2017年2月19日日曜日

森友学園 国有地払い下げ疑惑 ジャーナリズムは死んだ

 ”安倍晋三記念小学校”への国有地払い下げ疑惑に関しては朝日新聞のスクープであるかのように伝えられていますが、その疑惑を地道に追及してきたのは地元豊中市議会の木村真議員でした。
 彼はマスコミ各社に情報を流しましたが、一向に取り上げてくれませんでした。大手メディアが取り組まないのは勿論官邸から睨まれるようなことはしたくないからです。
 そこで木村議員は窮余の一策として裁判に訴えることにしました。提訴をすれば各社は客観報道の体裁が取れるので取り上げやすくなると考えたわけです(田中龍作ジャーナル)。
 
 木村議員は8日に大阪地裁に提訴し記者会見をしたところ、果たして翌9日に朝日新聞が社会面で取り上げました。その後は各メディアも報じるようになりましたが、政権を揺るがす疑惑であるにもかかわらず報道の姿勢は通り一遍のもので、田中龍作氏によれば大手メディアは早くも幕引きムードだということです。
 
 植草一秀氏は、かつて無罪潔白の小沢一郎氏「真っ黒」として攻撃続けたメディア、本当「真っ黒」な権力者の疑惑に対してはまったく攻撃しないというのが日本の現状であるとして、朝日新聞の報道を他紙が殆ど後追いしない現状を嘆きつつも、国有地の払下げが不正である疑いは濃厚で、やがて安倍政権はこの不正が端緒となって退陣に追い込まれるだろうと述べています
 
 LITERAもこの事案についてのメディアの姿勢を問題だとして、大阪のTV局はある程度後追いをしているものの在京のキー局ではほとんど取り上げていないとし、新聞はある程度後追いをしたものの、読売新聞はこの件については一切取り上げないと報じました。
 
 これが、メディアの政権からの独立の度合いが世界ランキング72位である日本の現状です。
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「安倍晋三記念小学校」国有地払い下げ疑惑 ジャーナリズムは死んだ
田中龍作ジャーナル 2017年2月16日
 「安倍晋三記念小学校」への国有地払い下げ疑惑・・・朝日新聞のスクープであるかのように伝えられているが、そうではない。
 疑惑を地道に追及してきた地元豊中市議会の木村真議員が大阪地裁に提訴したことを受けて、朝日新聞が書いただけのことなのだ。木村議員の提訴が8日、朝日新聞の報道は翌9日である。
 いきさつはこうだ―
  件の国有地は豊中市が公園として借り受けを望んでいたため、木村議員はかねてより関心を払っていた。昨年5月、土地は柵で囲われ『瑞穂の國記念小學院 児童募集 / 学校法人・森友学園』のバナーが取り付けられた。
 森友学園は園児に軍歌を歌わせ、教育勅語を朗誦させることで有名な塚本幼稚園を運営する学校法人だ。小學院の名誉校長として安倍昭恵氏の名前も登場する。
 うさん臭さを覚えた木村議員は登記簿を取ったり、近畿財務局に問い合わせるなどした。疑惑は深まるばかりだった。
 
 近畿財務局に情報公開請求したところ、黒塗りの文書が出てきた。文書は黒塗りだらけだった。肝心の金額を知ることもできなかった。
 「国有地の売買は公開が原則であるはずなのに、おかしいではないか」。木村議員は街頭でビラを配るなどして、事の異常さを市民に訴えた。
 マスコミ各社に情報提供したが、一向に報道してくれない。政治部支配のマスコミが、安倍首相の意向を忖度したことは疑いようもない。
 それでも裁判になれば「訴えによると」のクレジットで書ける。新聞社もテレビ局も裁判という国権の俎上で、木村議員に責任をなすり付けることができるのだ。上目づかいで官邸を見ながらも報道できる。
 
 こうして8日に木村議員が提訴し記者会見すると、翌9日、朝日新聞は社会面で伝えた。「木村議員が記者会見で・・・」とエクスキューズをつけて。
 大阪は社会面トップだったが、東京は2社面(最後から3ページ目)だった。官邸に近い分、遠慮したのだろう。
 新聞を文科省に大量購入してもらい、軽減税率の適用を受ける。政府に経営を助けてもらっている大新聞が、安倍首相周辺の疑惑を追及できるはずなどないのだ。
 15日、弁護士グループと木村議員たちが現地調査に入り、記者会見を持った。大阪朝日のみがベタ記事で伝えた。有形無形の圧力をはねのけて報道した朝日新聞の姿勢は評価に値する。
 政権を直撃しかねない疑惑なのだが、記者クラブメディアは早くも幕引きムードだ。   
~終わり~
 
 
「安倍晋三記念小学校」問題で安倍内閣総辞職か
植草一秀の「知られざる真実」 2017年2月16日
政治の腐敗とはどういうことを指すのか。
自民党やメディアは元民主党代表の小沢一郎氏を「腐敗の代表」であるかのごとく叩き続けた。
しかし、2009年に問題にした「西松事件」は「未来産業研究会」と「新政治問題研究会」からの政治献金を事実通りに政治資金収支報告書に記載したものが、「虚偽記載」だとされた「冤罪ねつ造事件」だった。
まったく同じ事務処理をした自民党議員の資金管理団体が多数あったが、刑事事件化されたのは小沢一郎氏の資金管理団体だけだった。
警察庁出身の漆間巌官房副長官が「この件は自民党には波及しない」と発言して問題になった。
「西松事件」の「冤罪ねつ造」が明らかになって追い込まれた検察が、「窮鼠猫を噛む」で、更なる「冤罪ねつ造」に突き進んだんが「陸山会事件」だ。
これは、2004年10月に代金精算が行われ、2005年1月に登記された世田谷の不動産の取得について、これを2005年の政治資金収支報告書に記載したことを「虚偽記載」だとして刑事事件化した「冤罪ねつ造」事案である。
そして、小沢一郎氏は検察がねつ造した虚偽の「捜査報告書」によって、強制起訴されたが、最終的に無罪潔白が確定した。
無罪潔白の小沢一郎氏が「真っ黒」としてメディアから攻撃され続けた。ところが、本当の「真っ黒」を自民党も、メディアもまったく攻撃しない。これが日本の現状である
 
大阪で塚本幼稚園を運営する学校法人の森友学園が、国有地を市場価格の10分の1で払い下げられて、ここに「瑞穂の國記念小學院」を開校しようとしている。
その「小學院」の名誉校長に安倍晋三氏の妻である安倍昭恵氏が就任している。同学校のHPに掲載されている安倍昭恵氏のあいさつは次のものだ。
「籠池先生の教育に対する熱き想いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきました。
瑞穂の國記念小學院は、優れた道徳教育を基として、日本人としての誇りを持つ、芯の通った子どもを育てます。そこで備わった「やる気」や「達成感」、「プライド」や「勇気」が、子ども達の未来で大きく花開き、其々が日本のリーダーとして国際社会で活躍してくれることを期待しております。」
この「瑞穂の國記念小學院」が寄付集めに際して、学校名を「安倍晋三記念小学校」と表記していることが、日刊ゲンダイによって報じられている。
 
中  略問題は、国有地が不正に安価で払い下げられた疑いが濃厚であることだ。朝日新聞のスクープだが、他紙がほとんど後追いしていない。
しかし、不正である疑いは濃厚で、やがて、安倍政権はこの不正が端緒となって退陣に追い込まれるだろう。これこそ、「政治の腐敗」そのものである。
 
東京では、築地を豊洲移転に関わる不透明、不可解な事案が問題化している。
中  略)
この問題で安倍政権が終焉する可能性は高い思われる。後  略)
 
 
日本会議系「安倍晋三記念小学校」の国有地売却、
認可の不正疑惑を一切報道しないテレビ局と読売新聞の異常
LITERA 2017年2月17日
 昨日17日、国会でついに学校法人森友学園の小学校「安倍晋三記念小学校」設立をめぐる国有地“激安”売却と設置認可がいかに異例な扱いであったかが取り上げられたが、やっぱり、この男はしらばっくれてみせた。
 
 この日、民進党の福島伸享議員は、安倍昭恵夫人が小学校の名誉校長であることは知っているかと質問すると、安倍首相は「うちの妻が名誉校長になっているというのは承知しているし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と答弁。
 さらに福島議員が件の「安倍晋三記念小学校」という校名で寄附金を募っていたことを指摘すると、「いま話を伺って初めて知った」と安倍首相は言い、このように説明した。
「これ、私が総理を辞めたときにですね、うちの妻が(森友学園の籠池理事長を)知っておりまして、いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね(笑)、その方から小学校をつくりたいんで『安倍晋三小学校』にしたい、という話がございましたが、私はそこでお断りしているんですね。私、まだ現役の国会議員だし、えー、総理大臣を辞めたけれども、この先まったくもう復帰することを諦めたわけではないので(笑)、まだ現役の政治家である以上、私の名前を冠にするのはふさわしくないし、そもそも、私が死んだあとであればまた別だけれども、えー、何かそういう冠をしたいのであれば、私の郷土の大先輩である、たとえば吉田松陰先生の名前とかをつけたらどうですか?という話をしたわけでございます」
 
 だが、一方の籠池理事長は「週刊文春」(文藝春秋)としんぶん赤旗の取材に対し、安倍首相から校名に名を冠することについて「安倍首相の内諾を得ていた」「総理になったからそれはできないと安倍首相が辞退した」という旨の証言を行っている。安倍首相と籠池理事長、このどちらかが嘘をついていることになる。
 しかも既報で指摘した通り、「安倍晋三記念小学校」という名で寄附を募った振込用紙が配布されていたのは2014年、総理在職時のこと。勝手に名前を使われていたというのなら正式に抗議すればいいと思うが、安倍首相は「『安倍晋三小学校』なんてものは存在しないわけですよね、名前が違いますから」と言い、キレ気味にこう断言した。
「私や妻が(認可や国有地払い下げに)関係していたということになれば、これはもう、まさに、私は総理大臣首相も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたい」
 
 出た、ヤバイ疑惑を指摘された時の安倍首相の常套句「私は辞めますよ」。北朝鮮の拉致被害者をめぐる安倍氏の嘘を蓮池透氏に告発されたときも、安倍首相は「私の言っていることが違っていたら、私は辞めますよ。国会議員を辞めますよ」などと自身の正当性を訴えたが、「総理を辞める」と明言したら疑惑が晴れるとか、そういう話では決してないのは言わずもがなだ。
 だいたい、この小学校をめぐっては、同じく学校法人森友学園が運営し、昭恵夫人が「教育に対する熱意は素晴らしい」と褒め称える塚本幼稚園幼児教育学園が、保護者に向けて「よこしまな考え方を持った在日韓国人や支那人」などと書かれた差別文書を配布していたことが発覚し、大阪府も籠池園長らに事情聴取を行うなど問題化している。
 しかも、同園では2015年の運動会で園児に「日本を悪者にする中国や韓国は心を改めて。安倍(晋三)首相頑張れ」と選手宣誓させていたという話まであがっている(日刊スポーツ2月16日付)。
 
 加えて、17日の報道番組『ゆうがたサテライト』(テレビ東京)では、国有地“激安”売却問題とあわせて、「教育勅語」を暗唱させる塚本幼稚園の異様な教育と、昭恵夫人が同園で行った講演の模様を放送。「普通の公立学校の教育を受けると、せっかくここで芯ができたものが、またその(公立)学校に入った途端に揺らいでしまう」「日本を誇りに思えるような、そんな子どもたちがたくさん育っていってほしいと思います」と総理夫人が公立学校を否定する発言を行っていたと指摘した。さらに取材クルーは秋田県で講演後の昭恵夫人に「小学校の建設について話を伺いたい」と直撃したが、昭恵夫人が「それはちょっとごめんなさい」と逃げてしまった模様まで伝えた。
 
 国有地で不当な売却が行われていたことだけではなく、教育内容も取り上げる。このテレ東の報道姿勢は極めて真っ当なものだったが、ほかのメディアに目を向けると、唖然とさせられるものばかりだ。
 じつは小学校が設立される地元の大阪では、国有地の売却額が非公表になっている問題を朝日新聞が今月9日に記事にして以降、TBS系の毎日放送、テレビ朝日系の朝日放送、フジテレビ系の関西テレビ、テレビ東京系のテレビ大阪といった在阪テレビ局が後追い報道。17日現在まで取り上げていないのは『そこまで言って委員会NP』や『情報ライブ ミヤネ屋』などの“安倍首相応援番組”を制作する読売テレビだけだ。
 
 だが、一方で在京キー局は、これまで国有地不正売却問題を取り上げず、安倍首相への追及が行われた昨日でさえ、ワイドショーはもちろん、夕方のニュース番組でも一切報じずじまい。夜になって『NHKニュース7』と『報道ステーション』(テレ朝)が申し訳程度に国会でのやりとりを流したが、両番組とも当初校名が「安倍晋三記念小学校」で予定されていた問題については伏せており、校名問題に触れたのは『NEWS23』(TBS)のみ。差別文書配布問題を併せて言及した番組は、ひとつもない。
 さらに露骨なのは読売新聞だ。17日現在まで、読売は森友学園をめぐる国有地問題と差別文書問題について、紙面は無論、オンラインニュースでも一度も取り上げていない。塚本幼稚園を礼賛してきた産経新聞でさえオンライン版で安倍首相の国会答弁を取り上げたのに、である。ちなみに、森友学園への国有地売却を決めた国有財産近畿地方審議会の当時の委員には読売新聞大阪本社編集局管理部長が名を連ねている。
 昨年9月、前述のテレ東『ゆうがたサテライト』の前身番組『NEWSアンカー』は、塚本幼稚園の戦前めいた愛国教育を取り上げ、その上で籠池理事長が日本会議大阪の代表・運営委員であることを伝え、改憲の動きとつなげて報じていた。ネット上では昨日の放送を含め、「まさかあのテレ東がやってくれるとは」「テレ東応援する!」といった声が溢れたが、その分、余計にほかの大手メディアの弱腰ぶりが目にあまる。安倍首相がしらばっくれるなか、メディアが掘り下げなくては、この問題もまた藪の中へ消えてしまうだろう。 (編集部)