原子力規制委員会は23日、原発の安全審査で考慮する活断層の定義を、これまでの「13万〜12万年前以降活動したもの」から、「40万年前」以降に範囲を拡大する方向で検討することになりました。
もともと活断層の定義は「この数十万年間に活動した断層」の筈を、原発対象ではそれを「13〜12万年前以降」に制限したために、これまでは、この12~13万年間に活動したことの確認が必要になっていました。この見直しにより、全原発についてエリア近くの活断層について再点検する可能性が出てきました。
まだまだ沢山問題のある規制委ですが、大飯原発の活断層調査団に、活断層の専門家で従来の原発の耐震審査に批判的だった東洋大の渡辺満久教授-変動地形学 を加えるなど、活断層のチェックに関しては前向きな姿勢が見られます。
以下に毎日新聞の記事と、建設を再開した大間原発の近くで海底活断層が見つかったという朝日新聞の記事を紹介します。
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規制委:活断層定義拡大を検討 全原発、再点検の可能性
毎日新聞 2012年10月24日
原子力規制委員会は23日、原発の安全審査で考慮する活断層の定義の拡大を検討する方針を固めた。従来は断層の活動時期が「後期更新世(13万〜12万年前)」より最近のものを「活断層」とみなしてきたが、より古い時代までさかのぼることを検討する。24日から作業に着手し、来年7月までに策定する原発の新たな安全基準に盛り込む方針。すべての原発に適用し、この新基準に適合しなければ稼働できなくなるため、全原発で活断層の再点検を迫られる可能性も出てきた。【岡田英】
規制委は23日、関西電力大飯(おおい)原発(福井県)の敷地内を走る断層(破砕帯)が活断層かを調べる調査団の初会合を開催。13万〜12万年前以降に動いた断層を一律に活断層とみなす原発の耐震設計審査指針について、規制委の島崎邦彦委員長代理は会合後、報道陣に「指針が金科玉条ではない。改定するのを踏まえ、参考にはするがとらわれない」と明言した。
そのうえで、従来は対象外だった13万〜12万年前より古い時代に活動した断層を活断層とみなすかについて「そういう可能性はある」と発言した。
現行の原発の指針が13万〜12万年前以降に動いた断層を活断層とみなすのは、周囲に年代推定の指標となる段丘や火山灰が広く分布しているためだ。しかし、島崎氏は地下にかかる力の加わり方(応力場)が現在と同じであれば、活動時期が13万〜12万年前より古くても近い将来に再び動く可能性があるとして、活断層とみなす考えを示唆した。
応力場が変わった時期について、島崎氏は「地域によって異なるが、全国で40万年前くらいまでは同じと考えていい」との見解を示した。
規制委は24日の定例会で、こうした活断層の定義や認定方法も含めた地震や津波に関する基準の見直しを始める。大飯原発の調査団とは別に外部の専門家を交えた検討チームを作って議論し、来年3月までに骨格を示す。
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津軽半島沖に海底活断層 大間原発の南西40~50キロ
朝日新聞2012年10月23日
建設中のJパワー大間原発(青森県)から南西40~50キロの津軽半島東海岸の沖合で、これまで知られていなかった海底活断層が見つかった。産業技術総合研究所の粟田泰夫主任研究員らが日本地震学会で発表した。
新たに見つかった海底活断層は長さ約14キロ。約12万年前以降に活動したとみられる。撓(たわ)んだような地形になっているため「平舘(たいらだて)海峡撓曲(とうきょく)」と名付けた。総延長は不明で、粟田さんは「今後調査する必要がある」としている。
その西には長さ9キロの平舘断層が知られていたが、北西の海域と南の海域にも続き、陸上部分とあわせ30キロ以上に及ぶこともわかった。約1万5千年前以降に活動したとみられる。青森市街地から青森湾へと延びる「青森湾西岸断層帯」(計27キロ)も確認した。
【瀬川茂子】