環境保護団体グリーンピースは23日、福島市内315カ所で放射線量を独自に調査した結果、文部科学省のモニタリングポストが置かれた地点の多くで、周辺の線量の方が高いケースがあったと発表しました。
モニタリングポストの土台となるコンクリートや、鉄板を敷いたための遮蔽効果や、設置時にそこだけ地面を除染したことが原因とみられ、「政府は住民に誤った安心感を与えるべきではない」と、より正確な線量を公表するよう改善を求めました。
また除染後に住民が早期に帰還する予定の飯舘村でも、95カ所で放射線調査を行った結果、かなり高レベルのホットスポットが確認されたということです。
グリーンピースのプレスリリースを元に、中国新聞の記事などを参照して一部読みやすく修正したものを、以下に紹介します。
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福島市内のモニタリングポスト 信頼性に疑問
グリーンピース放射線調査、福島市と飯舘村で実施
グリーンピース プレスリリース 2012年10年23日
国際環境NGOグリーンピースは10月23日、福島県の福島市内と飯舘村で10月16日から19日に行った放射線調査(それぞれ315カ所、95カ所)の結果を発表しました。県庁所在地である福島市内のモニタリングポストでは、設置場所の除染により周辺の放射線より低く表示される例が多く見つかりました。
また、7月に避難区域が再編された飯舘村では、国から事業再開が認められた工場も依然として高濃度に汚染されていることを確認しました。
今回の放射線調査では、福島市では福島駅周辺・渡利などの地区を中心に315カ所を計測しました。モニタリングポストは40カ所を調査し、75パーセントにあたる30カ所で、周辺の放射線量の方が高い値を示していました。
中にはモニタリングポストから25メートル以内の場所で、モニタリングの表示値より4.5倍も高い放射線が計測された場所もありました。
これは、モニタリングポスト設置場所だけで表土の入れ替えなどの除染措置が行われていたり、ポストのコンクリート台による遮蔽効果や中には鉄板を敷いたりした遮蔽効果によると考えられます。
また、避難区域が再編され、除染後に住民の早期帰還をめざす飯舘村では、95カ所で放射線調査を実施し、国から事業再開が認められた工場で毎時13マイクロシーベルト、近隣の住居で毎時9マイクロシーベルトのホットスポットも見つかりました。
試験的除染が実施された草野地区では、毎時5マイクロシーベルトの場所もありました(いずれも高さ1メートルで測定)。
グリーンピース・インターナショナル放射線防護アドバイザーのリアナ・トゥールは、
「政府のモニタリングポストは設置場所が除染され、数歩離れれば放射線値はすぐに高くなります。これらのモニタリングポストが、住民のみなさんに誤った安心感を与えるのではないかと懸念します。
福島市全体としては除染は進んでおらず、多くのホットスポットが残されたままです。事故から1年半たった今でも、最も急ぐべき児童公園の除染も終わっていません。
飯舘村では多くの除染作業が行われていましたが、森林に覆われたこの地域の除染には限界があります。」 と指摘しました。
グリーンピース・ジャパンのエネルギー・核問題担当の鈴木かずえは、
「今現在子どもを含め、住民が住んでいる場所の除染を急ぐべきです。
飯舘村では住まいや田畑が高濃度に汚染され、元の暮らしを取り戻すことは困難です。汚染されていない場所で新しい暮らしを始められるように、正当な補償をするべきです。」と訴えました。