2017年2月23日木曜日

拉致被害者の救出問題は「永遠に道半ば」なのか

 安倍首相のことを稀に見る詭弁の達人と評する向きもあります。
 「POST 真実」ではありませんが、あらゆることにおいて、虚偽・空疎な内容をあれだけ感情をこめて??喋りまくるという能力は大したものです。
 彼は、北朝鮮がミサイルの発射実験をするたびに世界に先駆けて痛烈に非難する一方で、拉致被害者の救出のための行動は一切、ただの1ミリもしていません。あれでは交渉そのものが出来よう筈がありません。
 
 22日、日本人拉致事件の被害者家族が安倍首相と面会したということですが、普通の人間であれば赤面して恥じ入ってしまうその場面でも、彼は大昔に口にしたようなことを滔々と述べたようです。その無意味さは、もはや「稀に見る詭弁」というしかありません。
 
 村野瀬玲奈氏が痛烈に批判しました。(太字強調部分は原文に拠っています)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
北朝鮮による拉致被害者家族と安倍首相との今回の面談で首相側が述べた内容を見ると、解決は「永遠に道半ば」になりはしないかと思わされた。
村野瀬玲奈の秘書課広報室 2017年2月22日
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致事件の被害者家族が2017年2月22日に安倍晋三首相と面会したというニュース。
 
安倍首相の支配下にあり安倍首相の政治行為の宣伝を担当するNHKには詳しい情報があるべきですが、以下に抜粋引用するウェブ記事を見ると、解決に向けての具体的な新しい前進はないようです。それどころか、解決に向けての行動計画、交渉のシナリオも書かれていません。
 
家族会側が「北朝鮮を実質協議のテーブルにつかせるべく具体的な措置をお願いしたい」と発言しているというところから見て、政府には「具体的措置」そのものが相変わらず無いようです。つまり、日本政府、安倍首相は何もしていないとしか思えません。それなのに、「一日も早いすべての拉致被害者の帰国を実現すべく全力を尽くす」と菅官房長官が述べたそうです。私が被害者家族なら「馬鹿にされた」と思うところです。
この面会の会談内容は、前回の家族側と安倍首相の面会と同じ内容ではないのでしょうか。
ということで、今回の報道をメモしておきます。
 
(NHKニュース)
首相 拉致被害者の家族らと面会
2017年2月22日 16時38分
安倍総理大臣は、北朝鮮による拉致被害者の家族らと面会し、事件発生から40年が経過する中で、拉致被害者が帰国できない状況が続いているのは「痛恨の思いだ」として、各国と連携し、解決に向けて北朝鮮に対話を求めていく考えを強調しました。
安倍総理大臣は、拉致被害者の家族会などが、事件発生から40年が経過することを踏まえ、制裁の解除など見返りも条件に被害者の早期帰国を最優先にした交渉を進めるよう求める活動方針をまとめたことを受けて、代表の飯塚繁雄さんらと総理大臣官邸で面会しました。
(中略)
これに対し、飯塚さんは「私たちは、月日の重みをひしひしと感じている。『見返り』という言葉もあるが、日本がかけている制裁を『てこ』として上手に使い、北朝鮮を実質協議のテーブルにつかせるべく具体的な措置をお願いしたい」と述べました。
 
官房長官「一日も早い帰国実現に全力」
菅官房長官は、午後の記者会見で、「拉致被害者の方々はもとより、ご家族の皆様が一年一年と年を重ねてご高齢となっており、一刻の猶予もないという切迫した思いを切実に受け止めている。政府としては、引き続き、対話と圧力、行動対行動の原則の下に、北朝鮮に対して、ストックホルム合意の履行を求めつつ、一日も早いすべての拉致被害者の帰国を実現すべく全力を尽くす」と述べました。
 
 
拉致被害者家族会が安倍首相と面会 新活動方針を報告
2017年2月22日 18時37分
拉致被害者の家族会が安倍総理大臣と面会し、被害者の早期帰国のためには、制裁の解除など北朝鮮に見返りを示すことも可能だとする新しい活動方針を決めたことを報告し、ことし中の帰国の実現を求めました。
(中略)
家族会は、今月19日、北朝鮮がすべての拉致被害者を帰国させるなら、制裁の解除や、被害者が帰国しても北朝鮮で見聞きした秘密を話さないといった見返りを示すことも可能だとする新しい活動方針を決めました。
 
22日の面会では、こうした方針について、家族会側から詳しい説明が行われたということです。
(後略)
 
解決のためには日本政府が仕事をするだけです。具体的な交渉スケジュールや条件を立案してその通りに交渉し、その経過を家族に報告する、そのくらいのことを日本政府はすべきです。『各国と連携し、解決に向けて北朝鮮に対話を求めていく考え』という一般論は聞き飽きました。しかし、私の覚えている限り、そのようなことをしたという報道は今回も、今までも、見たことがありません。
 
この調子では、解決は永遠の道半ばになりはしないでしょうか?だって、安倍応援団のNHKでさえ、安倍自民党政府が今具体的に何をしているのか、どのように対話を求めているかを具体的に書くことができないのですから。
 
仮に私が拉致被害者の家族なら、「この問題の解決が道半ばであることは理解した。『一日も早いすべての拉致被害者の帰国を実現すべく全力を尽くす』という政府の約束を信じている。『約束と異なる新しい判断』でさらに何十年かかってもかまわないからじっくりと取り組んでもらいたい。ただ、現時点でどのようなアクションに全力を尽くして取り組んでいるのか、北朝鮮の誰とどのような交渉をしていて、次の交渉ステップがいつ頃どのようなものになるのかを具体的に教えてもらいたい」くらいのことを皮肉も込めて安倍首相に対して言いたくてむずむずすることでしょう。
 
安倍氏と自民党政府は具体的な仕事をしなさい。具体的な仕事もしていないのなら、「一日も早い帰国実現に全力」なんておためごかしは要りません。安倍自民党政権はこの問題をいつまでも解決しないことによって安倍自民党への支持を有権者から調達しているとしか思えません。被害者家族にはお気の毒ですが、安倍自民党に期待すれば期待するほど、解決はますます「道半ば」になるとしか思えないのです。
安倍自民党政権が仕事をしないなら、仕事の具体的なスケジュールも示さないなら、政権を別の政党に譲りなさい。私が「拉致問題」について言いたいのはそれです。