「30年代に原発ゼロ
を目指す」と宣言した政府が、その舌の根も乾かぬうちに建設の続行を容認して大ブーイングを浴びた「大間原発」の敷地内に、活断層が存在する可能性があることが、同分野研究の第一人者である渡辺満久東洋大教授(変動地形学)らの分析で分かりました。
同教授はこれまで、大飯原発敷地内にF-6活断層があることを指摘したのをはじめ、美浜、もんじゅ、敦賀原発の敷地内にも活断層が存在する可能性を指摘してきました。
このように活断層の疑いがある敷地内に原発が多数建設されてきたことについては、土地の確保が容易な過疎地が候補地に決まると、建設を優先させるために活断層の知識のない専門家たちが、「地盤的にも適地」とする作文を行ったからと言われています。
活断層の判定は、変動地形学や地質学の専門家でないと無理ということで、つい先日原子力規制委が、今後の原発の活断層の調査には日本活断層学会などから推薦を受けた専門家らを加えることを決めました。
大間原発の建設続行については、函館市・北海道からも猛烈な反対の意思表示がされています。活断層の調査結果が注目されます。
東京新聞の記事を紹介します。
「断層審査を厳格化 規制委、旧保安院の基準否定」の記事を追加。
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大間原発敷地に活断層か 上下のずれ専門家指摘
東京新聞 2012年10月3日
電源開発(Jパワー)が建設工事を再開した大間原発(青森県)の敷地内に、10万年前以降に繰り返し動いた活断層が存在する可能性があることが、3日までの渡辺満久東洋大教授(変動地形学)らの分析で分かった。
原子力規制委員会の田中俊一委員長は3日の記者会見で「大間原発に疑義があれば、早急に現地調査を含めた準備をしたい」と、過去の調査資料の点検や新たな調査を検討する考えを示した。
渡辺教授らは既に周辺の地形の分析から近くの海底に未知の活断層があり、原発直下で地震を繰り返してきた可能性を指摘。今回の敷地内の断層は、そうした地震に伴ってずれた可能性があるとしている。 (共同)
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断層審査を厳格化 規制委、旧保安院の基準否定
東京新聞 2012年10月4日
原子力規制委員会(田中俊一委員長)は、関西電力大飯原発(福井県)などで問題化している敷地内断層の評価方法について、旧規制組織の審査方針を否定し、より厳格に安全評価する方針を決めた。
旧原子力安全・保安院は断層のずれの大きさを安全性判断の材料とすることを検討していたが、ずれの大きさの正確な予測は難しいためこれを採用せず、断層が十三万~十二万年前以降に動いたかどうかで評価する。
耐震問題を担当する島崎邦彦委員長代理(東京大名誉教授、地震学)が共同通信のインタビューで明らかにした。島崎氏は「断層が動いたかどうかが、一番のポイントだ」と述べた。
保安院は、原子炉直下の断層でも、地震を起こす活断層との関連がなく、ずれが十分小さいと評価できれば運転継続を可能にする新基準を検討し、規制委に引き継ぐとしていた。島崎氏の考えは、さらに高度な安全性確認を求めるもので、保安院が想定した新基準の導入は困難となりそうだ。
過去の原発建設時の安全審査でも、北陸電力志賀原発(石川県)などの直下断層について、「仮に動いても、ずれは小さく安全性に影響はない」と、重視しなかったことを当時の通商産業省審査官が証言しており、島崎氏はこうした考え方も否定した。
規制委は今月下旬に予定する大飯原発の敷地内断層調査を皮切りに、原子炉直下の活断層が疑われる日本原子力発電敦賀原発(福井県)など計六原発を調べる。日本活断層学会などの推薦を受けた専門家ら約二十人規模の「現地調査団」が実施する。
島崎氏は「活断層調査全体への一般の方の不信感は強い」とし、過去の審査に携わった専門家は、たとえ安全性重視の立場であっても調査団には入れない方針を強調した。
島崎氏は、二〇〇六年に改定した現行の原発耐震指針については、規制委が策定する新安全基準の一部として見直し、来年三月末までに改定案をまとめたいとした。