植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
植草氏は、名古屋市長選で河村たかし前市長から後継指名された広沢一郎候補が、自・立・公・国が推薦した大塚耕平氏に圧勝したのは、偏に「市長給与800万円、市民減税継続」を公約に掲げたからであると述べています。このことは既に11月19日付のブログ「名古屋市長選広沢氏先行の理由」で明言していて、実際その通りになりました。読売新聞が投票日直前の情勢報道で「横一線」と報じたのとは対照的でした。
植草氏はその勝因を「市長年俸800万円+退職金全額返納」であるとして、「身ぎれいさ」と評しています。任期4年間で数千万円の受け取りを放棄するのですから生半可な決断では出来ないことで、死語になって久しい「清貧な政治家」の復活を思わせるものです。
ところで大塚氏を推薦した国民党の玉木氏は、2006年に「政党の品質保証」と題したブログで、政党について「一定のクオリティ(品質)を満たした人の集団であるべき」で、「 ~『絶対に、不倫をしない。』などということを自信をもって約束できる集団であるべきだ」と述べたということです。植草氏は良く調べたものですが、玉木氏の初心はどこに行ったのでしょうか。
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名古屋市長選広沢氏圧勝のわけ
植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月25日
11月24日投開票の名古屋市長選で日本保守党などが推薦した広沢一郎氏が初当選を果たした。
開票結果は以下の通り。
広沢一郎 無 新 保・減推 392,519 当選
大塚耕平 無 新 自立公国推 261,425
尾形慶子 無 新 共推 53,622
投票率 39.63%
11月19日付ブログ記事「名古屋市長選広沢氏先行の理由」 https://x.gd/ouQdN
メルマガ記事「主権者は何を基準に投票したか」 https://foomii.com/00050
に名古屋市長選で広沢一郎氏が先行した理由を記述した。
大塚耕平氏を自立公国が推薦した。名古屋県知事の大村秀章氏も大塚氏を全面支援した。
大塚氏が盤石の体制を築いて臨んだ知事選だったが広沢氏が圧勝した。
読売新聞は投票日直前の情勢報道で「横一線」と記述した。
調査能力が著しく低下しているか、情報誘導を行っていたかのいずれかである。
11月19日付ブログ・メルマガ記事に次のように記述した。
「24日に名古屋市長選が投票日を迎える。河村たかし前市長から後継指名された広沢一郎候補は市長給与800万円、市民減税継続を公約に掲げる。この二点に明確な姿勢を示さない大塚耕平氏は主権者の広い支持を集めるのが困難ではないかと考えられる。」
名古屋市で河村前市長は圧倒的な人気を誇る。
歴史修正主義などに対する批判は根強いが、こうしたイデオロギーに優越して人気を左右しているのが「身ぎれいさ」である。
市長給与800万円は全国の政令指定都市でも破格。名古屋市は、しかも退職金全額返納である。
選挙の争点になった主要政策の根幹のひとつがこの市長給与と退職金全額返納。
もうひとつが市民税の5%減税の継続是非。
広沢候補は5%減税を継続して、これを10%に拡大することを公約に掲げた。
大塚氏は市民税減税について「効果を検証して判断」、市長給与800万円、退職金全額返納について「審議会の判断に任せる」とした。
この政策公約の相違が選挙結果をもたらしたと考えられる。
大塚耕平氏は国民民主党所属の参議院議員を辞職して名古屋市長選に立候補した。
選挙戦では国民民主党の玉木雄一郎氏も応援に入った。
国民民主党は10月27日実施の衆院総選挙で議席を28議席に増大させた。
自公が過半数割れに追い込まれて野党転落の危機に直面したが、国民民主が自公政権存続に手を貸した。
政権樹立のキャスティングボートを握ったが、選挙で盛り上がった「国民民主バブル」は崩壊した。玉木雄一郎氏の不倫事案が暴露されたが、玉木氏は責任問題を処理していない。
玉木氏は2006年10月に「政党の品質保証」というタイトル記事をブログに投稿。
若手経営者から既存政党の印象として「自民、民主どちらの政党の政治家も何人か知っているが、どうしようもない人もいる」「会社で言えば、どちらの政党も上場に耐えない」「政党は所属議員の品質管理をもっと徹底したやるべき」との意見を聞いたことを紹介したうえで、
政党について、
「一定のクオリティ(品質)を満たした人の集団であるべきだと思います」
「弁護士や会計士などのように一定の資格試験をクリアーすることを条件にするというよりも、『絶対に、不正をしない。』『絶対に、不倫をしない。』などというように、そもそも政治家として有権者信頼に耐えうる集団であることを、自信をもって約束できる集団であるべきだと思います」「とにかく信頼される政治家になりたいと思います」と記述していた。
「国民民主バブル」が崩壊したことも大塚氏惨敗の大きな要因になったと考えられる。
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「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。