2025年5月1日木曜日

ストップ 学術会議解体法案 「平和と人類の福祉」への貢献

 しんぶん赤旗に掲題の記事が載りました。
 石破政権は今国会で学術会議解体法案の成立を狙っています。これに対し学術会議は、独立性・自律性を損なうなどの懸念を払拭する修正を求めることを4月14、15日の総会で表明しました。
 日本学術会議創設時からの学術会議が掲げた使命と、政府から「独立」してこそ果たされてきた役割について、小渾隆一東京慈恵会医科大学名誉教授にしんぶん赤旗がインタビューしました。
 はじめのところで小渾隆一氏は、「2010年、原子力委員会は『高レベル放射性廃棄物』の処分問題で学術会議に意見を求め、学術会議は『検討委員会』を設置し、私は連携会員として参加しました。12年に学術会議が提出した『回答』の趣旨は『脱原発』か『原発依存のできる限りの低減』かという大局的な方向性を先に決めないと、この問題は解決できない」ということと述べています。
 これは地質学会員を中心に組織した「検討委員会」が、約2年間に渡り調査した結果、「10万年安定な地盤は日本には存在しない。数百年が限度」であるので、「高レベル放射性廃棄物は取り出し可能な場所で暫定保管し、その間に最終処分の進め方で国民の合意を得るべきだ」と国に提言したもので、それは万人が認める非の打ちどころのない合理的なものでした。
 それと好対照をなすものが、その後第2次安倍内閣時代に同内閣が指名した専門家によって「高レベル放射性廃棄物の『埋設処分適地/地図』」が作成されましたが、それによると何と「日本にはいたるところに無数の適地がある」というもので、「まさによりどり見取り状態」になっていました。
          ……
 これは「利害関係のない」、例えば海外の専門家であれば決して認めないことを、安倍内閣が選定した専門家たちは平然と行ったわけで、もしも「独立性の高い学術会議」がなくなれば日本が「どんなことになるのか」を端的に示すものでした。
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ストップ 学術会議解体法案 「平和と人類の福祉」への貢献
                       しんぶん赤旗 2025年4月29日
 石破政権は今国会で学術会議解体法案の成立を狙っています。これに対し学術会議は、独立性・自律性を損なうなどの懸念を払拭する修正を求めることを14、15日の総会で表明しました。同法案には元学術会議会長や多数の学協会からも反対の声が上がっています。創設時からの学術会議が掲げた使命と、政府から「独立」してこそ果たされてきた役割について、小渾隆一東京慈恵会医科大学名誉教授に聞きました。         (今井千尋、若林明)

東京慈恵会医科大学名誉教授 小澤 隆一 さん
 現在の日本学術会議法(日学法)に基づく学術会議の活動は、日本という一つの国家や特定の産業界、今の世代だけのためのものではありません。日学法の前文に「平和的復興、人類社会の福祉に貢献」とありますが、学術会議は“学問とは人類の福祉と国際平和のためのもの″という立場で設立されました。戦前、科学が軍国主義に従属し、これに協力したことへの深い反省の上に立ち、科学者たちが安心して人類のために研究活動ができる環境を整えることを決意しました。

10万年先見すえ
 2010年、原子力委員会は「高レベル放射性廃棄物」の処分問題で学術会議に意見を求めました。学術会議は「検討委員会」を設置し、私は連携会員として参加しました。12年に学術会議が提出した「回答」の趣旨は「脱原発」か「原発依存のできる限りの低減」かという大局的な方向性を先に決めないと、この問題は解決できないということでした。
 自然科学者は「核のゴミは10万年単位でしか無害化されない」と言います。ならばこれは、社会科学者にとっては「10万年先を見すえた核のゴミの処分に関する民主主義的な決定」とはどうあるべきか、という課題です。現状では「核のゴミ」の最終処分地を現在の自治体やその住民が、将来世代に対しても含めて責任ある決断を下すのは荷が重すぎます。学術の立場だからこそ、こうした10万年先を展望した目線での対処を堂々と言える。このように独自の立場を確保することで、学術は「人類社会の福祉に貢献」することができるのです。
 私たちは、過去の歴史を振り返りながら将来世代のことも考えて、現在の選挙で投票し政治決定をするべきです。民意が正しい決断をする前提として、正確な知見を提示するのが学問の役割です。その知見の中でどれを選択するかは、時々の主権者とその代表である政治の責任です。
 学術会議の活動の独立性・自律性を脅かす法案によって「学問研究は今の政治と問題意識や時間軸を共有しろ」と政治が介入するのは、トランプ米大統領が行っているようなジェンダーや公衆衛生など自分に都合が悪い学問を邪険にすることと同じです。

介入し関係破壊
 学問は、中世の医療の本拠地が修道院であったように特定の宗教と結びついたこともありました。近代になり、科学的に国を治めようとした啓蒙専制君主の時代に、経世済民(経済)が始まりました。人類は常に学問と政治、経済との関わり方を模索してきましたが、お互いの立場、専門領域をわきまえるべきということを学んだはずです。
 学術会議会員の任命拒否の問題(2020年)は、菅義偉首相(当時)が人事でそれを破り、学術と政治の関係を破壊する許しがたいものです。

憲法に裏打ちされた組織
 学術会議の出発にあたり、日本国憲法が9条をもったこと、さらに、19条の思想・良心の自由、21条の表現の自由と23条の学問の自由、26条の教育を受ける・権利、これらを全部ひとそろえにして盛り込んだことは大きな意義があります。

戦前の反省から
 戦前の日本は天皇中心主義です。教育は天皇のために行うものとして、「教育勅語」の理念に従わされました。子どもの立場、教育を受ける側からの権利ではありませんでした。学問の自由の憲法による保障がなく、「帝国大学令」では「国家ノ須要」、つまり国家が必要とする学問を究めることを求めています。
 そして、思想・良心の自由がなかったから、共産主義「思想」を犯罪視する治安維持法をつくることができたのです。人間は何を考えても、人に迷惑をかけない限り自由だという近代憲法が打ち立てた思想・良心の自由は、日本国憲法が日本にもたらしたのです。
 しかし、思想・良心の自由や表現の自由を生んだフランスやドイツ、英国、米国などの国々でも、現実にはそれらは侵され続けています。だから、日本国憲法は97条で、基本的人権を犯すことができない永久の権利たと人々に自覚を促しているのです。
 日本国憲法が学問の自由を含めてこれほど人権規定を充実させているのは、アジア・太平洋戦争への反省があります。戦前、日本は天皇制国家のもと、学問の自由や教育の自由、思想・
良心の自由、表現の自由も、すべてをじゅうりんしながら、最終的に侵略戦争に突き進んでいきました。アジアの国々を中心に人々に大きな被害をもたらした日本が、その再出発として憲法9条とさまざまな人権を明記したことと、学術会議が「平和的復興と人類社会の福祉に貢献」(日学法前文)する役割を果たしてきたこととは相通じています。これらは、日本が守っていくべきかけがえのない“特殊性″だと思います。

 自民党政権は、米国の軍産複合体を参考にして、日本が軍事産業や武器輸出で金もうけができるようにしようと狙っています。そういう中で、軍事研究や開発を推進し、戦闘機の共同開発と生産にまで乗り出しています。防衛省と軍需企業の技術力、研究開発力だけでは不十分だと考え、他の企業や研究所、大学に手を出そうとしています。典型的には2015年から始まった安全保障技術研究推進制度です。

軍事研究は麻薬
 学術会議は1950年と67年に「軍事研究を行わない」とする声明を発表し、それらの声明を「継承する」声明を2017年にも発表しました。声明は、大学の研究が軍事秘密に囲い込まれてしまうことを警告しています。軍事研究は発表の自由がなく、学問的批判にもさらされない。関わり始めたら最後、ほとんど「麻薬」の世界にはまり込むようなものです。声明はそれではいけないと学術の立場から問題提起をしたわけです。
 学術会議が、独立性・自律性を持って「人類の福祉」と「平和」の観点をもっていたからこそ出せた声明です。4月18日の衆院本会議で学術会議法案の審議入りの際に、ある議員は、まるで学術会議に「政治的中立性」が欠如しているかのような発言をしましたが、とんでもない中傷です。学術会議の独立性・自律性が失われることは、学術の世界だけでなく、全国民的、全人類的な損失となると思います。

立民消費税公約に悲鳴/〈しょぼい減税〉案オンパレード(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の2つに記事を出しました。

「立民消費税公約に悲鳴」
 植草氏は「ニックネーム」を付ける名手です。この記事でも
  「国民不倫党」       (国民民主党)、
  「共に悪い民主党」     (国民+立民 合体党)、
「ザイム真理教立憲民主党支部」(立憲民主党) が出てきます。
 他の記事では
  「消費懲罰税」       (消費税)
  「統一協会連合」      (連合)  などもあります。
 いずれにしても自公が過半数割れしているのに野党にはそれに代わる勢いがなく、それどころか「国民民主党」は折を見て自公と合流したいかの様子を示し、立憲民主党も、財務省系の野田代表と消費税減税派との対立が解消される余地はなさそうで、もしも、国民民主党と立憲民主党の財務省系が合流すれば「共に悪い民主党」が出来上がるだけの話です。

 その立憲民主党が参院選公約として食料品の消費税率を1年に限りゼロにすることを掲げることを決めたということです。消費税減税反対では野党内でも相手にされないからということで、先行き給付付き税額控除の所得税制度を国会で提案するからというのが、1年限りにした理由ということですが、それが実現する保障は何もありません。
 コロナ禍収束後、殆どすべての国が消費税を下げて景気浮揚を図ったのに日本だけは「魔法の税制」である消費税至上主義で、その税率を下げなかったのは税率を下げたりすればその責任者は次官コースから外れるとされている不文律があるからといわれています(余りにも身勝手で財務省以外には通用しません)。
 では消費税はどのように使われて来たのでしょうか。
 植草氏は本記事で次のように述べます。
 消費税が導入されたのは1989年度で2023年までに消費税で509兆円が徴収され、同じ期間に所得税・住民税負担は286兆円減額され、法人税負担は319兆円減額されたので、消費税の全額がそれら減税の穴埋めに使われたのは明らかだとしています。

 今後は消費税を圧縮し、所得税・法人税を中核に位置付けて〈能力に応じた負担〉を求めるべきであるとして 消費税率は1990年度の3%に戻すのが適正としています。

 そして20年度から24年度に国税収入が12・6兆円増加、地方を合わせれば15兆円以上の自然増収が生じているので、それを財源に消費税率を5%に引き下げる政策は直ちに実施できるので、消費税率をまずは5%に引き下げることを公約に明示する政党・候補者に参院選で投票することが必要だと述べています。まさに理路整然です。

「〈しょぼい減税〉案オンパレード」
 ここではゴールデンウィークを迎えた国民が、どんな風に過ごすかを見るとまさに「生活窮乏の悲鳴が聞こえてくる」「抜本策が必要である」として、なによりも消費税減税が求められるとして
「〈しょぼい減税〉を掲げる政党は選挙後の〈増税〉を目論んでいる」ので、〈しょぼい減税〉を掲げる政党の化けの皮を剥ぐ必要があると述べています。
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立民消費税公約に悲鳴
              植草一秀の「知られざる真実」 2025年4月26日
立憲民主党が参院選公約として食料品の消費税率を1年に限りゼロにすることを掲げることを決めた。画期的にしょぼい。しょぼい立憲民主党。国民不倫党と合併して〈共に悪い民主党〉を結成することを推奨する。

1年限りの食料品消費税率ゼロで国民生活が支えられるとでも考えているのだろうか。
給付付き税額控除の所得税制度を国会で提案することが1年限りの理由だという。
給付付き税額控除の所得税制度が実施されることが決定されているなら1年限りの措置も一定の理解を得られるかもしれない。
しかし、立憲民主党が政権を奪取する見通しがゼロであるなかで給付付き税額控除制度が導入される可能性も現時点でゼロ。給付付き税額控除制度導入の見通しがついた段階で、その前提に基づく政策公約を提示すべきである。

立憲民主党は財務省とつるんでいる。〈ザイム真理教立憲民主党支部〉である。
立憲民主党は消費税が社会保障制度の重要な財源だと主張する。しかし、事実はまったく違う。
1990年度の税収と2020年度の税収を比較する。
     1990年度           2020年度
  一般会計税収 60兆円      一般会計税収 61兆円
  所得税    26兆円      所得税    19兆円
  法人税    18兆円      法人税    11兆円
  消費税     5兆円      消費税    21兆円












消費税が導入されたのは1989年度。
2023年度までに消費税で509兆円が徴収された。
同じ期間に所得税・住民税負担は286兆円減額された。
同じ期間に法人の税負担は319兆円減額された。
消費税が社会保障の財源になったというのは真っ赤なウソ。












消費税の全額が所得税と法人税の減税に使われた。

国の財源による社会保障支出は1年で37兆円程度。
したがって、消費税の税収が37兆円になるまでは消費税の税収すべてを社会保障に充当すると〈言うことができる〉。
これは所得税も法人税も同じ。それぞれの税収が37兆円に達するまでは所得税や法人税の税収すべてを社会保障支出に充当すると〈言うことができる〉。
「所得税は社会保障の財源だから重要だ」
「法人税は社会保障の財源だから重要だ」  と〈言うことができる〉。

お金に色はついていない。消費税だけが社会保障の財源ではない。所得税や法人税を社会保障の財源と位置付けて何の問題もない。問題は税の構成をどうするかだ。
1990年度の税収構造と2020年度の税収構造を比較して、どちらが適正かという問題だ。
税収構造として適正なのは1990年度型だ。税負担の中心を所得税と法人税にしている。
所得税と法人税の基本は〈能力に応じた負担〉。これに対して消費税は最も逆進性が強い税制。所得の少ない人ほど負担率が大きい。
現代日本の最大の経済問題は〈格差〉。〈格差〉を是正する経済政策が求められている。
〈格差〉を是正する税制は、消費税を圧縮し、所得税・法人税を中核に位置付けて〈能力に応じた負担〉を求めること。

1990年度の消費税率は3%。消費税率を3%に戻すのが適正だろう。
2020年度から24年度に国税収入が12.6兆円増加。
地方を合わせれば15兆円以上の自然増収が生じている。
この自然増収を財源に消費税率を5%に引き下げる政策は直ちに実施できる。
しょぼい立憲民主党に期待できない。
消費税率をまずは5%に引き下げることを公約に明示する政党・候補者に参院選で投票することが必要だ。

      (後 略)


〈しょぼい減税〉案オンパレード
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年4月29日
4月26日の土曜日からゴールデンウィークが始まったというが、優雅な大型連休とは程遠い。
なかには4月26日(土)から5月6日(火)までの11連休という人もいるが、アンケート調査では全体の7%。100人中7人しかいない。
最多は4連休の30%。暦通りに5月3日(土)から5月6日(火)の4連休があるだけ。
4月27日の週は火曜日の29日が祝日なだけで普通の週と変わらない。

連休の過ごし方も
  自宅で過ごす   35%     近場の日帰り旅行 18%
  外食       32%     ドライブ     14%
  ショッピング   22%     映画       10%
といったところ(株式会社ぐるなび調査)。
「予算を抑えてできる範囲で楽しみたい」が56%。
海外旅行に出かける人は50万人強と見込まれており、全人口の0.4%にとどまる。
外国人の訪日は激増して年初から最速で1000万人を突破している。
日本円暴落で海外に行っても食事すら満足にできない状態にある。
日本国内でも豪華な食事をしているのは外国人に限られている。

日本経済の停滞は深刻。
しかも、分配の変化が加速してきた。中間層が消滅して圧倒的多数が下流に押し流された。
一握りの勢力が所得水準を切り上げた。
生産活動の結果生み出される価値が所得になるが、その所得の分配に際して、一部の者だけが不当に巨額を占有してしまい、圧倒的多数の一般労働者の所得が激減してきた。
所得分配が歪められてきたということ。
社長と平の所得格差が拡大した。社長の働らきが増したわけではない。社長が一般労働者が生み出した価値を横取りしているだけ。

これを「頑張った人が報われる」とは言わない。「頑張った人が報われず」、「頑張っていない人が搾取している」だけだ。
派遣労働など不当極まりない。「派遣」するだけで巨大な「中抜き」をしている。
派遣企業が労働者の派遣先を決定する権限を有する。このために、労働者が正当な権利を主張できない。派遣会社は濡れ手に粟の利益をむさぼっている。

日本の労働者一人当たりの実質賃金は1996年から2024年までの28年間に17%も減少した。世界最悪の賃金減少国だ。
とてもではないが、ゴールデンウィークに海外旅行を楽しめる余裕などない。
「賃上げ」と叫ばれ続けてきたが労働者一人当たりの実質賃金は2022年4月から2025年2月までの35ヵ月間のうち、31ヵ月で前年同月比マイナス。

本年1月の実質賃金は前年同月比2.8%も減少した。
賃上げを叫んでもインフレが亢進し、実質賃金は減り続けているのだ。
インフレ率は消費者物価指数上昇率で本年1月が前年同月比4.0%上昇。
3月でも前年同月比3.6%上昇した。
生鮮食品は本年1月に前年同月比21.9%も上昇した。狂乱物価である。
生鮮食品は2022年に8.1%上昇、23年に7.4%上昇、24年に7.0%上昇した。
24年の水準は20年比で24%も高い。

国民生活窮乏の悲鳴が聞こえてくる。抜本策が必要。
減税論議が喧しいが、〈しょぼい減税〉オンパレードだ。
〈しょぼい減税〉を掲げる政党は選挙後の〈増税〉を目論んでいる。
〈しょぼい減税〉を掲げる政党の化けの皮を剥ぐ必要がある。

      (後 略)

アメリカに貢ぎ、アメリカを支え、アメリカを繁栄させるため - 税金も、民間投資も、家計資産も(世に倦む日々)

「世に倦む日日」氏が掲題の記事を出しました。
 記事はまず、トランプ旋風に対する政府の緊急総合対応には、通例であれば秋の「補正予算」に官僚たちが毎回虎視眈々と狙っている、自分たちの天下り先への投資が前倒しされている観がすると述べます。
 そして野党側が国民救済のための政策を出すと政府やマスコミは必ず「その財源は何処から出るのか」と批判するのに、米国から超高額の兵器を買う段になるとその財源の有無は「決して問題視しない」というダブルスタンダードで米国絶対主義を貫いていると指摘します。
 さらに米国への2012年~2022年の11年間における(日本企業による)投資額増加グラフを示し、(目分量で)2800億ドルから7000億ドル(約105兆円)に激増していると指摘します。
 この増加は企業の内部留保の増加具合を思わせるもので、植草一秀氏が別掲の記事で指摘している処によれば、2023年度までに消費税で509兆円が徴収され、同じ期間に所得税・住民税負担は286円、法人の税負担は319兆円それぞれ減額されました。要するに国民から収奪された財産がそっくり企業の内部留保となり、その多くが、国内ではなく米国に投資されたというわけなので、日本の産業が近代化せず、活性化しないのは無理からぬことです。
 同じことは新NISAについても言えることで、それを通じて個人資金が米国の資本市場に怒涛のように流出していることで、国内の金融機関(銀行・信金)の個人預金残高の伸び率が下がり、24年9月には初めて前年同月を割り込みました。
 この先、人口減と高齢化で地方経済が衰退する中、メガバンクやネット銀行との熾烈な競争にさらされて経営体力が弱まる一方の地銀・信金にとって、個人預金の流出と残高減は頭の痛い問題だろうと「世に倦む日々」氏は述べます。
 この先日本の中小企業にとって金融事情はより一層厳しくなります。
 小泉・竹中政権の「新自由主義路線」を経て、安倍政権の「アベノミクス」以降、「米国至上主義」の下日本は衰亡の一途を辿ってきました。いまや米国の「単独覇権」は維持できないことは明白なので、日本も何時までも「米国追随」でなく、「グローバルな視点」に立つべきです。

追記 NHKによると農林中央金庫(農中)は市場での運用失敗で25年度に1兆5000億円規模の赤字を計上する可能性があると発表しました。ダイヤモンドオンラインは農林中央金庫が24年度に1兆9000億円の赤字を出すと伝えています。一方農協は備蓄米放出の100%近くを買い取っているということです。農協はその利幅で赤字を埋めようとしているので米価が下がらないといわれています。本当なら許されないことです。

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アメリカに貢ぎ、アメリカを支え、アメリカを繁栄させるため - 税金も、民間投資も、家計資産も
                       世に倦む日日 2025年4月30日
トランプ関税をめぐる右往左往が続いている。GW前の先週(4/25)、政府の綜合対策本部の会議が開催され、ガソリン料金定額引き下げを含む五本柱の緊急対応パッケージが決定された。五本柱で構成という中身を見ると、いかにも官僚が並べたいつもの標語の項目列であり、秋の臨時国会で毎度出て来る補正予算の口上に挙げる平板な題目の感が漂う。省庁の官僚たちが、待ってましたとばかり、本年度予算に盛り込めなかった(虎視眈々と狙っていた)経費分をここに入れ込もうと細工している印象を受ける。農業と農産品について柱が立ってないが、トランプから要求されるに違いない大豆やトウモロコシの購入分は勘定に入っているのだろうか。いずれにせよ、このパッケージで補正予算が組まれるのは間違いなく、参院選対策という時期や名目もあり、マスコミで発表して宣伝効果が上がりそうな規模にするのだろう。

石破茂は 4/15 の時点で今国会への補正予算案の提出を見送っている。会期末が 6/22 で、参院選の日程が 7/20。見送ったのは、トランプ関税対策の作業があったからと、3-5万円の給付金がマスコミに叩かれ、これで審議すると参院選にマイナス影響になるからが理由だが、どこかの時点で提出しないといけない。アメリカとの交渉はいつどう纏まるか不透明で、トランプの気まぐれに左右される。一方、自民党の議員たちは参院選で票を得るために必死になっている。本来、霞が関の官僚たちは、この時期は骨太の方針の立案に注力する季節で、骨太は来年度予算に直接繋がる計画作業であり、そこに神経集中させるのが通常だが、トランプ関税のせいで今はそれどころではないスクランブル(⇒混乱)の状態だろう。また、参院選の結果次第では政権の枠組みが変動し、8月末の来年度予算概算要求の前提も大きく変わる可能性が生じる。参院選で自民党が負けると、今後6年間、従来の政策の延長は展望が難しくなる。

半月ほど前、4/17 放送の報道1930に出演した田中均が、トランプ関税についての日本の対策でこう提言していた。
要するにね、トランプ流交渉というのは、いかに日本にものを買わすかということなんだと思うし、私も、日本にとって必要なものは買えばいいと思うんですよ。(略)日本がGDP比2%の(防衛費の)枠内で何にお金が使えるかというと、アメリカから装備品を買うしかないわけですよね。だから、F-35を100機(105機)買った。他にこれからミサイルを買うとかいろんな話が出て来るわけでね。僕が申し上げているのは、アメリカが要求しているから買うということではなくて、日本として必要なものは一つの政治的パッケージとして買ってもいいじゃないかということです。

日米関係や日中関係のコメントでは、相対的にリベラルで良識派の立ち位置の田中均の発言だから、つい監視が甘くなって聞き流してしまいそうになる。だが、財政面の根拠という角度から鑑みたとき、ずいぶん無神経で粗雑で放漫な態度の議論とは言えないか。

田中均と同じ主張をしている者は多い。聞きながら思うのは、アメリカの要求に従って日本がアメリカに出費する場合については、誰も財源の留意をしないという問題だ。給付金や消費減税はおろか、高額療養費の負担上限についてさえ、マスコミ報道の論者たちは、口を開けば「財源、財源」と口を尖らせる。「将来世代の負担はどうするのか」と恫喝して封殺する。介護士や保育士の処遇改善の話が出る度に、また医薬品の安定供給が言われる度に、松原耕二が口を割り込んで人差し指を立て、「借金をこれ以上増やすんですか」と詰め寄り、議論を白紙に戻してしまう。消費増税を国民が呑まないかぎり、1円たりとも社会保障を改善させたり充実させたりする政策の採用は許さないという剣幕で、番組の議論を締める。政治家に対して「国民の耳に痛いことを言え」と迫り、穴が空きまくって崩壊しかけている社会保障の予算手当てを阻んでくる。

F-35を105機購入した費用は2.5兆円。2.5兆円は、日本の税収の3.5%の割合になる。この武器購入の支出について、松原耕二などマスコミは「安倍さんの爆買い」という表現で面白可笑しく演出し、フリップに金額を書き込まない。そして、財源(将来の借金)の話は一切しない。現在、日本の防衛費は9.9兆円でGDP比1.8%になっている。ずっと5兆円規模を維持していたので、一気に2倍に膨れ上がった。国民所得は増えておらず、経済成長もしていないのに、5兆円の防衛費を10兆円にし、2年後には12兆円にする計画で動いている。これを財源措置する防衛増税は、小手先のものは別にして実施されておらず、基本的に赤字国債で調達される。松原耕二たちは、社会保障の論議となると、目の色を変えて「財源、財源」と咆哮するが、武器購入や防衛費となると財源論はオミットする。財源論で予防線を張る姿勢がなく、赤字国債前提で素通りだ。

松原耕二たちにとって、軍事費は聖域であり、アメリカの要求に応じて日本が無駄な金を払うことは、理由や意味を問うべきでない当然の掟であるらしい。実は、この問題は国の予算だけではない。誰も指摘しないポイントだが、日本からのアメリカへの投資の問題がある。トランプ関税の禍が始まって以降、ずっと、日本からの対米投資は世界一とか、日本はこんなにアメリカに投資して経済貢献しているという議論がマスコミで発信され、石破茂らが繰り返し内外に強調している。昨年末には、孫正義がトランプの大統領就任を祝賀して15兆円の投資を約束し、さらに年初には、他2社と共に78兆円のAI開発事業を行うとホワイトハウスの会見で発表する幕もあった。JETROの統計グラフを確認しても、日本企業の対米投資は右肩上がりで上昇して10年間で2倍以上の規模になっている。JETROが詳細を紹介しているが、医薬品やEV、半導体、食品など製造業向けが多い。


















企業買収や工場建設や拠点展開など、実に旺盛活発な勢いで投資してきた実績と現状が理解できる。あらためて要注目なのは、このグラフの右肩上がりのカーブである。日本経済の一部が逞しく高度成長している。この右肩上がりの姿は、日本企業の経常利益と内部留保の推移でも同型であり、現在の日本経済の華やかな一面の真実なのだ。日本経済は、衰退し劣化し凋落し、成長不能のED体質に疾患し萎靡しながら、他面で、猛々しく右肩上がりの絶倫運動を続けている。無論、経常利益が勢いよく増えているから、それを対米投資に回せるのである。が、ここで立ち止まって考える必要がある。麻生太郎が財務大臣のとき、アベノミクスの初めの頃だが、財務官僚を代弁して企業に言っていたのは、もっと企業は(国内に)投資しろという説教と催促だった。内部留保にばかり回すな、少しは国内に設備投資しろと注文を付けていた。つまり、日本企業は儲けた金を国内投資に回してないのだ。


本来なら、国内経済を活発にさせるはずの企業資金が、アメリカに投資され、アメリカ経済の成長と繁栄のために使われている。日本経済を豊かにするための投資に活用されてない。日本国民の立場から聞けば、アメリカへの投資をもっと増やせという言葉は、日本国内への投資をさらに減らせという意味に他ならない。言うまでもなく、GDPは、個人消費+民間設備投資+公共投資+輸出の総計である。民間設備投資はGDPの重要な構成要素であり、これを拡大しなければ経済は成長せず、個人消費も増えない。日本は民間設備投資が滞っているから、設備が古いままで技術革新が進まず、だから生産性も低いのだと、新自由主義者のJ.クラフトでさえ指摘している。にもかかわらず、政府も企業も「アメリカへの投資を増やせ」が最優先であり、企業買収と工場建設を促し、アメリカへの貢献に血道を上げる。国内投資は二の次なのだ。アメリカへの投資が増えれば相対的に国内への投資は減る。

これは基本的な認識だが、マスコミが意図的に隠しているため盲点になっている。そのため、アメリカへの投資拡大は善いことだ、進めるべき政策だ、日本を幸福に導く方向性だと国民は素朴に信じ込んでいる。大事な日本の資金を、日本を潤わせるためでなくアメリカを繁盛させるために使うことを、国民が(観念倒錯して)歓迎するよう仕向けている。アメリカへの投資にばかりウエイトを置かせ、日本企業を過剰にその方面にフォーカスさせることは、必要な国内経済への投資を削減させ遅延させることだ。日本経済に水と養分を与えず、干乾びさせることだ。例えば、孫正義がアメリカに投資する15兆円も、元々は日本で携帯電話やネット通信で稼いだ利益であり、日本国民がソフトバンクのサービス事業に支払った料金が原資である。その貴重で膨大な15兆円が、なぜ国民経済のために有益に使われず、アメリカの国益のために使われるのだろうか。なぜ、その批判が公論として上がらないのだろう。

以上、税金(国家予算)と民間設備投資 の二つにおいて、日本の富が一方的にアメリカのために使われ、アメリカ経済に貢献するべく流し込まれている実態を確認した。3つ目に注目すべき経済の現実図は、新NISAを通じた個人資金のアメリカ資本市場への怒涛の流入である。昨年6月の日経記事では、新NISAによって「家計の円売り」が加速し、投資信託運用会社などによる海外投資が1-5月で5.6兆円超の買い越しになったと報告されていた。2024年の累計額は12.7兆円で、2023年の4兆円から3倍増となっている。新NISAの制度的利点や、アメリカ株の相場への期待感や、円安ドル高の為替環境を考えれば、個人が手持ち資金をアメリカ株の投資信託に注ぎ込むのは自然な動機と判断と言える。政府と野党を含め、世間がこぞって「貯蓄から投資へ」とキャンペーンするのだから、それを信用するのは無理もないだろう。だが、これも客観視すれば、日本の国民経済にマイナスの影響を与えている

ニッキンの記事によると、国内の金融機関(銀行・信金)の個人預金残高の伸び率が下がり、2024年9月には初めて前年同月を割り込んだ。信金の残高の伸びがマイナスになった。重要な経済的事件に違いないが、NHKなどマスコミは報じていない。国内の金融機関から個人預金が逃げ出す原因をNISAが作っていて、NISAの「投資」を通じて円資産がドル資産に化けている。人口減と高齢化で地方経済が衰退する中、メガバンクやネット銀行との熾烈な競争にさらされて経営体力が弱まる一方の地銀・信金にとって、個人預金の流出と残高減は頭の痛い問題だろう。本来なら、小規模商工業者やサラリーマンがそこに預金して資産運用し、それが貸出資金となって地域経済を潤し発展するというのがあるべき姿だ。「貯蓄から投資へ」の政策推進により、日本の家計資産はアメリカの金融資本を増殖させ繁栄させる原資となった。若い労働者は、老後資金2000万円のためにNISA(米株投信)に金を入れている。

日本の富が、国の予算も、企業の投資も、個人の貯金も、何もかも構造的・自発的にアメリカに貢がれ、巨大な幾筋ものチャネルから滔々と流れ込んでいる。日本経済を支えたり育てたりする原資にならない。国の予算は緊縮され、企業はコストカットに徹し、個人は日本経済を諦め見捨てている。

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