2019年3月2日土曜日

新聞労連・南彰委員長が語る“望月記者排除”の構造(前編)(LITERA)

 官邸による“東京新聞・望月記者ハラスメント”問題について、LITERAが新聞労連・南彰委員長にインタビューしました。
 後ろの方で出てくる官邸による南委員長に対するデマ攻撃は絶対に許されないことですが、安倍内閣であれば如何にもありそうなことです。
 記事は長文で前・後編に分かれているので、まず前編を紹介します(後編は3日に掲載します)。
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新聞労連・南彰委員長が語る“望月記者排除”の構造(前編)
菅官房長官の質問拒否だけじゃない、官邸の“望月記者ハラスメント”の実態!  不倫デマまで流して記者を分断
LITERA 2019年3月1日.
 東京新聞の望月衣塑子・社会部記者に対する安倍官邸の“弾圧”が、日に日に激しさを増している。昨年12月28日に内閣記者会(官邸記者クラブ)に提示された望月記者を排除しようとする“圧力文書”に対し、今年2月5日に日本新聞労働組合連合(新聞労連)が〈記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもの〉だとして抗議声明を出したことをきっかけに官邸の報道圧力に批判の声があがったが、菅義偉官房長官は国会でも望月記者への敵意を剥き出しに。
 
 さらに、2月26日の記者会見では、望月記者が“圧力文書”について「我が社以外のメディアにもこのような要請をしたことがあるのか。また、今後もこのような抗議文を出しつづけるおつもりなのか」と質問すると、菅官房長官は「この場所は記者会見の質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではありません」と返答。「意見」などではなく明確な「質問」をおこなったのにそれを拒絶し、重ねて望月記者が「この会見は一体何のための場だと思ってらっしゃるんでしょうか」と問うと、強い口調でこう言い放った。
「あなたに答える必要はありません」
 これは「気にくわない相手の質問は拒絶して当然」という職責の放棄であると同時に、国民の「知る権利」を蔑ろにする権力の暴挙だ。この回答について、翌27日の会見で菅官房長官は「これまで国会やこの記者会見の場でも累次にわたって『官房長官記者会見は記者からの質問に対し政府の見解・立場を答える場である』というふうに述べてきた。ですからそのことを、あえて繰り返さないとの趣旨だった」と言い繕ったが、「この会見は何のための場と考えるか」と見解を問う質問を拒絶しておきながら、こんな言い訳が通用するはずがない。
 
 しかも、この菅官房長官の回答拒絶は、望月記者のみならず、すべての記者に突きつけられた“宣戦布告”だ。にもかかわらず、驚いたことに官邸記者クラブは、会見をボイコットするでもなく、それどころか抗議文さえいまだ出していない。
 国民の知る権利を守るため、国民の代表として権力を問いただす任を負っているはずの記者たちが、その権利を脅かされているというのに沈黙してしまう──。いま、官邸記者クラブはどうなっているのか。そして、どうしてこのような構造が生まれたのか。さらに記者を萎縮させるために官邸はどのような手段に出ているのか。官房長官会見で500回以上質問をおこなった経験をもち、今回の望月記者排除問題を提起した新聞労連・南彰委員長に話を聞いた。
 
●望月記者への「あなたに答える必要はない」は菅官房長官の本音
──まず、菅官房長官の「あなたに答える必要はない」発言、南委員長はどう受け止めましたか。
南 あれは菅さんの本音がそのまま出てしまった、という感じですよね。菅さんは2017年8月8日の会見でも、望月さんの質問に「ここは質問に答える場所ではない」という暴言を吐いているんですが、今回も、不都合な質問や自分の意に沿わない記者が質問したものに対しては答えたくない、という彼の姿勢が如実に表れてしまったんだなと。
 そもそも、質問されて説明ができないのであれば、菅さんは権限を持つなという話なんです。ここまで官邸の権限を肥大化させ、それを行使しておきながら「忙しいから説明はほどほどで」というのは道理が通らない。
 
──その上、2月15日には、安倍政権は〈(官邸が)申入れを行ったことが「報道機関への不当な介入」及び「記者の質問権のみならず国民の知る権利をも侵害する行為」であるとの御指摘は当たらない〉という答弁書を閣議決定までしました。これはもはや「これからもガンガン行くぞ」という脅しでは……。
南 そう、今後も妨害はあると完全に正当化してきたということです。しかも、官邸は申し入れ前に官邸記者クラブに対して望月さんの排除を求める要求を水面下でおこなっていたようなのですが、これを記者クラブ側は突っぱねた。そのため、官邸からの申し入れを「受けていない」という立場なんですが、ところがこの答弁書では〈申入れを行った〉となっているんです。自分たちは申し入れを受け取っていないのに、申し入れをおこなったとなっているのだから、官邸記者クラブはそこで抗議するチャンスがあった。でも、その閣議決定の重要性に反応しきれなかった感じですよね。
 
記者クラブでは望月記者と喋っているのを見られたくない、という萎縮も
──やはり、ここまで菅官房長官をはじめとする官邸にやりたい放題、言いたい放題にされてもなお、官邸記者クラブが明確に「官邸のやり方はおかしい」と非難の声をあげていないことには、多くの人が違和感をもっていると思います。先日、共同通信が配信した記事では、〈官邸記者クラブのある全国紙記者〉による「望月さんが知る権利を行使すれば、クラブ側の知る権利が阻害される。官邸側が機嫌を損ね、取材に応じる機会が減っている」というコメントが掲載され、約5時間後に共同がこの箇所を削除。しかも、その削除理由が〈内容を見た加盟社から電話が入り、記者クラブと官邸が癒着していると思われる恐れがあると指摘を受けた〉ことだったと神奈川新聞が暴露しました。全国紙記者のコメントはもちろん、「癒着していると思われる恐れ」という指摘で削除してしまう共同もどうかしているとかしか言いようがない。どうして、こういう状態になっているんでしょうか。
南 まず、あの全国紙記者のコメントは、「みんなの知る権利を守っていくにはどうしていけばいいのか」と考えなければいけないところを、自分の目先の取材のことしか見ていないという意味で最悪です。その上、「機嫌を損ね」って……。ご機嫌取りのための取材をしているのか、という話ですよ。当初、原稿に盛り込んでいた共同の記者には、そのおかしさを世の中に問いかけようという思いがあったと思います。
 でも、官邸クラブ員からこうしたコメントが出る背景には、官邸からメディア側に対するプレッシャーのかけ方が、いままでの政権よりもひどいという状況もあります。なかでも官房長官の番記者にとっては、人事や政局など重要な情報を菅さんに確認できる関係を持っているかというところで評価を問われる。それを官邸はわかった上で、どんどん締め付けているという。
 あともうひとつあるのは、クラブ内で望月さんに対する評価が二分されているということ。それがこの問題をややこしくしていると思います。
 
──評価が二分されている、というのは?
南 望月さんが官房長官会見で質問するようになったのは加計問題が盛り上がっていた2017年の6月で、8月くらいまでの時期は、会見は望月さんの独壇場のような状態でした。実際、そうした追及によって「総理のご意向」文書の再調査に追い込んだわけで、そのときは「やられたな」と思ったし、「こういうやり方があるのか」と思った記者はかなりいた。ただ一方で、望月さんも当時は冗長な質問もあったり、あと政治部と社会部という流儀の違いもあったりで、わだかまりが生まれてしまった。それがまだ解消されていないように思います。
 しかし、望月さんの質問も、当時といまでは変わっていて、いまは望月さんの質問が最後に追いやられ、さらに「次の質問最後でお願いします」と制限を受けている。だから、1問しか質問できないというところで、望月さんも相当絞りに絞って質問している。でも、記者のなかにはそういう最初のころの印象を引きずっている人も多い。
 
──たしかに、いまは望月記者の質問時間はほかの記者にくらべて長いわけではないんですよね。つまり、官邸の上村秀紀報道室長が「簡潔にお願いします」と質問に割って入る行為は、質問妨害であるのと同時に「質問が長い」と思わせるための印象操作でしかない、と。
南 そこには、官邸からの記者に対する刷り込みもあると思います。たとえば、記者会見が終わったあと、官房長官番の記者はバックヤードで菅さんを囲んで会見内容の補足説明を受けたり確認をしたりするんですが、その場からして菅さんが不機嫌なのはみんな感じているし、菅さんもそこで望月さんの質問に対する不満を口にしている。そうやって菅さんの番記者をやっていく中で「望月さんはおかしい」と刷り込まれつつある人もいるし、「さすがに言い過ぎでは」と諫めるようなことも言えない。ましてや望月さんと一緒に喋っているようなところを見られたら大変なことになる、という萎縮も働いている。
 
──それって、学校でスクールカースト上位の影響力をもつ生徒が「あいつは気にくわないからハブろう」と、いじめをけしかける構図と同じじゃないですか……。
南 実際、新聞労連だけではなくて民放労連なども入ったマスコミ全体の労働組合の集まりである日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)が2月18日に出した声明では、〈一連の首相官邸の行為は、権力者による記者に対するハラスメント(いじめ、嫌がらせ)行為です〉と書いてあるんですね。もちろん、いちばんいけないのは、ハラスメントをしている菅さんです。でも、それを記者たちが指摘できない、言い出せない状況があるということです。
 
新聞労連の声明に官邸スタッフが“望月と不倫関係”とフェイク攻撃
──そうした官邸記者クラブの黙認姿勢というか腰の引けた感じがあるために、社会でも官邸に対して「こんなことを許していていいの?」という空気が生まれない原因になっている気がします。しかも、申し入れにあった望月記者の質問に「事実誤認」があったというのは虚偽の主張であるにもかかわらず(詳しくは既報を参照 https://lite-ra.com/2019/02/post-4548.html)、ネット上ではそれが望月記者の排除を正当化する材料にされています。
南 たしかに、官邸はいま、いろんな情報を流しています。たとえば、今回、新聞労連が声明を出しましたよね。そのことについて、じつは官邸のスタッフが、記者に対して“望月さんと僕が不倫関係にあるから声明を出したんだ”と説明しているようなんです。「あいつらはそういう関係なんだ」と。
 
──えっ? それ、ほんとうなんですか?
南 不倫関係になんてあるわけがないじゃないですか。まったく根も葉もない、事実無根です。
 
──いやいや、そうではなくて、官邸側がそういう情報を流しているんですか?
南 政治部の記者のメモになって流れているんですよ。情報戦は多かれ少なかれ永田町界隈ではある話ですけど、まさかこんな話をでっち上げるとは……。記者には「そういう人たちにあなたは関わるの?」と揺さぶりをかけ、一方でこうしたフェイクニュースがネットで流れはじめ、バッシングが加速するという図式ですよね。
 
──前川喜平・元文科事務次官の“出会い系バー通い”報道にも「官邸はここまでやるのか」と仰天しましたが、あまりにもゲスすぎる……。
南 そのうち、この不倫の話もネットで流れるかもしれませんが、先に断言しておきます。それは官邸発のフェイクニュース、誹謗中傷です。(つづく)
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 記者の活動に圧力をかけるために、でっち上げのフェイクニュースまで流す──。まったく恐ろしい話だが、南委員長は「記者の質問が妨害されたり、制限が加えられるような状態は、いままでになかったこと」だという。一体、安倍政権はどのようにして官邸記者会見を変えていったのか。インタビュー後編では、その問題にスポットを当てたい。
(取材・構成/編集部)
 
 【プロフィール】
南彰●1979年生まれ。2002年、朝日新聞社に入社。2008年から東京政治部、大阪社会部で政治取材を担当。2018年9月より新聞労連に出向、中央執行委員長を務める。共著に『安倍政治100のファクトチェック』(南彰、望月衣塑子/集英社新書)、『ルポ・橋下徹』(朝日新聞大阪社会部/朝日新書)がある。

02- 桟橋に土砂 業者・防衛局とも県に非協力(東京新聞)

 東京新聞の<税を追う>シリーズでは、今回、土砂納入業者・琉球セメントが所有する安和桟橋の敷地に昨年12月から置かれている4250m3の「赤土混じりの土砂」(県環境部)を取り上げました。
 沖縄県は赤土等流出防止条例に基づく届け出を業者に要請しましたが、同社は応じずに別の土砂を納入し、積み荷は3カ月前から動きがありません。
 沖縄防衛局も県に対して非協力で、土砂搬出場所の変更届をせず、土砂の性状検査結果の提出にも応じず、立ち入り検査も拒否しています。
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<税を追う> 辺野古 桟橋に土砂のナゾ 県の届け出要請に応じず
東京新聞 2019年3月1日
  
  【写真説明】埋め立て用土砂を積み出している琉球セメントの桟橋内に、ブルーシートで覆い保管したままになっている土砂とみられる積み荷=2月6日
 
 沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設で、埋め立て用土砂を搬出する桟橋に、昨年十二月から土砂とみられる大きな積み荷が置かれたままになっている。県は当初、この土砂が海に投入されるとみて、県赤土等流出防止条例に基づく届け出を納入業者の琉球セメント(本社・同県浦添市)に要請したが、同社は別の土砂を納入し、積み荷は三カ月前から動きがない状態だ。県は「防衛省の意向で埋め立てを急ぐため、届け出を回避して土砂をそのままにしたのでは」とみている。 (望月衣塑子)
 
 県は昨年十二月三日に防衛省沖縄防衛局から埋め立て開始の通知を受け、現場を立ち入り検査。琉球セメントが所有する安和(あわ)桟橋(名護市)の敷地内に、埋め立てに使うとみられた広さ四千二百五十平方メートルの「赤土混じりの土砂」(県環境部)を見つけた。
 沖縄県では、赤土を含む土砂による環境汚染を防ぐため、事業者が千平方メートルを超える敷地に土砂を積む場合、流出を防ぐ対策を取るよう指導している。事業者は条例に基づき、流出防止施設の構造図や残土や赤土などの処分計画書、事業行為の理由書などを提出しなければならない。
 届け出がなかったため、県は琉球セメントに求めたが、同社は「土砂ではなく石材の堆積。事業行為にも当たらない」として応じていないという。安和桟橋に置かれたままの積み荷には、雨などで土砂が流れ出ないように、大きなブルーシートがかぶせられている。
 
 県の指摘後、同社は近くの安和鉱山から、埋め立て用の土砂をベルトコンベヤーなどで桟橋に順次運んでいる。土砂は桟橋から船で十八キロ南東の辺野古沖合に運ばれ、昨年十二月十四日から海に投下されている。
 沖縄防衛局は当初、本部(もとぶ)港(同県本部町)から土砂を搬出する計画だったが、台風で港の一部が壊れて使用できなくなったため、安和桟橋に変更した。県は、搬出場所の変更には知事の承認が必要と主張しているが、防衛局は変更承認は必要ないと対立している。
 
 埋め立てに使われている土砂についても、県は「大量の赤土が含まれている疑いがある」として沖縄防衛局に性状検査結果の提出を要請したが、防衛局が提出したのは一年半~二年半前の検査結果だった。県は引き続き立ち入り調査を求めているが、防衛局は応じていない。
 県の担当者は「桟橋の積み荷が石材でないのは明らか。条例上の対策含め、きちんと届けを出してほしい」と話している。
 防衛省は「積み荷の土砂は、現在は埋め立てに使っておらず、その後、どうなっているか把握できていない」と話している。
 琉球セメントは本紙の取材に回答していない。

2019年3月1日金曜日

総理秘書官による“闇支配”の暗黒

 国会での毎月勤労統計に関する不正の追及を受けて、内閣参事官や総理秘書官の暗躍が暴かれ、官邸の関与が日々明らかになってきました。事態は「モリカケ問題」とまったく同じ展開になっています。
「モリカケ問題」では、文書なり録音データなりの明々白々の証拠でも出ない限りは、首相は首相夫妻の関与を認めないだろうというのが国民の感覚でした。しかし蓋を開けてみると関連の公文書で夫妻が関与した部分がすべて書き換えられ、証拠が消されていました。
 この前代未聞の事態は、要するに官僚による首相の防御体制が確立していたということです。そして安倍首相は何の反省もないまま、「財務省にウミを出し切らせる」という理解不能の発言をして、その場を乗り切ったのでした。
 
 歴代の政権でかつてこのような事態は生じませんでした。何故 安倍政権になってからこんな風になったのでしょうか。
 元文科官僚の寺脇研・京都造形芸大客員教授は、「14年に内閣人事局ができ、覚えのめでたい役人は登用され、一方で、事務次官候補でも飛ばされた。人事でこうした状況を目の当たりにして、秘書官を通じて官邸の意向が見えれば、役人はピリピリして忖度するようになっていった。総理秘書官のいうことを役人は総理の命令だと忖度し、それに対応する。安倍首相は『自分乃至官邸は関与していない』で突っぱねられる。安倍政権である限りまっとうな行政は戻らない(要旨)」と述べています。
 
 元経産官僚の古賀茂明氏も、「過去の政権と安倍政権で違うのは、『政と官の関係』です。以前は持ちつ持たれつでありながら、時に牽制し合う面もあった。しかし、安倍首相は官僚の中でも別格の内閣法制局長官に自分の意をくむ外務官僚OBを就け、外務省OBの田中均氏に外交を批判されると『彼に外交を語る資格はない』と個人攻撃し、官僚を驚愕させた。
 安倍首相はキレると尋常じゃなくなる。役人と政治家の間の『一線は越えない』という暗黙のルールが通用しない恐ろしい首相だということが分かり、役人は安倍首相に従うしかなくなった(要旨)」と述べています。
 
 かくして総理秘書官による闇支配の暗黒と官僚の異様な忖度は、安倍首相を辞めさせない限り続き、政治は果てしのない堕落・腐敗に向かうことになります。
 
 日刊ゲンダイの「総理秘書官“闇支配”の暗黒 『官邸圧力』公然と否定の驚き」を紹介します。
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総理秘書官“闇支配”の暗黒 「官邸圧力」公然と否定の驚き
 日刊ゲンダイ 2019/02/27
阿修羅文字起こしより転載
 国会では相変わらず、安倍首相が子どもの喧嘩のような答弁を繰り広げている。
 25日の衆院予算委員会では、立憲民主党会派の小川淳也議員に対し、ヒステリックに色をなして反論した。テーマはもちろん、主要議題となっている毎月勤労統計の調査手法変更に関する“アベノミクス偽装”問題だ。“渦中の人物”は、厚労省の姉崎猛統計情報部長(当時)に「問題意識」を伝えた中江元哉・元総理秘書官(現財務省関税局長)なのだが、またしても「官邸の意向」と「忖度」。一昨年と昨年の国会で大論争となった森友・加計問題を思い出さざるを得ない。
 
 モリカケ問題を念頭に小川が、「安倍政権になって総理秘書官が暗躍するケースが目立つ。うそをつき、事実をないものにするような答弁が多い。権限がなく責任を負わないのに事実上の影響力を行使している」と批判すると、安倍は「(秘書官に)全く責任がないかのような言動には驚く。総理を支えるというとても大きな責任がある。使命感の下に夜遅くまで働いている」と猛抗議だった。
 だが、小川が問題視しているのは、厚労省の統計の担当者でもなく権限も責任もない総理秘書官が口出しすることによって政策が歪められる危険性なのに、安倍の答弁は秘書官の「責任」の一般論であり、情緒に訴えるすり替え以外の何ものでもない。安倍は“図星”の時に異常なほどムキになる。
 
■モリカケ問題と同じ光景
 毎勤統計問題での「官邸の圧力」は、状況証拠から見れば真っ黒だ。総理秘書官の中江氏が「問題意識」を姉崎氏ら厚労省サイドに伝え、厚労省の担当者が有識者検討会の座長へ送ったメールには「官邸関係者に説明している段階」「委員以外の関係者から部分入れ替え方式を検討すべきではないかとの意見があった」との記述があった。その後、総入れ替え方式から部分入れ替え方式に調査手法が変更されたのである。
 
 25日の予算委で厚労省の藤沢勝博政策統括官は、前者の「官邸関係者」は官邸にいる厚労省出身の内閣参事官だと明らかにし、後者の「委員以外の関係者」は姉崎氏だと主張しつつも、「中江氏も含まれる」という趣旨の発言もしている。要は、必死に官邸の関与をモミ消そうとしても、登場人物は内閣参事官であり総理秘書官。官邸の意向がクッキリなのである。
 さらには、厚労大臣答弁との食い違いや、姉崎氏や藤沢氏の発言がコロコロ変わる不自然さが疑惑を深めるばかりなのに、それでも官邸の関与についてだけは、みな揃って断固「否定」する。これぞ、まさにモリカケ問題で幾度となく見せられた光景だ。
 
 元文科官僚で京都造形芸術大客員教授の寺脇研氏はこう言う。
「時系列で見ると、モリカケ問題も今回の統計不正も2015年にいろいろ動いている。12年に第2次安倍政権が発足。14年に内閣人事局ができ、覚えのめでたい役人は登用され、一方で、事務次官候補でも飛ばされた。人事でこうした状況を目の当たりにし、15年には、総理秘書官を通じて官邸の意向が見えれば、役人はピリピリして、忖度するようになっていったわけです」
 
■秘書官は総理の100%名代
 モリカケでも、キーパーソンは総理秘書官だった。
 森友学園問題では、安倍昭恵夫人付職員だった経産省出身の谷査恵子氏が、学園の籠池泰典理事長(当時)の要望を財務省に照会。谷氏の事実上の上司に当たるのが、経産省出身で政務担当の今井尚哉総理秘書官だ。
 加計学園問題では、経産省出身の柳瀬唯夫元総理秘書官が、愛媛県や今治市の役人と官邸で面会した際に、「本件は首相案件」と発言したと愛媛県の公文書に書かれた。そして、今回は財務省出身の秘書官である。
 前出の寺脇氏は、「総理秘書官は、総理が白と言えば白、黒と言えば黒で動く。そして役人は総理の命令だと受け止める。モリカケでも同じ構図で忖度が生まれたのに、安倍首相は反省なく、『自分は関与していない』で突っぱねた。安倍政権である限り、まっとうな行政は戻りません」と言ったが、その通りなのだろう。
 
 官邸官僚が隠然たる政治力を持っているのは、霞が関の役人なら誰もが知っていることだ。元経産官僚の古賀茂明氏もこう言う。
「政務の秘書官である今井氏はまさに総理と一体化しています。だから、役人は『この人に盾突いたら大変』と考える。かつて、事務の秘書官には出身元省庁の代弁者という側面もありましたが、安倍政権では100%総理の名代になってしまいました。彼らに対しても役人は逆らえなくなっています」 
 
キレると尋常じゃない安倍首相に霞が関は恐怖心 
 総理秘書官がここまで力を持ったのは、霞が関全体が秘書官のバックにいる安倍を見ているからであり、官僚の人事権を完全に掌握する安倍が怖いからだ。
 きのう(26日)の衆院総務委員会で官邸主導の恐怖人事が「役所の忖度を生んでいる」と、立憲の高井崇志議員から追及されると、安倍は「幹部人事の一元的な管理制度は行政の縦割りを排除し、政治主導を実現するのが目的」だと反論した。
 
 確かに、官僚主導から政治主導への移行は、長年の行政改革の流れではある。しかし、安倍政権の「政治主導」は過去の政権と比べても異質。前出の古賀茂明氏はこう言った。
「1990年代後半の橋本内閣の頃から『政治主導』『内閣主導』がうたわれてきました。その完成形が安倍政権の『内閣人事局』と言えますが、過去の政権と安倍政権で違うのは、『政と官の関係』です。以前は持ちつ持たれつでありながら、時に牽制し合う面もあった。しかし、安倍政権では何でもアリの姿勢が見え、『政』の方が強くなったのです。その象徴が官僚の中でも別格の内閣法制局長官に自分の意をくむ外務官僚OBを就けたことでした。さらに安倍首相は、外務省OBの田中均氏に外交を批判され、『彼に外交を語る資格はありません』と個人攻撃したこともありました。これに霞が関は驚愕した。つまり、安倍首相はキレると尋常じゃなくなる。役人と政治家の間の『一線は越えない』という暗黙のルールが通用しない恐ろしい首相だということがハッキリ分かり、役人は安倍首相に従うしかなくなったのです。その恐怖心は事務の秘書官にも言えることです」
 
 モリカケや今回のアベノミクス偽装で日常化した、官僚の黒を白と言い切る居直りや居丈高答弁は、政治の私物化を政治主導とはき違えた安倍を守るためであり、突き詰めれば自らの保身でもある。その結果、安倍が喜ぶように政策が歪められたとすれば、もはや日本は独裁国家ではないか。
 立憲主義も民主主義も亡きものにされてしまっているのに、情けないのはそんな安倍政権を野党が攻めきれないところだ。
 
 政治評論家の野上忠興氏が言う。
「モリカケ問題で役人が『知らぬ存ぜぬ』を貫き通し、自らは『指示していない』でノラリクラリ逃れることができた。安倍首相にはその成功体験がある。野党は正攻法で真正面から役人を攻めても糠にクギが続くだけです。むしろ、すぐにヒステリックになる安倍首相の弱点をもっと突いた方がいいのではないか。常々、安倍首相は『私は行政府の長』『最高責任者』だと言っているのに、官僚のせいにして通用するのか、などと追及する。そこで感情的な暴言や失言が出れば、総理の資質の問題がよりクローズアップされることになる」
 いずれにしても、明確に言えることは、安倍を総理の座から引きずり降ろさない限り、総理秘書官による闇支配の暗黒と官僚の異様な忖度も終わることはない、ということだ。 

異常な官房長官会見は放置できない

 26日の官房長官会見で、東京新聞・望月記者が「会見は一体何のための場と思っているか」と質問したところ、菅官房長官が「あなたに答える必要はない」と回答を拒んだことが波紋を呼んでいます。
 菅氏は翌日の会見で「これまで累次にわたり、『会見は記者の質問に対し、政府の見解や立場を答える場で、意見や要請に答える場ではない』と述べてきた。あえて繰り返す必要はないということだ」と弁明しましたが、それが「あなたに答える必要はない」の理由になるとはとても言えません。
 政府の見解や立場を糾す質問がどうして「意見や要請の表明」になるのでしょうか。質問をするに当たり、先ず前提となる状況の説明から入るのは当然のことで、それを「意見の表明」であるとして否定するのであればそもそも質問のしようがありません。菅氏はその誤りを自覚していて、追及を受ければ耐えられなくなると知っているから答えられなかったのでしょう。
 
 菅氏は常に同記者の発言を「意見の表明」であるかのような言い方をしますが、いつの場合でも望月記者の発言は完璧な質問形式になっているのに対して、官房長官の回答は「回答の体をなしていない」というのが実態です。満足に答えられないから、相手に対して異常なレッテル貼りをするというのは卑劣です。
 
 望月記者が質問すると、主催者でもない官邸の一員(報道室長)が約10秒ごとに「簡潔に」を連発するという質問妨害が、いまだに行われていることを含めて、同記者に対する官邸側の態度は異常で、権力を笠に着た「いじめ」に他なりません。
 これ自体が現政権の低劣さを物語るものですが、それがこうした場で公然と行われていても、出席している記者たちから何のクレームも出ないというのは極めて異常です。
 
 琉球新報が「異常な官房長官会見 政府の姿勢放置できない」とする社説を出しました。
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<社説>異常な官房長官会見 政府の姿勢放置できない
琉球新報 2019年2月28日
 菅義偉官房長官が26日の記者会見で東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者から「この会見は何のための場だと思っているのか」と問われ「あなたに答える必要はありません」と述べた。質問自体を封じるこのような態度は、国民の知る権利を真っ向から否定するものだ。断じて認めるわけにはいかない。
 
 菅長官は、翌27日の会見で別の記者から発言の趣旨を問われ「国会や会見で『政府の見解、立場を答える場だ。意見や要請に答える場ではない』と言ってきた。(その答えを)繰り返す必要はないということだ」と述べた。これはすり替えである。
 官房長官会見での望月記者への質問制限について、東京新聞は20日付で経緯と見解を示す特集を掲載した。その中で、2017年秋以来9回も官邸から文書で申し入れを受けたことを明らかにした。臼田信行編集局長は「権力が認めた『事実』。それに基づく質問でなければ受け付けないというのなら、すでに取材規制です」と指摘した。望月記者の質問はこれを踏まえたものだ。
 
 26日午前の会見で望月記者は申し入れ文書を「今後は他のメディアにも送るつもりか」と質問した。菅長官は「事実と違う発言をした社のみだ」と答えた。午後の会見で望月記者は「わが社以外にも抗議文を出したことがあるのか。これからも抗議文を出し続けるのか」と畳み掛けた。
 これに菅長官は「この場所は記者の質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではない」とはぐらかした。そこで望月記者は「会見は政府のためでもメディアのためでもなく、国民の知る権利に応えるためにあると思うが、長官はこの会見は何のための場だと思っているのか」とただしたのである。
 
 このやりとりから分かるのは次のことだ。官邸側は、質問に意見や要請が含まれると見なせば答えない。事実誤認と見なせば答えない。それが続けば文書を送って圧力をかけるということである。
 記者が事実認識を示した上で質問するのは普通のことだ。事実誤認だと思うなら、答える中で説明すればいい。それが説明責任を果たすということだ。事実認識を示すことを「意見」や「要請」だというのはこじつけであり、答えを拒む理由になり得ない。
 
 昨年12月、河野太郎外相が記者会見で質問に答えず「次の質問どうぞ」と繰り返した問題もあった。記者会見を政府の広報の場とのみ捉える傲慢(ごうまん)な政権の姿勢は一貫している。一記者、一新聞社の問題ではなくメディア全体の問題であり、国民にとって深刻な事態だ。
 国民の知る権利をないがしろにする政府の姿勢をこれ以上放置できない。誰のために取材・報道をするのかという原点を再確認し、異常な記者会見の現状を是正しなければならない。

「辺野古が唯一の選択肢」は 現実から遊離した固定観念

 いまや政府のいう「辺野古が唯一の選択肢」はあらゆる点で破綻しています。
 一刻も早く普天間基地を返還させるためにという口実は、完成するまでに13年以上かかることから もはや通用しません。
 辺野古の基地が完成すれば普天間米軍基地が返還されるという保障はありません。
 そもそも海面下90mの深部の地盤改良を行う手段がないので、辺野古基地が真の意味で完成することはありません。そんなところに米軍が移動するという保障は皆無です。
 米軍海兵隊基地が沖縄になくてはならないという必然性もありません。米側が、経費節減のためグアムに移動しようとしたのを日本側が止めたという経緯もあります。
 最近、駐日米大使が「辺野古が唯一の選択肢」と述べたのも。安倍政権と口裏を合わせた以外のものではありません。
 政府が「辺野古が唯一の選択肢」と主張するのは、本土に移そうとすれば激しい反対運動に直面するので、パンドラの箱を開けたくないからです。しかしその「唯一」には もはや何の説得力もありません。
 
 毎日新聞が、「辺野古めぐる新状況 『唯一』の固定観念を正せ」とする社説を掲げました。
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社説  辺野古めぐる新状況 「唯一」の固定観念を正せ
.毎日新聞 2019年2月28日
 米軍普天間飛行場の辺野古移設問題は、埋め立て反対が7割強を占めた県民投票を経て新たな状況に入った。これを受け安倍晋三首相と玉城デニー知事があすにも会談する。 
 しかし、このまま互いの主張をぶつけ合うばかりでは、本土と沖縄の溝がさらに広がる深刻な状況に陥りかねない。この際、政府は「辺野古が唯一の選択肢」と有無を言わせない論理を改めるべきだ。
 
 現在の政府の主張では、移設先は辺野古しかないというのが軍事上の固定観念となっている。だが、どこに基地を置くかは軍事的要素だけで決まるものではない。候補地の歴史的・文化的背景や経済的な問題などさまざまな要素を考慮しなければならない。唯一の選択肢ということが現実にあろうはずがない。 
 実際、沖縄に海兵隊を置くことが不可欠かどうかについては、米国内でも議論があった。中国の軍事的台頭や北朝鮮の核・ミサイル開発を受け、むしろ日本側が駐留の継続を求めてきた側面がある。
 普天間飛行場を本土に移そうとすれば激しい反対運動に直面することが予想され、政治的なハードルは高い。それを避ける意図が「唯一」という言葉の裏に見え隠れするから、政府に対する沖縄の不信感が増幅されてきたのではないか。
 
 県民投票では、普天間飛行場の危険性を最も知る宜野湾市でも反対票が66%を占めた。普天間の危険除去を最優先するという政府の主張が信用されていない証左だろう。埋め立て予定海域で軟弱地盤が見つかったことにより、技術的にも早期移設の見通しは立たなくなっている。 
 戦後長らく米軍統治下に置かれ、本土にあった米軍基地の多くが沖縄に集約されてきた歴史がある。そこで生じた不平等が固定化されるのは耐えられないというのが県民投票に込められた沖縄の訴えではないか。 
 米軍に多くの特権を認めた日米地位協定の見直しなど、沖縄の不利益をなくすために努力する姿勢が政府には求められている。 
 首相は「県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止める」と言いながら、工事を続行するのは矛盾している。 
 まずは「唯一」の固定観念を正し、沖縄の不信感を解きほぐすところから始める必要がある。