植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
「103万円の壁」の撤去では何も解決せずに、消費税5%への減税に拠るしかないことは、植草氏がいち早く指摘したところです。103万円の壁の撤去だけでは「106万円」の壁でパートたちの年収はがた減りになり、「130万円」の壁では更に中小企業に大打撃を与えるので、勤め先自体を失うことにもなり兼ねません。
低所得層の手取り額を増やすには「消費税5%への減税」しかありません。
ところでTV界で「引っ張り凧」だった玉木代表(国民党)はいまやスキャンダルを暴露されて「渦中の人」となりました。しかし、政府=財務省にとって彼は手放せない人物なので、フジサンケイが懸命に火消しに走っているということです。それは「消費税5%への減税」を避けるためには「103万円の壁の撤去」で国民の手取りが増えるかのような幻想を与える必要があるからです。植草氏は「日本の主権者はそろそろ国民民主(党)バブルに気付いた方がよい」と述べています。
併せて日刊ゲンダイの記事「国民民主・玉木代表に漂う“裏切り”のニオイ…党役員まで「消費税減税」封印のお茶濁し」と「『103万円の壁』攻防もデキレースで決着か…気がつけば政界中枢に“財務省マフィア”がウヨウヨ」を紹介します。
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壁提案の目的は消費税減税潰し
植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月11日
国民民主の欺瞞を指摘してきたが、その国民民主バブルが崩壊した。
国民民主を異常に持ち上げる報道に最も熱心なのがフジサンケイグループ。
自公が野党に転落する危機。玉木雄一郎代表のスキャンダルも、フジサンケイグループが懸命に抑え込もうとしている。
典型的な記事がこちら
「国民・玉木代表の『続投を了承』 不倫スキャンダル発覚も『玉木さんを中心にもう一度頑張ろう』両院議員総会でのお詫び」 https://x.gd/cfMp2
芸能人のスキャンダルでは大騒ぎになるが、これと対照的。これが玉木雄一郎ではなく山本太郎なら、フジサンケイグループが総力を挙げて叩きまくるだろう。
「103万円の壁」の本質は「消費税減税隠し」である。
玉木氏は「103万円の壁」について憲法第25条=生存権=命の問題だと述べる。
所得税制度では一定水準の収入までは課税義務が発生しないようにしている。
これが基礎控除の考え方。これはこれでよい。
しかし、現行税制で最大の歪みが生じているのは「103万円の壁」ではない。
生存権との関係で言えば、給与収入が年間103万円以下の階層が深刻な問題に直面している。
年収が10億円でも、年収が100万円でも、消費税率がまったく同じ。
年収100万円をすべて消費に回すと8~10万円が消費税で巻き上げられる。
これが「生存権」を脅かす。
玉木氏が「生存権」を根拠に「103万円の壁」を主張するなら、年収103万円以下の人に対する対応が必要。
103万円を178万円に引き上げると、給与収入が103万円から178万円の給与所得者は減税になる。
このレンジ内では給与収入178万円の人の減税が最大になる。
しかし、年収103万円までの人は恩恵がゼロ。
この人々にメリットが生じるようにするには「給付付き税額控除」を実施するか、「消費税減税」を実施するしかない。
国民民主は「103万円の壁」を大声で主張するが「消費税減税」については小声でも主張しない。選挙期間中は「消費税率5%」を唱えていたはずだが、選挙が終わるとまったく言わなくなった。
財務省の最重要目標は消費税減税の封殺。国民民主はこれに全面協力している。
これは立憲民主も同じ。自・公・立・国が足並みを揃えて「消費税減税封殺」を目指している。
しかし、所得の少ない人を苦しませている最大の元凶は消費税。消費税減税が最重要施策だ。
玉木氏が「生存権」を掲げ、「命」を重視するなら「消費税減税」を掲げなければならない。
選挙直後からメディアが国民民主大絶賛を始めたのは、「政権交代」と「消費税減税」を封殺するためである。
メディアが「国民民主バブル」を創作したが、身から出たさびでバブルが崩壊した。
103万円の壁を引き上げても労働供給は増大しない。
103万円の壁よりもはるかに巨大な壁が106万円の壁、130万円の壁。
年収が103万円を超えても手取りが減るわけではない。増えた収入の一部が税金に回るだけだ。手取りは増える。
しかし、106万円の壁を超えてしまい、社会保険料負担が発生すると手取りは「減少」する。
年15万円程度の負担が発生して、収入が125万円程度にまで達しないと手取りは減る。
106万円の壁も同時に178万円まで引き上げるなら、まだ理解できる。こちらの問題の方が重大な問題。
日本の主権者はそろそろ国民民主バブルに気付いた方がよい。
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国民民主・玉木代表に漂う“裏切り”のニオイ…党役員まで「消費税減税」封印のお茶濁し
日刊ゲンダイ 2024/11/11
トーンダウンした感が否めない。時限的な消費税減税を訴えている国民民主党のことだ。年収103万円を超えると所得税が課される「103万円の壁」の突破を重点政策のひとつに掲げ、自公与党と政策協議に入ったが、同じく重点政策であるはずの消費税減税は棚上げしている。
国民民主は8日に行われた自公との初の政策協議で▽「年収の壁」の見直し▽ガソリン減税などエネルギーコストの削減▽災害対策─などを要求。一方、消費税減税については、これから本格化する税制改正大綱の取りまとめに向けた議論に先送りした。総選挙で「手取りを増やす」を合言葉に消費税減税を訴えていた割に、さほど熱量は感じられない。
実際、10日のNHK「日曜討論」で国民民主の浜口政務調査会長は目下の経済対策を問われ、賃上げや「年収の壁」の突破、ガソリン減税や社会保険料の負担軽減などに言及したものの、消費税減税には触れなかった。
国民民主の榛葉幹事長も、言葉の端々に消費税減税に後ろ向きな態度をにじませている。8日の定例会見で、消費税減税について「これは交渉相手がいることですし、我々は衆院で28人しかおりません」とハードルの高さを強調。「今後の税制改正の中で、もろもろ消費税も含めて議論になるだろうと思います」とお茶を濁した。
「期待を変えないという意味で言い続けている」
肝心のトップは何と言っているか。玉木代表は2日に公開されたインターネット番組で、「(消費税減税を)やるかどうかは、(消費税が)安定的な財源なので経済状況とうまく対比しながら」とゴニョゴニョ。「コロナの時に出した政策なんですけど、期待を変えないという意味で言い続けている」と、しゃーなしに続けているかのような口ぶりだった。
消費税減税をひっこめたわけではないが、トップも役員も一様に「封印」しているように見える。ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「『年収の壁』の引き上げの国民案が7兆~8兆円の税収減につながると言われる中、さすがに消費税減税まで踏み込めないのでしょう。財源論にツッコまれないように『年収の壁』の突破を与党にのませつつ、党の人気を集めたい党利優先の戦略が透けます。キャスチングボートを握っているのだから、本来なら消費税減税を含め与野党両方と交渉して政策実現性を考えるべきなのに、首班指名で闘争する姿勢すら見せなかった。与党の補完勢力のそしりは免れません」
国民民主に漂う裏切りのニオイは消えるのか。
「103万円の壁」攻防もデキレースで決着か…気がつけば政界中枢に“財務省マフィア”がウヨウヨ
日刊ゲンダイ 2024/11/8
衆院選後の一大テーマとなっているのが「年収の壁」問題だ。国民民主党が掲げた非課税枠を103万円から178万円へ引き上げる公約をめぐり、政府が「7兆~8兆円の税収減になる」と難色を示せば、国民民主の玉木雄一郎代表は「予算の使い残しや税収の上振れ分で賄える」と反論。これにはSNSなどでも、「財源なく減税を主張するのは無責任」「いや、壁を取り払うことで経済活動が活発化する」と賛否両論が渦巻く。
【顔を見る】セクハラで財務次官を辞任した福田淳一氏
少数与党の石破政権は野党の協力を得なければ法案も予算案も通せない。玉木氏の主張する「手取りを増やす」が実現するのかどうか。年末の税制改正に向け、政府・自公vs国民民主の攻防が注目されているが、「関係者はみな財務省マフィアだから、本気のバトルにはならない」(自民ベテラン)との囁き。どういうことか……。
「103万円の壁」は税制に関係する。自民党の宮沢洋一・税制調査会長は1974年入省の元大蔵官僚。税調幹部の後藤茂之・元厚労相(80年入省)と小林鷹之・元経済安保相(99年入省)もそうだ。自民執行部では、辞任した小泉進次郎・前選対委員長の後任に名前が挙がる木原誠二・元官房副長官(93年入省)が元大蔵官僚である。そして、国民民主党は代表の玉木氏が木原氏と同期の93年入省組。古川元久・国対委員長も88年入省、とまあ財務省(大蔵省)出身者ばかりなのだ。
自民党では麻生太郎・最高顧問が財務大臣を戦後最長の8年9カ月務め、財務省にとっては最強の後ろ盾だ。「岸田政権時に、麻生さんが財務省つながりで玉木・国民民主党を連立政権に引き込もうと画策し、木原氏を仲介役にして連絡を取っていた」(前出の自民ベテラン)という。
もっとも、野党第1党の立憲民主党の中枢にも財務省マフィアはいる。大串博志・選対委員長が89年入省組。野田佳彦代表は財務大臣経験者だ。
財務官僚は霞が関の府省でもエリート中のエリート。選ばれし者の意識が強く、とりわけ出身者の結束が固いと言われる。
「みんな裏でつながっていて、『年収の壁』見直しはデキレースになるんじゃないか。事務方の財務省が落としどころを用意しているだろう。玉木代表の要求がある程度通ったという形で見せ場をつくりつつ、財務省の傷(税収減)をできるだけ抑えるような計算をしながらやっている」(政治評論家・野上忠興氏)
抜本的な改革になるのかどうか。財務省マフィアに騙されないよう、議論の行方をしっかり注視する必要がある。
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ラサール石井さんは自身のコラム『東憤西笑』(関連記事【もっと読む】)で、玉木代表が「よく見ていないと危険な人物」と看破している。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。