2012年10月26日金曜日

石原氏の改憲論は形式的、そして危険 +


尖閣列島を巡る日中間のトラブルで、特に中国に進出している日本の2万社にも上る企業が現在こうむっている被害ははかり知れず、いつ解決するのかこの先の見通しも全く不明です。 

そのトラブルの引き金を引いた石原氏が25日、なんらその責任を感じているふうもないまま、東京都知事を辞職し新党を結成して再び国政に転出することを表明しました
 彼は、占領下に制定された現行憲法を「解決しなければならない主要矛盾」と指摘し、12日の記者会見でも、「(現行憲法は)改正しないで廃棄したらいい」と持論を展開しました。正に強烈な憲法改正論者です。
 そして昨日の記者会見で、同じく憲法改正を目指している「日本維新の会」との提携を問われると、「まずは連携、連帯。そのことで、政策のすり合わせもずいぶんしてきた。連合になるのかは分からないが、あるステージがきたら、そうなるかもしれない」と答えました(時事通信)。
石原新党と維新の会が連携して、国会の中で憲法改正を目指す「核」となる惧れは十分にあります。 

 ところで石原氏の「憲法廃棄論」は、上述のように「占領下に制定されたもの」であるからという極めて単純なものです。それについて奥平康弘・東大名誉教授は「形式的で違和感がある」と批判し、憲法9条を改正することの危険性を指摘しました。 

 以下に産経新聞に掲載された同教授のコメント及びしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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形式的な改憲論に違和感
産経新聞 2012.10.25 

 奥平康弘・東大名誉教授(憲法)の話 「平和憲法の理念は多くの国民に理解され、国内に根をはっている。石原慎太郎氏は25日の記者会見で、占領軍から一方的に与えられた憲法は改憲しなければならないという趣旨のことを述べたが、中身を無視した形式論で違和感を覚えた。石原氏や自民党の安倍晋三総裁のような政治家が増え、彼らは9条をなくしたいのだろうが、そんなことをしたらアジア全体から「日本が野蛮な本性を現した」と非難され、国際的評価も落ちる。一方でそうした主張に無思慮に共鳴する人が増えているのも事実で、戦後民主主義は危機的状況にあるともいえる」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121025/stt12102523250028-n1.htm
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10/27追加)
石原都知事が辞職 現憲法を攻撃 保守新党めざす
     しんぶん赤旗 20121026 

 東京都の石原慎太郎知事(80)は25日、都庁で緊急の記者会見を行い、同日付で知事を辞職し、自身を党首とする新党を結成して次期衆院選で国政への復帰をめざすと表明しました。
 石原氏は「日本の頭脳・心臓部にあたる首都の行政を担当し、東京の問題は日本全体の問題になると思ってやってきたが、国の妨害で苦しんだ」と述べました。

 石原氏は国政が抱える矛盾の最たるものは「占領軍が与えたみにくい憲法」と攻撃。個人的考えとしつつ、若者に対し「2年間なら2年間、自衛隊でも消防でも警察でも(青年)海外協力隊でも、連帯責任を負って無償行為をすえる経験をした方がいい」と述べました。

 石原氏は次期衆院選で「たちあがれ日本」がかかわる政治塾の塾生らを候補者に擁立し、自身は比例代表で出馬する見通しを語りました。
 また橋下徹大阪市長の「日本維新の会」との連携を進めるとして、「政策のすり合わせもずっとしてきた」と明らかにしました。

 知事の後継については、現副知事で作家の猪瀬直樹氏の名前をあげました。
 石原氏は1999年に初当選。高齢者の寝たきり手当や医療費助成など福祉を切り捨てる一方、「都市再生」で超高層ビル群を乱立させ、住民の批判を受け40年近く凍結していた東京外郭環状道路の建設再開など大型開発を進めました。

 石原知事の辞職に伴い、12月半ばまでに都知事選が行われる予定です。