2022年4月29日金曜日

29- 米国務長官が「岸田首相がNATO会議参加」と

 ブリンケン米国務長官が26日、上院外交委の公聴会で、6月下旬にスペインで開催予定のNATO首脳会議に日本が参加すると明言しました。他国の幹部がそんな重大な問題について勝手に断言するのはあってはならないことです。

 それに対して松野官房長官は会見で「日本の出席については何ら決まっていない」と述べました。日刊ゲンダイが伝えました。
 NATOはロシアを敵国とする軍事同盟で、ロシアにとっては国家の存亡に関わるものです。ロシアがウクライナに侵攻した理由のひとつが、ウクライナがNATOに加盟しようとしていることでした。
 日刊ゲンダイは、NATO首脳会談に参加すれば「加盟国と同列視される恐れ」という見出しを立てていますが、「恐れ」などではなくてそのまま「敵国」と見做されます。
 官房長官は「何ら決まっていない」ということで婉曲に否定した積りでしょうが、軍事同盟に加わるのは明らかに憲法9条に反するので「日本は参加しない」と明言すべきで、この問題で右顧左眄すべきではありません。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日本“強制参戦”危機! 米国務長官「岸田首相がNATO会議参加」ブチ上げ発言に官邸てんやわんや
                          日刊ゲンダイ 2022/04/28
 日本も戦争に巻き込まれてしまうのか。ブリンケン米国務長官が26日、上院外交委員会の公聴会で、6月下旬にスペイン・マドリードで開催予定のNATO首脳会議に日本が参加すると明言。ロシアによるウクライナ侵攻について「日本が素晴らしい形で立ち向かった」と称賛してみせた。

■プーチン大統領激怒
 ブリンケン発言は、NATO拡大を忌み嫌うプーチン大統領を刺激したに違いない。松野官房長官は会見で「日本の出席については何ら決まっていない」と慎重だったが、内心は大慌てだったようだ。
「ブリンケン発言は、日本側と調整せずに突然飛び出したとみられている。11日にはバイデン大統領が、インドとの首脳会談の場で、日米豪印の4カ国からなるクアッドの首脳会議を『5月24日に日本で行う』と突然公表。まだ水面下で調整中だったのに、『5.24』と日付までブチ上げられ、岸田官邸はてんやわんやでした。この時も松野長官が『具体的な日程は決まっていない』と火消ししていた。米国は先手を打って情報を出し、重要日程の既成事実化を図っているフシがある」(官邸事情通)

■加盟国と同列視される恐れ
 このまま米国についていくのは危険極まりない。この戦争の実態は、ロシアvsNATOの戦いだ。日本がNATOにどっぷり漬かれば、日本はロシアにとって敵対国となり、プーチン大統領が激怒するのは明らかだ。
 ただでさえ、ロシアはモルグロフ外務次官が日本政府に対し、米国との合同海上軍事演習の範囲を拡大すれば「報復する」と警告。下院副議長は「北海道の全権はロシアにある」と発言するなど、日本への牽制が顕著になってきている。NATO首脳会議に参加すれば、日本も戦争に巻き込まれかねないのではないか。防衛ジャーナリストの半田滋氏はこう言う。
「日本はNATOに非加盟で、ウクライナへの攻撃兵器の提供を控えています。現時点で、ロシアからNATO加盟国と同列視され、戦争に巻き込まれることはないでしょう。しかし、米国から『お座敷がかかった』とばかりに軽々しくNATO首脳会議に参加してしまえば、ロシアから加盟国と同等と見られる恐れがある。加盟国は既に戦車や榴弾砲といった攻撃兵器をウクライナに提供していますから、ほぼ参戦しているも同然。そんな加盟国と同列に見られるのは、極めて危険だと思います」
 裏を返せば、ブリンケン発言は日本への“参戦”要請ということか。岸田自民は、防衛費の対GDP比2%以上への引き上げを画策しているが、このタイミングで「軍拡」など、危機をあおるだけだ。

プーチン大統領「電撃的対抗措置」とNATOに脅し
 手負いのプーチン大統領、核攻撃で脅し!? ロシア第2の都市サンクトペテルブルクで27日演説し、ウクライナへの軍事支援を強化しているNATOについて「ロシアに戦略的脅威を与えるなら電撃的で素早い対抗措置を取る」と警告した。
 ロシア国防省が先に実験成功を発表した新型大陸間弾道ミサイル「サルマト」の存在などを念頭に、核兵器の使用も辞さない姿勢を示し、NATO側を威嚇した。
 また、プーチン大統領はウクライナ侵攻について「ロシア全土の安全を将来にわたり確保することになる」と意義を訴え、「全ての目標を無条件で達成する」と強調した。

2022年4月28日木曜日

経済安保法案=現代の「国家総動員法」を廃案に(海渡雄一弁護士)

 政府が進めている経済安保推進法案は「経済安全保障」そのものの定義がなく、多くの重要概念が政令と省令と政府の決める「基本方針」「基本指針」に委ねられていて、法によって規制される内容が皆目見当がつかないということです。

 これでは法案の審議そのものが不可能なのに、意味内容が不明なままで法案の審議が急がされるという異常な事態になっています。
 海渡雄一弁護士は、政令で定められる件が138という異常な多さに上るのは、戦前の戦争遂行法「国家総動員法」に酷似していると述べています。
 経済安保法案の中には、先端的な重要技術の研究開発について官民協議会をつくり、100名の研究者によるシンクタンクを作るというものがあり、基金2500億円を準備し、将来的には5000億円まで増やしていくということです。日本学術会議の予算が10億円以下なのに、政府がこれほどまで力を入れるのは軍事研究のためとしか考えられません。
 まだ何もかもが曖昧のままですが、いずれ米国の基本戦略に準じて、日本の経済体制が反中国、反ロシアのものに変えられる惧れは十分にあります、
   ⇒(4月25日)米国の軍事戦略に組み込まれ 露国や中国と対決する道を進む日本
 海渡弁護士の声明:「経済安保法案=現代の「国家総動員法」を廃案に! ~ 」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
経済安保法案=現代の「国家総動員法」を廃案に!
 4.28国会前に集まろう
              海渡雄一(弁護士)レイバーネット日本 2022-04-26
 先週の国会審議を踏まえ、異議ありキャンペーンの声明を作りました。法案審議によって浮き彫りにされてきた経済安保法案の問題点をまとめたものです。ぜひ拡散してください。
 ようやく東京新聞の今朝(4/26)の1面記事となりました。28日正午にはぜひ国会・参院会館前に集まりましょう。(海渡雄一)

【声明】
経済安保法案=現代の「国家総動員法」を廃案に
参議院の審議でますます明らかになってきた科学技術・経済の軍事的再編の意図

●政令委任個所だけで138
 経済安保推進法案の最大の特徴は、法の根幹にかかわる「経済安全保障」そのものに定義がなく、多くの重要概念が政令と省令と政府の決める1つの「基本方針」と4つの「基本指針」に丸投げされ、規制される内容が法律だけを見ても皆目見当がつかないことである。政令委任個所だけで138という異常な多さであり、この点は戦前の戦争遂行体制を法的に支えた「国家総動員法」に酷似した性格を持っている。

●最大の問題は官民連携により軍事にも使える研究が推進されること
 経済安保法案の4本の柱の中には、先端的な重要技術の研究開発について官民協力を強めるとして、総理大臣をトップとする官民協議会をつくり、さらに100名の研究者を集めるシンクタンクを作るとある。
 4月19日の立憲民主党の小沼巧議員の質問に対する回答の中で、このような施策との関連で、経済安全保障重要技術育成プログラムに2500億円の基金が積まれており、財政当局との間では5000億円までこれを増やしていくことを合意していると説明している。軍事研究に否定的な日本学術会議の予算はわずか10億円で、それすら菅政権以降に削減されていることと比較すれば、大変な大盤振る舞いである。

 福島みずほ議員は、19日の内閣委員会の質疑で、この官民協議会では軍事研究も行うのかと質問した。これに対して、小林鷹之担当大臣は何度も「この法案の枠組みによって、防衛分野のみの利活用を目的とする技術の開発を行うものではありません」と答えて、質問をはぐらかそうとした。しかし、何度も念を押され、小林大臣は最後に「こうした成果が防衛省の判断で、防衛装備品に活用されることはあり得る」と答弁をせざるを得なくなったのである。この法案が軍事目的の科学技術研究の推進も目的としていることが明確となった。

●大がかりな「軍産学複合体」がつくられる可能性がある
 官民協議会は総理大臣をトップとし、研究開発担当大臣と政府関係者や研究者らで構成される。政府が重視する先端技術を「特定重要技術」と位置づけ、資金面で支援することとされている。この協議会に防衛省が参加する可能性を政府は認めている。
 また、設立されるシンクタンクには学位授与機能を持たせることも検討していることを政府は認めた。ユネスコの「科学及び科学研究者に関する勧告」は、「軍民両用に当たる場合には、科学研究者は、良心に従って当該事業から身を引く権利を有し、並びにこれらの懸念について自由に意見を表明し、及び報告する権利及び責任を有する」と定めている。このような科学技術者の権利がどのように実効性をもって保証できるのか、政府は説明していない。

●企業版の秘密保護法である
 また、多くの罰則が定められている。公安調査庁、公安警察、内閣情報調査室等による科学技術者に対する監視が強化され、関連する企業や研究者・技術者、市民の活動の自由が抑制される危険性がある(第73,74,83条;2年以下の懲役、100万円以下の罰金)(第67,70,73,7,78,80;1年以下の懲役または50万円以下の罰金)(第84条;30万円以下の罰金)。
 このような規制により、若い研究者を軍事技術分野の研究に囲い込み、守秘義務を課して転職を困難にしてしまうのではないかとの問題点も指摘されている。

●法案のカギとなる概念「外部」とは何か
 また、重要物資の安定確保のためのサプライチェーンの強化やサイバー攻撃に備えた基幹インフラの事前審査については、「外部への依存」「外部からの妨害」などの概念が法案に使われている。この「外部」とは何を指すのか、定義がない。「日本の外部の国々全体を指すのか」という質問に対しては「そうではない」と政府は答えた。「それでは中国は外部で、アメリカは外部ではないのか」と質問すると、小林大臣は「外部というのはいかなる国が対象となり得るかについて予断を持ってお答えすることは困難です」「いずれにしても、この法案は特定の国を念頭に置いたものではありません」と答え、完全に質問をはぐらかしている。
 この法案が成立すれば、中国製のIT企業の研究開発した技術を社内のシステムに用いている企業に対して、その見直しが迫られる可能性があり、その場合の費用の補償はなされない。企業の経営には重大な影響を与えかねない条項であるのに、意味内容が不明なままで法案の審議が進められている。

●「経済安保」を旗印にすでにえん罪が起きている
 また、共産党の田村智子議員は、横浜市の機械製造会社「大川原化工機」の幹部ら3人が、軍事転用が可能な噴霧乾燥機を無許可で輸出したとして逮捕・起訴され、その後に起訴が取り消された冤罪事件を取り上げた。
 田村議員は、経済安保の名の下での規制強化が引き起こした事件として、政府に見解を尋ねた。小林大臣は「コメントは控えたい」とした上で、「不当に企業の活動への規制、監視を広げることがあってはならない」との認識を示すにとどまった。この法案の下で、同様の悲劇を防ぐための実効的な対策は講じられていない。

●平和憲法を掘り崩してしまう経済安保法案に異議あり
 福島みずほ議員がその質問で指摘したように、「軍事研究につながり得るということで、戦後の日本のあり方を百八十度変えるものではないか、つまり政府が先頭に立って軍事研究も可能な先端技術の開発に予算を投じ、開発を促進させるということの問題点を強く指摘」せざるを得ない。

 このような国の経済、安全保障政策の根幹を揺るがすような法案が、大半の内容を政府に丸投げする形で提案されている。立憲野党は、この問題点を市民の前に明らかにする義務がある。そして、法案の廃案あるいは抜本的な見直しを迫るべきである。

安倍「円安は経済に良い効果をもたらす」どこが!(まるこ姫の独り言)

 安部元首相が自民党の会合で「円安は経済に良い効果をもたらす」と述べたということです。古いことわざに「葦の髄から天覗く」というのがあります(いまは「管見」という方が普通?)。広い世の中には円安が幸いする人もいることでしょうが、政治はそんな「視野狭窄」で行っていいものではありません。それなのに、そんな人間が8年間も政治を行って来たのでした。それにしてもこの期に及んで「円安は経済に良い効果をもたらす」と述べるとは、ただ絶句です。
 まるこ姫の独り言:「安倍『円安は経済に良い効果をもたらす』どこが!」を紹介します。
 まるこ姫は、榊原英資氏が先週モーニングショーに出演して「日本は成熟段階に至った国で、弱くなっているとは思わない」と述べたことを紹介していますが、それには多くの人たちが違和感を持ったのではないでしょうか。
 文中の太字・青字強調部分は原文に拠っています。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
安倍「円安は経済に良い効果をもたらす」どこが!頭の中を覗いてみたい
                         まるこ姫の独り言 2022.04.27
安倍は自分が推し進めてきたアベノミクスの正当化に必死だ。

>自民・安倍元総理 「“悪い円安議論”間違っている」円安進行めぐり
          4/26(火) 19:08配信 TBS NEWS DIG Powered by JNN
>急速に進む円安をめぐって自民党の安倍元総理は、「円安は基本的には経済に良い効果をもたらす」などと述べたうえで、日銀の金融緩和策を維持すべきとの考えを示しました。
>「円安が進行しているなかにおいて、悪い円安等々の議論がなされているわけでございますが、この議論は私は間違っていると思うわけでございます」
>安倍元総理は自民党の会合でこのように述べたうえで、円安は経済に良い効果をもたらすと指摘。

そりゃあ、ロシアや中国の様に資源があり、欧州の様に内需が潤っているなら円安も恐れるに足りないかもしれないが、資源も無く内需もダメな国で賃金も低いままなのに、どう考えたら円安が経済に良い結果をもたらすのか。。。

資源の乏しい国が円安になれば当然買う時の金額が上がっていき、国民生活は苦しさに喘いでいる。

輸出産業はそれで儲かるかも知れないがごく一部の企業であり、ほとんどが海外から輸入して国内に調達しているのを知らないのか。
当然、価格に転嫁されるわけで、もうどの分野を見てもそう。

知らずに言っているとは思えないが,あまりにホラが過ぎるのではないか。
アベノミクスの失敗を隠す為に「円安は経済に良い効果をもたらす」とあり得ない話をでっちあげているだけじゃないか。

しかも高い金で輸入したら、すべて国内の商品に転嫁されるから物価高が続くわけで。。。

安倍は「悪い円安論は間違っている」と。

間違っているも何も、これだけ庶民生活をズタズタにしている円安は悪いに決まっている。

アベノミクスの推進に欠かせないのが日銀黒田で、今となっては他国の様に金利を上げたくても引き上げれば当然、政府の利払い負担は増加する訳で、財政を圧迫することが分かっているのでやるにやれない。

今まで安倍はアベノミクスで10年間で150万アップの年収にすると豪語してきたが、アップどころが年々実質賃金は下がり続けている。

それを認めたくないあまり、何を血迷ったか「円安は経済に良い効果をもたらす」だと。
寝言は寝て言えの類の戯言だ。

しかし先週モーニングショーに出演していた「ミスター円」こと榊原が「今の円安は金融政策の差。今後についても、日本は成熟段階に至った国で、弱くなっているとは思わない」とのたまっていたが、全然賛成できなかった。

日本の経済は成熟期どころか衰退期に入っているのではないか。
日本の経済に少しも明るい展望がない。
今まで人を育ててこなかったツケがどんどん回り始めていると感じる今日この頃。

28- ウクライナではCIAが住民虐殺作戦(櫻井ジャーナル)

 櫻井ジャーナルが「 ~ ウクライナではCIAが住民虐殺作戦」という記事を出しました。
 ウクライナの現体制は13年11月~14年2月にかけて米国のバイデン副大統領(当時)らが実行したクーデターで出現しました。クーデターの主力として使われたのがネオ・ナチの右派セクターで、それを編成したドミトロ・ヤロシュをゼレンスキーは昨年11月、ウクライナ軍最高司令官の顧問に据えました。
 クーデター後、ウクライナ軍と治安機関SBU(ウクライナ保安庁)はCIAが掌握したとされています。CIAは米軍と表裏一体の形で、ベトナム戦争などでの残虐行為を行ってきましたが、蛮行の詳細については、一部の例外を除いて同行のメディアも公表しませんでした。
 ウクライナでも昨年11月以降、東部ドンバス地方の住民の虐殺作戦が進められ、今年の3月に実行される運びになっていました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
米国の国務長官と国防長官が極秘訪問したウクライナではCIAが住民虐殺作戦
                         櫻井ジャーナル 2022.04.26
 アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースチン国防長官がウクライナのキエフを4月24日に極秘訪問、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と3時間ほど会談したと伝えられている。その会談でアメリカ側はさらなる軍事面や外交面の支援を約束、キエフのアメリカ大使館を再開する睨み、リビウへ外交官を入れるという。
 アメリカは従属国も利用して兵器を含む軍事物資をウクライナのクーデター体制へ供給しているようだ。その行先がどこか不明だとアメリカ政府は主張しているが、ロシア軍の攻撃で相当量が破壊されているだろう。2011年にリビアを軍事侵攻した際にはベンガジのアメリカ領事館が武器や戦闘員を輸送する拠点として利用されていた。アメリカ大使館をCIAは秘密工作の司令部として利用してきたが、それだけでなく兵器のデポ(⇒預け先)として利用するつもりなのだろう。

 ウクライナの現体制は2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権が実行したクーデターで出現した。その主力として使われたネオ・ナチの右派セクターは2013年11月、ドミトロ・ヤロシュとアンドリー・ビレツキーによって編成されている。
 ヤロシュは2007年にNATOの秘密部隊ネットワークに参加、その年の5月に欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議がウクライナのテルノポリで開かれたが、その議長をヤロシュが務めている。その当時、アメリカのNATO大使を務めていた人物がヌランド。ゼレンスキーは昨年11月2日、ヤロシュをバレリー・ザルジニー ウクライナ軍最高司令官の顧問に据えた。
 ウクライナの治安機関SBU(ウクライナ保安庁)の長官に就任したバレンティン・ナリバイチェンコはクーデターの前からCIAに協力していた人物で、隊員の個人ファイルをCIAに渡していたと言われている。軍と同様、治安機関もCIAが掌握しているわけだ。2018年にロシアへ亡命したSBUの将校、バシリー・プロゾロフもSBUは2014年からCIAからアドバイスを受けていたと語っている。
 クーデターで排除されたビクトル・ヤヌコビッチ大統領は東部と南部を地盤とする政治家。南部のクリミアでは2014年3月16日にロシアへの加盟を問う住民投票が実施、80%を超える住民が投票に参加して95%以上が加盟に賛成しているが、憲法を破壊したクーデターを支持する西側の人びとは民意を否定する。

 対応が遅れたオデッサでは反クーデター派の住民が虐殺され、ドンバス(ドネツクやルガンスク)では戦闘が始まる。その際、ウクライナの軍、SBU、ベルクト(警官隊)の少なからぬメンバーが反クーデター軍へ参加、戦闘はドンバス軍が優勢だった。
 そこでオバマ政権はテコ入れのためにCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込み​、​傭兵会社「アカデミー(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名をウクライナ東部の制圧作戦に参加させたとも伝えられている。また​CIAは2015年からウクライナの特殊部隊員をアメリカ南部で訓練しているという。
 ル・フィガロ紙の特派員、ジョージ・マルブルノはウクライナでの取材を終えて帰国した後、アメリカ陸軍のデルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)が戦闘に参加している事実を伝えている。
 クーデター当時、ヤヌコビッチ大統領派の議員だったオレグ・ツァロフは2月19日に​「大虐殺が準備されている」という緊急アピールを発表した。ゼレンスキー大統領がごく近い将来、ドンバスで軍事作戦を開始するという情報をキエフから得たとしている。
 その作戦ではドンバスを制圧してからキエフ体制に従わない住民(ロシア語系住民)を「浄化」、つまり皆殺しにすることになっていて、西側からの承認を得ているともしていた。SBUはネオ・ナチと共同で「親ロシア派」の粛清を実行することにもなっていたともいう。住民虐殺の責任を西側の政府や有力メディアはロシアに押し付けるつもりだったのだろう。
​プロゾロフによると、SBUの「死の部隊」は暗殺、誘拐、拷問を実行、そのターゲットのひとりはルガンスクのクーデター政権が支配している地域の市長で、ロシアと問題を話し合いでの解決しようとしていたボロディミル・ストルク。3月1日に誘拐され、拷問された上で胸を撃たれて死亡した。
 また、3月5日にはロシアと交渉しているチームのひとり、デニス・キリーエフがキエフの路上で治安機関SBUの隊員に射殺され、3月7日には殺されたゴストメルのユーリ・プライリプコ市長の死体が発見されている。4月25日現在、ウクライナでは11名の市長が行方不明だともいう。
 ゼレンスキー政権は3月後半、ロシア語系住民を支持基盤とする11の政党を禁止している。そうした政党のひとつを率いるビクトル・メドヴェドチュクは昨年から軟禁状態だったが、今年4月に逮捕され、手錠をかけた姿を撮影した写真が公開された。ウクライナ側はメドヴェドチュクとウクライナ兵との交換を求めている。
 SBUや親衛隊(ネオ・ナチ)はCIAの指揮下にあるが、現在、ウクライナで行われている「親ロシア派狩り」はベトナム戦争の際にCIAと特殊部隊が行った住民皆殺し作戦「フェニックス・プログラム」、あるいはラテン・アメリカでCIAが現地の軍人で編成した「死の部隊」に酷似しているとも指摘されている。
 フェニックス・プログラムは1967年6月、MACV(ベトナム軍事支援司令部)とCIAが共同で実行した「ICEX(情報の調整と利用)」として始まった。その名称はすぐに「フェニックス・プログラム」へ変更される。殺人担当チームは軍の特殊部隊から引き抜いて編成されたが、命令はCIAから出ていた。

 そうした秘密工作の実働チームとして動いていたのは、1967年7月に組織されたPRU(地域偵察部隊)という傭兵部隊。この部隊を構成していたのは殺人やレイプ、窃盗、暴行などで投獄されていた囚人たちが中心で、「ベトコンの村システムの基盤を崩壊させるため、注意深く計画されたプログラム」だ。
 CIA長官としてウィリアム・コルビーはフランク・チャーチ上院議員が委員長を務める特別委員会で証言、その中で「1968年8月から1971年5月までの間にフェニックス・プログラムで2万0587名のベトナム人が殺され、そのほかに2万8978名が投獄された」と語っている。
 コルビーはアレン・ダレスの側近のひとりで、1959年から62年までCIAサイゴン支局長、62年から67年までは極東局長、そして68年から71年まではフェニックス・プログラムを指揮していた。
 1968年3月にソンミ村のミ・ライ地区とミ・ケ地区で農民が虐殺されているが、これもフェニックス・プログラムの一環だったと見られている。この事件はアメリカ陸軍の第23歩兵師団第11軽歩兵旅団バーカー機動部隊第20歩兵連隊第1大隊チャーリー中隊に所属するウィリアム・カリー大尉の率いる第1小隊によって実行された。犠牲者の数はアメリカ軍によるとミ・ライ地区だけで347人、ベトナム側の主張ではミ・ライ地区とミ・ケ地区を合わせて504人だという。
 1968年、コリン・パウエルは第23歩兵師団の将校として南ベトナムに入っている。2004年5月にCNNのラリー・キング・ライブに出演した際、その師団がソンミ村で住民を虐殺、後で自分も現場へ入ったと語っている。パウエルは上官が聞きたくない情報をもみ消すことに長けていたとも言われている。

 この虐殺は従軍記者や従軍カメラマンも知っていたのだが、報道していない。事件が広く知られるようになったのは、兵士の告発を知り、取材したシーモア・ハーシュの書いた記事をAPが配信してからだ。

 アメリカ軍の従軍記者や従軍カメラマンはアメリカにとって不都合な事実は伝えない。ウクライナでもアメリカの政府や有力メディアはベトナム戦争の時と同じことをしている。いや、当時より言論統制は厳しくなっている。 

2022年4月27日水曜日

米国こそが「ならず者国家」(植草一秀氏)/ノーム・チョムスキー動画

 植草一秀氏が「米国こそが『ならず者国家』」とする記事を出しました。

 同氏は、「紛争の解決のために武力を用いることは避けねばならず、この意味でロシアの行動は非難されねばならないが、紛争の解決に武力を用いてきたのはロシアに限られていない。紛争の解決に武力を用いてきた筆頭が米国であり、国連決議によらず一方的な軍事侵略を繰り返してきた」として、「ロシアの戦争犯罪を論議するなら米国の戦争犯罪も論議する必要がある」と述べています。
 今回の戦乱は、国連安保理で決議され、国際法の地位を獲得した「ウクライナ東部2地域に対する自治権付与を定めた2015年のミンスク合意2」が誠実に履行されていれば起きなかったのに、ゼレンスキー政権は米国と結託してミンスク合意を踏みにじり、ロシアに対する軍事挑発を続けたと述べました。
 そして米国の「知の巨人」ノーム・チョムスキー氏が「ウクライナ戦争とアメリカの巨大な欺瞞」について語っている動画(日本語字幕付き)を紹介し、じっくりと視聴されたいと述べています。以下に紹介します。
 併せて、レイバーネット日本に掲載された牧子嘉丸氏の「チョムスキーの心頭を突く発言〜動画『ウクライナ戦争とアメリカの巨大な欺瞞』を見る」を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
米国こそが「ならず者国家」
               植草一秀の「知られざる真実」 2022年4月25日
3月2日の国連総会緊急特別会合における「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」採択で、賛成した国は193ヵ国中の141ヵ国。
他方、非賛成は、反対5ヵ国、棄権35ヵ国、意思表示なし12ヵ国の合計52ヵ国。
国の数では賛成が多いが、賛成、非賛成の国の人口合計では様相が逆転する。
賛成国の人口合計は32.2億人。
非賛成国の人口合計は45.3億人。
比率は賛成国41.5%に対し、非賛成国58.5%。

4月20日に米国のワシントンで開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議。
米国はロシアを非難し、ロシアに対する経済制裁強化を決定することを目論んだ。
しかし、G20は共同声明を発表できず、ロシア代表発言時の退席も米、英、加、豪の4ヵ国にとどまった。
G20でロシアに対する経済政策に加わっている国は10ヵ国(EUを1ヵ国として)。
経済制裁を実施していない国も10ヵ国。
人口比では制裁参加国が9.0億人で19%であるのに対し、制裁非参加国が38.4億人で81%だった。
衰退する欧米と勃興する新興国。衰退する欧米が対ロシア制裁を行い、勃興する新興国が対ロシア制裁に加わっていない。

紛争の解決のために武力を用いることは避けねばならない。
この意味でロシアの行動は非難されねばならない。
しかし、紛争の解決に武力を用いてきたのはロシアに限られていない。
紛争の解決に武力を用いてきた筆頭が米国である。米国は国連決議によらず、一方的な軍事侵略を繰り返してきた。アフガニスタン侵攻、イラク侵攻など、枚挙に暇がない。
2003年に勃発したイラク戦争は米国による侵略戦争である。
イラク戦争で虐殺されたイラクの民間人は10万人から100万人と推定されている。
ロシアの戦争犯罪が論議されているが、ロシアの戦争犯罪を論議するなら米国の戦争犯罪も論議する必要がある。
また、ウクライナ戦乱におけるロシア軍の戦争犯罪を論じるなら、ウクライナ軍によるドンバス地方における戦争犯罪も論じる必要がある。
ウクライナ政府は2004年と2014年に転覆されている。米国が主導した政権転覆であると見られる。
2014年政権転覆は米国がウクライナの極右勢力と結託して発生させた暴力革命による政権転覆だった。樹立された新政府に正統性がなかった。

この非合法政府の樹立にウクライナ国内の親ロシア勢力が反発した。その結果として東部2地域で内戦が勃発した。他方、クリミアでは住民が住民投票によってロシアへの帰属を決定した。東部2地域で発生した内戦を収束するためにミンスク合意が締結された。
2015年のミンスク2は国連安保理で決議され、国際法の地位を獲得した。このミンスク合意2に東部2地域に対する自治権付与が定められた。
ミンスク2が誠実に履行されていれば今回の戦乱は発生していない。ウクライナのゼレンスキー政権は米国と結託してミンスク合意を踏みにじり、ロシアに対する軍事挑発を続けた。

米国はロシアが軍事行動に踏み切るように誘導した。相手に先に手を出させて、戦乱を発生させる手口は日米戦争と同じ。
米国はロシアを戦争に引きずり込んで、ウクライナを舞台にロシアを疲弊させることを目論んでいる。
戦乱長期化、戦乱拡大で被害を蒙るのがウクライナの市民である一方、戦乱長期化、戦乱拡大で法外な利益を得るのが米国の軍産複合体。
米国はロシアの戦争犯罪を訴えるが、戦争犯罪を裁く国際刑事裁判所の役割を否定し続けてきたのが他ならぬ米国である。

米国の「知の巨人」ノーム・チョムスキー氏が「ウクライナ戦争とアメリカの巨大な欺瞞」について語っている。
⇒ https://bit.ly/3Oy5jEh (日本語字幕付き動画 62分)じっくりと視聴されたく思う。
チョムスキー氏は「米国こそがならず者国家である」と喝破している(チョムスキー氏動画39分06秒の発言)。

『日本経済の黒い霧 ウクライナ戦乱と資源価格インフレ 修羅場を迎える国際金融市場』
(ビジネス社、1870円(消費税込み))https://amzn.to/3tI34WK をぜひご高覧ください。
             (以下は有料ブログのため非公開)

チョムスキーの心頭を突く発言〜動画「ウクライナ戦争とアメリカの巨大な欺瞞」を見る
                  牧子嘉丸 レイバーネット日本 2022-04-26

⇒ ノーム・チョムスキー動画(1時間2分)

 この動画を見てすぐに思い出したのは、ロシア映画の話題作「親愛なる同志たちへ」である。これは1962年スターリン亡き後の冷戦下のソ連で起こった「ノボチェルカッスク事件」を女性の視点で描いた作品である。ウクライナに近いロシア南部ノボチェルカッスクの機関車工場で発生した労働者のストライキに端を発したこの弾圧事件は、ソ連崩壊までの30年間隠蔽され続けてきた。
 84歳のアンドレイ・コンチャフスキー監督はソ連邦最大の労働者蜂起の悲劇を掘り起こして、歴史の真実と祖国への愛憎を映像で表現し記録した。私がチョムスキーの動画を見て、この作品を思いうかべたのは、何より自国の歴史に真摯に向き合う姿勢が共通しているからだ。
 チョムスキーはロシアのウクライナ侵攻を主権国家への重大な侵犯・侵略であるという厳しい批判を前提にして、同時に西側やNATO、またアメリカにそれを糾弾する資格・権利があるのかと問う。特に自国アメリカが、ベトナム・ニカラグア・アフガン・イラク等に侵攻し、独立国家の主権を踏みにじり、政権を転覆させるためにいかに多くの市民を戦闘に巻き込んできたかを振り返る。
 その具体的な指摘に、いまさらながらアメリカの戦争犯罪の歴史に慄然とする。その戦争犯罪の張本人が、今プーチンの戦争犯罪を非難できるのか、その資格があるのかと厳しく自国の指導者に問いかけている。
 人権問題でも環境問題でも核禁止条約でも、必ず自分たちは免れる特権条項を設けて、他国には厳しく、自国には大甘な対外政策にも言及し、その意外な事実にも驚かされる。

 今回の侵攻を受けて、「こんなことが21世紀の現代に起こるとは」という発言を何度も耳にした。たしかにその通りなのだが、イラク・シリア・パレスチナ・ミャンマーと戦火が止んだことはないのも事実だった。そのときは傍観的な姿勢で報道しながら、今の反ロシアの大合唱は人々の思考・懐疑をストップさせ、歴史の真実追求を麻痺させている。
 橋下徹や東国原英夫らは論外だが、ロシア・スラブ研究家という女性教授らの発言も現象面だけの説明であり、頻繁にテレビ出演する元自衛隊出身の解説者も要するに軍備の拡張・増強へと向けるように視聴者の不安を煽っている。

 ロシアの現在を見て、かつての自国の暴虐・弾圧・侵略の歴史を反省しようなどというコメントはもちろん、ましてアメリカの戦争犯罪の歴史を教訓にしようなどという意見は聞いたこともない。
 池上彰は「ロシアはウクライナを今の朝鮮半島のように南北分断化しようとしているのでは」と物知りセンセイらしく発言していたが、その分断化の原因が日本帝国主義の植民地支配にあったなどとは口が裂けても言わない。こんな程度の歴史観で世界情勢の解説を得々とやっているのだ。
 芸能人のコメント、大学教授の解説、自衛官出身者の軍事評論と毎日垂れ流される情報のなかで、一元的な善悪論を身に着けていないだろうか。そんな疑問をかすかに感じながらも日常に流されているなかで、このチョムスキーの発言ははっと心頭を突くものがある。

 無明のなかの明かりであり、混迷のなかのしるべでもある。最初1時間はちょっと長いなあと正直思ったのだが、インタビュアーとの明確・明晰なやりとりに時を忘れて聞き入ったのである。すぐれた歴史的洞察と公正な知的探求心、そして何によりも旺盛な批判的精神にあふれた内容については私の下手な要約より、ぜひお聞きください。
 翻訳の労をとってくださった方や配信していただいた方にお礼申し上げます。(レイバーネット会員)

ウクライナ危機に便乗しまたぞろ入管法改定案(しんぶん赤旗)

 ロシアのウクライナ侵攻から逃れた人々の保護を理由に、政府は、昨年廃案に追い込まれた入管法改定案を再提出する動きを見せています。

 政府は、紛争地から逃れたウクライナ人は条約上の難民に該当せず「避難民」だとして、入管法改定案に盛り込まれていた「補完的保護対象者」で受け入れると主張しているということです。
 しかしこれは難民申請者が「政府などの迫害主体から把握され、標的にされていなければ難民ではない」とする、他の先進国にない認定基準(個別把握説)に拠っているためで、現行法の「人道配慮措置」で難民並みの受け入れは十分できます。それを敢えて現行法を改定しようとするのは、難民保護を強化させるどころか後退させるもので、難民鎖国状態を強化するものです。
 しんぶん赤旗が報じました。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ウクライナ危機に便乗 またぞろ入管法改定案 火事場泥棒に他ならない 
      名古屋入管死亡事件の遺族代理人 弁護士 高橋済さん,ニ聞く
                        しんぶん赤旗 2022年4月26日
 ロシアのウクライナ侵略から逃れた人々の保護を理由に、政府は、昨年廃案に追い込まれた入管法改定案を再提出する動きを見せています。名古屋市内の入管施設で昨年死亡したスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんの遺族代理人を務めた高橋済(わたる)弁護士に聞きました。(斎藤和紀)

 難民条約は、「人種、宗教、国籍、特定の社会集団の構成員、政治的意見」の五つの理由で「迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖」がある人を難民と定義しています。政府は、紛争地から逃れたウクライナ人は条約上の難民に該当せず「避難民」だとして、入管法改定案に盛り込まれていた「補完的保護対象者」で受け入れると主張しています。
 しかし、それではウクライナの方々は救われません。なぜなら「迫害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖」という難民条約と同様の要件を課しているからです。

難民鎖国の元凶は
 日本の難民制度ではこの要件が厳格に解釈されており、難民申請者が政府などの迫害主体から把握され、標的にされなければなりません。例えば香港なら周庭さん、ミャンマーならアウンサンスーチーさんは難民認定されるでしょうが、一般のメンバーは「迫害を受ける恐れはない」とみなされ認定されません。こうした他の先進国にない認定基準は「個別把握説」と呼ぱれ、日本が難民鎖国となっている元凶の1つです。ウクライナ侵略で無差別攻撃から逃れた人は、個別把握脱を課した補完的保護では保護されません。
 そもそもウクライナの戦争避難民を一律に「難民ではない」とする政府の主張は間違いです。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のガイドライン(2016年)は、難民認定について「二つ以上の国家間における暴力」が含まれると明記しでいます。ウクライナから逃れる人々も個別把握説を放棄すれば十分に条約難民にあたりうるので個別に難民認定し、条約難民でない場合は現行法の「人道配慮措置」で難民並みの受け入れは十分できます。

保護強化どころか
 現行法で対応可能なのに、なぜ政府は入管法改定案を再提出しようとするのか。ウクライナ危機を□実に、廃案に追い込まれた入管法改定案を復活させるためでしょう。古川禎久法相はNHK番組で、「仮に去年(入管法改定案が)できていればウクライナ避難民を対処できた」とし、送還問題などを挙げ「この前のように一体的な見直しを目指す」と述べました。
 改定案は、難民保護を強化させるどころか後退させるもので、国際社会からも厳しく批判されました。3回以上の難民申請者を強制送還できる制度や退去強制に従わない者への刑事罰を創設し、国際法違反の無期限収容を維持しています。そもそもウクライナ人の保護と、強制送還や長期収容の問題は関係ありません。「ウクライナ避難民を救うため」と言って、難民保護を後退させる法案を通そうとするのは、火事場泥棒に他なりません。

国際基準と同等に
 昨年、立憲民主党や共産党などの野党が参議院に共同提出した難民等保護法案は、「戦争、内乱、大規模な人権侵害」により日本に逃れた人を保護すると明確に盛り込んでいます。政府・与党は野党に責任転嫁しますが、むしろ野党案を審議して通しておけば、適切に保護できていました。
 政府はウィシュマさんの死亡事件の原因究明もせず、在留資格のない人を人間扱いせず長期収容できる、人権無視の実態は変わっていません。難民認定基準を国際基準と同等にすることや、生命や人権保護を目的とした独立の難民保護機関の設置などが必要です。