2017年2月27日月曜日

27- 森友学園の新小学校の異常性と違法性

 別掲記事の通り、「森友学園」の超々格安での国有地取得事案は余りにもうさん臭くて、実質10数億円の国の財産が不明朗な経過で「只」で一私企業に渡ったことになるので、決して見過ごすことは出来ません。
 そうした金銭的な問題に加えて、当の4月開校予定の「瑞穂の国記念小學院」には、その教育理念に深刻な偏りがあって教育基本法第14条第2項の「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」に抵触する惧れが十二分にあります
 大阪府は今頃になって認可取り消しの可能性に言及し、入学志願生徒に迷惑が掛からないタイミングで結論を出すと言い出しました。義務教育を取り扱う自治体として当然のことなので結果を注目したいと思います。
 
 森友学園の小学校の異常性と違法性について、25日のLITERAと日刊ゲンダイが取り上げましたので紹介します。
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“安倍晋三小学校”の森友学園が「改憲」署名集め! 
反戦教師密告制度の一方で軍国教育に協力する安倍政権
LITERA 2017年2月25日
 安倍首相ら有力政治家の政治的介入が疑われている学校法人森友学園の国有地格安払い下げ問題。国会では連日、極めて破格かつ不透明な払い下げの経緯が追及されているが、もう一つ、見逃してはならないのが、森友学園の洗脳的なトンデモ教育方針だ。
 
 周知の通り、森友学園が運営する塚本幼稚園では、園児に教育勅語を暗唱させるほか、自衛隊の記念式典で園児らに演奏させたり、日の丸と旭日旗を振らせるなど、徹底した“極右洗脳教育”がなされている。とくに教育勅語は、4月に開校予定の瑞穂の国記念小學院(「安倍晋三記念小学校」)でも、「教育勅語 素読・解釈による日本人精神の育成」を「全教科の要」とするように、非常に重要視されているようだ。
 
 しかし、そもそも明治初期に発布された教育勅語は、「朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ」から始まり、国民を「臣民」と位置付けるなど、モロに皇国史観を植えつけるものだ。たとえば「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」とあるように、いざ戦争があれば公に身を捧げ、永遠に続くべき皇室の運命を助けよと命じている。つまり、バリバリの軍国主義的イデオロギーそのものである。
 こんなものを暗唱させ、学校教育の根幹としているだけでも、何も知らない子どもたちに対する“洗脳”としか言いようがないが、しかも、ここに来て森友学園が教育機関としてありえないことを示す、あらたな重大疑惑が浮上してきた。
 
 それは、塚本幼稚園で、保護者向けに憲法改正に賛成する署名活動が行われていたというものだ。保護者が配布された文書には、「私は憲法改正に賛成します」と書かれており、「ご紹介者」の記入欄には塚本幼稚園の名称と、園長である籠池泰典・森友学園理事長の名前がはっきりと記載されていた。実際、2月23日放送の『NEWS23』(TBS)では、塚本幼稚園の元保護者が、実物の署名用紙を手に「これの『賛同を』というので、こういう紙(署名用紙)が入っていたりとか。幼稚園でこういうことをしていいのかなって」と証言していた。
 
 この署名運動を展開している大元は「美しい日本の憲法をつくる国民の会」。そう、一昨年秋、日本武道館で行われた決起集会で安倍首相もビデオレターを寄せたあの極右改憲団体で、実質的な日本会議の別働隊である。そして、籠池理事長は日本会議大阪の運営委員だ。
 
 日本会議が背後にいる幼稚園での改憲署名活動と、安倍首相がいかにして関係しているかは現時点では明らかでないが、いずれにせよ、これは教育基本法第14条第2項の「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」に抵触する政治活動そのものだ。
 仮に、一国の総理大臣が園内での改憲運動を黙認していたのならば、明らかに違法かつ倫理的責任は重大。即刻辞任すべき大問題だが、一方で自民党は、「子供たちを戦場に送るな」という教員を「偏向教育」として処罰する目的で“密告フォーム”までつくるなど、学校教育への介入を着々と進めている。
 
 これは、昨年7月の参院選公示直前、自民党のホームページ上で公開された「学校教育における政治的中立性についての実態調査」なるもの。そこで〈「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいる〉と記し、これを〈偏向した教育〉〈特定のイデオロギー〉と糾弾して、〈政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください〉と、学校や教員の情報を投稿させるフォームを設置した。
 つまり、「子供たちを戦場に送るな」というごく当たり前のことをいう教師を弾圧し、監視によって教育現場を統制することで「戦争反対」とさえ口にできない空気を作り出そうというわけだ。さらに昨年8月には、自民党の木原稔財務副大臣(当時・党文部科学部会長)が“密告フォーム”に寄せられた情報の一部を警察当局に提供する考えまで示した。
 その後も、12月6日に開かれた自民党文部科学部会では、教員の「政治的中立性」を確保すべく、処分を厳格化する方向で検討を開始。朝日新聞の報道によれば、同部会は〈現状では政治的中立を逸脱しても「処分が重くない」と指摘。教育公務員特例法を改正し、罰則を科すことも検討すべきだとした〉という。
 
 ようするにいま、安倍政権は自分たちの意に沿わない教員や教育現場を「政治的中立」ではないとして弾圧しようとしているのだ。にもかかわらず、教育勅語を中心にすえ、ましてや改憲の署名集めまで行っている学校に対しては賛辞を送り、まったく問題視しようとしない。こんな二枚舌が許されるわけもないが、少なくとも、安倍政権のいう教育の「政治的中立」などテタラメでしかないこと、そして、連中が目指す学校教育のトンデモぶりがまたもや証明されたわけである。
 
 実際、昭恵夫人は、2015年9月に塚本幼稚園で行われた「小学校名誉校長就任講演」のなかで、「普通の公立学校の教育を受けると、せっかくここ(塚本幼稚園)で芯ができたものが、(公立の)学校に入った途端に、こう揺らいでしまう」と、公立学校の教育を否定する発言までしていた(テレビ東京『ゆうがたサテライト』17日放送)。つまり、公立学校で行われている通常の教育よりも、子どもたちに教育勅語を暗唱させ、軍国主義を刷り込む“洗脳”のほうがふさわしいと言っているのである。
 
 今回の森友学園をめぐる様々な疑惑については、今後も徹底的な追及が必要であることは言をまたないが、わたしたちは、その背景にある安倍首相のトンデモ教育観と、その国民への押し付けに対しても、今一度警戒心を強めるべきだろう。 (編集部)
 
 
名誉校長辞任でも終わらない “安倍晋三小学校”異様の全容 
日刊ゲンダイ 2017年2月25日
 トンデモ理事長や役人のせいにして逃げるつもりなのか。鑑定評価額9億5600万円の国有地が、大阪市の森友学園に実質200万円で売却された問題。
 
 森友学園はこの土地に私立小学校を新設予定で、当初は「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付金が集められていた。しかも、昭恵夫人が新設小学校の名誉校長に就任していたため、国民の疑惑の目は当然、安倍首相にも向けられている。
 24日の衆院予算委員会で、安倍首相は夫人が名誉校長を辞任したことを明らかにしたが、それで済む話ではないはずだ。
 安倍首相は24日の予算委で責任回避に終始した。寄付金集めに自分の名前が使われたことは「大変遺憾であり、残念であるという強い抗議をした」「大きな不信を持った」と被害者ヅラ。森友学園の籠池泰典理事長に対しては、「非常にしつこい中において」とか「教育者としてはいかがなものか」とまで言っていた。
 17日の予算委では、森友学園と籠池理事長のことを「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と持ち上げ、「私の考え方に非常に共鳴している方から、『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが断った」と同志愛を表明していたのに、わずか1週間で手のひら返しの迷惑顔だ。なんと軽い理念の共鳴かと驚いてしまうような変わり身の早さである。
 
■園児が「安保法制よかった」と宣誓
 籠池理事長は、安倍政権を支えるカルト的右派団体「日本会議」の大阪幹部だ。
 メディアの取材に対して安倍首相を「偉人」と称え、その一方では差別主義をまき散らし、ヘイト発言を繰り返してきた。
 森友学園が経営する塚本幼稚園では、子どもをトイレに行かせないなど幼児虐待の疑惑も浮上している。
「塚本幼稚園では、保護者に憲法改正への賛同署名を募っていたことも分かっています。明らかに、政治的活動を禁じた教育基本法に違反していますが、自分たちの極右路線と共鳴する安倍首相を崇め、憲法改正のためには何でもやる。批判しようものなら、ヘイトスピーチで対抗しようとするのが日本会議です」(ジャーナリスト・横田一氏)
 ベストセラー「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は、塚本幼稚園が撮影して配布した運動会のDVDの映像を見て、絶句したという。2015年に塚本幼稚園で行われた秋の大運動会の冒頭、選手宣誓で園児がこう言っているのだ。
「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。安倍首相ガンバレ! 安倍首相ガンバレ! 安保法制国会通過よかったです!」
 子どもたちはアンポの意味も分からず言わされているのだろうが、これも教育基本法に反する政治的活動に違いない。
 ここまでして安倍首相を応援してきた熱心な支持者も、利用価値がないとなれば、保身のためにあっさり切り捨てる。安倍首相の卑劣さが分かるというものだ。
 
「ウルトラ・ナショナリスト」に海外メディアも関心
「美しい国」「日本人の誇りを取り戻す」「戦後レジームからの脱却」――。安倍政権のキャッチフレーズは、すべて日本会議が元ネタだ。憲法改正や、集団的自衛権の行使解禁、愛国心教育もそう。この国有地払い下げ問題も、安倍政権と日本会議のいびつな関係を抜きには語れない。
 
 日本の大メディアは及び腰だが、海外メディアは重大な関心を示し、一斉に報じ始めている。英ガーディアン紙は森友学園を「レイシズムを主張するウルトラ・ナショナリスト教育機関」と断じ、森友学園の異様な教育方針や戦前回帰を望む日本会議のアナクロ思想、安倍首相との親密さにも踏み込んだ。
 
〈森友のカリキュラムは愛国心を園児に叩き込むものだ。皇室の肖像に向かってお辞儀をし、軍事基地の見学に行く。3~5歳の子どもたちは毎朝、国歌を歌い、天皇への忠誠と国への奉仕を求める教育勅語を暗唱する〉
 
〈籠池理事長は、日本会議――安倍首相を含め、彼の内閣の1ダース以上がそのメンバーで占められている超保守的な圧力団体――大阪支部リーダーである。
日本軍がアジア解放のために戦ったと主張するこの団体は再軍備を訴え、米国に押し付けられた憲法によって大切な“国柄”が失われたと考えている〉
 
〈安倍昭恵と森友との関係は、名誉校長としての束の間の役割にとどまらず、長く深い。彼女が15年にその姉妹幼稚園を訪問した時の映像を見ると、保護者たちにこう話している。「私の夫も、ここの教育方針は素晴らしいと思っています」〉――。
 
 ウルトラ・ナショナリスト教育機関と、夫婦そろって共鳴していたはずなのに、昭恵夫人は名誉校長を辞任し、23日には森友学園のHPから「名誉校長 安倍昭恵先生 安倍晋三内閣総理大臣夫人」の挨拶も削除されてしまった。
「隠蔽じゃないかと思った」と国会で野党議員が発言したところ、安倍首相はマジ切れ。
「隠蔽というのはですね、隠蔽というのは、隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか! 私がですね、私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!」
 よっぽど触れられたくない話なのか、「レッテル貼りだ!」「公共の電波の前で私を侮辱した!」「私と妻を侮辱した!」と早口でまくしたて、「(隠蔽の言葉を)取り消さないと答弁できない」とダダをこね、揚げ句に「まるで私が関与しているかのごとくイメージ操作を延々と、それしかないのでしょうけど、だからあなたたち(民進党)は国民からの信用を得られないんですよ」と、公共の電波の前で民進党を侮辱していた。
 まるで子どもだ。いっそ塚本幼稚園で教育を受け直した方がいいのではないか。幼児性丸出しのトップの醜態を見せつけられた国民は唖然ボー然である。
 
■ならず者集団とズブズブの政権
「問題の国有地売買に関わった財務省や国交省は、森友学園との交渉や面会の記録は破棄して残っていないと言っています。これでは隠蔽と疑われても仕方がありません
 首相はすぐに『私や家内や事務所が国有地払い下げに関与していたら政治家を辞める』と逆ギレしますが、本来なら、不可解な土地取引の『真相を解明する』と宣言し、関係省庁に『調査に協力するように』と指示するのが行政府トップとしての役目でしょう。
 やましいことがないのなら、身の潔白を証明するためにも、首相自ら率先して真相解明に動き、国民の不信を払拭すべきです。それをしないのは後ろ暗いところがあるからではないか、首相と思想信条を共有する日本会議が関わっているから、異例ずくめの取引で便宜が図られたのではないかとみられるのは当然です」(横田一氏=前出)
 
 さすがに、国有地売買で安倍首相自身が口利きするようなバカな真似はしないだろう。ただ、安倍首相を熱烈に支持する日本会議が関わっているというだけで、無言の圧力になる。“政治案件”として周囲が忖度する。ヘイト発言を繰り返す学校経営者にも認可が下りてしまう。そういう空気が問題なのである。
 前出の菅野完氏が言う。
「日本会議の実態は、さほど巨大な権力ではない。例えるなら、30代でJC、40代でロータリー、50代でライオンズの壁を越えられなかったような人々が日本会議に行く。言うなれば“ならず者”の集まりです。集団に属する社会的欲求や、他者から認められたいという尊厳欲求を充足するのに、日の丸ほど便利なものはないからです。
 政権を牛耳るというような大それた意図がなかったとしても、不作為の積み重ねによるファシズムが顕在化してきた。それが現状ではないでしょうか」
 そういう“ならず者”集団が、首相と共鳴してズブズブになり、その一端が国有地払い下げ問題で発覚した。
 政権とカルト的右派集団の不気味な癒着が不問に付されるかぎり、同じようなことは必ずまた起きる。日本会議に乗っ取られた独裁政権下の国民はいいツラの皮ということになる。