2024年11月30日土曜日

斎藤知事代理人 記事改変把握せず会見(植草一秀氏)

 植草一秀氏が、掲題の記事を出しました。
 公選法違反の疑いがある斎藤知事は27日午後の定例会見でmerchu社に依頼したのはポスター制作費などの71万円相当の業務だけで、それ以外は個人でボランティアとして対応してもらった」と説明し、公選法違反を否定しました。
 記者からポスター代は選挙管理委員会から支払われるのになぜ斎藤氏個人が払ったのかなど、詳しい経緯や違法でないとする根拠を突っ込まれると「代理人弁護士に対応を一任している」と、繰り返しました。
 代理人の奥見弁護士は、斎藤氏の会見から1時間半後に会見しましたが、同氏はmerchu社が現在公開している「note(ブログ)」はオリジナルのものではなく、問題発生後に改変されたものであること自体を知りませんでした。
 なぜわざわざ時間をずらして会見を行ったのかも含めて、一向に「不審」が解消されない会見でした。

 併せて日刊ゲンダイの3つの記事を紹介します。
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知事代理人記事改変把握せず会見
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月28日
兵庫県知事に再選された齋藤元彦氏に関わる公選法違反・政治資金規正法違反疑惑が拡大している。
齋藤氏の代理人弁護士が会見を開き、公選法違反に当たらないとの主張を示した。
テレビ等に出演する弁護士や識者も各自の見解を示すが、見解はばらばらである。
齋藤氏の代理人弁護士が公選法違反に該当する事案でないと主張するのは予想の範囲内。
問題はその主張が適正と言えるのかどうか。
テレビ等で発言する弁護士については、それぞれの発言者の背景、立場を吟味することが重要。
齋藤氏ならびに齋藤氏と関係が深い組織と何らかの利害関係を有する場合、発言には偏りが生じると考えられる。

11月17日に投開票日を迎えた兵庫県知事選では選挙戦の終盤で維新、創価学会、旧統一協会などが齋藤氏支援の行動を示したとのSNS上の指摘がある。
維新は独自候補を擁立したが、この候補の当選を目指したのかどうかも定かではない。
齋藤氏の対立候補として稲村和美氏が出馬したが、反齋藤票が稲村氏に集中するのを防ぐために維新候補が擁立されたとの見方も生じ得る。
仮に維新、創価学会、旧統一協会などが齋藤氏の再選を実質的に支援したとする場合、これらの組織と関係のある発言者のコメントを受け止める際には、バイアス⇒偏り)の存在可能性に留意する必要がある。
これまでに提示されているコメント等を見ると、弁護士の野村修也氏、高井康行氏、元財務官僚の高橋洋一氏の発言に偏りがあると感じられる。

他方、これらの組織などと関係がないと見られる人々の発言には偏りが感じられない。
弁護士の郷原信郎氏、若狭勝氏、菊間千乃氏、紀藤正樹氏などの発言には偏りが感じられない。
両論が存在するわけだが、後者のグループの発言者コメントは、齋藤氏サイドの説明と西宮市にあるPR会社『merchu』の代表取締役の折田楓氏が11月20日に”note”のブログ記事に記述した内容との齟齬を共通して指摘するものだ。
とりわけ重要と見られるのは、折田氏が騒動発生後にブログ記事を改変したこと。
しかし、当初の掲載文書の魚拓が保存されていることから、折田氏がどの部分の記述を改変したのかが明らかになっている

齋藤氏サイドが不都合と判断した部分が改変されたとすると、この改変部分が問題の核心を指していると判断されることになる。
ところが、記者会見した齋藤氏の代理人弁護士は折田氏のブログ記事が改変された事実を把握していなかった。極めてお粗末な対応を言うほかない
齋藤氏サイドの説明は齋藤氏が折田氏の企業に発注したのはポスターの制作等に関する業務のみで、SNS対応を中心とする広報活動全般に関する業務を発注した事実はないとするもの。
折田氏は選挙期間中を含めてSNSによる広報活動を実行したが、これはあくまでも折田氏がボランティアとして活動したものであるとしている。

ところが、この主張は折田氏がブログ記事で公表した内容とは完全に異なっている。
齋藤氏サイドの主張が正しいとすると折田氏はブログで虚偽を記述したことになる。
このことによって齋藤氏サイドは重大な疑惑を持たれることになったわけで、齋藤氏サイドは折田氏に対して法的措置を講じることが順当ということになる。

折田氏は兵庫県知事選について「今回選挙の「広報・SNS戦略」を東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」「今回広報全般を任せていただいていた」などと記述し、広報全般の取り組みについて詳細な記事を投稿した。
11月21日午前1時24分時点の折田氏の投稿記事はこちら。 https://x.gd/Bkyx4 
これが当初の投稿内容と見られる。

折田氏は、「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました。写真および動画の撮影については、現地で対応してくださっているスタッフの方々にお願いすることをベースに、私自身も現場に出て撮影やライブ配信を行うこともありました。」と記述。
この業務を行うことになった「きっかけ」について折田氏は次のように記述した。
「とある日、株式会社merchuのオフィスに現れたのは、斎藤元彦さん。それがが全ての始まりでした。」

齋藤氏との関係性については、「兵庫県庁での複数の会議に広報PRの有識者として出席しているため、元々斎藤さんとは面識がありました」と記述。
merchu社内で斎藤氏と折田氏らが打ち合わせしている写真に「「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案中」との説明を付し、
ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました
と記述した。

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斎藤元彦知事&代理人弁護士「時間差会見」のあざとさ…二人揃ってPR会社美人社長をバッサリ切り捨て
                          日刊ゲンダイ 2024/11/28
 疑惑が晴れたとは言い難い。公職選挙法違反疑惑に揺れる斎藤元彦兵庫県知事(47)。PR会社の女性代表が、知事選のSNSの運用について“戦略の企画立案を行った”とネットに記したことで同法違反疑惑を招いている。

 斎藤知事は27日午後の定例会見で改めて違法性を否定。もし、「広報全般を任せていただいていた」と、投稿サイト「note」に書き込んだ渦中のPR会社「merchu」の折田楓社長側に報酬を支払っていれば、公選法違反の買収に当たる恐れがあるが、斎藤知事本人は「お願いしたのは、ポスター制作を含めた70万円の対価の支払いに伴う業務だけ。それ以外は個人でボランティアとして対応してもらった」と話した。
 さらに折田氏が投稿した記事について「ああいった文章がつくられたことは事前に聞いていなかったので、そこに対する若干の戸惑いはある」と発言。記事は「虚偽」とも取れる話しぶりだった。
 ただし、詳しい経緯や違法でないとする根拠を突っ込まれると「代理人弁護士に対応を一任している」と繰り返し、逃げ続けた。

 そんな斎藤知事の会見から1時間半後、代理人を務める奥見司弁護士が会見。やはり「違法性はない」と主張した。折田氏の記事については「『広報全般を任せてもらった』という部分は全く事実ではないと考えている」とバッサリ。「『盛っている』と認識している」とまで言ってのけたのだ。
 斎藤知事と同じく折田氏の投稿は“嘘八百”と断じたようなもの。折田氏を切り捨てにかかったような形だ。
 ところが、折田氏の投稿のどこが事実と違うのか、といった詳細を詰められると、奥見弁護士は「(斎藤に)確認していない」などと回答。折田氏が複数回にわたって投稿の中身を削除、書き換えていたことも把握していなかった

弁護士は記事の書き換えをチェックせず
 折田氏が書き込んだ記事には当初、斎藤知事と折田氏が打ち合わせする場面を収めた写真に〈「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案中〉という文言が添えられていたが、〈「#さいとう元知事がんばれ」を説明中〉に変えられ、〈ご本人(斎藤)は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました〉との一文は丸ごと削除されている。
「買収」を立証する上でカギとなる主体的な「提案」が隠された疑いがある。
 書き換えの事実は超重要なファクターなのだが、フリージャーナリストの横田一氏に「(書き換えを)チェックしたのか」と問われると、奥見弁護士は「全くしていない」とシレッと言い放っていた。

 横田一氏が言う。
書き換えを知らずに会見するなど、あり得ない話です。そもそも、斎藤知事は奥見弁護士と共に会見で説明すべき。それをせず、時間差で会見したのは詳細な説明を避ける思惑があったとしか思えない。2人で会見に出席すれば、事実関係を細かく説明せざるを得ません。そうした事態を当面は回避したかったのでしょう。疑惑はさらに深まったと思います」
 美人社長は騒動以後、姿を見せていない。本人が説明しなければ、真相は明らかにならないだろう。

斎藤元彦知事“火に油”の言い逃れ…知事選でのPR会社「400人分の仕事はボランティア」の怪しさ不自然さ
                           日刊ゲンダイ 2024/11/27
 寝食を惜しんだ「400人分の仕事」は無償だったのか──。斎藤元彦・兵庫県知事の公職選挙法違反(買収)疑惑を巡り、主要メディアも追及を始めた。斎藤知事は渦中のPR会社に「ポスター制作などを依頼した」と説明した上で、約70万円の報酬は公選法で認められた対価と主張PR会社の社長は「ボランティアとして個人で参加した」と言うが、この弁明は極めて不自然すぎる。
  ◇  ◇  ◇
 問題のPR会社は兵庫県西宮市の「merchu」。一躍注目を集めたのは20日、同社の折田楓代表が「広報全般を任せていただいた」などと斎藤陣営のSNS戦略を投稿サイトに告白したこと。撮影やライブ配信も行い、「食べる暇も寝る暇もない程だった」とも記した。SNS戦略を主体的に企画立案したことへの見返りに報酬が支払われていれば、買収に問われかねない。

自治体の「SNS運営」を次々受注
 一方、斎藤知事サイドは「広報戦略の監修を担ってもらった認識はない」と説明。折田氏が嘘をついたような態度だが、2017年創業のmerchu社は決してポスター制作が本業ではない。
 今年度は
高知県広報広聴課「SNS公式アカウント分析等委託業務」(246万2000円)
徳島県県民ふれあい課「SNSを主軸とした徳島新時代情報発信業務」(799万7000円)
広島市観光政策部「SNS活用プロモーション業務」(807万4000円)
──など必ずSNS」の付く事業を次々と落札。広島市の業務は19年度から連続でコンペを勝ち抜き、契約総額は3212万円に上る。完全にSNS運営に特化した企業なのだ。

 23年2月には兵庫県の「ひょうごe-県民アプリ」事業の元請け企業から「デザインリニューアル」など単発の仕事を再委託されたことも。20年に折田氏は投稿サイトで「行政の発信や広報が圧倒的にダサい」「日本のすべてのダサいをなくしたい」と豪語していた。
 折田氏が兵庫県の複数の有識者会議で委員に選ばれているのもSNSを使った情報発信の知見を期待されているのだろう。これらの会議には斎藤知事も出席し、折田氏とは何度も顔を合わせているのに「今回は支援者を通じて紹介していただいた」とは、しらじらしい

 斎藤知事は9月末にmerchuのオフィスに来訪したのは認めている。わざわざポスター制作などの発注に出向くのは不自然。折田氏が〈私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました〉(現在は削除)と記した通り、SNS戦略をプロ集団に依頼したとみるのが自然ではないか。プロの仕事を無償でお願いしたのなら、壮絶な「おねだり」である。

政治資金規正法違反の疑いも
「これだけの業務実績があれば、斎藤氏サイドが『無償のボランティア』と訴えても労務の無償提供、すなわち寄付行為とみなされます。折田氏は投稿サイトに〈私の働きは400人分の仕事にみえたんや〉〈そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい〉などと記し、会社単位で仕事を受けたことをにおわせています。政治資金規正法で、企業が寄付できるのは『政党』のみ。それ以外は禁じられており、寄付をした側、寄付を受けた側は共に刑事罰の対象となり得ます」(政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏)

 merchuは今月5日、「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」に選出されたが、29日の表彰式を急きょ欠席。表彰者も斎藤知事から副知事対応に変わった。コソコソ逃げ回るのは「相当にダサい」
  ◇  ◇  ◇
 斎藤知事側は大炎上中の公職選挙法違反疑惑の否定に躍起だが、図らずもヤバい体質を露呈。

●関連記事『【もっと読む】斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑』で詳報している。


斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑
                         日刊ゲンダイ 2024/11/25
「広報全般を任せていただいていた」──。兵庫県西宮市の広報・PR会社「merchu」の折田楓代表が、兵庫県知事選における斎藤元彦陣営のSNS戦略を喜々としてカミングアウト。斎藤知事側は大炎上中の公職選挙法違反疑惑の否定に躍起だが、図らずもヤバい体質を露呈している。
  ◇  ◇  ◇
 折田氏は20日付でネット投稿プラットフォーム「note」に公開した記事でこう記している。
「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」
 総務省のネット選挙ガイドラインには、業者に選挙運動用サイトなどに掲載する文案を主体的に企画立案させ、報酬を支払えば「買収となるおそれが高い」とある。

 22日に斎藤知事は「基本的には主体的には私、それから斎藤元彦後援会でSNSをどうするかを考えていた」とコメント。折田氏の主張は「嘘」と言っているに等しい。自身のパワハラなどの疑惑を告発した元県民局長を「嘘八百」と切り捨てたのと同じ構図だ。
 しかし、知事選で斎藤氏を支援した日本維新の会の森健人・西宮市議は、自身のXで「陣営側としてSNSをお願いしていた方はお一人のみ」とし、折田氏のインスタグラムを紹介。当の斎藤氏も19日の就任会見で選挙中のSNS上での誹謗中傷を問われ、「街頭活動に専念していて、見る余裕はなかった」と答えていた。支離滅裂ではないか。

merchuは公共事業を請け負う業者
 斎藤知事の代理人弁護士はmerchuへの金銭の支払いを認めたものの、「あくまでポスター制作など法で認められたものであり相当な対価をお支払いしております」と公選法違反を否定。 SNSへの関与はボランティアの一環で「陣営の指示に従ったもの」と言うのだが、折田氏は「選挙は広報の総合格闘技」としてnoteにこう記している。
「質・量・スピード全てが求められ、食べる暇も寝る暇もない程でした。脳みそを常にフル回転し続けなければならない点が、最もハードでした」

 これだけキツイ業務を無償で依頼するのは「おねだり」そのもの。仮にタダ働きだったとしても、別の問題が生じる。
 折田氏の「信頼できる少数精鋭のチーム」とは、merchuの社員を指すとみられる。選挙中の今月13日には、折田氏が立ち上げたXの「さいとう元彦応援アカウント」に「写真の掲載を許可してくださった皆様、ありがとうございます」と記し、斎藤知事と共に折田氏をはじめ、選挙に携わったとみられる社員総出で支援者に扮する“サクラ”写真まで投稿していた。
 経営者(折田氏)が特定の候補(斎藤氏)を当選させる目的で、社員に選挙運動を指示し、所定の給与を支払えば、折田氏が公選法違反の買収に抵触しかねない。仕事ぶりから「組織的選挙運動管理者等」とみなされると連座制が適用され、斎藤氏の当選も無効となる。

 また、折田氏は兵庫県の「地域創生戦略」「eスポーツ検討」「次世代空モビリティ」と少なくとも3つの有識者会議の委員を有償で務め、閉鎖されたmerchuのHPのクライアント欄には「兵庫県企画部」とあった。労務の無償提供は「寄付行為」とみなされかねず、公選法は公共事業受注企業の選挙に関する寄付を禁じている。
 公共事業を請け負う業者が首長の選挙を手伝う時点で、互いに「既得権益」を守りたがっているようにしか見えない

折田楓を庇護し公選法違反を曖昧化するマスコミ - 斎藤元彦の無法政治と鉄面皮

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。
 斎藤元彦氏の前知事時代のパワハラ体質は明らかで、知事選における公選法違反もまた明らかなのに、「TV報道がこの問題を取り上げると、途端に事件の輪郭は曖昧模糊となり、関与者の責任がボヤかされ~て行った」、「野村修也を筆頭とするところの、斎藤元彦をシロにしようとする佞悪な反動論者が言説の攻勢をかけ、事実関係と法律解釈を歪める作戦に出て、テレビでの事件像をあやふやな位相へ押し戻している」と述べ、「柿沢未途が逮捕された事件が引き合いに出され、柿沢が有料ネット広告に関与した公選法違反容疑で立件され、~ ネット広告を発注し掲載した江東区長の木村弥生も、捜査を受けて辞任に追い込まれ」たのと「基本的に今回の斎藤元彦の事件と同じ類型であり、前例の犯罪あるいは不正と言える」のに、TV界は一言も触れようとしないと批判します。

 そしてエンディングの近くで、「斎藤元彦を見て直観するのは無法政治の表象であり、その台頭と常態化だ。~ よく考えてみれば、それは今年始まった問題ではない。橋下徹がそうだったし、安倍晋三がそうだった。森友、加計、桜を見る会..恐ろしい無法がまかり通り、司法が止めず、マスコミも素通りさせ、国民が選挙で止められなかった」「斎藤元彦は橋下轍や安倍晋三を見倣っているのであり、彼らの成功体験を延長した政治行動を実践しているのであり、彼らと同じように自分は成功して勝利すると確信しているのだろう」「〝模範的なリーダー″たちに彼はラディカルに準拠している」と述べています。
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折田楓を庇護し公選法違反を曖昧化するマスコミ - 斎藤元彦の無法政治と鉄面皮
                      世に倦む日日 2024年11月28日
先週の 11/20、西宮市のPR会社 merchu 社長の折田楓が note 記事を公開、自ら企画・立案・実践した兵庫県知事選のSNS広報戦略の経緯と内容を(誇らしく)明らかにした。それが瞬時に問題となり、公選法違反の買収に当たると指摘がされ、そこから糾弾騒動が始まった。先週末、ネット上に次から次へと新たな証拠情報が掘り出され、分析と法律的検討が加えられ、猛スピードで集合知が堆積されて事件の全体像が明らかになった。斎藤元彦の犯罪が証明された。2014年の小保方晴子の事件を想起させられるが、今回のXでの集合知運動は、10年前の5chで展開されたそれより圧倒的に速くダイナミックで、写真や動画が多く説得的で、週末3日間(11/22-24)は刮目と興奮でPCの前から離れられなかった。11/17 の知事選投開票以来、この国の政局の中心は東京から兵庫に移動した感がある。まるで幕末だ。週が明けて、議論の主舞台はテレビに移った

テレビ報道がこの問題を取り上げると、途端に事件の輪郭は曖昧模糊となり、関与者の責任がボヤかされ、核心が空ろなグレーな事案にスリ替えられて行った。野村修也を筆頭とするところの、斎藤元彦をシロにしようとする佞悪な反動論者が言説の攻勢をかけ、事実関係と法律解釈を歪める作戦に出て、テレビでの事件像をあやふやな位相へ押し戻している。折田楓の写真や動画も、なぜかテレビでは顔をボカシ加工した絵で映され、名前も匿名化されて”慎重に”紹介されている。それゆえ、視聴者の目からは、本来明確な公選法違反の事件性が不明瞭な印象となり、野村修也藤川晋之助詭弁が功を奏する事態となっている。予想していたことだけれど、テレビはアドミニ⇒管理者)権力の反動の工作機関であり、クロをシロに改変捏造して権力者の犯罪を免責処理する装置だ。なぜ折田楓の顔をボカして放送しなくてはならないのか、理解できない。憚り庇う理由は何なのか

嘗ての、梨元勝が活躍していた頃のテレビと事件報道なら、このような不毛で不自然な「遠慮会釈」は排し、躊躇なくストレートに視聴者のニーズと知る権利に応える取材を試みただろう。全盛期の梨元勝がいま健在なら、折田楓にマイクを突きつけるスクープ映像を撮って見せただろうし、経歴人脈も詳細に掘って伝えただろうと想像する。民放には「正確で迅速な報道」という基準があり、それはジャーナリズムの使命と要件でもある。無論、そこには報道対象となる個人に対する人権・プライバシー尊重の義務があり、取材する側は、言わば矛盾する二つの原則の中で緊張と均衡をもって動くものだ。そのときのマスコミ報道側のバランスの取り方が、過去と現在とは違っていて、昔のレポーターは権力者側のプライバシーに容赦せず、視聴者国民の要求に応えて突撃していた。今は権力者側にばかり忖度し、過剰に気配りし、逆に庶民側の人権・プライバシーには配慮しない

先週末の怒涛の集合知の状況から較べれば、現時点は、事件の解明と解決への積極的空気感 - 捕り物が始まる期待感 - は少し後退したかもしれない。反動側の押し戻しを許してしまった。例えば、先週末のXタイムラインでは、柿沢未途が逮捕された事件が引き合いに出され、柿沢が有料ネット広告に関与した公選法違反容疑で立件された事実が確認された。ネット広告を発注し掲載した江東区長の木村弥生も、捜査を受けて辞任に追い込まれている。基本的に今回の斎藤元彦の事件と同じ類型であり、前例の犯罪あるいは不正と言える。ところが、週が明けて騒々しく報道を始めたテレビは、解説で柿沢未途の件を一言も触れない。テレビだけ見ている者は、前例として柿沢未途の一件があるという認識を持てないだろう。その認識を持つかどうかで今回の事件への視線も違ってくる。テレビは柿沢未途の事件を隠蔽している。コメンテーターは材料として情報提供するべき

テレビ報道では、折田楓が、斎藤陣営の広報全般を仕切っていると豪語している動画をストリーミング紹介しない。折田楓の人物像と、今回の事件の真実と本質をよく表すこの絵を生放送すれば、スタジオのコメンテーターの空気も、視聴者の事件への認識も、全く異なってくるに違いない。折田楓は、選挙PRを主担しながら、公職選挙法の罰則規定を全く知らないのであり、総務省のガイドラインに無知なのである。だから、得意になって有頂天で自分の"活動と実績”を自慢している。間抜けに吹聴している。それは、次の選挙の広報”をビジネスとして受注するためであり、事業の拡大と利益の追求のため、自分と会社を無邪気に露骨に宣伝しているのだ

この動画とか、高級ブランドのバッグを威張って見せびらかせている絵を番組で提示すれば、折田楓が極端に虚栄心と自己顕示欲の強い性格だと視聴者は理解するし、そのグロテスクさに驚嘆し、特に女性層は不快感と滑稽感を覚えて閉口するだろう。そうした報道からの印象は、事件の有罪性を納得する心証に繋がるものだ。だが(と言うかそれゆえにと言うか)、テレビは折田楓の顔をボカし、選挙運動への関与を端役的な小さな存在感にして、視聴者の批判的関心が向かないようにイメージ処理している。実際には、本人が鼻高々で豪語するとおり、選挙運動で跳梁した主役であり、八面六臂でプロパガンダを演出・扇動した選対中枢メンバーであるにもかかわらず

テレビはこの事件を正確に報道せず、斎藤元彦の主張の「正当性」を追認するコメントばかりを御用コメンテーターに吐かせている。けれども、出演者の中で若狭勝だけは(現在のところ)正しい解説をしている。法曹家らしい態度で問題点を嚙み砕いていて、専門家が提供する標準的な知見と言える法律論だと頷けた。公職選挙法の建てつけ(理念・設計仕様)に論及し、複雑に見える罰則規定の趣旨と構造を整理し、法の原則をこの事件に適用して見解を述べている。要するに、公職選挙の選挙運動にはお金をかけてはいけないという221条以下の原則があり、お金を使っていい例外事項が規定されているという意味なのだ。選挙運動に資金を使ってよく、利権を使ってよいとすれば、資金や利権を持つ者が選挙を有利に戦える。法はそれを禁止し排除していて、公職選挙の選挙運動は無償奉仕で清廉潔白に、純粋に政策論争だけで、同志友人の労力提供だけでキャリーしなくてはいけない

なので、斎藤元彦の場合は、折田楓とPR会社が行った広報戦略等の選挙運動が、金銭を払っていれば買収(公選法)となり、金銭を払ってなくても公務員の事前収賄(刑法)になるのだと若狭勝は喝破する。挟み撃ちの論理構成でアウトだと判断する。この説明はテレビで何度か生放送されたが、11/25 のプライムニュースが決定版だった。若狭勝の解釈とは別に、SNS広報戦略(公式アカウント管理運用・公式インスタライブ撮影配信等々)の部分について、金銭を支払ってない場合のサービス提供を、政治資金規正法上の寄付行為に該当するという見解も出されている上脇博之もその主張をしていて、寄付した側、寄付された側の両者に刑事罰が適用されると言う。今年、日本の政治を変えた英雄である政治学者がこう述べると、俄然、議論に信憑性と説得力が生じ、斎藤元彦と折田楓のクロは明白という心証を強くする。二人ともクロなのだ。なぜ、折田楓の顔だけボカシが入るのだろう

今回の問題をめぐる論点の一つとして、斎藤元彦は元総務官僚なのに公職選挙法を知らなかったのか、それとも知りながらこの容疑事実を行ったのかという点がある。私は後者の意見の立場だ。キャリアの元総務官僚が公職選挙法の罰則規定や総務省のガイドラインを知らないなどあり得ない。むしろ、それを熟知して、法解釈を巧妙に操作してグレーの部分を作り出し、屁理屈を捏ねてクロをシロにするのが官僚だ。官僚は法律のプロである。今回の斎藤元彦はどうだったかと言うと、まさか、折田楓があのようなヘマをしでかすとは予想してなかったのだろう。しかも選挙から4日後に。計算外だったのだ。いずれは発覚して問題化するという想定はあったのだろうが、その前に、相生市長がひれ伏したような勝利の絵を積み重ね、維新支配下の関西マスコミの与力で百条委も突破し、選挙PR問題(公選法違反)が少々出たところで動揺することのない斎藤王国体制を固める思惑だったに違いない

だが、そうだとしても、あのような公選法違反を堂々と躊躇せず実行するという神経が、常識からすれば尋常ではないし、それは、あの立花孝志の凶悪な暴力をこの選挙に持ち込んで、自分が選挙に勝つために活用したという一事も全く同じである。時間軸を長くして見れば、公益通報者保護法を踏み躙り、告発者を探し出して本人の弱みとなるプライバシーを握り、脅迫して死に追いやり、さらには故人を誹謗中傷して名誉棄損しまくるという悪業も同じだろう。常軌を逸した幾多のパワハラやタカリも同じである。全国から非難が集まる中、斎藤元彦は鉄面皮の開き直りを通し続け、精神がどこか異常ではないかと世間から訝られた。思い出すのは、丸山真男軍国支配者の精神形態で、ドイツのファシズム政権幹部のアブノーマルに触れていた点と、「無法者」の概念がキーワードになっていた点である。法を堂々と violate ⇒違反する)する者がファシズムの政治に登場し、その政治を強引に牽引し全面化する

斎藤元彦を見て直観するのは「無法」の契機であり、無法政治の表象であり、その台頭と常態化だ。そこには、無法政治を歓迎し喝采を送って下から支持する、エーリッヒ・フロム的な憂鬱な愚衆現象がある。けれども、よく考えてみれば、それは今年始まった問題ではない。橋下徹がそうだったし、安倍晋三がそうだった。森友、加計、桜を見る会..恐ろしい無法がまかり通り、司法が止めず、マスコミも素通りさせ、国民が選挙で止められなかった。司法も、マスコミも、アカデミーも、橋下徹と安倍晋三の無法政治を正当化し合法化するばかりだった。斎藤元彦は橋下轍や安倍晋三を見倣っているのであり、彼らの成功体験を延長した政治行動を実践しているのであり、彼らと同じように自分は成功して勝利すると確信しているのだろう。もっと言えば、海の向こうの宗主国アメリカには無法政治の権化のようなトランプがいる。模範的なリーダー"たちに彼はラディカルに準拠しているだけだ

市民の告発を見守りたい。集合知の渦を作って無法政治の席捲と暴威にカウンターした市民たちに拍手を送り、この問題の注視を続けたい。私は、捜査当局は動くだろうと、希望的観測と言うより客観的予測に近いスタンスで今後を占っている。少なくとも立花孝志の逮捕はあるだろう。それは法治国家として必須で必然の進行だ。そのフェーズへ踏み進めば、立花孝志ルートだけでなく、次に折田楓ルートが立ち上がり、総合的で大型の令和の捕り物(斎藤元彦事件!)が組み上がるはずで、世論の支持を受けつつ、検察の面目一新とか大阪地検特捜部の復活という方向へ発展するはずだ。立花孝志だけを捕って幕引きにはできない。それでは片手落ちになる。捜査機関の実務の若手の者たちが競争して成果に努め、墜ちきった検察の威信を回復させようと励むだろう。そのように楽観的に展望したい。今、菅義偉と維新が必死で阻止と妨害に動いているに違いない。最終的に決めるのは石破茂だ 

30- ネタニヤフに対するICC逮捕令状はアメリカの政策と共謀に対する告発でもある

 ジェフリー・D・サックスが掲題の記事を出しました。
 彼は「イスラエル・ロビーがワシントンを完全に乗っ取った歴史は長く、ネタニヤフの戦争犯罪にアメリカ政府は加担しており、中東全域でネタニヤフの戦争暴力に全面的に協力してきた」として、「ネオコンとイスラエル・ロビーの連携は、21世紀最大の世界的惨事の一つとなった」と述べます。
 「ネタニヤフはアメリカ国民にとって紛れもない災難で、アメリカ財務省から何兆ドルもの資金を流出させ、世界におけるアメリカの地位を傷つけ、彼の大量虐殺政策にアメリカを加担させ、世界を第三次世界大戦に近づけている」と警告します。

 そしてトランプがまず最初にすべきことは、「イスラエル・ロビーへのワシントンの従属を終わらせ、アメリカを再び主権国家にすること」であり、「国家共存による平和をほぼ毎日繰り返し呼びかけている近隣諸国からイスラエルを守ることではなく、イスラエル・ロビーからアメリカを守る」ことが、トランプ政権が直面している本当の問題だと指摘します。
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ネタニヤフに対するICC逮捕令状はアメリカの政策と共謀に対する告発でもある
                マスコミに載らない海外記事 2024年11月27日
  結局、これはイスラエル・ロビーがいかにしてアメリカを弱体化させ、中東を破壊し、
  一連の国際人道に対する罪を引き起こしたかという物語だ。
        ジェフリー・D・サックス Common Dreams 2024年11月21日
 今や、これは公になっている。最も緊密なアメリカ同盟国で、数か月前にアメリカ議会で50回以上の総立ち拍手喝采を受けたイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、人道に対する罪と戦争犯罪で国際刑事裁判所から起訴された。アメリカは留意しなければならない。ネタニヤフの戦争犯罪にアメリカ政府は加担しており、中東全域でネタニヤフの戦争暴力に全面的に協力してきたのだ。
 30年間、イスラエル・ロビーがアメリカを唆して、パレスチナ国家出現を阻止すべくイスラエルのための戦争を戦わせてきた1996年に初めて政権に就き、以来17年首相を務めるネタニヤフは、アメリカが支援する中東戦争の主唱者だ。結果はアメリカにとって大惨事で、パレスチナの人々だけでなく中東全体にとって血なまぐさい大惨事となっている。
 これはイスラエルを守るための戦争ではなく、パレスチナ人抑圧に反対する政府を打倒するためのイスラエルによる戦争だ。国際法やアラブ和平イニシアチブや、G20、BRICS、OIC、国連総会が求める二国家解決にイスラエルは激しく反対している。占領開始以来、イスラエルの強硬姿勢とパレスチナ人の残忍な抑圧は、いくつか過激な抵抗運動を引き起こしてきた。これら運動は、地域のいくつかの国々に支援されている。
 イスラエル・パレスチナ危機の明白な解決策は、二国家解決を実施し、その実施過程の一環として過激派集団を非武装化することだ。

 イスラエル支配に反対する外国政府を打倒し、パレスチナ国家のない「新中東」地図を描き直すことがイスラエルの姿勢、特にネタニヤフ政権の姿勢だ。平和を構築するどころか、終わりのない戦争をネタニヤフは続けている。
 衝撃的なのは、悲惨な戦争のために、アメリカ軍事費と連邦予算を、ワシントンがネタニヤフに引き渡したことだ。イスラエル・ロビーがワシントンを完全に乗っ取った歴史は、イラン・パペの注目の新著『Lobbying for Zionism on Both Sides of the Atlantic(シオニズムのための大西洋両岸でのロビー活動)』で知ることができる。(2024年)。
 ネタニヤフは平和を構築するどころか、終わりのない戦争を起こしている。
 自らの政策の恩恵を受けるのは、あなた方だと、アメリカ国民に繰り返しネタニヤフ首相は語ってきた。実際は、アメリカ国民にとって、ネタニヤフ首相は紛れもない災難で、アメリカ財務省から何兆ドルもの資金を流出させ、世界におけるアメリカの地位を傷つけ、彼の大量虐殺政策にアメリカを加担させ、世界を第三次世界大戦に近づけている
 アメリカを再び偉大な国にしたいのなら、トランプがまず最初にすべきは、イスラエル・ロビーへのワシントンの従属を終わらせ、アメリカを再び主権国家にすることだ。

 イスラエル・ロビーは議会の票を支配するだけでなく、イスラエル強硬派を国家安全保障要職に就けている。これにはマデレーン・オルブライト(クリントン政権の国務長官)、ルイス・リビー(チェイニー副大統領の首席補佐官)、ビクトリア・ヌーランド(チェイニー政権の国家安全保障担当副大統領補佐官、ブッシュ・ジュニア政権のNATO大使、オバマ政権の国務次官、バイデン政権の国務次官)、ポール・ウォルフォウィッツ(ブッシュ・ジュニア政権の国防次官、ブッシュ・ジュニア政権の国防副長官)、ダグラス・フェイス(ブッシュ・ジュニア政権の国防次官)、エイブラム・シュルスキー(ブッシュ・ジュニア政権の国防総省特別計画局長)、エリオット・エイブラムス(ブッシュ・ジュニア政権の国家安全保障担当副大統領補佐官)、リチャード・パール(ブッシュ・ジュニア政権の国防国家政策委員会議長)、エイモス・ホックシュタイン(バイデン政権の国務長官上級顧問)、アントニー・ブリンケン(バイデン政権の国務長官)などが含まれる。

 ネタニヤフはアメリカ国民にとって紛れもない災難で、アメリカ財務省から何兆ドルもの資金を流出させ、世界におけるアメリカの地位を傷つけ、彼の大量虐殺政策にアメリカを加担させ、世界を第三次世界大戦に近づけている
 1995年、ネタニヤフ首相は著書『テロとの戦い』で、自らの行動計画を説明した。テロリスト(パレスチナ人に対するイスラエルの違法支配と戦う過激派集団をネタニヤフ首相が定義したもの)を制御するには、テロリストと戦うだけでは十分ではない。むしろ、そのような集団を支援する「テロ政権」と戦う必要がある。そして、アメリカが主導権を握らなければならない。
 したがって、テロ阻止は、制裁により裏付けられ、賞品が付かない明確な要求でなければならない。全ての国際的取り組みと同様、テロ国家に対する制裁の積極的適用はアメリカが主導する必要があり、アメリカ指導者はこれら措置の正しい順序や時期や状況を選択する必要があるのだ。

 2001年にアメリカ国民にネタニヤフ首相は次のように語った(『テロとの戦い』の2001年序文として再録)。
 まず理解すべき最も重要なことは、主権国家の支援なしに国際テロは存在しないことだ。国際テロは、それを支援・幇助する政権なしには、長く存続できない。こうした国家の支援を全て取り払えば、国際テロの足場全体が崩壊する。国際テロ組織は、このように、イラン、イラク、シリア、アフガニスタンのタリバン、ヤセル・アラファトのパレスチナ自治政府、スーダンなど他のいくつかのアラブ政権を基盤としている。
 これら全てワシントンのネオコンにとって耳に心地よく、彼らも同様にアメリカの敵とみなされる国に対処する主な方法として、アメリカ主導の政権転覆作戦(戦争、秘密裏の転覆、アメリカ主導のカラー革命、暴力的クーデターなどを通じて)を支持してきた。

 9/11以降、ブッシュ・ジュニアのネオコン(チェイニーとラムズフェルドが率いる)とイスラエル・ロビーのブッシュ・ジュニア内部の人間(ウォルフォウィッツとフェイスが率いる)は、中東(レバノン、イラン、イラク、シリア)とイスラム東アフリカ(リビア、ソマリア、スーダン)におけるネタニヤフの標的に対する一連のアメリカ主導の戦争を通じて、中東を作り直すため手を組んだ。これら戦争を煽動するイスラエル・ロビーの役割は、パッペの新著で詳細に説明されている。
 ネオコンとイスラエルのロビーによる戦争計画は、9/11直後に国防総省を訪問したウェズリー・クラーク将軍に示された。ある将校が机から紙を取り出し、クラーク将軍にこう告げた。「国防長官室からこのメモを受け取った。そこには、5年間に7カ国の政府を攻撃し破壊すると書いてあるイラクから始め、その後シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、イランへと移る

 2002年、ネタニヤフ首相は.アメリカ国民と議会にイラクとの戦争を売り込み「サダム、サダム政権を倒せば、地域に計り知れない良い影響が及ぶと保証した。イランのすぐ隣の国々の人々、若者、その他多くの人々は、そのような政権、そのような独裁者の時代は終わったと言うだろう」と誓った。
 イラク戦争の陣頭指揮を執ったネタニヤフ首相の役割に関する注目すべき新たな内部証言は退役海兵隊司令部最高司令官デニス・フリッツ曹長の著書「Deadly Betrayal (2024)」にも記されている。2002年初めにイラク派遣で召集された際、フリッツは軍高官にアメリカがイラクに派兵する理由を尋ねたが、明確な答えは得られなかった。説明も正当化もできない戦いに兵士たちを導くよりも軍を辞めた。
 ネオコンとイスラエル・ロビーの連携は21世紀最大の世界的惨事の一つを引き起こした。
 2005年、フリッツは民間人として国防総省に招かれ、ダグラス・フェイス次官の協力を得て戦争に関する文書を機密解除し、それを使って戦争に関する本をフェイスが書けるようにした。その過程で、ウォルフォウィッツとフェイスと密接に連携して、ネタニヤフがイラク戦争を推進していたのをフリッツは知った。サダムの大量破壊兵器に対抗するというアメリカの戦争目的はイスラエル・ロビーの内通者アブラム・シュルスキーが主導し、アメリカ国民の戦争支持を集めるための身勝手な広報策略だったとフリッツは知った。
 イラク戦争は5年間に7回起きる戦争の最初の戦争になるはずだったが、フリッツが説明する通り、その後の戦争は反米イラク反乱軍により延期された。それにもかかわらず、アメリカは最終的にイラク、シリア、リビア、ソマリア、スーダン、レバノンとの戦争に踏み切るか支援した。言い換えれば、ネタニヤフの計画をアメリカが実行したのだ。イランを除いて。今日まで、いや、この瞬間まで、ネタニヤフはアメリカのイランに対する戦争を煽ろうとしている。イランが核兵器開発に成功するか、イランの同盟国ロシアがイラン側でそのような戦争に加わるかのいずれかにより第三次世界大戦の引き金となる可能性がある

 ネオコンとイスラエル・ロビーの連携は、21世紀最大の世界的惨事の一つとなった。アメリカやその代理勢力が攻撃したイラク、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、シリアといった国々は、今や廃墟と化している。一方、ネタニヤフによるガザでの大量虐殺は急速に進み、今週、(イスラエルを除く)世界全会一致の意思に反し、再びアメリカは国連安全保障理事会の他の14カ国が支持した停戦決議に拒否権を発動した。

 トランプ政権が直面している本当の問題は、二国家共存による平和をほぼ毎日繰り返し呼びかけている近隣諸国からイスラエルを守ることではない。本当の問題は、イスラエル・ロビーからアメリカを守ること

 ジェフリー・D・サックスはコロンビア大学教授で、持続可能な開発センター所長。2002年から2016年まで同大学の地球研究所所長を務めた。また国連持続可能な開発ソリューションネットワーク代表、国連ブロードバンド開発委員会の委員も務める。3人の国連事務総長の顧問を務め、現在はアントニオ・グテーレス事務総長の下でSDGアドボケートを務めている。サックスは「A New Foreign Policy: Beyond American Exceptionalism」(2020年)の著者。他の著書には「Building the New American Economy: Smart, Fair, and Sustainable」(2017年)や潘基文との共著「The Age of Sustainable」(2015年)がある。
記事原文のurl:https://www.commondreams.org/opinion/icc-arrest-warrant-netanyahu