2017年2月9日木曜日

会うも地獄 会わぬも地獄のトランプ大統領との日米首脳会談

 安倍首相は国会で、「国民の年金積立金をアメリカに投資する」と言われていることに ”キレ” て、「自分にはGPIFに投資先を指図する権限はないのだからデマだ」、「デマを流すな。国益を損する」とかと しつこく繰り返していました。
 なるほどそれはそのとおりで、確かにGPIFの理事長は下記のような報道に対して、即座に「首相にそんな権限はない」と訂正をする発言をしました。しかし同時に国会で「結果的にそうなる可能性はある」とも述べました。まさに「建前」と「本音」を羅列したわけで一目瞭然、まことに見え透えたハナシです。
 
公的年金、米インフラに投資 首脳会談で提案へ  政府、雇用創出へ包括策 
日経新聞 2017年2月2日
 政府が10日に米ワシントンで開く日米首脳会談で提案する経済協力の原案が1日、明らかになった。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が米国のインフラ事業に投資することなどを通じ、米で数十万人の雇用創出につなげる。対米投資などで米成長に貢献できる考えを伝え、トランプ政権との関係強化につなげる。 ・・・・
 
 国民は、少なくとも6~7兆円といわれているその資金が、具体的に「誰の手」で米国に投資されるのかなどは別に問題にしていません。こと安倍政権に関しては、誰も日銀が独立しているとも思わないし、ましてGPIFが政府から独立しているなどとは思っていません。
 
 それでは、アベノミクスを取り繕うためにGPIFが年金資金を株券の購入に充てる金額を大幅にアップさせた結果、僅か15か月で10・5兆円もの巨額を毀損したことについて、首相は「自分には全く関係のないことだ」と言い張るつもりなのでしょうか。そんな言い分はとても通用しません。
 国民は年金資金が国内向けではなくて、トランプ氏の要求に従って米国に投資されること自体を問題にしているのです。自分がトランプ大統領の前でいい子になりたいがためにそうすることを。
 
 我々はかつてTPPの日米事前協議で日本側が何もかも米側の言いなりなった姿を目の当たりにしました。今度の日米首脳会談でそれが再現されるのであれば被害の甚大さは計り知れません。
 国会でペラペラと「国益を損する」などと口にするのではなく、首脳会談で国益を守り切る姿勢を見せて欲しいものです。
 
 天木直人氏のブログ:「トランプ大統領との会談は、会うも地獄、会わぬも地獄、である」を紹介します。
 天木氏は、安倍首相のこの窮地はトランプ氏との会談の順番が上位である方が自分の格も上がるというような愚かな考えから会談を焦ったことがもたらしたものだとしています。至言です。
 
追記)8日にパロディ動画:「総統閣下は大統領への貢物に年金を持っていくつもりです」が公開されました。 (^○^)  49秒の極めて短いもので下記のURLをクリックすれば始まります。
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トランプ大統領との会談は、会うも地獄、会わぬも地獄、である
天木直人のブログ 2017-02-08
 いよいよあす安倍首相は訪米に出発する。
 「今度の日米首脳会談は会うも地獄、会わぬも地獄だ」 これは、今度の訪米を前に、安倍外交を支える側近議員が語った言葉であるという。鈴木哲夫という政治評論家が、発売中のアサヒ芸能最新号(2月16日号)で教えてくれている。
 地獄というのは極端にしても、安倍首相にとっては思わぬ誤算になった訪米に違いない。
 当初は、安倍首相にとって大きな点数稼ぎになる訪米であり、日米首脳会談のはずだった。しかし、トランプ大統領の正体が明らかになるにつれて、思惑は完全に外れる事になった。最大の誤算は、大統領令の乱発による愚策によって、トランプ大統領への内外の反発が高まったことである。
 その中でも、最大の愚策は移民の入国規制だ。ついに米国司法はこれを違憲と断じた。
 安倍首相が日米首脳会談する時点では、その相手は、米国憲法に違反した大統領となる。
 「法の支配」を強調する安倍首相が、自国の憲法を公然と無視する米国大統領と会談し、中国に「法の支配」を守れと迫る。これ以上の矛盾と皮肉はないだろう。
 
 しかし、そのほかにも、安倍首相を悩ます理由は数多くある。
 ひとつは、すべて自分が一人で決めるというトランプ大統領の独裁的手法だ。これによって官僚たちの出る幕がなくなった。
 訪日直前というのに、議題や日程が確定せず、行き当たりばったりとなった。何が起きるかわからない首脳会談になった。文字通り安倍首相の力量が試される事になったのだ。
 それに加えてトランプ大統領の正体が明らかになった。
 大統領になったら現実的になるだろうという楽観はすっかり外れ、いまやトランプ大統領は、滅茶苦茶な対日要求を突きつけてくる大統領となった。おまけに聞く耳を一切持たないことが明らかになった。安倍首相に勝ち目はない。
 しかもトランプ大統領はウソのつけない正直者だ。だから安倍首相がどんなに会談結果をごまかそうとしても、トランプ大統領のほうから本当のことを話す。トランプ大統領は自分の手柄を強調したいから、なおさら本当のことをしゃべる。首脳会談後の共同記者会見では安倍首相はまる裸にされだろう。
 
 安倍首相が頭を痛める事はまだある。それはトランプ大統領の訪日招待問題だ。日米首脳会談の例として、必ず公式招待を行うのが礼儀だ。そしてトランプ大統領はそれを期待している。
 しかし英国の例がはっきり示してくれた。トランプ大統領を公式招待してエリザベス女王に会わせるなど、とんでもない話だと、猛反発が起きている。
 それを見ている安倍首相が、トランプ大統領を国賓で招待できるのだろうか。ただでさえ天皇陛下をないがしろにしていると批判される安倍首相だ。
 憲法違反のトランプ大統領を、憲法遵守の天皇陛下に会わせることができるのか。
 
 安倍首相を苦しめる最後の理由は、今度の安倍・トランプ会談を世界が注視して見ているということだ。
 日本国民の血税をトランプ大統領に貢ぐ、こんな安倍首相の姿が世界に知れ渡ることになる。もはや、安倍首相は逃げも隠れも出来ない。
 こう考えていくと、やはりトランプ大統領との会談は、側近議員が語ったように、安倍首相にとって、会うも地獄、会わぬも地獄、かもしれない。トランプ大統領との個人的関係構築を急ぎ過ぎたツケである)