泉田新潟県知事は3日、福島原発事故の検証が終わっていない以上、柏崎刈羽原発の再稼働は議論以前の段階だと述べました。
知事は放射性ガレキの焼却問題でも厳格な態度を貫いて、ガレキの広域処理に反対しています。それは、放射性物質を①拡散させない②希釈しない
という国際的な原則に反するからで、もしも国で一括して集中処理せずに、各都市で処理をさせようとするのであれば、それが国際原則に違反せず安全であることを、国はきちんと説明しなければならないと考えているからです。
それで知事は、本年の4月6日と5月21日に環境省に質問書を提出したのですが、二度とも納得できる回答が得られなかったため、県内5市での処分に賛成していません。
実際、焼却すれば蒸気となって飛散するセシウムを、バッグフィルターなどで捕集するのはまず無理ですし、焼却してキロ8,000ベクレルの灰を生じさせるのでは、各地に放射性物質製造所を作ることと等しくなるわけです。その他に、焼却工場からの排水による環境汚染もありますし、作業者の被曝の問題もあります。
これでは広域処理を合理化できる筈もありません。
(10/5 以下を追記)
8月9日の毎日新聞に、東海村で臨界事故を起こした時の放射性廃棄物を、一部焼却処分する動きが伝えられました。
これは原発で生じたキロ100ベクレル以上の放射性廃棄物は、厳重にドラム缶で密閉し隔離保管することが法律で義務付けられていたために、合計約1万本のドラム缶に収納してこれまで13年間厳重に保管していたのですが、福島原発以降は国が法律を無視しているという実態に伴って生じた、象徴的な出来事と言えます。
日経新聞と毎日新聞の記事を紹介します。
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新潟県知事、柏崎刈羽再稼働「議論以前の段階」
日経新聞 2012/10/3
泉田裕彦新潟県知事は3日、同県の東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働は「議論以前の段階だ」と述べた。福島原発の事故検証を巡り「(事故後の東電内の)ビデオの全面公開がない限り、検証は終わらない」と指摘。東電福島第1原発の事故検証の徹底を優先すべきだとの持論を示した。
政府の新しいエネルギー・環境戦略は、原子力規制委員会が安全確認した原発は再稼働するとの原則を示したが、原発立地自治体の理解を得る難しさが改めて浮き彫りになった。泉田氏は山田啓二京都府知事とともに、日本海側の資源開発促進を要望するため、高原一郎資源エネルギー庁長官を訪れ、経済産業省内で記者団の質問に答えた。
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(10/5 以下を追加)
JCO:放射性廃棄物焼却炉建設で住民説明会 「なぜ住宅地に」
毎日新聞 2012年08月09日 茨城県版
1999年に臨界事故を起こした東海村の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)が8日、事故後に保管している低レベル放射性廃棄物を処理するための焼却炉を13年5月末までに設置し同年6月から試運転を開始する計画を明らかにした。同社で行った住民説明会で、村民や村議、周辺の水戸市民など約30人に説明した。
計画によると、敷地内に保管しているドラム缶(200リットル)約8900本分の未処理の低レベル放射性廃棄物のうち、ウラン加工工場で使っていた油ドラム缶約500本(100立方メートル)と放射線管理区域内で使用したモップなどドラム缶約200本分を焼却する。7月末に文部科学省に使用変更許可を申請し、9月ごろに許可を受ける予定という。