東京新聞の<税を追う>シリーズでは、今回、土砂納入業者・琉球セメントが所有する安和桟橋の敷地に昨年12月から置かれている4250m3の「赤土混じりの土砂」(県環境部)を取り上げました。
沖縄県は赤土等流出防止条例に基づく届け出を業者に要請しましたが、同社は応じずに別の土砂を納入し、積み荷は3カ月前から動きがありません。
沖縄防衛局も県に対して非協力で、土砂搬出場所の変更届をせず、土砂の性状検査結果の提出にも応じず、立ち入り検査も拒否しています。
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<税を追う> 辺野古 桟橋に土砂のナゾ 県の届け出要請に応じず
東京新聞 2019年3月1日
【写真説明】埋め立て用土砂を積み出している琉球セメントの桟橋内に、ブルーシートで覆い保管したままになっている土砂とみられる積み荷=2月6日
沖縄県名護市辺野古(へのこ)の米軍新基地建設で、埋め立て用土砂を搬出する桟橋に、昨年十二月から土砂とみられる大きな積み荷が置かれたままになっている。県は当初、この土砂が海に投入されるとみて、県赤土等流出防止条例に基づく届け出を納入業者の琉球セメント(本社・同県浦添市)に要請したが、同社は別の土砂を納入し、積み荷は三カ月前から動きがない状態だ。県は「防衛省の意向で埋め立てを急ぐため、届け出を回避して土砂をそのままにしたのでは」とみている。 (望月衣塑子)
県は昨年十二月三日に防衛省沖縄防衛局から埋め立て開始の通知を受け、現場を立ち入り検査。琉球セメントが所有する安和(あわ)桟橋(名護市)の敷地内に、埋め立てに使うとみられた広さ四千二百五十平方メートルの「赤土混じりの土砂」(県環境部)を見つけた。
沖縄県では、赤土を含む土砂による環境汚染を防ぐため、事業者が千平方メートルを超える敷地に土砂を積む場合、流出を防ぐ対策を取るよう指導している。事業者は条例に基づき、流出防止施設の構造図や残土や赤土などの処分計画書、事業行為の理由書などを提出しなければならない。
届け出がなかったため、県は琉球セメントに求めたが、同社は「土砂ではなく石材の堆積。事業行為にも当たらない」として応じていないという。安和桟橋に置かれたままの積み荷には、雨などで土砂が流れ出ないように、大きなブルーシートがかぶせられている。
県の指摘後、同社は近くの安和鉱山から、埋め立て用の土砂をベルトコンベヤーなどで桟橋に順次運んでいる。土砂は桟橋から船で十八キロ南東の辺野古沖合に運ばれ、昨年十二月十四日から海に投下されている。
沖縄防衛局は当初、本部(もとぶ)港(同県本部町)から土砂を搬出する計画だったが、台風で港の一部が壊れて使用できなくなったため、安和桟橋に変更した。県は、搬出場所の変更には知事の承認が必要と主張しているが、防衛局は変更承認は必要ないと対立している。
埋め立てに使われている土砂についても、県は「大量の赤土が含まれている疑いがある」として沖縄防衛局に性状検査結果の提出を要請したが、防衛局が提出したのは一年半~二年半前の検査結果だった。県は引き続き立ち入り調査を求めているが、防衛局は応じていない。
県の担当者は「桟橋の積み荷が石材でないのは明らか。条例上の対策含め、きちんと届けを出してほしい」と話している。
防衛省は「積み荷の土砂は、現在は埋め立てに使っておらず、その後、どうなっているか把握できていない」と話している。
琉球セメントは本紙の取材に回答していない。