2012年10月20日土曜日

国と専門家の大転換を求める・・・武田邦彦氏の緊急提言 +


 武田邦彦教授が、福島の子供たちの甲状腺異常に関して、「何も言えない子供たち」になり代わって緊急提言を行いました。
 「科学的にまだ確実でないから」という理由で必要な処置を講じないことは、1992年に発せられた『リオ デ ジャネイロ宣言』 : 「予防原則」の「原則15」に反するというものです。
福島で3年以降になって甲状腺ガンが『科学的に確実になった』ときには、既に悲劇は殆ど完了していると言えるわけですから、20年前に行われたこの宣言は、今日の福島を見据えたもののようにすら思えます。 

以下に緊急提言の1及び2を紹介します。
(同氏はインターネットで自由に閲覧できる記事や科学論文には「著作権」はない、を持論にしている方です。)
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Help !! 緊急提言 1  国と専門家の大転換を求める
武田邦彦 中部大学教授 平成241018
元原子力安全委員会専門委員)

この緊急提言を行うきっかけは福島の子どもたちの甲状腺異常です。次の事実を踏まえて提言をします。でも、この提言の内容は2010年までは日本の常識であり、むしろマスコミ、知識人などが主張していた事でもあります。
また、Help助けて!)と冒頭につけたのは、被曝が進んでいる子どもたちの声を代わりに言いました。子どもたちは教育委員会、自治体、農家と違って声が小さく、被害だけを受けています 

.) 通常の小児の甲状腺異常(結節など)は100人に1人程度。多くても3人。
2) 福島の子どもたちの100人に約40に異常が発見され、特に小学生の女児は55に及んだ。
3) 甲状腺異常がガンになるのは大人で100人に数人だが、子どもは20人から30(小児科専門医からの情報による)。
4) 放射線の被曝による損害は5年(大人、子どものデータは不足しているが3年ぐらい)の余裕がある。
5) 従って、被曝による影響は「重大あるいは取り返しのつかない損害」が発生する可能性がある。 

これを踏まえて、
  第一に、日本が国際的に約束している「予防原則」に立脚すること、

予防原則原則15
環境を防御するため各国はその能力に応じて予防的方策を広く講じなければならない。重大あるいは取り返しのつかない損害の恐れがあるところでは、十分な科学的確実性がないことを、環境悪化を防ぐ費用対効果の高い対策を引き伸ばす理由にしてはならない    (リオ デ ジャネイロ 宣言 1992) 

この予防原則は日本も参加した国際宣言であり、環境を大切にすると言ってきた日本がこれを破ることはできない。すでに事実の一部が福島で明らかになっている。
また、チェルノブイリの事故の前後で、ベラルーシとウクライナの人口が急減している。人口減少の主たる原因が死亡率の増加と出生率の低下であることが明らかで、チェルノブイリの事故との因果関係について「科学的確実性」をもっていないが、福島、関東、東北の人口が急減する可能性が高い。 

これだけの証拠があって、「科学的確実性」を求めて対策を遅らすことは不適切である。
政治、専門家は一日でも早く、予防原則に戻り、国民に対する誠意を取り戻さなければならない。
それができなければ政府、自治体の責任ある立場の人は退陣し、かつ起こったことのすべてに私財を投じて弁済しなければならない。 

Help !! 緊急提言 2 子どもたちに被曝から守る法令を適応せよ
武田邦彦 中部大学教授 平成241020

 (前 略)政府、自治体、教育関係者、専門家など、日本人を被曝から守る法令を原発事故に適応することを決定しなければならない。法令遵守の精神に帰れ!! 

法令で定めていること、
 .) 被曝はできるだけ減らさなければならない
 2) 一般人は人為的原因で受ける外部被曝と内部被曝の合計を11ミリ以下とする
 3) 福島市を周辺とした地域の多くが外部被曝だけで11ミリを超える
 4) 食品安全委員会は水から「現在の食品安全基準は食品からの内部被曝だけで11ミリとして、1キロ100ベクレルとした」と言っている
 5) 1平方メートル4万ベクレルを超える地域は、汚染させた人が直ちに除染しなければならない

これらの法令の基準は「学問的背景を持って決められており」、原子炉関係の規定が不十分な場合、国民、特に子どもの健康を守るために、それを2011年の福島原発事故に適用するのは当然である。 

文科省は福島原発事故の適応法令は原子炉の法令であり、国民を被曝から守る法令は適応されないとしている。(通達の画像は省略)
この通達は文科省がだした通達だが、意味するところは「原子炉の事故だから、原子炉の法律を適応する。それが不備かどうかは無関係」という内容だ。
しかし、原子炉関係の法令が不備だからという理由で、文科省が子どもの被曝を増やす方向の判断をする権限はないと考えられる。むしろ経産省などが子どもの被曝を高める決定をしたときに子どもを守る立場から、あくまでも、日本国全体はこれまでずっと11ミリと、1平方メートル4万ベクレルの規制で守ることを訴えることが求められる。

しかし、それは行われていない。従って子どもは被曝を続けている。緊急に、政府、自治体、専門家、医師は日本の子どもたちを被曝から守る必要がある。もしできなければ辞任し、任期の間に起こった疾病については私財なげうって購う必要がある。そういう性質のことが今、起こっているという認識がもっとも重要である。
下の図は、電力会社が自らの従業員の健康を守るために自主規制していた被曝量が11ミリだったことを示すものです。文部省はなぜ大人より多い被曝をこどもにさせようとしているのか? (グラフ画像は省略)