2025年10月30日木曜日

戦争する国にさせない 日本平和大会 名古屋で開催

「なくそう!日米軍事同盟・米軍基地 2025年日本平和大会in愛知」が25日、26日の2日間、名古屋市で開かれました。
 25日はオンラインを併用した開会集会と「学びと交流のつどい」、青年のつどいが行われ、開会集会には約1000人が参加しました。
 26日は3つの分科会と閉会集会を行われ繁華街をパレードして閉幕しました。閉会集会とバレードには00人が参加しました。

「九条の会」の事務局は25日、高市自維政権が、憲法9条の改憲や戦争国家体制づくりへの前のめりの姿勢を示し、議員定数削減や排外主義をあおる外国人規制強化、選択的夫婦別姓の否定など、人権と民主主義の危機をもたらす政策を進めていることを警告し、批判する声明「高市右翼政権による憲法9条破壊と戦争国家体制づくりに立ち向かおう」を発表しました。
 末尾に声明の全文を掲示します。
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戦争する国にさせない 日本平和大会始まる 愛知
                       しんぶん赤旗 2025年10月26日
「なくそう日米軍事同盟・米軍基地 2025年日本平和大会in愛知」(同実行委員会主催)が25日、名古屋市で始まりました。戦後・被爆80年、「戦争する国」への道を許さない、との思いを結集。この日はオンラインを併用した開会集会と、「学びと交流のつどい」、青年のつどいを行いました。大会は26日までの2日間です。
 開会集会には約1000人が参加。開会あいさつで全労連の秋山正臣議長は、反動的性格を強める自民党政治に終止符を打つ運動が求められていると述べ「政治を転換し、誰もが安心し働き、生き続けることができる社会を目指して頑張ろう」と呼びかけました。
 日本平和委員会の千坂純事務局長は主催者報告で、高市早苗政権による憲法破壊の動きの根本にある日米軍事同盟=日米安保条約を廃棄するため、学び、対話し、広範な世論にしようと訴えました。
 名古屋空襲を体験した筧久江さん(94)は、防空壕が直撃を受け学友42人が亡くなったと語り、日本原水爆被害者団体協議会(日本校団協)被爆2世委員会委員長の大村義則さんはアメリカの「拡大核抑止」にしがみつく日本政府の態度を批判しました。
 新外交イニシアティブ代表の猿田佐世さんはビデオメッセージで、米国離れが欧州で進んでいると述べ「他の国の人だちとつながり、平和を求める声をつくりあげよう」と語りました。
 韓国・フォーラム平和共感研究員の李俊揆さんは、「核抑止論」を前提とした軍事同盟の政治という枠を超え、協力と平和共存の枠組みをつぐり出そうと話しました。
 日本共産党の本村伸子衆院議員が連帯あいさつし、立憲民主党の藤原規侃衆院議員のメッセージが紹介されました。


大軍拡許さぬ 連帯は固く 平和大会が閉会
                       しんぶん赤旗 2025年10月27日
 名古屋内で開かれていた「なくそう!日米軍事同盟・米軍基地 2025年日本平和大会in愛知」(同実行委員会主催)は26日、分科会と閉会集会を行い、繁華街をパレードして閉幕しました。閉会集会とバレードには500人が参加しました。
 バレードでは青年を先頭に「STOP WAR」「大軍拡反対」と書かれたボードを掲げてリズミカルに「ミサイルいらない」「戦争準備に税金使うな」などとコールしました。
 閉会集会(小牧平和県民集会実行委員会と共催)で、韓国・フォーラム平和共感研究員の李俊揆さんは、極右の国際的連帯を軽く見てはいけないと述べ、「対抗する私たちの運動の連帯を強めよう」と呼びかけました。
 小牧平和県民集会実行委の福本英雄さんは、名古屋空港(小牧基地)に空中給油機が4機配備されるなど危険な実態を告発し、「平和な名古屋空港と愛知をつくる」と訴えました。愛知県医労連青年部書記次長の池田幹人さんが、前日の青年のつどい「ピースシャウト」について報告し「大軍拡ノーの世論を広げる」と表明しました。
 安保破棄中央実行委員会事務局次長の林竜二郎さんが行動提起を行い、歴史を逆流させる動きが急速に進む今、大軍拡反対署名を軸にして、国民的世論をつくろうと呼びかけました。
 次回の日本平和大会は来年11月、神奈川県で開催すると発表しました。
 日本共産党の本村伸子衆院議員が参加しました。


高市自維政権の憲法破壊を警告 九条の会
                        しんぶん赤旗 2025年10月28日
「九条の会」の事務局は25日、高市自維政権が、憲法9条の改憲や戦争国家体制づくりへの前のめりの姿勢を示し、議員定数削減や排外主義をあおる外国人規制強化、選択的夫婦別姓の否定など、人権と民主主義の危機をもたらす政策を進めていることを警告し、批判する声明「高市右翼政権による憲法9条破壊と戦争国家体制づくりに立ち向かおう」を発表しました。
 声明は、高市政権の成立を「『戦後』を根底から覆す極右政権の登場」と主張。高市政権は9条改憲を主軸に据えて、明文改憲を強行する方針を打ち出したと強調し、自民党と日本維新の会の連立政権合意に9条と緊急事態条項に関する「両党の条文起草協議会」の設置等を明記したことを、戦争体制づくりを一層加速するために、9条の明文改憲こそ必要だという「判断による企て」と指摘します。
 声明は、安保3文書の前倒し改定や長射程ミサイルの整備、軍事費の国内総生産(GDP)比2%への増額の前倒しなどをあげ、「9条破壊をさらに加速させようとしている」と主張します。
 また、高市政権は憲法破壊の政治を強行するために、衆院議員の比例定数削減案を臨時国会に提出することを狙っており、「議会制民主主義を根本から破壊する暴挙」と批判します。
 高市政権によって、憲法9条だけでなく、人権、民主主義が危機にさらされていると述べ、「高市政権の企てに危惧を持つ全ての市民が声を上げましょう」「高市政権の危険な策動を阻止し、はねのけましょう」と呼び掛けています。


九条の会事務局声明
                              2025年10月25日
高市極右政権成立による憲法9条破壊と戦争国家体制づくりに立ち向かおう

 2025年10月21日、自民党と維新の会の連立合意を受けて、高市早苗自民党総裁が首相に指名され、高市内閣が発足しました。「戦後」を根底から覆す極右政権の登場です。
 高市政権は、昨年衆院選での自民党大敗による改憲勢力の3分に2割れと市民の頑張りで停滞を余儀なくされていた明文改憲を、本命の9条改憲を主軸に据えて強行する方針を打ち出しました。自民党と維新の会の連立政権合意に、「憲法9条改正」と「緊急事態条項」に関する「両党の条文起草協議会」を設置すること、「緊急事態条項」については「2026年度中に条文案の国会提出を目指す」こと、「衆参両院の憲法審査会に条文起草委員会を常設する」ことなどを明記したのです。中国を念頭に置いた戦争体制づくりを一層加速するには9条の明文を改変しなければならないという判断による企てです。

 高市政権は、戦争体制づくりのための9条破壊をさらに加速させようとしています。「安保3文書の前倒し改定」、「反撃能力(敵基地攻撃能力)をもつ長射程ミサイル」の整備、陸上展開の着実な進展と、「原子力潜水艦」と見られる「次世代動力を活用した潜水艦の保有を推進」するなどの大軍拡のスビートアップを図り、それを支えるべく防衛費のGDP比2%への増額を2年前倒しし、補正予算で今年度中に実施する方針を打ち出しました。
 軍需産業の育成を加速するため、「防衛装備移転3原則の運用指針の緩和」、「武器輸
出を認める5類型」の撤廃も狙っています。

 いわゆる「スパイ防止」法に関しては、2027年度末までに「対外情報庁」(仮称)と情報要員養成機関の創設、「インテリジェンス・スパイ防止関連法制」の年内検討開始と早急な成立、内閣情報調査室の「国家情報局」への格上げによって、「スパイ防止」の名目で市民に対する監視体制を強化して、戦争国家体制をより一層固めようとしています。
 こうした憲法破壊の政治をより「迅速に」強行するため、高市政権が衆議院議員の比例定数削減案を臨時国会に提出し成立させようとしていることも見逃せません。少数意見、少数政党を排除し、民意の国会への反映を妨げる、議会制民主主義を根本から破壊する暴挙です。さらに、高市政権は、選択的夫婦別姓の否定、排外主義を煽る外国人規制強化など憲法で保障される人権をあからさまに否定する政策をも強行しようとしています。

 高市自維政権の登場で、いま、日本の「戦後」、憲法が岐路に立っています。憲法9条にとどまらず、人権、民主主義が危機に晒されています。高市政権の企てに危惧を持つ全ての市民が声を上げましょう。全国各地の市民が一斉に立ち上がり、これに抗する世論を巻き起こし、高市政権の危険な策動を阻止し、はねのけましょう。九条の会もその先頭に立つことを決意します。

公明党・創価学会は原点の政治哲学に即け -〝共通善“の価値のエバンジェリズムを(世に倦む日々)

 世に倦む日々氏が掲題の記事を出しました。  *エバンジェリズム=宣教
 同氏は、読売新聞によれば高市新内閣の支持率は71%で、左翼論者のXを見ると悲嘆し絶望的な反応を示している者もいるが、発足時の支持率が高かった政権は、その後に世論が失望して支持率が急落することが頻繁で短命政権で終わった例が多い…と書き出し、タカ派丸出しで突っ走る高市政権は構造的に不安定な少数与党であり、野党が内閣不信任案の攻勢をかけたとき、巧く収拾・克服できない進行になり易く、またいつでも維新が裏切って玉木雄一郎を首班とする立憲・公明・国民・維新の政権に転覆しかねない構造的危機を孕んでいると述べます。

 また公明党の斎藤代表が党の会合で 自維連立政権が憲法9条改正の協議体設置を政策合意書に明記した点に懸念を示したことを紹介し。同党が護憲勢力として戻って来たのは率直に頼もしく思うとして、公明党・創価学会はもともと憲法9条を重視する平和勢力だったが、「あの忌まわしい『政治改革』で小選挙区制導入という愚挙を犯すことがなければ、公明党は政権を批判する健全な野党として独立に存在し中道の存在意義をよく発揮できただろうと述べ、同制度の導入を仕掛けた「山口二郎の罪は万死に値する」と述べます。

 そして「いま米国では18世紀半ば以来5回目の大覚醒運動の時代に入り、キリスト教徒として目覚めるという宗教運動が起こっていて、科学的合理主義の精神から離れている」し、「フランスでもキリスト教の洗礼を受ける若者が増えていて、25年は前年比45%増の1万人以上の青年が洗礼を受ける予定で、同国の若者が自国の宗教的伝統を発見し、教会や聖書に接近し、信者となる動きに繋がっている」など、明らかに「世界は宗教の濃度を増している」と述べます。

 そうした傾向は「端的に言えばリベラリズムの支配が限界を迎えているため、それ(新自由主義の矛盾と惨禍と絶望)を超越する思想が求められて、〝共通善(コモングッド)の正義への志向に人々が惹き寄せられているから」であるとします。そして、「端折って言うなら日本の政治勢力の中で、本来的な思想が最もリベラリズムから遠く、コミュニタリアニズム(共同体主義)に近いのが公明党・創価学会であり、日本共産党だと言える」として、「世界の思想の潮流は共通善を奉じる公明党と共産党を新しい政治の主役として指名している」と述べ、「公明党・創価学会が純粋に原点に立ち返り、宗教的倫理を燃焼させ、エバンジェリズムを再開させ、リベラリズムとの対決軸を屹立させ、自らの政治哲学の価値を再興することを期待する」と結びます

 注 〝共通善″の思想はアリストテレスに由来しているということです。
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公明党・創価学会は原点の政治哲学に即け -共通善"の価値のエバンジェリズムを
                      世に倦む日日 2025年10月26日
10/22 に自維連立による高市新政権が発足した。マスコミは「憲政史上初の女性総理」だの「我が国初の女性首相」だのと大騒ぎし、朝から晩まで高市早苗の奉祝報道と与野党の動きばかりでテレビを埋めている。同じ政治評論家(肩書きは記者や元記者や学者だが)が出ずっぱりで、軽薄で空疎な床屋政談をだらだら続けるばかりだ。高市早苗を無闇に美化した粉飾塗れの経歴紹介が幾度も流れ、新内閣の支持率上昇に貢献する放送が途切れない。第二次安倍内閣が始まった13年前と同じ祭り”の調子で、気分が悪い。右翼が狂喜乱舞し、公明党を袋叩きにし、少しでも高市を批判した者を血祭りに上げている。マスコミとネットを上げた右翼の祝祭行事に全員が付き合わされている。無内容な政治報道の視聴は、不毛な消費そのもので、粗悪な社員食堂の定食を毎日食わされている感じだ。番組に出演する人間だけが愉しんでいて、何の政治解説にもなってない。

10/22 夜に発表された読売新聞の世論調査では、高市新内閣の支持率は71%で、歴代5位の結果となった。この数字は事前に予想されたもので、特に驚きはなく、衝撃は全く感じない。これだけ奉祝報道で騒ぎ、美化礼賛しまくり、大衆の「期待」を煮詰めて仕込んだら、この程度の打ち上げ花火の絵にはなるだろう。左翼論者のXポストを見ると、悲嘆して絶望的な反応を示している者もいるが、私は少し違う。具体的に言うと、発足時の支持率が高かった政権は、その後に世論が失望して支持率が急落する場合が屡々で、短命政権で終わった例が多い。発足時支持率が65%以上あった内閣で、順調に長期政権となったのは小泉内閣と第2次安倍内閣の二つだけだ。歴代2位の鳩山内閣は9か月、歴代3位の菅義偉内閣は1年、歴代4位の細川内閣は8か月で終わっている。内部で揉めると崩れるし、支持率が低いと選挙前に首を挿げ替えるべく自民党内の動きが始まる

高市内閣は少数与党であり、政権の基礎が不安定なのが特徴だ。自民と維新の新連立は初の試みでもある。自民と維新の議席数を足しても過半数とならず、何かの局面で野党が内閣不信任案の攻勢をかけたとき、よほど政権が堅固に結束し、柔軟に対応しないと巧く収拾・克服できない進行になるだろう。この連立政権の体制は、実はいつでも維新が裏切って、玉木雄一郎を首班とする立憲・公明・国民・維新の政権に転覆しかねない構造的契機を孕んでいる。玉木はその色気十分で、自分が出世する機会に飢えている。野党は、内閣不信任案の武器を有効に使って国会運営で高市政権を揺さぶり、弱らせ、追い詰めることが可能だ。醜聞や答弁の失態を衝きつつ、支持率を下げる展開を作りやすい。公明党が自民党と組んでない、支えてないという26年ぶりの事態は、与党政権の地盤が弱くなり、永田町が流動化しやすくなった図に他ならない。タカ派丸出しで突っ走る高市政権は構造的に不安定なのだ。

10/23、斎藤鉄夫が党の会合で、自維連立政権が政策合意書で憲法9条改正の協議体設置を明記した点に懸念を示したと報道された。公明党が護憲勢力として戻って来た感があり、率直に頼もしく思う。高市シンドローム禍で市民が憂鬱に沈む中、一筋の光明が差す朗報となった。公明党・創価学会はもともと憲法9条にコミットする平和勢力だった。あの忌まわしい「政治改革」さえなければ、小選挙区制導入という愚挙を犯すことがなければ、公明党は政権を批判する健全な野党として独立に存在し、保守と革新の間で中道の存在意義をよく発揮できただろう。山口二郎と佐々木毅と財界・マスコミが「政治改革」を上から仕掛け、日本社会党を潰して日本共産党を政界から締め出す奸計を成功させ、「二大政党」以外に存続できない制度に改造したため、日本は「保守政治」の路線と勢力だけしか生存できない体制になった。革新政治は「政治改革」によって潰されてしまった。山口二郎の罪は万死に値する

公明党は生き残りのために「下駄の雪」となり、小泉政治と安倍政治を推進し防衛する悪の一翼に転化した。右へ右へ不断に旋回し、日本政治を保守反動化させ、日本経済を新自由主義化する槓桿となった。もし「政治改革」がなく、公明党が中道野党のままだったら、日本の最低賃金は今頃諸外国並みに2000円を実現していただろう。日本のGDPは諸外国並みの成長を続け、今頃1000兆円を超えていただろう。国会の中が青バッジ族だらけになることもなく、ネットの中が右翼で充満することもなく、中国との関係が戦争必至の状態になることもなかっただろう。テレビやネットで、何で日本の最低賃金は欧州諸国の半分なんだと、どうしてそうなったんだと、ときどきそういう声が上がる。嘗て、欧州諸国よりも日本の賃金が高く、日本は何でも expensive ⇒高価)だと外国から言われていた時代を覚えている者は、問いの答えを明快に言わないといけない。「政治改革」さえやらなければこんな地獄にはならなかった

無論、創価学会・公明党の支持層の中も多様であり、上層の部分はアベノミクスで恩恵を受けた者がいるだろうし、長期間の与党暮らしで利権を得て美味い汁を吸い、人生の成功に安住している者も多いだろう。けれども、いま投票している500万人の全てがそうではないはずだし、この数年間に公明党支持から離れた300万人はそうではあるまい。格差と呼ばれる貧富の差が広がる現実を厭悪し、中産階級の王国だった日本に郷愁を覚え、平和主義から離れて軍国路線に傾き染まる日本に眉を顰める人々だったに違いない。よく言われるのは、共産党支持者と公明党支持者とは層が重なっているという指摘だ。その裏返しの表現として、公明党がよく吹聴した言説として、われわれのおかげで共産党の伸長を阻止できたのだという「存在意義」の主張があった。実際、経済的定在としては、マルクス的な土台の意味では、二つは層として被っていただろう。つまり、本来は共産党に選挙で入っていい票を公明党が横から回収していたと言える

本来なら、格差拡大に反対し、軍国化路線に反対し、対中協調外交に舵をとれと言い、安倍政治に反対する意思を選挙で示し、日本の政治を適正にバランスすべき批判勢力の票が、逆に安倍政治を支持し推進する槓桿となって作用したため、こんな惨状に結果してしまった。まさに矛盾であり、上部構造における(観念経由の)倒立であり、不完全な人間の為せる倒錯現象と言うしかない。公明党の中で、この問題についての議論は絶えずあっただろう。公明党は地域で利権と地位を得て「成功」に酔えたかもしれないが、創価学会は新しく入信する青年層を失い、入信者を獲得して組織を維持拡大するモチベーションとエネルギーを失った何のための宗教団体かも分からなくなった。池田大作も死に、後継カリスマの登場もなく、このままでは組織の衰退と死滅しかない。本来、教義は貧困と格差に苦しむ低所得層に救済と社会改造の道を説き、賛同し帰依する若者を増やし、政策実現の政治運動へ誘う回路と行程になっていた。半世紀前はこうして拡大した

私は公明党に注目していた。左翼一般は公明党・創価学会に侮蔑の視線を送るだけで、最初から論外と決めつけ、意味ある政治的対象として認識しない。弁証法的な視角でアプローチしない。「ナンミョー様」などと、差別と偏見を当然視した態度でいる。私が注目した理由は、彼らがネット世界に姿を現さない点にあった。ネットが本格的に立ち上がって24年ほどになる。自公連立の期間と重なるが、公明・創価はネットを活用せず距離を置いていた。ネットの普及が進み、ネット時代になればなるほど、全てがネットに吸引・統合され、ネットがベースとなりプラットフォームになった。何もかもネットで活動する世界に変わり、政治の闘争現場もネット空間に移った。新興政党はネットで支持者を集め、既成政党も負けじとネット戦略を工夫する。そのためネットの中には、各政党の得票率と同程度の割合の支持者の音量が響いて交錯する。だが、例外的に公明党だけは音無しだった。興味深い事実だった

さて、会田弘継によると、いまアメリカは18世紀半ば以来5回目の大覚醒運動の時代に入っていると言われている。アメリカ人(主に白人)がキリスト教徒として目覚めるという宗教運動が起こっていて、牧師の言葉に頷き、聖書の言葉を信じる信仰者となり、自己を生まれ変わらせる精神現象が大規模に起きているらしい。福音派の台頭と政治的影響力の強大化がまさにその断面で、トランプ劇場はその結果だ。福音派(プロテスタント)だけでなく、カトリックの影響力も増して大きな潮流を作っていると言う。アメリカ人が、前世紀・前々世紀のキリスト教徒に戻っていて、科学的合理主義の精神から離れている。トランプの大学敵視策も、重商主義的関税策も、気候変動やワクチンへの懐疑も、ガザ大虐殺の黙認も、この問題が関係している。狂気と錯乱に見えるアメリカ現実政治の裏側に、科学的な知性や思考や判断から離れ、宗教に覚醒し聖書にコミットした大勢のアメリカ人がいることを想像すると、腑に落ちないでもない

内田樹が紹介した柳澤田美の話によると、フランスでもキリスト教の洗礼を受ける若者が増えていて、25年は前年比45%増の1万人以上の青年が洗礼を受ける予定だと言う。イスラム教徒が社会に増えていて、その信仰と実践を目の当りにしたフランスの若者が、それへのリアクションとしてフランスの宗教的伝統を発見し、アイデンティティを探し求め確かめる動機から教会や聖書に接近し、信者となる動きに繋がっているようだ。当然、アメリカの「大覚醒運動」や米国カトリックの興隆が影響しているだろう。この事実はショックである。フランスは政教分離が厳格な国で、1905年の政教分離法(ライシテ法)に基づき、公立学校内でイスラム教徒のスカーフやキリスト教徒のロザリオなどの着用が禁じられている。フランス国家が宗教に対してこうした断絶の態度をとるのは、やはりフランス革命以来の思想的伝統があり、フランスの基本は近代の合理的精神にあるという原理原則が前提としてあるからだろう。つまり、フランス人は宗教から遠いのだ

明らかに、世界は宗教の濃度を増している。何がそうさせるのか。それは、結論を言えば、リベラリズムの支配が限界を迎えているからだ。リベラリズムを否定し超越する思想が求められ共通善(コモングッド)の正義への志向に人々が惹き寄せられているからだ。資本主義(新自由主義)の矛盾と惨禍と絶望がそれを媒介している。この問題は別途詳論したいが、端折って言うなら、日本の政治勢力の中で、本来的な思想が最もリベラリズムから遠く、コミュニタリアニズム⇒共同体主義)に近いのが公明党・創価学会であり、日本共産党だと言える。二つの党はアメリカの自由主義から無縁である。従って思想的観点から言えば、この二党は今こそチャンスなのだ。福音派はエバンジェリカルズと呼ばれる。エバンジェリズムとは宣教の意味である。創価学会の言葉に変換すれば、折伏だろうか。公明党創価学会が純粋に原点に立ち返り、宗教的エートス⇒道徳・倫理)を燃焼させ、エバンジェリズムを再開させ、リベラリズムとの対決軸を屹立させ、自らの政治哲学の価値を再興することを期待する

世界の思想の潮流は、共通善を奉じる公明党と共産党を新しい政治の主役として指名している

高市挙党内閣の深謀遠慮/主権者信任なき自維金権政権(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
「高市挙党内閣の深謀遠慮」では、高市政権は別掲の記事のように短命に終わる可能性が高いのですが、新体制の発足に当たり小泉進次郎防衛相と赤沢亮正経産相という二つの地雷を組み込んであるということです。
 高市氏は防衛費GDP比2%は愚か 3.5%でも構わないと平然と口にしています。年間5兆円規模の防衛費を年間10兆円に激増(GDP比2%になれば年間12兆円)させるのですが、そのための財源はどうするのでしょうか。
 その分〝民生″が圧迫されるのは目に見えています。GDP3・5%なら実に年間20兆円です。
 兵器は大体10年ほどで時代遅れになってあまり役に立たないのですが、それを廃棄するのは大損なので日本に高額で売って儲けようというのがトランプの作戦だと識者は見ています。
 当然国会論戦というハードルは高く、小泉進次郎氏の手に負えるものではありません。高市氏はその行き詰まりを想定して小泉氏を防衛相に起用した疑いが強いと述べています。

 また、赤沢亮正氏を日米交渉担当の特命相から経産相へ横滑りさせました。
 赤沢氏は、石破内閣の任期末期に米国との関税交渉で合意・署名しましたが、その中身はトランプの威力と強引さに屈したものでした。最大の問題は5500億ドル(約80兆円)の対米投資で、投資先は米国が決定し利益は9割が米国のものになるという「売国合意」でした。
 この問題で国会が大紛糾する可能性は高く、赤沢氏の経産相横滑りはこうした問題からの逃亡を許さないというもので 彼に問題処理を担わせるという意図です。随分底意地の悪い人選をしたものです。赤沢氏のみならず石破氏も貶める意図が感じられます。
 植草氏は、「高市氏が責任を赤沢経産相一人に押し付けることは不可能だ。『政治とカネ問題放棄』という最重大問題もある。高市内閣が行き詰まるのは時間の問題である」と述べます。

 併せて植草氏の記事「主権者信任なき自維金権政権」を紹介します。
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高市挙党内閣の深謀遠慮
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年10月27日
高市新体制が発足したが二つの地雷が組み込まれている。
小泉進次郎防衛相と赤沢亮正経産相。

高市氏は防衛費GDP比2%を打ち出した。一般会計予算における防衛関係費は従来年額5兆円規模だった。岸田文雄元首相が独断で防衛費の激増方針を決めた。5年で27兆円の防衛費を5年で43兆円に増大させた。債務負担行為を含めれば実質倍増。
年間5兆円規模の防衛費を年間10兆円に激増させた。GDP比2%になれば年間12兆円。

財政危機を叫びながら軍事費だけは突出して増大させる。
これは国を守るための支出ではない。関係者と関係業界に利益を供与する方策。軍事産業の製品ほど価格が不明朗なものはない。法外な価格を設定して原価との差額が自民党得意の「裏金」になる。

軍事費=防衛費激増は打ち出の小槌。しかし、国会論戦というハードルがある。ここに小泉進次郎氏をぶつけた。小泉氏は祖父が防衛庁長官を務めただけで防衛の専門家でない。国会論戦での行き詰まりが想定される。
高市氏はその行き詰まりを想定して小泉氏を防衛相に起用した疑いが強い。

赤沢亮正氏は日米交渉担当の特命相から経産相への横滑り。石破内閣の任期末期に米国との関税交渉で合意・署名した。この合意は一言で表現すれば「売国合意」。
25%の追加関税率がトータルで15%の関税率に変わった。
自動車産業は歓迎するがTPP交渉の際の日米並行協議で、日本から米国への乗用車関税率は現行の2.5%をゼロにすると決定されたから、必ずしも大きな得点と言えない。

主力のピックアップトラックの関税率は25%が15%に引き下げられる。
だが、トランプ大統領がただで関税率引き下げを日本に寄贈することはない。
引き換えに日本政府が何を提供したのか。7月20日に参院選が行われた。
日米交渉の決着は7月22日。石破首相は参院選敗北での退任圧力を日米合意で跳ね返そうとしたと見られる。

このような「打算」に満ちた交渉決着は極めて危険。足元を見られて国益を売り渡すことになる。実際に合意内容を見ると重大な問題を多く確認できる
ボーイングの旅客機を100機購入する合意は不自然を越えて犯罪的。民間が購入する航空機のメーカーを国家が指定するという話。ロッキード事件を知らぬわけがないだろう。
石破氏は田中角栄氏の秘書から政界入りした人物だ。

米国製の高額トラックを日本政府が購入する話も盛り込まれた。
だが、最大の問題は5500億ドルの対米投資。投資は米国が決定し、利益は9割が米国のものになるという。その投資資金提供だけを日本が負わされる
80兆円規模の上納金献上が決定されたと言える。石破内閣の途方もない負の遺産。
赤沢亮正氏の経産相横滑りは、上納金問題からの逃亡を許さないというもの。赤沢経産相に問題処理を担わせる。

しかし、この問題で国会が大紛糾する可能性は高い。
高市氏が責任を赤沢経産相一人に押し付けることは不可能だ。「政治とカネ問題放棄」という最重大問題もある。高市内閣が行き詰まるのは時間の問題である
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主権者信任なき自維金権政権
               植草一秀の「知られざる真実」 2025年10月28日
政権の基盤は国民の信任。国民の負託を受けて政権は成り立つ。
新たに樹立された高市政権に対する国民の負託根拠は不確かなもの。
現行制度の間隙を縫って樹立された政権という意味しかない。

昨年10月の衆院総選挙で自公は過半数割れに転落。本年7月の参院通常選挙で自公は参院でも過半数割れに転落。最大の問題は「政治とカネ」。自民議員多数が政治資金を裏金にして懐に入れた。所得税法違反の疑いも濃厚。
1000万円以上の不正を働いた議員が21名。警察・検察が腐敗しているから刑事事件として立件されたのはほんの数件。しかし、史上空前の巨額裏金事件は国民の自民党に対する信頼を一段と地の底まで低下させた

事態を打開するチャンスはあった。25年通常国会で企業団体献金を禁止する法制を整えることができた。千載一遇のチャンスだった。
しかし、石破首相は提案を拒絶。国民民主が自民にすり寄り企業団体献金禁止は闇に葬られた。
そのあおりで惨敗した公明が高市自民に最後通牒を提示。高市新党首は公明の提案を拒絶。
結果として公明は連立離脱を決断した。

過半数を大幅に割り込んだ高市自民は下野する危機に直面したが、ここに維新がつけ入った。
「企業団体献金禁止」を自民に呑ませて連立に持ち込むなら国民の理解を得られただろう。
しかし、維新の行動は真逆だった。企業団体献金の規制強化さえ放り投げて自民に連立を呼びかけた。これに高市自民が応じて連立政権が樹立された。
長々と記述したが要点は新たに樹立された自維連立政権が国民の意思からかけ離れているということ。

国民は自民に退場通告をした。維新も直近の衆参両院選挙で国民からダメ出しされている。
参院比例代表得票数は以下の通り(単位:万票)。
      2022    2025    減数
自民    1826    1281   -545
維新     785     438   -347
自民も維新も国民からの信任を大幅に低下させている。

その自維が「金権腐敗」で足並みを揃えて連立政権を樹立した。
維新が連立の条件に掲げたのが衆院比例代表定数の削減。不適切にもほどがある
自民も維新も比例代表の得票を激減させた。
維新の議席の多数は大阪の小選挙区で確保されている。ここには自民の小選挙区選出議員がほとんどいない。維新は大阪の小選挙区を自民から割譲する考えだろう。
比例代表選挙は民意を正確に議席数に反映させる。多党分立時代には比例代表選挙が最適だ。

完全な二大政党体制に移行しているなら比例代表議席定数を減らしても弊害は少ない。
しかし、多党分立時代に比例代表議席定数を削減することは民意の切り捨てに他ならない。
自分たちの比例代表得票が激減したから比例代表議席定数を減らすというのは自己中心主義の極みである。

最大テーマの「政治とカネ」対応を完全放棄。「裏金がどうした内閣」誕生。
高市新政権を主権者国民は信任していない。早期に衆院総選挙で民意を問う必要がある。
            (中 略)
続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」4233号
「米は自維ふてほど内閣歓迎」 でご高読下さい。
            (後 略)