2017年2月10日金曜日

10- 安倍政権の倫理破綻

 安倍政権の閣僚には政治的以前に倫理的に破綻している人たちが沢山います。例えば・・・
 稲田防衛相は2日の衆院予算委で、沖縄でのオスプレイ墜落事故で、原因究明報告が出る前に国が再飛行を認めた理由を共産党議員が糾したのに対して、答弁として全く関係ない事柄を5分間も延々と読み上げて委員長に制止されるました。驚くべき非常識さです。
 彼女は、今度新しく書庫から出てきたという南スーダン派遣自衛隊からの日報に、チャント ”戦闘” という言葉が記載されていることを問われて、誰にも理解することができないつぎのような言葉(文章?)を口にしました。
 
「なぜ、法的な意味における戦闘行為があったかどうかにこだわるかと言いますと、これは『国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為』が仮におこなわれていたとすれば、それは憲法9条上の問題になりますよね? そうではない、だから戦闘行為ではないということになぜ意味があるかと言うと、憲法9条の問題にかかわるかどうかということでございます。その意味において、戦闘行為ではないということでございます」添付のLITERA記事を参照
 
 どうやら「国会答弁する場合には、憲法9条上の問題になる言葉は使うべきではないから ”戦闘”  ”武力衝突” と言い換えました」と言いたいようです。
 まことに種も仕掛けもないわけで、よくもまあそんなハナシが国会で通用するものです。「法的な戦闘??」とそうでない「戦闘」とで銃弾や爆薬の効果が変わるとでも言いたいのでしょうか。
 こういう大臣がことあるごとに登場するわけでです。
 
 金田法相も「共謀罪」について衆院予算委員会で何を質問されても殆ど答えられずにいますが、6日にはついに報道機関に対して「法案の審議は国会提出後に法務委員会で行うべきだ」との文書を配布して、答弁の責任を逃れようとしました。
 それに対して野党は「質問封じだ」として、「行政府が立法府の議論の在り方に注文をつけるもの」と強く反発したため、金田法務相は文書を撤回し謝罪しました。
 質問に答えることが出来ないことといい、質問をやめさせようとしたことと言い前代未聞のことです。
 
 また沖縄辺野古基地建設工事では、汚濁防止膜を固定するコンクリートブロックの形状などを何度も変更しながら、防衛省沖縄防衛局「変更はない」として県への説明ぬきに海底投下を強行しています。
 それに対して県は工事の中止を要請していますが無視されています。岩礁破砕許可3月末で期限が切れるのですが、国は法律を勝手に解釈し、再申請なしの工事強行も検討しているとされています。
 これでは菅官房長官が事ある毎に強調してきた「法治国家」の名前が泣く話です。
 
 しんぶん赤旗は、これらを「安倍政権 倫理喪失極まる」の見出しで報じました。
 LITERAの記事も併せて紹介します。
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安倍政権 倫理喪失極まる
隠ぺい・質問封じ・民意蹂躙 憲法破壊の暴走
しんぶん赤旗 2017年2月9日
 隠ぺい、質問封じ、民意蹂躙(じゅうりん)―。安倍晋三政権の「モラルハザード(倫理喪失)」が極まっています。憲法も民主主義も無視した暴走政権です。
 
陸自日報問題
 廃棄したと政府が説明していた南スーダン国連平和維持活動(PKO)の陸上自衛隊派遣部隊の「日報」。防衛省は7日、一転して、統合幕僚監部が保管していたと認めました。
 同「日報」には、首都ジュバで昨年7月に発生した南スーダン政府側と前副大統領派の「戦闘」も生々しく記載。戦争法=安保法制の実施にあたっての重要情報を隠ぺいしていたのではないかとの疑いがもたれています。
 これについて稲田朋美防衛相は8日の衆院予算委員会で、「隠ぺいにはあたらない」と強弁。「日報」にある「戦闘」との表現には、「法的な意味での戦闘行為ではない。武力衝突だ」「憲法9条上の問題になる言葉を使うべきではない」と繰り返しました
 安倍政権はこれまでも、「戦闘」を「衝突」とごまかし、派兵を正当化してきました。現地の情勢を顧みず、危険を危険と認めない安倍政権の姿勢ほど危険なものはありません。
 
「共謀罪」
 金田勝年法相自ら、「共謀罪」(テロ等準備罪)法案質疑に関して、質問を封じるような文書の作成を指示していました
 「(法案)提出後に法務委員会で議論すべきだ」などと、行政府が露骨に立法府へ介入し、議員の質問を封じ込めるものです。
 金田法相は、「不適切な文書」としながらも、その中身の撤回は明言しませんでした。
 昨年の臨時国会、安倍政権は、環太平洋連携協定(TPP)・関連法や年金カット法の審議で、政府側から「強行採決」をけしかけ、その予告通りに強行採決を繰り返しました。行政府による立法府への介入という、三権分立、議会制民主主義破壊の姿が鮮明です。
 
沖縄新基地
 安倍政権は沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設工事を再開し、7日にはコンクリートブロックを海底に投下しました。菅義偉官房長官は工事着工後の記者会見で、辺野古「移設」は「唯一の解決策」と繰り返しました。
 3月末で期限が切れる埋め立て工事に向けた岩礁破砕許可をめぐっても、法律を勝手に解釈し、再申請なしの工事強行も検討しているとされています。
 翁長雄志知事は7日の記者会見で、この間、防衛局に対し事前協議を繰り返し要請していたことを指摘し、「それにもかかわらず、海上工事を強行して進めていることは、甚だ遺憾」と述べました。
 菅氏は6日の記者会見で、「わが国は法治国家だ。国、沖縄県とも誠意を持って対応していくべきだ」と発言しました。ところが、実際にやっていることの中身は、守るべきルールも無視する無法そのものです。
 
 
憲法をなんだと思っているのか! 稲田防衛相が
「戦闘行為あったが憲法違反になるから衝突と言い換え」とトンデモ答弁
LITERA 2017年2月9日
 国民を愚弄するのもいい加減にしろ。そう言わずにいられない発言が、本日、稲田朋美防衛相の口から飛び出した。
 
 昨日8日の衆院予算委員会で、これまで防衛省が情報開示請求に対して「破棄した」としてきた南スーダンPKO派遣部隊の日報が、じつは保管されていた問題を追及された稲田防衛相。稲田防衛相は昨年10月の衆院予算委において、同年7月に南スーダンの首都ジュバで起こった大規模な戦闘について、「7月には『衝突事案』もありました」などと法律上の定義のある「戦闘行為」ではなく「衝突」だと繰り返し答弁。安倍首相も「『戦闘行為』という定義があるものについては、それにはあたらない」と稲田防衛相と同じ説明をおこなっていた。
 
 しかし、今回、明らかになった昨年7月11・12日の日報では、ジュバ市内で政府軍と反政府軍とに〈戦闘が生起した〉〈両勢力による戦闘が確認されている〉とし、〈市内での突発的な戦闘への巻き込まれに注意が必要〉と記載されており、「衝突」などではなく「戦闘」と明記されていた。同じように同月12日のモーニングレポートでは〈ジュバでの衝突激化に伴うUN(国連)活動の停止〉と、PKO活動の停止の可能性にまで踏み込んでいたのだ。
 このことによって、現場のPKO部隊が「戦闘」だと認めている事案を、稲田防衛相は「衝突」と言い換えて国民を欺いてきたという事実が明らかになったわけだが、稲田防衛相は壊れたテープレコーダーのように「法的な意味での戦闘行為ではない」と繰り返し答弁。さらに、こんなことを言い出したのだ。
 
「なぜ、法的な意味における戦闘行為があったかどうかにこだわるかと言いますと、これは『国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為』が仮におこなわれていたとすれば、それは憲法9条上の問題になりますよね? そうではない、だから戦闘行為ではないということになぜ意味があるかと言うと、憲法9条の問題にかかわるかどうかということでございます。その意味において、戦闘行為ではないということでございます」
 そう。稲田防衛相は「南スーダンでは殺傷行為はあったけど、憲法9条に引っかかるから“戦闘行為”ではなく“衝突”と言ってきた」と主張しはじめたのである。
 
 もう、無茶苦茶すぎて言葉を失ってしまう。「戦闘行為」と言うと憲法違反になるから「衝突」と言った、などという詭弁が通用するなら、どんな法律違反も言葉を言い換えれば罪を問われなくなる。稲田防衛相は弁護士出身だが、とても法を扱ってきた人物の答弁とは思えない。
 しかも、稲田防衛相は「(日報では)一般的な辞書的な意味で戦闘という言葉を使ったと推測している」と言いながら、「武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあった」と認めているのだ。
 
「武器を使って人を殺傷したり、物を壊したりする行為はあった」のなら、それは辞書的な意味云々ではなく、日本政府が「戦闘行為」と定義する《国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し又は物を破壊する行為》そのものだ。さらに、PKO参加5原則では〈紛争当事者間の停戦合意が成立〉していることが参加条件となっているが、停戦合意が崩壊していることは日報の文面からも明々白々である。
 
 つまり、新任務である「駆けつけ警護」を運用するために、戦闘状態であるという事実を覆い隠し、憲法上問題があることを認識しながら、稲田防衛相や安倍首相は「衝突」などと虚偽の説明を国民におこなってきたと「認めた」のである。明らかに違憲である安保法制を強行するなど安倍政権の憲法軽視はいまに始まったことではないとはいえ、ここまで堂々と開き直れるとは。
 今回の稲田防衛相の答弁は、まさしく辞職ものの大問題発言であり、南スーダンへの派遣を即刻見直すべきだが、それにしても問題なのは、こんな道理の通らない話を大臣が堂々と国会で言ってのけてしまう状況だ。
 
 今月6日には、法務省がマスコミに向けて、「共謀罪」の国会質疑について「法案を国会提出後に法務委員会で議論すべきだ」とする文書を配布。これは金田勝年法相が指示して作成したもので、批判が集まり金田法相は撤回したが、これは国会への圧力だけではなく、マスコミの言論を封殺しようとする蛮行だ。
 金田法相といい、稲田防衛相といい、安倍政権のやりたい放題ぶりはますます拍車がかかって凄まじいものとなっている。言葉を言い換えることで憲法違反を繰り返し、マスコミに圧力をかけ、国会での議論を抑え込もうとする。──こんな恐ろしい状況を、当たり前にしてしまってはいけない。 (編集部)