2024年11月16日土曜日

自公利権政治ビジネスモデル/法超えた補償行わぬスマイル社(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 メディアは何故か国民党の玉木雄一郎氏をヒーローのようにもて囃していますが、衆院選の結果自公が過半数割れをし、野党が結束すれば政権交代を実現できたのに、自公にすり寄って政権交代を阻止したのが国民党でした。同党は政治の刷新ではなく自党の利益だけを優先したわけです。
 植草氏は、現下の最重要目標は「消費税減税」と「企業団体献金の全面禁止」なのに対し、自民が最重要利権として死守しようとしているのが「企業団体献金」であると述べ、それは「政権党が予算を利権関係企業・業界・団体にバラまいて、献金でキックバックを受ける」という形態が、「自公利権政治ビジネスモデル」の根幹になっているからだとしています。
 そして自民がそれを死守しようとしていることに全面的に協力しているのが国民党だと述べています
 一方バラまく予算を差配する財務省の最重要目標は「消費税の維持拡大」であり、国民党はこれにも全面協力しています。選挙中同党は「消費税率5%」を謳いましたが、それはウソで、玉木氏は平気でウソをつくとも述べています。そんな人間をメディアがもて囃すのは、彼らも自公政治の維持を望んでいるからとしか考えられません。

 併せて植草氏のもう一つの記事「法超えた補償行わぬスマイル社」を紹介します。
 スマイル(アップ)社は、故ジャニー喜多川氏による史上空前の性犯罪の被害者に対して「法を超えた補償」を行うとして設立された会社ですが、その補償がまだ完結していない中で、NHKの稲葉延雄会長1016日、恒例の「紅白歌合戦」に旧ジャニーズ事務所のタレント起用を再開すると発表したことなどを取り上げたもので、
「日本の悪弊はものごとをあいまいに処理すること。大きな問題が生じても、 時間が経てばうやむやになると高を括る
「重大問題が発覚したのに、厳正なけじめをつけることができず、メディアが問題をあいまいにしたまま、なし崩しで加害企業に加担する行動を示す。こうした歪んだ対応が、この国の空気を一段と淀んだものにしていると言わざるを得ない」
と述べています。
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自公利権政治ビジネスモデル
              植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月15日
日本の政治刷新を国民民主に託すことは間違い。
国民民主は衆院総選挙で議席を増やしたが28議席に過ぎない。
自民191 立民148 に遠く及ばない。維新38 よりも少ない。
32議席から24議席に減らした公明と肩を並べただけ。
自民は自民系無所属と裏金無所属の6名が自民会派に所属したため、会派規模は197である。
自公は215だが会派入りした無所属議員を含めて221になった。だが、衆議院過半数233に届かない。

野党は238で野党系無所属6を加えれば244。野党が結束すれば政権交代を実現できた。
しかし、国民民主が政権交代を阻止した。国民民主が自公にすり寄り、政権交代が実現しなかった。
衆議院の内閣総理大臣指名選挙の決選投票は石破茂氏と野田佳彦氏との間で行われた。
結果は石破茂氏221票、野田佳彦氏160票、無効票84だった。
野田氏に投票したのは立民148、共産8、社民1、野党系無所属の松原仁氏と中村勇太氏に加え、一回目投票で吉良州司氏に投票した「有志の会」福島伸享氏であると見られる。

無効票が84票もあった。このことについて国民民主の玉木雄一郎氏が「84票の無効票が出たことは野党第1党が野党をまとめきれなかったことの証左」と発言したと報じられた。
立憲民主党を非難した。
これに対して立憲民主党議員が強く反発。立憲民主党の杉尾秀哉参院議員は「自分から与党にすり寄っておいて、その言い草はないでしょう。玉木さん」とXで発信
立憲民主党の小西洋之参院議員は「国民民主党のために日本の最大の国益が失われようとしている」とXに投稿した。
杉尾氏と小西氏の指摘は正鵠を射ている。野党結集による政権交代を壊した中心は国民民主である。政治刷新でなく自党の利益だけを優先した。

重要なのは結果。
最重要目標は「消費税減税」と「企業団体献金の全面禁止」。これを妨害しているのが国民民主である。
日本の既得権勢力の最重要利権が「企業団体献金」。予算を利権関係企業・業界・団体にバラまき、献金でキックバックを受ける。これが「自公利権政治ビジネスモデル」の根幹
自民はこれを死守しようとしている。これに全面協力するのが国民民主党。

財務省の最重要目標が「消費税の維持拡大」。国民民主はこれにも全面協力だ。
選挙中の「消費税率5%」はウソ。玉木雄一郎氏は平気でウソをつく。
番組出演を約束しているのに、不倫相手とのデートが入れば番組出演をドタキャンする人物。
立民も消費税減税に背を向けている点で野党失格。財務省に媚を売っている。
本当の信頼できる野党が不在。
自公が過半数割れなのに政治刷新が実現しないところに、日本弱体化の根幹がある。

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法超えた補償行わぬスマイル社
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年11月14日
日本の悪弊はものごとをあいまいに処理すること。
ものごとに明確なけじめをつけられない。
大きな問題が生じても、のらりくらりと対応を続け、時間が経てばうやむやになると高を括る。本質的な問題解決を行わない。
「ごね得」が常態化すると事態の刷新は不可能になる。

敗戦の処理が然り。松本人志氏の処理が然り。ジャニーズ事務所の処理が然り。
NHKの稲葉延雄会長が10月16日、定例会見で旧ジャニーズ事務所のタレント起用を再開すると発表した。稲葉延雄会長は
「被害者への補償と、再発防止への取り組みに加え、両社の経営の分離も着実に進んでいることが確認できた。こうしたことから、10月16日をもって、制作現場の判断で出演依頼を可能とする」と発表した。
例年11月中旬に紅白出場歌手の発表があり、「紅白対策」として解禁を宣言したことは明白。
ジャニーズ事務所創業者の故ジャニー喜多川氏による史上空前の性犯罪事案の事後処理は完結していない。

NHKも喜多川氏の性犯罪事案に関する加害責任の一部を負う身だ。
NHKは事態の深刻さを踏まえて旧ジャニーズ事務所タレントの起用を見送ってきたが、視聴率を優先し、問題をあいまいにしたまま、「過去の出来事」として風化させる方向に動いた。

旧ジャニーズを引き継いだスマイルアップ社もスタートエンターテイメント社もメディア各社の会見開催要請に一切答えていない。
時間が経てば風化する。世間の風が収まれば、何食わぬ顔で元のスタンスに戻る。
これを許しているのは日本の市民の側の行動であるという側面もある。
しかし、ジャニーズの被害者に対する補償問題もまだ解決したとは言えない状況にある。

東山紀之氏が代表を務めるスマイルアップ社が「ジャニーズ性加害問題当事者の会」(解散)の元副代表である石丸志門氏を提訴した。
石丸氏がスマイル社を提訴したのではない。スマイル社が石丸氏を提訴したのだ。
故ジャニー喜多川氏の巨大性犯罪事案を背景にジャニーズ事務所は昨年、今後1年間は、出演料は所属タレントにすべて支払い、芸能プロダクションとしての報酬は受け取らないと発表した。これが守られたのかどうかの検証も必要
スマイル社は2024年10月31日時点で合計1002名から補償申告を受け、連絡が取れた766名のうち752名について補償の有無を連絡。
被害者救済委員会は538名に補償内容を通知するとともに214名に補償を行わないことを通知したとスマイル社が発表した。

補償を行うと通知した538名のうち、511名に補償金を支払ったと公表した。
しかし、石丸氏はスマイル社が提示した補償金額に納得せず、さいたま簡易裁判所において同社との調停を進めてきた
スマイル社は10月3日の第3回調停で2000万円を提示したが石丸氏は拒否。
調停委員会は調停で合意に達する見込みがないとしてスマイル社に調停の取り下げを検討するよう指示したとのこと。

この経緯後に、石丸氏にスマイル社からメールが送られ、
「改めて2000万円を超える補償額の支払いが不可能である」ことを示し、併せて、
「裁判所に対して、金額確定のための訴訟を提起した」と通告してきたと伝えられている。
スマイル社は被害者に対する補償について「法を超えた補償を行う」と宣言した。
石丸氏の被害感情は極めて強く、億円単位での補償を求めていると見られる。
石丸氏は「法の枠内の話にまとめようとしていて、よく分かりません」と批判しているとのことだが、当然の主張である。
他の被害者がスマイル社の提示に従順に応じていることがスマイル社の石丸氏に対する強い行動を支える背景になっているが、これでは、同社が示した基本姿勢は虚偽だったとの批判が生まれてもやむを得ない

重大問題が発覚したのに、厳正なけじめをつけることができず、メディアが問題をあいまいにしたまま、なし崩しで加害企業に加担する行動を示す。
こうした歪んだ対応が、この国の空気を一段と淀んだものにしていると言わざるを得ない。

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  (後 略)