2024年11月2日土曜日

消費税減税が税負担軽減最善策(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました(10月31日付)
 植草氏は前日の30日にも「消費税5%連合で政権交代実現」とする記事を出していますが、同日 自民党から公認を得られなかった4名と自民党系の無所属当選者2名(の合計6名)が自民会派に入ること明らかになったので、急遽それを反映した記事を出しました。
 因みに30日付の記事は、「消費税率の5%への引き下げが現在の日本における最良の経済政策対応である。消費税率5%への引き下げを基軸に野党連合を構築することが最善の戦術になる」と結んでいて、その趣旨は31日付と一致しているのは言うまでもありません。

 植草氏のブログ(植草一秀の「知られざる真実」)は、基本的に毎日新たな記事を掲載しています。ただしブログで公開される部分は、有料記事(月額550円):メルマガ版記事の「前半の約3分の2」ほどで、記事の全文は公開部分の1・5倍ほどの長さになっています。
 私見では「残りの約3分の1」の部分に いわば〝真髄″が記述されているように思われます。

 今回の「残りの部分」を勝手に要約させていただくと下記のようになります。
 消費税率5%での政権樹立構想に国民民主と維新がどのような姿勢を示すかは、国民民主と維新が「隠れ自公」であるかどうかを示す試金石となる。
 消費税は格差拡大の元凶であると同時に日本経済長期停滞の元凶である。消費税が所得の少ない国民の生活を苦しめている。消費税減税こそ、いま日本に求められている最重要の経済政策である。
 ところが自公は逆に消費税率を15%に引き上げる方針を保持していると見られる。
 野党結束により新政権を樹立して消費税率5%を断行する。これ以上に刷新感のある政治変革はない。財政支出をゼロから見直し 為政者側の〝利権支出″を排除すれば、日本を高福祉国家に変容させることが可能になる。そのために必要なのが政権刷新だ。
 このチャンスを生かして政権刷新を実現し、消費税率5%を実現し、25年参院選に勝利する道を描くことの意味は小さくない
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消費税減税が税負担軽減最善策
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年10月31日
10月27日実施の衆院総選挙での無所属当選者のうち、自民党から公認を得られなかった4名と自民党系の無所属当選者の2名が自民会派に入ることを明らかにした。
この結果、会派別当選者数は以下の通りになる。
 自民   197   ・   立民   148    共産     8
 公明    24   ・   維新    38    参政     3
 与党計  221   ・   国民    28    保守     3
            ・   れいわ    9    社民     1
            ・               野党計  238
                            無所属    6
衆議院過半数は233。無所属議員は野党系無所属の「有志の会」当選者4名と野党系無所属で当選した者2名を合わせて6名。数の上で非自公が勝っている。
石破首相が政権を維持するには特別国会での総理大臣指名選挙で勝利することが必要になる。

憲法54条の規定により総選挙から30日以内に特別国会が召集され、内閣総理大臣が指名される。
内閣総理大臣指名選挙では、1回目投票で議員の過半数を得た議員が内閣総理大臣に指名される。
衆参が異なる指名を議決したときは両院協議会が開催されるが、最終的には衆議院の議決が国会の議決とされる。
1回目投票で議員の過半数を得る議員がいない場合は、上位2者による決選投票が行われ、多数を得た者が当選人になる。得票数が同じときはくじで当選人が決まる。

キャスティングボートを握っているのが国民民主党と維新。
国民民主党は総選挙で「手取りの増加」を訴えた。具体的には所得税・住民税の基礎控除額の大幅引き上げが提案されている。
現行制度では年収が基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)の合計である103万円を超えると所得税が発生する。国民民主党は所得税と住民税の基礎控除を現行より75万円引き上げて178万円にすることを提案している。

この措置を実施した場合、年間で78兆円の減税になる。減税の恩恵は年収が103万円を超える給与所得者が享受する。
高額所得者の限界税率が高いため、減税額は高額所得者ほど多くなる。他方、年収が103万円に満たない給与所得者には減税の恩恵がない。
国民民主党の提案は103万円以上の給与所得を得る労働者にアピールするものだった。
また、103万円の壁を意識して労働を手控えてきた層にもアピールした。

SNSなどを活用してこの所得階層に強くアピールした結果、20代、30代の有権者が国民民主党に多く投票する結果がもたらされた。
しかし、現在の日本の所得分布と課税状況を踏まえたときに、より重大な問題が存在することを見落とせない。消費税だ。
所得税の場合、基礎控除や給与所得控除などの制度により、収入金額が一定水準に達するまでは可能税額がゼロになる。夫婦子二人片働き世帯では収入金額が280万円程度に達するまでは無税である。

ところが、消費税は違う。年収が100万円でも年収がゼロでも10%の税率で課税される。
生鮮食品などは軽減税率が適用されるが税率は8%で10%と大差がない。
所得が少ない者は収入金額の全額を消費に回すケースが圧倒的に多い。その全額に10%の税が課せられることの重みは想像を絶する。
したがって、より優先度の高い課題は消費税減税だ。消費税率を2014年以前の5%に戻す
国民民主党も消費税減税を公約に掲げた。
自民党にすり寄っても自民党が多数を握っているのだから、政権運営は自民主導になる。
自民党は消費税減税を受け入れないだろう。

野党が結束して新政権を樹立して消費税5%を実現すれば2025年夏の参院選で新政権が勝利することは間違いない。
野党結束で消費税率5%を実現できる千載一遇のチャンスが到来していることを見落としてはならない。

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