2024年11月16日土曜日

トランプ返り咲きで「3つの悪」が暴走…問われる日本の民主主義

 経済学者の金子勝氏が日刊ゲンダイに掲題の記事を出しました。
 米国における「3つの悪」の概要が述べられています。
 一方 国内については、「今後は、強行採決や閣議決定がやりにくく、国会内で議論せざるを得なくなる。野党は政権交代に向けて政策形成能力を磨きながら、自らの優位性を示していくことで政権交代のある議会制民主主義を実現できる」ので、「トランプの圧力の中、それができれば、国際社会で日本の地位を再浮上させるきっかけになる」と述べています。
 国際社会で地位向上もさることながら、日本の国会が早く本来の機能を取り戻して欲しいものです。
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金子勝の「天下の逆襲」
トランプ返り咲きで「3つの悪」が暴走…問われる日本の民主主義
                      日刊ゲンダイ 2024/11/12
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 トランプが次期米国大統領になった。これから3つの悪が暴走するだろう。1つは米国内外の分断、2つ目はSNSを通じたフェイクファシズムの蔓延、3つ目は投機マネーや暗号資産などによる仮想金融資本主義の暴走である

 1つ目の「分断」を巡ってトランプは、移民や人種、ジェンダーで国内分断を広げただけでなく、自らのコロナ対策の失敗を中国への敵意に転嫁させ、WHOから脱退。さらに、関税を拡大することによって国外の分断の壁を高くしてきた恐らくイスラエルを支援して、ガザやレバノンでの虐殺行為を陰で支えるだろうし、ロシアと握ってウクライナ侵略を認めていくに違いないが、それによって平和が訪れることはない。
 米国はホロコーストを救い出すことで戦後民主主義の象徴となり得たが、ホロコーストの犠牲者が新たにホロコーストを行っており、テロの連鎖を生む米国は第2次大戦の戦勝者としての遺産を完全に食い潰すことになるだろう。

 もう1つは、米国の巨大IT企業の保守化だ。生成AIとSNSの短文のコミュニケーションが大量のフェイク情報を蔓延させ、あっという間に人々の行動を支配してしまうことが分かった。新聞も大手メディアも見ない人たちをSNSで扇動して投票に駆り出す。米国民主主義の枠の中からフェイクファシズムが生まれる新たな時代となったのだ。

 3つ目は、仮想金融資本主義の暴走だ。巨大化するIT企業の要求は暗号資産の規制緩和。暗号資産やブロックチェーンによる決済機構拡大で、徴税機構をかいくぐって巨額の資産の蓄積をバーチャル空間で広げようとしている。
 しかも、金融市場では、先物取引をコンピューターで高頻度、大量取引するCTAのようなファンドが闊歩するようになっている。為替や株を投げ売りしたり、逆にバブルで急激に引き上げたりすることが可能になる。仮想金融資本主義の暴走は恐ろしいほどの格差拡大を招くに違いない。

 トランプによって、この3つの悪が暴走する中で、われわれ日本人は安倍体制に破壊されてきた民主主義を回復させるという重たい課題を負っている。
 野党はいま、17の常任委員会の委員長ポストのうち8つを確保した。予算委員会をはじめ野党側に配分されたので、強行採決や閣議決定がやりにくく、国会内で議論せざるを得なくなる。だとすれば、野党は政権交代に向けて政策形成能力を磨きながら、自らの優位性を示していくことで政権交代のある議会制民主主義を実現できる。トランプの圧力の中、それができれば、国際社会で日本の地位を再浮上させるきっかけになるはずだ。

金子勝 淑徳大客員教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。