2012年10月12日金曜日

浜岡原発の再稼働問題の住民投票を県議会が否決 +





静岡県議会は11日、中部電力浜岡原発の再稼働の是非を問う住民投票条例案の原案と、修正案をともに否決しました。これで原発再稼働に関する住民投票条例案は、大阪市議会、東京都議会に次いで、またも議会で否決されました。
浜岡原発は、二つのプレートの重なりの真上に位置しており、そのプレートの重なり部分は「活断層」に他ならないというのが、活断層分野の第一人者である渡辺満久東洋大教授の見解です。
                                                (ユーラシアプレートとフィリピン海プレート)
そうであれば浜松原発は活断層の上に設置された原発なので、直ちに廃炉とするのが本来あるべき姿です。そうしたことを熟知している筈の県会議員が、浜岡原発の再稼働の是非を問う住民投票条例案を否決して、県民投票そのものを行われなくしたというのは不可解なことです。 
 
 東京新聞の記事及び神戸新聞の社説を紹介します。
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浜岡原発住民投票を否決
東京新聞 20121011日 夕刊
 
 静岡県議会は九月定例会最終日の十一日、中部電力浜岡原発(同県御前崎市)の再稼働の是非を問う住民投票条例案の原案と、超党派の議員が提出した修正案をともに否決した。東日本大震災後、実現すれば原発立地県で初となる住民投票は実施されないことになった。原発稼働がテーマの住民投票条例案としては大阪市議会、東京都議会に次ぐ否決。
 
 修正案は賛成十七票、反対四十八票。原案は六十五人全員が反対した。採決は無記名投票で行われた。
 市民団体「原発県民投票静岡」が作った原案は、投票資格を十八歳以上とした点などが問題視され、五日の総務委員会で全会一致で否決された。
 
 十一日の本会議前、自民は議員総会で両案への反対を確認したが、党議拘束はかけないことを決定。民主は議員総会で自主投票を決めた。 
 本会議では、民主党県議団の池谷晴一政調会長が「投票資格は満二十歳以上」「実施は中電の安全対策工事が完了し、国が再稼働の検討を始めた段階」などとする修正案の趣旨を説明。自民は「国策である原発再稼働の是非を住民投票で問うのは妥当ではない」と両案への反対討論をした。修正案に賛同する公明党県議団などが「原案の不備を理由に門前払いはできない」と修正案に賛成討論した。
 
 市民団体は必要数(六万二千人)を大幅に上回る十六万五千人分の署名を集め、八月二十七日に県に条例制定を直接請求。川勝平太知事は実施に賛成する意見を付け、九月十九日の県議会初日に条例案を提出していた。
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【社説】 浜岡原発条例/否決は自治に汚点残した 
神戸新聞20121012 

 静岡県御前崎市の中部電力浜岡原発は災害リスクの大きい原発とされる。東海地震の想定震源域にあり、マグニチュード8クラスの巨大地震と大津波に同時に襲われる危険を秘めるからだ。
 万一の場合の影響の大きさは、東京電力福島第1原発以上とも指摘される。
 住民が再稼働の前に賛否の声を聞いてほしいと願うのは当然だ。しかし、県議会は訴えを退けた。浜岡原発の再稼働の是非を問う県民投票条例案を、5日の原案に続き修正案も否決した。
 原発が地域のためになっているかなど本質的な議論はなく、門前払いに等しかった。原発を抱える県議会の自覚を欠く残念な対応といわざるを得ない。

 浜岡原発は、菅直人前首相が全面停止を要請し、中部電が受け入れて現在に至る。再稼働に反対する市民団体「原発県民投票静岡」が5月から県内各地で署名活動を行い、16万5127人分の有効署名を集めて条例制定を直接請求した。
 川勝平太知事が再稼働の是非を問う条例案を県議会に提案した。その際、知事は住民投票の実施に賛意を示す一方、条例案が投票資格者を18歳以上などとした点について「適切に修正し、条例案を磨いてほしい」と議会側に求めた。

 議会は、はなからその意思がなかったようだ。過半数を占める自民党系会派の対応は、とりわけ誠実さに欠ける。18歳の資格年齢や投票時期などを原案への反対理由に挙げながら、投票を20歳以上などとする修正案には「署名者の意思と異なる」などとして取り合わなかった。
 知事与党の民主党・ふじのくに県議団もふがいない。5日の委員会で自民系とともに全会一致で原案を否決。知事の意向を踏まえ、一部議員が修正案に賛成の公明党とともに修正動議を模索したが、結局、自主投票になった。

 原発稼働の住民投票条例案は大阪市議会や東京都議会でも否決された。国策が地方の民意に左右されるのはふさわしくないとする考えがある。県議会が県民の意思を反映させることに反対なら、議会で堂々と理由を示すべきだろう。姑(こ)息(そく)な対応は批判されても仕方がない。
 住民が前に出ることへの拒否感、警戒感のようなものもあるのではないか。民意を代表する議会が、民意をくみ取るセンスや熱意をなくせば、議会不信はさらに深まる。自覚してほしい。
 原子力規制委員会が危険な原発の再稼働を認めない可能性はあるが、それとは別問題だ。県民の意思を示す機会を議会が奪ったことは自治の汚点となる。