2024年11月30日土曜日

斎藤知事代理人 記事改変把握せず会見(植草一秀氏)

 植草一秀氏が、掲題の記事を出しました。
 公選法違反の疑いがある斎藤知事は27日午後の定例会見でmerchu社に依頼したのはポスター制作費などの71万円相当の業務だけで、それ以外は個人でボランティアとして対応してもらった」と説明し、公選法違反を否定しました。
 記者からポスター代は選挙管理委員会から支払われるのになぜ斎藤氏個人が払ったのかなど、詳しい経緯や違法でないとする根拠を突っ込まれると「代理人弁護士に対応を一任している」と、繰り返しました。
 代理人の奥見弁護士は、斎藤氏の会見から1時間半後に会見しましたが、同氏はmerchu社が現在公開している「note(ブログ)」はオリジナルのものではなく、問題発生後に改変されたものであること自体を知りませんでした。
 なぜわざわざ時間をずらして会見を行ったのかも含めて、一向に「不審」が解消されない会見でした。

 併せて日刊ゲンダイの3つの記事を紹介します。
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知事代理人記事改変把握せず会見
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月28日
兵庫県知事に再選された齋藤元彦氏に関わる公選法違反・政治資金規正法違反疑惑が拡大している。
齋藤氏の代理人弁護士が会見を開き、公選法違反に当たらないとの主張を示した。
テレビ等に出演する弁護士や識者も各自の見解を示すが、見解はばらばらである。
齋藤氏の代理人弁護士が公選法違反に該当する事案でないと主張するのは予想の範囲内。
問題はその主張が適正と言えるのかどうか。
テレビ等で発言する弁護士については、それぞれの発言者の背景、立場を吟味することが重要。
齋藤氏ならびに齋藤氏と関係が深い組織と何らかの利害関係を有する場合、発言には偏りが生じると考えられる。

11月17日に投開票日を迎えた兵庫県知事選では選挙戦の終盤で維新、創価学会、旧統一協会などが齋藤氏支援の行動を示したとのSNS上の指摘がある。
維新は独自候補を擁立したが、この候補の当選を目指したのかどうかも定かではない。
齋藤氏の対立候補として稲村和美氏が出馬したが、反齋藤票が稲村氏に集中するのを防ぐために維新候補が擁立されたとの見方も生じ得る。
仮に維新、創価学会、旧統一協会などが齋藤氏の再選を実質的に支援したとする場合、これらの組織と関係のある発言者のコメントを受け止める際には、バイアス⇒偏り)の存在可能性に留意する必要がある。
これまでに提示されているコメント等を見ると、弁護士の野村修也氏、高井康行氏、元財務官僚の高橋洋一氏の発言に偏りがあると感じられる。

他方、これらの組織などと関係がないと見られる人々の発言には偏りが感じられない。
弁護士の郷原信郎氏、若狭勝氏、菊間千乃氏、紀藤正樹氏などの発言には偏りが感じられない。
両論が存在するわけだが、後者のグループの発言者コメントは、齋藤氏サイドの説明と西宮市にあるPR会社『merchu』の代表取締役の折田楓氏が11月20日に”note”のブログ記事に記述した内容との齟齬を共通して指摘するものだ。
とりわけ重要と見られるのは、折田氏が騒動発生後にブログ記事を改変したこと。
しかし、当初の掲載文書の魚拓が保存されていることから、折田氏がどの部分の記述を改変したのかが明らかになっている

齋藤氏サイドが不都合と判断した部分が改変されたとすると、この改変部分が問題の核心を指していると判断されることになる。
ところが、記者会見した齋藤氏の代理人弁護士は折田氏のブログ記事が改変された事実を把握していなかった。極めてお粗末な対応を言うほかない
齋藤氏サイドの説明は齋藤氏が折田氏の企業に発注したのはポスターの制作等に関する業務のみで、SNS対応を中心とする広報活動全般に関する業務を発注した事実はないとするもの。
折田氏は選挙期間中を含めてSNSによる広報活動を実行したが、これはあくまでも折田氏がボランティアとして活動したものであるとしている。

ところが、この主張は折田氏がブログ記事で公表した内容とは完全に異なっている。
齋藤氏サイドの主張が正しいとすると折田氏はブログで虚偽を記述したことになる。
このことによって齋藤氏サイドは重大な疑惑を持たれることになったわけで、齋藤氏サイドは折田氏に対して法的措置を講じることが順当ということになる。

折田氏は兵庫県知事選について「今回選挙の「広報・SNS戦略」を東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい」「今回広報全般を任せていただいていた」などと記述し、広報全般の取り組みについて詳細な記事を投稿した。
11月21日午前1時24分時点の折田氏の投稿記事はこちら。 https://x.gd/Bkyx4 
これが当初の投稿内容と見られる。

折田氏は、「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました。写真および動画の撮影については、現地で対応してくださっているスタッフの方々にお願いすることをベースに、私自身も現場に出て撮影やライブ配信を行うこともありました。」と記述。
この業務を行うことになった「きっかけ」について折田氏は次のように記述した。
「とある日、株式会社merchuのオフィスに現れたのは、斎藤元彦さん。それがが全ての始まりでした。」

齋藤氏との関係性については、「兵庫県庁での複数の会議に広報PRの有識者として出席しているため、元々斎藤さんとは面識がありました」と記述。
merchu社内で斎藤氏と折田氏らが打ち合わせしている写真に「「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案中」との説明を付し、
ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました
と記述した。

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斎藤元彦知事&代理人弁護士「時間差会見」のあざとさ…二人揃ってPR会社美人社長をバッサリ切り捨て
                          日刊ゲンダイ 2024/11/28
 疑惑が晴れたとは言い難い。公職選挙法違反疑惑に揺れる斎藤元彦兵庫県知事(47)。PR会社の女性代表が、知事選のSNSの運用について“戦略の企画立案を行った”とネットに記したことで同法違反疑惑を招いている。

 斎藤知事は27日午後の定例会見で改めて違法性を否定。もし、「広報全般を任せていただいていた」と、投稿サイト「note」に書き込んだ渦中のPR会社「merchu」の折田楓社長側に報酬を支払っていれば、公選法違反の買収に当たる恐れがあるが、斎藤知事本人は「お願いしたのは、ポスター制作を含めた70万円の対価の支払いに伴う業務だけ。それ以外は個人でボランティアとして対応してもらった」と話した。
 さらに折田氏が投稿した記事について「ああいった文章がつくられたことは事前に聞いていなかったので、そこに対する若干の戸惑いはある」と発言。記事は「虚偽」とも取れる話しぶりだった。
 ただし、詳しい経緯や違法でないとする根拠を突っ込まれると「代理人弁護士に対応を一任している」と繰り返し、逃げ続けた。

 そんな斎藤知事の会見から1時間半後、代理人を務める奥見司弁護士が会見。やはり「違法性はない」と主張した。折田氏の記事については「『広報全般を任せてもらった』という部分は全く事実ではないと考えている」とバッサリ。「『盛っている』と認識している」とまで言ってのけたのだ。
 斎藤知事と同じく折田氏の投稿は“嘘八百”と断じたようなもの。折田氏を切り捨てにかかったような形だ。
 ところが、折田氏の投稿のどこが事実と違うのか、といった詳細を詰められると、奥見弁護士は「(斎藤に)確認していない」などと回答。折田氏が複数回にわたって投稿の中身を削除、書き換えていたことも把握していなかった

弁護士は記事の書き換えをチェックせず
 折田氏が書き込んだ記事には当初、斎藤知事と折田氏が打ち合わせする場面を収めた写真に〈「#さいとう元知事がんばれ」大作戦を提案中〉という文言が添えられていたが、〈「#さいとう元知事がんばれ」を説明中〉に変えられ、〈ご本人(斎藤)は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました〉との一文は丸ごと削除されている。
「買収」を立証する上でカギとなる主体的な「提案」が隠された疑いがある。
 書き換えの事実は超重要なファクターなのだが、フリージャーナリストの横田一氏に「(書き換えを)チェックしたのか」と問われると、奥見弁護士は「全くしていない」とシレッと言い放っていた。

 横田一氏が言う。
書き換えを知らずに会見するなど、あり得ない話です。そもそも、斎藤知事は奥見弁護士と共に会見で説明すべき。それをせず、時間差で会見したのは詳細な説明を避ける思惑があったとしか思えない。2人で会見に出席すれば、事実関係を細かく説明せざるを得ません。そうした事態を当面は回避したかったのでしょう。疑惑はさらに深まったと思います」
 美人社長は騒動以後、姿を見せていない。本人が説明しなければ、真相は明らかにならないだろう。

斎藤元彦知事“火に油”の言い逃れ…知事選でのPR会社「400人分の仕事はボランティア」の怪しさ不自然さ
                           日刊ゲンダイ 2024/11/27
 寝食を惜しんだ「400人分の仕事」は無償だったのか──。斎藤元彦・兵庫県知事の公職選挙法違反(買収)疑惑を巡り、主要メディアも追及を始めた。斎藤知事は渦中のPR会社に「ポスター制作などを依頼した」と説明した上で、約70万円の報酬は公選法で認められた対価と主張PR会社の社長は「ボランティアとして個人で参加した」と言うが、この弁明は極めて不自然すぎる。
  ◇  ◇  ◇
 問題のPR会社は兵庫県西宮市の「merchu」。一躍注目を集めたのは20日、同社の折田楓代表が「広報全般を任せていただいた」などと斎藤陣営のSNS戦略を投稿サイトに告白したこと。撮影やライブ配信も行い、「食べる暇も寝る暇もない程だった」とも記した。SNS戦略を主体的に企画立案したことへの見返りに報酬が支払われていれば、買収に問われかねない。

自治体の「SNS運営」を次々受注
 一方、斎藤知事サイドは「広報戦略の監修を担ってもらった認識はない」と説明。折田氏が嘘をついたような態度だが、2017年創業のmerchu社は決してポスター制作が本業ではない。
 今年度は
高知県広報広聴課「SNS公式アカウント分析等委託業務」(246万2000円)
徳島県県民ふれあい課「SNSを主軸とした徳島新時代情報発信業務」(799万7000円)
広島市観光政策部「SNS活用プロモーション業務」(807万4000円)
──など必ずSNS」の付く事業を次々と落札。広島市の業務は19年度から連続でコンペを勝ち抜き、契約総額は3212万円に上る。完全にSNS運営に特化した企業なのだ。

 23年2月には兵庫県の「ひょうごe-県民アプリ」事業の元請け企業から「デザインリニューアル」など単発の仕事を再委託されたことも。20年に折田氏は投稿サイトで「行政の発信や広報が圧倒的にダサい」「日本のすべてのダサいをなくしたい」と豪語していた。
 折田氏が兵庫県の複数の有識者会議で委員に選ばれているのもSNSを使った情報発信の知見を期待されているのだろう。これらの会議には斎藤知事も出席し、折田氏とは何度も顔を合わせているのに「今回は支援者を通じて紹介していただいた」とは、しらじらしい

 斎藤知事は9月末にmerchuのオフィスに来訪したのは認めている。わざわざポスター制作などの発注に出向くのは不自然。折田氏が〈私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました〉(現在は削除)と記した通り、SNS戦略をプロ集団に依頼したとみるのが自然ではないか。プロの仕事を無償でお願いしたのなら、壮絶な「おねだり」である。

政治資金規正法違反の疑いも
「これだけの業務実績があれば、斎藤氏サイドが『無償のボランティア』と訴えても労務の無償提供、すなわち寄付行為とみなされます。折田氏は投稿サイトに〈私の働きは400人分の仕事にみえたんや〉〈そのような仕事を、東京の大手代理店ではなく、兵庫県にある会社が手掛けたということもアピールしておきたい〉などと記し、会社単位で仕事を受けたことをにおわせています。政治資金規正法で、企業が寄付できるのは『政党』のみ。それ以外は禁じられており、寄付をした側、寄付を受けた側は共に刑事罰の対象となり得ます」(政治資金に詳しい神戸学院大教授の上脇博之氏)

 merchuは今月5日、「ひょうご仕事と生活のバランス企業表彰」に選出されたが、29日の表彰式を急きょ欠席。表彰者も斎藤知事から副知事対応に変わった。コソコソ逃げ回るのは「相当にダサい」
  ◇  ◇  ◇
 斎藤知事側は大炎上中の公職選挙法違反疑惑の否定に躍起だが、図らずもヤバい体質を露呈。

●関連記事『【もっと読む】斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑』で詳報している。


斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑
                         日刊ゲンダイ 2024/11/25
「広報全般を任せていただいていた」──。兵庫県西宮市の広報・PR会社「merchu」の折田楓代表が、兵庫県知事選における斎藤元彦陣営のSNS戦略を喜々としてカミングアウト。斎藤知事側は大炎上中の公職選挙法違反疑惑の否定に躍起だが、図らずもヤバい体質を露呈している。
  ◇  ◇  ◇
 折田氏は20日付でネット投稿プラットフォーム「note」に公開した記事でこう記している。
「私が監修者として、運用戦略立案、アカウントの立ち上げ、プロフィール作成、コンテンツ企画、文章フォーマット設計、情報選定、校正・推敲フローの確立、ファクトチェック体制の強化、プライバシーへの配慮などを責任を持って行い、信頼できる少数精鋭のチームで協力しながら運用していました」
 総務省のネット選挙ガイドラインには、業者に選挙運動用サイトなどに掲載する文案を主体的に企画立案させ、報酬を支払えば「買収となるおそれが高い」とある。

 22日に斎藤知事は「基本的には主体的には私、それから斎藤元彦後援会でSNSをどうするかを考えていた」とコメント。折田氏の主張は「嘘」と言っているに等しい。自身のパワハラなどの疑惑を告発した元県民局長を「嘘八百」と切り捨てたのと同じ構図だ。
 しかし、知事選で斎藤氏を支援した日本維新の会の森健人・西宮市議は、自身のXで「陣営側としてSNSをお願いしていた方はお一人のみ」とし、折田氏のインスタグラムを紹介。当の斎藤氏も19日の就任会見で選挙中のSNS上での誹謗中傷を問われ、「街頭活動に専念していて、見る余裕はなかった」と答えていた。支離滅裂ではないか。

merchuは公共事業を請け負う業者
 斎藤知事の代理人弁護士はmerchuへの金銭の支払いを認めたものの、「あくまでポスター制作など法で認められたものであり相当な対価をお支払いしております」と公選法違反を否定。 SNSへの関与はボランティアの一環で「陣営の指示に従ったもの」と言うのだが、折田氏は「選挙は広報の総合格闘技」としてnoteにこう記している。
「質・量・スピード全てが求められ、食べる暇も寝る暇もない程でした。脳みそを常にフル回転し続けなければならない点が、最もハードでした」

 これだけキツイ業務を無償で依頼するのは「おねだり」そのもの。仮にタダ働きだったとしても、別の問題が生じる。
 折田氏の「信頼できる少数精鋭のチーム」とは、merchuの社員を指すとみられる。選挙中の今月13日には、折田氏が立ち上げたXの「さいとう元彦応援アカウント」に「写真の掲載を許可してくださった皆様、ありがとうございます」と記し、斎藤知事と共に折田氏をはじめ、選挙に携わったとみられる社員総出で支援者に扮する“サクラ”写真まで投稿していた。
 経営者(折田氏)が特定の候補(斎藤氏)を当選させる目的で、社員に選挙運動を指示し、所定の給与を支払えば、折田氏が公選法違反の買収に抵触しかねない。仕事ぶりから「組織的選挙運動管理者等」とみなされると連座制が適用され、斎藤氏の当選も無効となる。

 また、折田氏は兵庫県の「地域創生戦略」「eスポーツ検討」「次世代空モビリティ」と少なくとも3つの有識者会議の委員を有償で務め、閉鎖されたmerchuのHPのクライアント欄には「兵庫県企画部」とあった。労務の無償提供は「寄付行為」とみなされかねず、公選法は公共事業受注企業の選挙に関する寄付を禁じている。
 公共事業を請け負う業者が首長の選挙を手伝う時点で、互いに「既得権益」を守りたがっているようにしか見えない