「平和憲法を守る荒川の会」(東京都荒川区)主催の「平和憲法からこの国の今を問う」シンポジウムが5日に開かれ、その報告が、「レイバーネット日本」のホームページに掲載されました。
それによるとシンポジウムは、草の根の運動を続けている同会が年次総会の催しものとして行ったもので、会員たち約40人が集まったということです。
会場の熱気と怒りの伝わるシンポジウムの記事を、以下にそのまま紹介します。
元の記事は下記のURLにアクセスすればご覧になれます。
そこには会の雰囲気が分かる3枚の写真が添付されています。
http://www.labornetjp.org/news/2012/1005arakawa
福島の放射能の高さに関連して「南相馬市、自家消費用食品37件がセシウム基準値超」に続き、「福島原発周辺で大幅増加も 川底の放射性物質調査」の記事を追加
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(文中の一部太字化は事務局が行いました)
報告:東京・荒川で「平和憲法からこの国の今を問う」シンポジウム
10月5日、「平和憲法からこの国の今を問う」と題するシンポジウムが都内で開催され、3人のパネリストが緊迫する今日の情勢について、それぞれの立場から問題提起をした。
主催したのは東京・荒川区と周辺の市民有志で構成する「平和憲法を守る荒川の会」。草の根の運動を続け、年次総会のプログラムとして企画した。会場の町屋文化センターには、会員ら約40人が集まった。
開会後、同会のこれまでの活動を記録した写真が上映された。共同代表の森谷新さんは基調提案として、「平和憲法の危機」、「脱原発の闘い」、「基地撤去・オスプレイ配備反対の闘い」、「平和・人権問題の闘い」と、4つの項目で発言。「問題山積の現在、平和憲法を社会の隅々まで生かす活動が求められています。みなさん、共にがんばりましょう」と呼びかけた。
■惨事便乗型改憲論
「大震災の後は、日本が大きく反動化する可能性がある」。領土問題を論じる国際会議をキャンセルして駆けつけた高田健さん(許すな憲法改悪!市民連絡会)。冒頭で あるジャーナリストの言葉を紹介した。当初実感がわかなかった発想だが、時間が経つにつれ、その予告通りに事態は進んでいく。
ナオミ・クラインは著書で「惨事便乗型資本主義」による新自由主義のさらなる収奪強化を語っているが、現在、「惨事便乗型改憲論」が噴き出していると高田さんは指摘。昨年5月から憲法審査会が動き出したこと。自民党総裁選候補に、党内のタカ派ばかりが集まった事例を挙げた。
今年は「日中国交正常化40周年」にあたり、本来ならアジアの友好・共存関係を確認し、双方に祝福ムードが盛り上がるはずだった。ところが都知事石原には、これがどうしても許せなかった。そこでみずから「尖閣問題」に火をつけ、挑発的な世論を煽っていった。
「それでも、関東大震災以後の治安維持法制定当時と今では、民衆の成熟度が明らかに違っている。中国、韓国、台湾、沖縄と、変わりつつある本土の運動が連帯して、戦争の動きに反対していくことができる」。「大震災、改憲、領土問題。一連の出来事がしっかりと結びついている。これにどう立ち向かっていくか。そういうことを一生懸命考えながら、毎日バタバタと活動しています」。高田さんは、穏やかだが確信に満ちた語り口で、聴衆を引き込んだ。
■福島は社会の矛盾の頂点
いつも切ない思いで福島に帰るという椎名千恵子さん(放射能から子どもを守る福島ネットワーク)は、県民の厳しい暮らしぶりを淡々と語った。活動の柱は、保養・防護・情報共有・行政対応の4つ。原発事故の責任を追及する訴訟のかたわら、子供たちの健康を守るため診療所建設運動も担う。
福島に戻る人は、放射線量の高さを、自身の体調の変化で敏感に感じ取るという。昨年5月頃から鼻血を出す子ども、心因性疾患で倒れるケースが増えてきた。子供と高齢者がバタバタと死んでいく。
不十分な医療体制のなかで、やっと検査が受けられても、結果には納得できない。見つけられたしこりやのう胞がどこにいくつあるのか。詳細はいっさい知らされず、次回の検査は2年後だ。転々とした避難先の最後の地で「即手術」と宣告された30代の女性もいた。そんな深刻な情報がいくつも伝わってくる。
健康管理調査検討委員会の「準備会」を、県が密室で開いていたことが明らかになった。人々の不安や不信感を抑え込み、紛争を封じるためのシナリオが、事前に作られていたのだ。
「復興」が声高に叫ばれ、「全国大会」と名のつくイベントが頻繁に行なわれている。それに子供たちが駆り出されている。危険な高線量地帯で「花火大会」「餃子大会」など、有名人を使って全国から無料で被ばく地に呼ぶ。安全安心の一大キャンペーンが張られている。
「今の社会の矛盾の頂点が福島です。ぜひ、福島の現実に目を向け続けてほしい」。椎名さんは一語一語をかみしめるように報告した。「子供たちの精神状態はどうなのか」と会場から質問があった。私の孫の世代、中学生くらいになると、「私たちはもう子供産めないのよね」とふてくされる。散歩をすれば「被ばくしてきちゃった」と吐き捨てる。そんな言葉を耳にするたびに心が痛
む。「放射能」というファクターは、もはや福島の日常の暮らしから切り離せない。子供たちを導くバイブルは、いったいどこにあるのか。それは誰がつくるのか。椎名さんは、子供たちの将来に思いを寄せ、何度も言葉を詰まらせた。
■沖縄だけの問題ではない
「憲法への憧れと情熱は、本土の人々以上だった」と切り出したのは、沖縄反戦地主会関東ブロックの木村辰彦さん。1959年に那覇で生まれた。戦後の沖縄に適用されたのは、平和憲法の基本的人権ではなく日米安保だった。それでも「本土復帰」では、強制的に取り上げられた県民の軍用地が地主に戻ってくると信じていた。だが71年の沖縄国会で復帰後も強制収容の継続が決まった。
岩国に強行配備されたオスプレイ12機のうち、すでに3機が整備不良で飛べない。まさに欠陥機だ。普天間のゲート前では自民党議員も座り込んでいる。配備反対の闘いに、保守・革新の違いを超えて、県民が総ぐるみ、一丸となって闘っている。
横田基地にもオスプレイが来る。東京の上空も飛ぶかも知れない。沖縄の人々は長い間「自分たちの痛みを他者に押しつけない」と耐えてきた。しかし、これ以上本土の人々が沖縄の現状に無関心でいるなら、「基地は本土に持って行ってくれ。そうすれば初めて沖縄の痛みがわかるだろう」と言い出すところまで運動が追い込まれている。なぜここまで、沖縄ばかり差別するのか。
木村さんは何度も「オスプレイ、普天間、高江。これは沖縄だけの問題ではない」と強調。本土の人々に、もう一度一緒に闘ってほしいと呼びかけた。
今回で6度目を数える「荒憲の会」総会。発言者の誰もが、怒りと悔しさをにじませながら、それでも負けずに、現実に立ち向かっていく決意を共有した。
フィナーレは椎名さんの指導による「かんしょ踊り」。忙しい秋の闘いに向け、連帯の大きな輪が回り出した。(Y)
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(福島の放射能の高さに関連した最新の記事:事務局)
福島原発事故 南相馬市、自家消費用食品37件がセシウム基準値超
毎日新聞 2012年10月10日 福島地方版
南相馬市は、9日の市災害対策本部会議で、9月に実施した自家消費用食品の放射能簡易分析結果を公表した。市内8施設に持ち込まれた510件のうち、225件から放射性セシウムを検出し、37件が基準(1キロ当たり100ベクレル)を超えた。ウナギ(原町区桜井町)同1040ベクレル▽ミョウガ(同区高倉)同685ベクレル▽クリ(同区馬場)同471ベクレル▽ユズ(同区上高平)同314ベクレル▽アユ(鹿島区横手)同251ベクレル▽スダチ(同区浮田)同132ベクレル−−など。
流通していないが、注意が必要だ。【高橋秀郎】
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(10/12追加)
福島原発周辺で大幅増加も 川底の放射性物質調査
東京新聞 2012年10月11日
環境省は11日、福島県内の河川や湖沼など計193地点で、水底の土壌に含まれる放射性セシウム濃度を測定した結果を公表した。緊急時避難準備区域だった真野川(南相馬市)の川底土壌で1キログラム当たり1万5900ベクレルを検出し、今春の前回調査(1820ベクレル)の約9倍となるなど東京電力福島第1原発周辺の一部で大幅に増加した。
環境省は「水流などの影響で放射性物質が移動し増加した可能性も考えられ、継続した調査が必要」と指摘。全体的には横ばいや減少傾向が多かったと分析している。
最高値は浪江町の農業ため池の土壌で9万6千ベクレルだった。 (共同)