2017年2月17日金曜日

17- 稲田防衛相、金田法務相の辞任を求める 4野党

 民進党共産党、自由党、社民党の野党4党は15日国対委員長会議を開き、稲田防衛大臣について、南スーダンのPKO活動に関する正確な情報を国民に伝えておらず、国の安全保障を委ねられないとして辞任を迫っていく方針を固めました。
 また金田法務大臣についても、「共謀罪」の構成要件を厳しくして新設する「テロ等準備罪」をめぐって、基本的な質問に答弁できないなど資質に欠けるとて、17衆院予算委員会の集中審議で追及するなどして辞任を迫る方針です。
 
 しんぶん赤旗の国対委員長会議の記事と東京新聞の社説:「共謀罪審議 法相の迷走が目に余る」を紹介します。
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稲田防衛相辞任で一致 4野党が国対委員長会談
しんぶん赤旗 2017年2月16日
 日本共産党、民進党、自由党、社民党の野党4党は15日、国会内で国対委員長会談を開き、稲田朋美防衛相について「資質に著しく欠ける」として、辞任を求めていくことを確認しました。
 
 4野党は(1)稲田防衛相の辞任を求める (2)金田勝年法相についても引き続き辞任を求める (3)衆院予算委員会での中央公聴会(21日)開催後も、十分な質疑時間を確保することを与党に対して求める―の3点を確認。日本共産党の穀田恵二国対委員長は会談後、記者団に対し、「14日の衆院予算委での質疑を見ても、稲田氏が防衛相として不適格なのは明らかだ」と強調。与党が衆院予算委員会で拙速な審議を進めようとしていることに対して、「(南スーダンへの自衛隊派遣、共謀罪、文科省の天下り問題など)国民の期待に応えて、国会が問題にし、しっかり審議し、国民に返していくことが必要だが、与党はその審議の重要性がまったく眼中にない。私たち野党4党は、引き続き十分な審議を要求していく」と語りました。
 
 民進党の山井和則国対委員長は、「稲田氏に国の平和や安全保障をゆだねることはできない」と批判し、「中央公聴会後も十分な審議時間を求めたい」と語りました。
 自由党の玉城デニー国対委員長は、「中央公聴会で広範な国民の意見を聞き、そこから先の審議がさらに深まっていくということを重視するべきだ」と強調。社民党の照屋寛徳国対委員長は、稲田、金田両氏について「資質に欠ける」と批判しました。
 
 
稲田防衛相は辞任を 穀田氏会見 「隠ぺい体質明らか」
しんぶん赤旗 2017年2月16日
 日本共産党の穀田恵二国対委員長は15日の記者会見で、南スーダンPKO(国連平和維持活動)の日報隠ぺい疑惑をめぐる国会論戦を踏まえ、稲田朋美防衛相にその資格がないことがいっそう明らかになったと強調し、日本共産党として稲田防衛相の辞任を要求すると表明しました。
 
 穀田氏は、14日の衆院予算委員会での日本共産党の笠井亮議員の追及を振り返り、「日報を廃棄していたという政府の当初の言明が、虚偽ということが明らかになった」と強調。「稲田氏には、防衛省・自衛隊に対する管理能力がなく、組織の掌握もできていないことを表している」と指摘しました。
 また、「南スーダンに自衛隊を派兵する場合、(戦争法に基づく)新任務ありきで、危険な現実を、国会と国民に隠し続けるという隠ぺい体質がいっそう明らかになった」と批判し、「稲田防衛相が『戦闘』と言おうが『衝突』と言おうが、現地で自衛隊員が危険にさらされる可能性は変わらない。そうした点に、何の痛みも感じない稲田氏は防衛相としての資格はない」と述べました。
 
 
社説「共謀罪」審議 法相の迷走が目に余る
東京新聞 2017年2月16日
 担当閣僚がまともに国会答弁できないような法案を、なぜ国会に提出する必要があるのか。「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」である。
 「この大臣、大丈夫か」との言葉がつい出てしまう。金田勝年法相の国会答弁。質問のたびに背後に控える官僚と打ち合わせて答弁したり、答弁が二転三転したり、答えに窮して立ち往生したり。
 委員長にたびたび注意されるようなひどい答弁がまかり通るのは、閣僚としての資質はもちろん、組織犯罪処罰法改正案の内容自体に問題があるからではないのか。
 
 安倍内閣は、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックのテロ対策には国際組織犯罪防止条約の締結が必要で、そのためには犯罪の実行行為がなくても処罰できる法律が不可欠だとしている。
 同条約の国会承認を受け、政府は「共謀罪」を創設する法案を過去三回提出したが、いずれも廃案になった。「共謀罪」ができれば捜査機関の拡大解釈や恣意(しい)的な運用で人権侵害の恐れがあるとして世論が強く反発したためだ。
 安倍内閣は法案提出に当たって「テロ等準備罪」に名称を変え、対象犯罪を従来の六百七十六からテロに関わる二百~三百の犯罪に絞り込み、適用対象も従来の「団体」から「組織的犯罪集団」に限定、犯罪構成要件に準備行為を加えるなど厳格化するという。
 
 これまでの「共謀罪」とは全く別だと訴えるが、犯罪の実行行為がなくても処罰できる点は「共謀罪」と変わらず、人権侵害の懸念が拭い去れない。
 条約上、対象犯罪の絞り込みはできないとしていた従来の政府見解との整合性はどうなるのか。既存の法律で対処できるとの指摘にも、政府は耳を傾けるべきだ。
 
 加えて見過ごせないのは、法務省が法相の指示を受けて、テロ等準備罪については法案の国会提出後に議論するよう促す文書を報道機関向けに出したことである。
 人権に関わる法案について国会提出前から政府の考えをただすのは何ら不自然でない。「質問封じ」と批判されて当然だ。
 答弁能力の欠如を自ら認めたも同然の内容である。法執行をつかさどる法相が、国会の国政調査権を制限し、三権分立に反する文書を出すよう指示したことは、閣僚の適格性に関わる重要問題だ。撤回では済まされない。安倍晋三首相の任命責任は、もちろん重い。