ」との認識で一致したという。
北朝鮮の動きも含め、日本周辺に不安定な状況があり、緊張が高まっていることは確かだ。不測の事態に備え日米両国が協力して対応方法を検討しておくことは必要だろう。
だが、その場合でも日本の行動は憲法の枠内にとどめるという原則が守られなければ、平和国家としての基盤が失われかねない。
軍事同盟強化だけが地域安定の手段ではないはずだ。
前回のガイドライン改定に関連し、米軍が有事の際、新潟港を含む地方港湾や空港などの施設利用の可能性を示したことで議論が起きた。橋本大二郎高知県知事が高知港の「非核港湾条令」を提案したことなども話題となった。
地方、とりわけ環日本海圏の拠点として地域の平和と繁栄を願う本県にとって、再改定の動きは無関係でないことを肝に銘じたい。
日米「敵基地攻撃能力」議論へ
NHK NEWS WEB 2013年10月5日
政府は、自衛隊が敵の基地を攻撃できる能力「敵基地攻撃能力」の保有の検討を巡って、先の日米の外務・防衛の閣僚協議で、アメリカ側の理解が得られたとして、日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直し協議で、両国の役割分担などを議論していくことにしています。
3日に東京で開かれた日米の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる「2+2」で、小野寺防衛大臣は、北朝鮮の弾道ミサイルに関連して「発射基地への打撃力の在り方についての検討が必要だ」と指摘しました。
そのうえで小野寺大臣は、先制攻撃は念頭にないとしながらも「技術、装備、情報面で、日米両国の役割分担も含めて議論したい」と述べ、北朝鮮の弾道ミサイルによる脅威に対抗するため、自衛隊が敵の基地を攻撃できる能力「敵基地攻撃能力」の保有を検討したいという意向を伝えました。
これに対しアメリカのヘーゲル国防長官は「日本側の取り組みを理解する」と述べました。
これを受けて、政府は来年末までに行う日米防衛協力の指針、いわゆるガイドラインの見直し協議で「敵基地攻撃能力」を巡って、日米が共同で作戦を行う場合の両国の役割分担などについて議論していくことにしています。