2024年11月20日水曜日

20- 兵庫県知事選・斎藤圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

 17日の兵庫県知事選で、不信任決議を受けて自動失職した斎藤元彦前知事(47)がまさかの再選を果たしました。パワハラ知事の出戻り県職員らは戦々恐々ということです。
 県議会の百条委員会が実施した県職員のアンケートに、回答者6725人中466人記名で回答しましたが、それは幹部が中心でした。当然、粘着気質の斎藤氏に対する恐怖感は大きいものと思われます。
 知事選を決したものは「百条委員会の追及は虚偽で、それを〝でっち上げ″られた斎藤氏は犠牲者だ」という立花孝志氏の論法が一部の有権者に浸透した結果、立候補者が多数乱立という状況の中で斎藤氏が当選する事態になったものと思われます。
 しかし百条委員会での審議や県職員のアンケート内容などが、どうして虚偽の「でっち上げ」ということで説明できるのか納得できないし、内部告発した元県民局長(故人)の人権を踏みにじる言論が何故勝手気ままに行われたのか、「恐怖」というしかありません。
 日刊ゲンダイの3つの記事を紹介します。

 また百条委員会委員の竹内氏は、SNSで自身や家族が身の危険を感じるほどの中傷を受けたことで18日、「一身上の都合」として 議員辞職願を提出し受理されました
 同委員長の奥谷謙一県議も、選挙期間に中立花氏が自宅前でマイクを握り「出てこい」と声を上げインターホンを押すなどの脅迫行為を受けたため、本人も「大変強い恐怖心を覚え、(家族には)避難してもらった」ということです。
 お二人とその家族に対する恐るべき暴力です。読売新聞が報じましたので併せて紹介します。
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兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」
                      日刊ゲンダイ 2024/11/18 10:25
SNSのプラスの面を強く感じた」「県民一人一人の勝利だ」──。神戸市中央区の選挙事務所前に集まった1000人近い支持者を前に堂々の勝利宣言だ。兵庫県知事選は17日の投開票の結果、県議会の不信任決議を受け、自動失職した斎藤元彦前知事(47)がまさかの再選。前尼崎市長の稲村和美氏の圧勝とみられた下馬評を覆し、逆転した格好だ。パワハラやおねだりなど、さまざまな疑惑で県庁を追われた斎藤氏がなぜ逆風をはねのけ、支持を集めたのか。カオスな出直し選を制したキーワードは「同情論」と「陰謀論」だ。
  ◇  ◇  ◇
 9月30日の失職直後から独りぼっちで駅前に立ち始めた斎藤氏に声をかけるのは当初、数人程度だったが、しょんぼりした様子がSNS上の支持者を通じて拡散。日を追うごとに「同情」を誘い、10月31日の告示後は聴衆の輪が広がり、16日に最後の演説会場となった神戸・三宮駅前には3000人が詰めかけた。
「この2週間で聴衆の数は3~4倍に膨らみました」(地元記者)
 目立つのは年配の女性や若者たち。手づくりうちわや陣営のシンボルカラーの青いペンライトを振り“斎藤コール”が沸き上がる熱気は、まるでライブ会場のよう。有権者の関心も高まり、期日前投票数は94万4541人と前回から34万人上回り過去最多を更新。投票率も55.65%と11年ぶりに50%を超えた。
「斎藤氏はたった1人で選挙を戦っているかのような演出でしたが、自主投票となった自民党兵庫県連の一部が支援していた」とは、現地を取材したジャーナリストの横田一氏だ。こう続ける。
「裏金問題で党員資格停止中の西村康稔元経産相の地元・明石市の青年部は、斎藤陣営のビラ配りに加わっていたほど。また、日本維新の会を離党した前参院議員の清水貴之氏が出馬し、反斎藤票が割れたのも勝因のひとつ。その維新の地元議員の一部も斎藤氏を支援。清水氏が伸び悩んだのはそのためです」

 告示前には斎藤氏の告発文書を作成し、百条委員会での証言直前に亡くなった元県民局長の個人情報が流出。それをもとにSNSや街頭演説で「告発者は問題のあった人物。斎藤さんは悪くない」と擁護しまくったのが、N国党党首の立花孝志氏だ。
 立花氏は立候補しながら、「自分には票を入れないで」と訴え、斎藤氏の支持拡大をアシスト。選挙ポスターの掲示板に「元県民局長自殺の真相」と題し、流出した元局長の個人情報に基づく文書まで貼り出した。

■「既得権益者vs改革派」の構図を演出
 こうして既得権益を守る側が大手メディアと手を組み、「改革派知事」を追い出したという陰謀論を大々的に展開したのだ。
故人への冒涜でしかないのですが、『既得権益者vs改革派』の構図をつくり出し、かなり浸透したのも事実。斎藤氏も改革の実績を強調し、便乗しました。しかも、選挙期間中にメディアは県知事選の報道を控えた。否定材料を有権者に与えないから、ますますSNSの陰謀論が信憑性を持って受け取られてしまう。県内市長会の有志22人が稲村氏支持を表明した際、ある市長は『なぜメディアはデマや誹謗中傷に沈黙するのか』と声を荒らげましたが、時すでに遅しでした」(横田一氏)
 斎藤氏のパワハラ疑惑に関する県職員のアンケートでは約4500件の回答のうち約300件が実名で答えていた。民意を味方につけた出戻り知事の“報復”に職員たちは戦々恐々だろう。これでいいのか。

再選の斎藤氏巡り百条委再開
 斎藤氏の疑惑告発文書を巡り、県議会は18日午後に百条委員会を開く25日に問題に関連した総括的な尋問を関係者に行う予定で、対象の選定や今後の進行を協議。斎藤氏への尋問も今後再開される見通しで、知事復帰が決まった斎藤氏の疑惑検証に注目が集まる。
 斎藤氏は19日就任し、再選後としては初登庁する。百条委は、10月下旬に告発文書で挙げられた阪神・オリックス優勝パレード経費を巡る不正疑惑などに関し、県幹部らを非公開で尋問。知事選への影響を配慮して斎藤氏については見送られた。10月分の議事録や録画映像が今後公開される予定だ。
 また県が設置した第三者委員会も今年度中をめどに報告書をまとめる予定で、斎藤氏はこの問題と向き合っていく必要がある。知事選で勝利したとはいえ、県政の混乱がただちに収束するかどうか、現時点では見通せない。


斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々
                      日刊ゲンダイ 2024/11/19 10:40
「民意の負託を得たと、さらにモンスターになって帰ってくるのではないか」──震える兵庫県政関係者の弁だ。
 17日の兵庫県知事選で、不信任決議を受けて自動失職した斎藤元彦前知事(47)がまさかの再選。パワハラ知事の出戻り復帰に県職員らは戦々恐々である。というのも、県議会の百条委員会が実施した県職員のアンケートに6725人が回答し、42%がパワハラを見聞きしたと答えたからだ。6725人中、466人は記名で回答している。
記名したのは幹部が中心で、彼らの中には今、有力OBに身の振り方を相談している人もいるそうです。無記名の人でもアンケートに答えたというだけでヒヤヒヤしています」(別の県政関係者)
 選挙期間中、「パワハラはデマ」という言説があふれ、百条委員会で「職員に不快な思いをさせたことは謝りたい」と厳しい叱責を認めていた斎藤本人も、デマに“便乗”するかのような街頭演説を展開していた。県政に戻り、パワハラについての発言を翻すのだろうか。
 今年7月、疑惑を告発した幹部職員が自死した際、知事に辞職を求めた県職員労組はこう言う。
当選後の会見で、斎藤氏は議会や職員との関係性を正常化すると言っていた。風通しのいい職場にして欲しい」(土取節夫中央執行委員長)

■労組は「直接会いたい」
 実は職員労組のカウンターパートは副知事で、斎藤知事とはこれまで一度も面談したことがないという。
「県民サービスのために、職員が気持ちよく働ける環境づくりのために、直接会いたいです」(土取節夫中央執行委員長)
 百条委は25日に斎藤氏の証人尋問を行うことを18日決めた。疑惑はパワハラだけじゃない。斎藤再選とは切り分けて検証する必要がある。


兵庫県知事選で斎藤元彦氏再選の原動力となった「SNS」が向かう先…橋下徹氏の投稿にも激しく反応
                      日刊ゲンダイ 2024/11/19 06:00
 17日に投開票された兵庫県知事選で、無所属の前職・斎藤元彦氏(47)が111万3911票を獲得し、次点の元尼崎市長、稲村和美氏(52)に約13万7000票差で勝利した。
 パワハラ疑惑の告発文書問題が浮上した斎藤氏。百条委員会を経て、県議会で全会一致の不信任決議を受けて自動失職。紙袋を両手に抱えて県庁を去る際には、見送りに立ち会う「職員ゼロ」の屈辱も味わった。
 独りぼっちで始まった選挙戦で、「稲村氏リード」という序盤の劣勢を跳ね返し、再選を果たした斎藤氏。予想外の展開にTVメディアのコメンテーターらの発言が相次いだ。
 同日のフジテレビ系「Mr.サンデー」では宮根誠司キャスター(61)が選挙結果について「大手メディアの敗北」とコメント。元明石市長の泉房穂氏(61)は同番組の中継で、斎藤氏に「再選おめでとうございます」と切り出しつつも、「加えて、すみません。お詫びです」と発言。泉氏はパワハラ問題発覚当初から、一貫して斎藤氏の政治姿勢に苦言を呈してきたため、異例の謝罪発言になったようだ。

■橋下氏は「僕は引き続き斎藤さんは権力者として不適格であることを主張し続けます」と投稿
《メディア敗北(笑)》《お詫びって、今ごろ遅いんじゃないの》--。SNSでは一夜明けた18日、こうした発言を嘲笑したり、皮肉ったりするコメントであふれているが、とりわけ“口撃”対象となっているのが元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏(55)だ。
 橋下氏は17日、自身のX(旧ツイッター)で、兵庫県知事選について投稿。《民意は大変重いものですが、僕は引き続き斎藤さんは権力者として不適格であることを主張し続けます》《斎藤さんは公益通報の結果が出る前に告発者の処分を先にやってしまいました。これは権力の使い方として完全にアウトだし、恐ろし過ぎる》(一部抜粋)などと、今後も厳しい姿勢で臨むことを明かしていた。
 これに対し、ネット上でみられるのが《おまいう》《ブーメラン》といった見方だ。
《橋下さんも首長時代において職員との対立が多く報じられ、強権的な手法で物事を進めた印象が強かったなと思います》
《大阪都構想では住民投票で反対が多かったにもかかわらず、複数回にわたり住民投票を繰り返した。これは「民意を尊重する」という民主主義の原則に逆行しているんじゃないでしょうか?》
《斎藤さんは橋下さんとは違いますよ。あなたの方が権力者として不適格》
 さながら兵庫県知事選が続いているかのよう。果たして斎藤氏を押し上げる原動力となった「SNS」が次に向かう先は……。


兵庫県議会百条委へSNSで中傷、委員長宅前で「出てこい」声上げる動画も…辞職議員「身の危険感じた」
                            読売新聞 2024/11/20
 17日投開票の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事の内部告発問題を調査する県議会の百条委員会を巡り、SNSで 誹謗 中傷を受けることを懸念する声が県議から上がっている。選挙期間中に委員への攻撃的な投稿が相次ぎ、18日には委員の1人が県議を辞職する事態となった。
あんまり脅しても、奥谷さんが自死されたら困るので、このくらいにしておきますけど」。知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏のユーチューブチャンネルでは、立花氏が選挙期間中、百条委の委員長を務める奥谷謙一県議の自宅前でマイクを握り、こう呼びかける姿が映っていた。
 告発者の男性職員(7月に死亡)は、公用パソコンに告発とは無関係の私的情報を保存していたとされる。立花氏は、男性職員がその情報が漏れることを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠し、斎藤氏が原因だと思わせたと主張している。
 立花氏は動画で「(奥谷氏は)パソコンの中にある情報を知っていたんでしょ」と発言。「出てこい」と声を上げ、インターホンを押した。動画は37万回以上視聴され、コメント欄には、「知事を陥れ、県民の目を欺いた罪は重い」など約1500件の書き込みがあった。
 奥谷氏は18日に開いた記者会見で「大変強い恐怖心を覚え、(家族にも)避難してもらった。日常とは違う生活をせざるを得なくなり、いろんな業務に支障が出た」と訴えた。
 立花氏は19日、国会内で記者会見し、「単純に選挙運動で事実を述べただけ」と語った。
 百条委のメンバーだった竹内英明前県議は、選挙期間中、百条委の証人尋問で斎藤氏を追及する動画がユーチューブなどで拡散され、SNSでは「斎藤知事失脚の黒幕」などと指摘された。
 竹内氏は18日、「一身上の都合」として議員辞職願を議長に提出し、受理された。関係者によると、知事選を巡ってSNSで中傷を受け、自身や家族が身の危険を感じていたという。
 百条委は6月、内部告発問題の真相を究明するために設置された。斎藤氏への証人尋問は8~9月に2回行われ、奥谷氏らが斎藤氏を問い詰める様子がネット中継された。
 斎藤氏への尋問は今月25日に3回目が予定されているが、斎藤氏には当日、公務が入っており、延期される可能性もある。

 百条委は今後も斎藤氏の疑惑の検証を進め、調査報告書をまとめる方針。ただ、県議からはSNSで中傷を受けることを心配する声が出ている。
 ある中堅県議は「委員会の発言をSNSで意図的に切り取られて投稿される危険もある。質問するのも 萎縮してしまう」と語る。
 法政大の白鳥浩教授(現代政治分析)は「誰でも発信可能なSNSでは、一部の悪意が増幅して深刻な事態につながる可能性がある。百条委の委員に対する中傷は、調査活動の萎縮を招く懸念もある。健全な民主主義のためにも、何らかの対策を考える必要がある」と話す。