2013年1月5日土曜日

再び『自助』を強調する安倍政権


 安倍政権は公共事業の大々的な拡大を目指す一方で、社会保障費は出来るだけ切り詰めるべく種々画策しています。しかも狡猾にも参院選に悪影響が出ないようにと、保障費引き下げや負担のアップは全て秋以降に行うようにしているということです。 

 特に生活保護費については、総額を抑制・削減するために支給額を1割も引き下げようとしています。このところ生活保護費受給者数が年々最高値を更新しつつありますが、それは社会的要因で貧困化が進んでいる現況下では極めて当然の現象です。しかも日本では税の再分配に問題があって、諸外国とは異なり、再分配の前後で相対的貧困率が全く改善されないという異常な状態にあります(ユニセフの指摘)。
そういうことを考慮することもなく、只々 総額を抑制するためにいきなり1割もカットするというのは言語道断です。 

そもそも自民党は社会保障を「自助の補完」と位置づけて、まず自分と家族による「自助」を基本とし、それを国民同士の「共助」で補い、それでも困窮している人にだけ「公助」で対応しようという考えですが、それ自体 憲法がうたっている「健康にして文化的な最低限度の生活をする権利」を実現するという国の責任を放棄するものです。 

    しんぶん赤旗に“自助を掲げて社会保障の変質を狙う安倍政権“とする記事が載りましたので紹介します。
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2013内政展望 「自助」掲げ変質狙う安倍政権
                                   社会保障・教育守る年
しんぶん赤旗 2013年1月4日 

 自民、民主、公明3党が進める「税と社会保障の一体改革」路線。「社会保障は自助が基本」という自民党政権で、この路線の加速、社会保障の解体がすすむ恐れがあります。しかし、消費税を増税しながら社会保障を切り捨てるやり方は、国民の怒りを広げざるをえません。(西沢亨子) 

医療・介護縮小 国民会議で議論
 民自公3党がつくった「社会保障制度改革国民会議」は8月21日までに結論を出すとされています。そこでの議論が焦点の一つです。
 すでに3党は、医療・介護についての保険範囲の縮小を議題とすることで合意。▽風邪などの「軽い」病気や高度医療、「薬屋で自分で買えるような薬」とされたものを保険から外す▽軽度者への介護サービスを保険から外す▽終末期医療の見直し ― が狙われます。 

世論をおそれて先延ばしの姿勢
 一方、世論を恐れる安倍政権は、国民負担増の実施の多くを7月の参院選後に先送りする姿勢です。
 狙っている70~74歳の医療費窓口負担の1割から2割への引き上げ、高校授業料無償化への所得制限導入の決定は、2014年に延ばす方向です。昨年秋の衆院解散のどさくさに通した年金の2・5%削減は、実施を10月にしました。
 消費税増税とあいまった、これらの社会保障改悪は国民生活に激痛を与え、日本経済も破壊します。実施先延ばしのごまかしを広く国民に明らかにし、消費税に頼らない社会保障拡充の道を示して、参院選で自公両党に審判を下すことが必要です。 

保護費削減狙う 国の責任を放棄
 「自助」を振りかざす安倍政権は、1月中に編成する13年度予算案で生活保護費引き下げを狙います。田村憲久厚生労働相は就任後の会見で引き下げを明言しました。同時に、「現内閣が弱い立場の人に厳しいイメージになっちゃう」と世論を気にしています。
 生活保護費の引き下げは、国が国民に保障する最低生活ライン(ナショナル・ミニマム)の切り下げです。最低賃金や課税最低限、国民健康保険料(税)の減免、保育料などに影響します。賃金低迷は「デフレ」からの脱却も困難にします。 

 社会保障切り捨ては、社会保障を「自助の補完」とする自民党の「基本理念」に基づきます。自分と家族による「自助」が基本で、それを国民同士の「共助」で補い、それではどうしても対応できない困窮状況の人にだけ「公助」で対応するという考え。社会保障に対する国の責任を放棄するものです。
 これでは何のために国があり、国民は税金を納めているのかわかりません。

 自民党の考えでは、“お恵み”として救貧策がとられた時代へ逆戻りします。貧困は個人の責任によらない社会的要因で生じます。だからこそ、憲法25条が国民全てに生存権を保障し、国の責任で社会保障が進んできたのです。社会保障の変質を許してはなりません。 

教育の反動化に立ち向かう共同
 総選挙公約に、▽教職員統制を強める「新教育3法」▽教科書検定基準の抜本見直し▽教育制度の「複線化」▽飛び級導入―など教育への統制と競争強化を掲げた自民党。
 教育基本法を改悪した安倍晋三首相のもと、教科書内容への圧力を公言する下村博文氏を文科相にあて、「公約実現」の布陣をしいています。
 統制と競争の強化は教員の多忙化や子どものストレスを招き、現場を困難にするだけです。幅広い共同で教育の自主性を守る運動を新たにするときです。
 
 
 

2013年1月4日金曜日

安倍首相は「日本の歴史を否定するのか」とN.Y.Timesが


 自民党の勝利に高揚した安倍首相が早速「原発ゼロ志向」を否定しても、村山談話・河野談話の見直し等に言及しても日本のマスメディアが沈黙を守っているなか、ニューヨーク・タイムズが3日、「日本の歴史を否定する新たな試み」と題する社説を掲げ、安倍首相が従軍慰安婦問題を含む過去の侵略に対する日本政府の謝罪を見直す考えを示唆したことを厳しく批判しました。 

 安倍氏は5年前の首相時代にも「慰安婦の強制連行を直接示す資料は見つかっていない」ことを強調し、それに呼応する形で当時(2007年)日本の政治家・学者など44人が『ワシントン・ポスト』紙に、「日本軍によって強制されたことを示す歴史的な文書は発見されていない」旨の広告を出しましたが、それはアメリカ人に大いなる違和感や反感を与えました※1。
また橋下 維新の会共同代表も昨年全く同様の発言をして、「アジア女性資料センター」などから手厳しい批判を受けましたが、同氏からの反論や弁明はなかったようです※2。
※1 2012年9月21日付 「憲法時評 『日米同盟と慰安婦問題』 の紹介」
 ※2 2012年9月7日付 「『アジア女性資料センター』が橋下市長の慰安婦問題発言を批判」
 そもそもそうした資料が現存しないことは(いくつかの理由で)あり得ることであるし、従軍慰安婦が軍によってどのように非人道的な管理をされて「女性の尊厳と人権」を踏みにじられたのかを思えば、「連行の強制性の有無」などは重要ではないことも、識者間では一致しています。 
安倍首相(や橋下氏)には、せめて「アジア女性資料センター」などの説くところを学んで、早く低次元・管見の隘路から脱して欲しいものです。 

 以下に時事通信の記事を紹介します。
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歴史否定の「重大な過ち」=安倍首相を批判-米紙社説
時事通信 2013年1月4日 

 【ニューヨーク時事】米紙ニューヨーク・タイムズは3日、安倍晋三首相が12月31日付産経新聞に掲載されたインタビューで、従軍慰安婦問題を含む過去の侵略に対する日本政府の謝罪を見直す考えを示唆したとして、首相を厳しく批判する社説を掲げた。

 「日本の歴史を否定する新たな試み」と題する社説は、首相が1995年の村山富市首相談話に代わる新たな談話を出す意向を示したことや、慰安婦の強制連行を直接示す資料は見つかっていないと述べたことをとらえ、「韓国との緊張を激化させ、協力を一層困難にさせるという重大な過ちで政権をスタートさせたいらしい」と指摘した。

 また「安倍氏はかねて戦争の歴史を書き換える願望を隠していない。戦争犯罪の否定は韓国、中国、フィリピンを激怒させるだろう」と批判し、こうした安倍氏の「恥ずべき衝動」は北朝鮮の核開発などの問題について地域の協力を脅かす恐れがあると懸念を示した。
 
 
 

2013年1月3日木曜日

憲法を争点にし切れなかったメディアにも大きな責任・・と


「憲法メディアフォーラム」という、憲法に関するニュース・情報発信のサイトがありますが、そこの元日号に、衆院総選挙の結果についての編集委員座談会の記事が載りました。
護憲運動が今後いかにあるべきかについても語られています。
 座談会議事録の全文は下記でご覧になれます。
座談会の記事のURL :  http://www.kenpou-media.jp/pdf/20130101.pdf
  (フォーラムのURL: http://www.kenpou-media.jp/ ) 

ここでは座談会議事録を半分程度に圧縮して紹介します。
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憲法を争点にし切れなかったメディアにも大きな責任
憲法の闘いを強めよう
憲法メディアフォーラム 2013年1月1日 

衆院総選挙の結果は、自民党が公明党と併せて320議席を獲得するという、極端な結果に終わった。この選挙をどう見るか、これから大切なことは何か。憲法メディアフォーラム編集委員の間で話し合った。 

A:大手メディア部長    B:地方紙デスク        C:元大手民放デスク
D:地方紙記者         E:元大手メディア幹部 

▼「極右」の勝利

司会:まず、選挙結果をどう見るか。多党乱立の結果とか、小選挙区制とか、いろいろ言われているが、なぜ、こんなことになったのか、の感想から聞きたい。

B:「自民圧勝」の事前予想の通りになったので驚きはない。自民と維新、「みんな」を合わせると、今回の選挙は「極右の勝利」と位置づけるしかないと思う。

A:今回は民主党にお仕置きするのが主眼で、その中で既成大政党の安定感を求めるなら自民党、それでは飽き足らず「何かやってくれそう」との期待を込めるなら維新、というふうに分かれたのかもしれない。

E:維新は全国で票を得ているし、護憲勢力にとっては脅威だよ。参院選では今回の自民党票が維新に流れることもありうるだろう。

A:海外から「日本は右傾化している」と見られているが、大多数の日本人はそのことを意識していないように思える。そのことが問題なのではないか。

B:極右の勝利というのは、国際的には異常なことだ。われわれメディアも含めてそれを客観的に見ることができていない。

C:民主党には残念ながら政権を担う実力がないことが明らかになったのではないか。だから退場させたのだ、と考えたい。今回、自民党が圧勝したといっても、得票は減っている。

▼目立った選挙制度のゆがみ

A:こんどの選挙は、現行の小選挙区制と比例代表並立制の問題点が、広く認識されることになったことも意義があったかもしれない。

D:多党乱立なのに小選挙区制、という矛盾した選挙制度が、大量の死票を生み出したことは間違いない。有権者が「選んだ」のでなく「選びたくなかった」選挙だったのではないか。

E:もうひとつ、東京都知事選だ。市民運動が統一候補として宇都宮候補を担ぎ出し、知名度がない上に、ばらばらの選挙戦だったが、100万票近くを取った。猪瀬の400万票との差が大きすぎるが、「統一」の中で、いろんな人が加わってきているのは今後の展望を明るくしていると思う。

A:そうかなあ、4倍――3位の松井、4位の笹川の票も合わせれば保守系で約500 万票だから5 倍――の開きをどう埋めるか。この現実を直視していくことから始めなければいけないと思う。

▼マスコミの姿勢に問題

司会: ところで、マスコミはどうだったのか。随分早々と「自民優位」が報じられた。予測報道にも問題がありそうだ。

E:うん。JCJは毎年、12月8日には集会を開いて、新聞の戦争責任を考えているが、7日の運営委員会で、「憲法改正が公約として語られている選挙に、何も言わないでいていいのか」と議論になって、アピールを出した。

A:マスメディアは早い時期から「民主vs 自民・公明vs 第三極」の構図を打ち出していた。これによって共産党や社民党の護憲主張が見えづらくなった。結果として、憲法の論戦が深まることがなかった。

B:新聞の世論調査報道は、少なくとも今回に限っては選挙結果を誘導したよ。

D:各党の主張を紹介することで手一杯。政策論議を深められる環境になかった。その点、テレビ東京の開票特番で池上彰が鋭い質問を各党代表らにぶつけて、ネット上では話題になっていた。視聴率的にも健闘していたようだ。

B:報道についての検証が必要だ。言論機関の労組として、これから憲法が問題になるとき、どう政治問題に取り組むかは、議論しなければいけないね。

▼戦争の予感も…

司会:いずれにしても、安倍内閣ができた。夏の参院選までは、タカ派的な言動は極力避けて、参院選で再び大勝することを狙っている。安倍政権は何を考えているのだろうか?

A:当面は、しゃにむに改憲手続きを押し進めるようなことはしないだろう。やっぱりこの問題は参院選次第だ。護憲の側も、何より、憲法が改悪されかねないことを争点に浮上させること。

B:次の総選挙までに「戦争」が起きるのではないか、という恐怖を感じている。戦争は、起きるときはすぐ起きる。フォークランド紛争は、アルゼンチンのフォークランド(アルゼンチンではマルビナス諸島)上陸で、イギリスはあっという間に戦争に突き進んだ。尖閣で何かあれば、安倍政権はあっという間に武力衝突に突き進むのではないか。憲法改悪のハードルなど吹き飛んでしまう。

D:憲法改正の発議は、衆議院ではできる体制が整いつつあるわけで、自民党改憲案の徹底分析が必要だろう。

E:安倍内閣は当面、参院選までは、タカ派色を極力消して、景気浮揚を第一にやるだろう。明文改憲にはいろんなハードルがあるから、一方では、解釈改憲を進める。米国と一緒に戦争をするためには、集団的自衛権の行使ができるように、政府解釈の変更と、国家安全保障法をつくって、強引にやれるようにする。そんなことが当面の目標ではないか。

B:JCJのアピールに「日本国憲法は、戦争の惨禍と、2000万の人々の犠牲で生まれた、世界と歴史に対する約束でもある」という言葉があるが、いま壊されようとしているのは、こういうものの考え方なんだよ。

C:新内閣の顔ぶれを見ると、いろんな問題がありそうだ。放送局に対する行政指導も復活する可能性がある。

▼問われるメディアの「立ち位置」

司会:日本を戦争ができる国にするために、安倍内閣が戦略的にやってこようとしているとすれば、われわれの側も、これから、国民に何を訴え、どう行動していくかが重要になる。どう考えるか?

A:少々驚いたんだが、「若い層にはナショナリズムに訴えないと支持が得られないから、維新は意識して右派を演じている節がある」と言う。「いま、リベラルでは受けない。まして左派では…」というわけ。尖閣の空域に中国機が来たり、中国の反日デモで日の丸が燃やされるなど事件が起こると、簡単に「だから『力』が必要」との機運が高まる危険がある。例えば自衛隊が国防軍になっても、徴兵制になるとは限らない。出てくる変化は、米国のような戦争の民間請け負いかもしれない。戦場で仕事をする派遣社員が日本にも出てくる。そういう等身大で理解できる危険を訴えていくことじゃないか。

B:大事なのは、今の憲法の「ありがたさ」を具体的に、わかりやすく伝えることだと思う。多くの人は日本国憲法で育てられたのに、親の恩を忘れるがごとく、が現状だ。若い母親向けには「あなたの息子が戦地に取られてもいいのか」「娘の将来の恋人が戦場に行くのを許すのか」というのはもちろんだが、維新になびいているような若い人と話をしなければならないと思う。

C:国民は簡単には改憲を認めないと思うが、極右勢力が巨大な権力を手にしたという現実は無視できない。「9条選び直しの統一戦線」をどう構築していくか、真剣に考えなければならない。やっぱり、「護憲」ではなく、「9条選び直し」だと思う。選挙前日に藤森研さんが、多くの学生が独自武装論を主張するようになった、と報告していた。「憲法を守ろう」「9条を守ろう」という主張は簡単には心に響かない。国連憲章と憲法9条に基づく日本の外交、安全保障を真に選び直すという作業、実践をしていかなければならない。そうでないと、護憲勢力は旧時代の思考停止した教条主義とみなされる。

D:メディアは、もっと日本の地域の問題、現実の被災地、沖縄の声を拡大して伝える役割を強化すべきだよ。

E:「第3極」報道への批判が目立ったが、逆に言えば、左の側、社会民主主義的勢力が、メディアに注目されるような取り組みを十分できなかったことが、保守の中の「第3極」を際立たせてしまった、という反省も必要だ。メディアを敵視しても事態の改善は図られない。「緑の党」的な連帯と広がりを真剣に追求すべき時ではないか。

C:福島では原発維持を言う候補は一人もいなかったというし、沖縄でも自民党候補はすべて普天間基地の辺野古移設に反対して当選した。地域の課題と、政権選択や国全体の方針、方向の議論が整合しない状況が続き、政党の地方組織と中央の対立がますます顕在化していくだろう。直接行動や、個人的には街頭運動の比重が強まることに期待したいね。ネット言論の重みも増しそうだ。憲法の問題が突きつけられているが、いま、各メディアは自分の「立ち位置」をより明確にすることが迫られているのではないか。
 
 
 

2013年1月2日水曜日

田中正造没後100年 足尾鉱毒事件と原発事故


 自民党は、衆院選では3年間を掛けて原発の将来像に結論を出すと言っていましたが、選挙で大勝すると早速 原発推進者である甘利明氏、茂木敏充氏、石原伸晃氏をかなめの経済再生相、経産相、環境相に配し、国民の8割が望んでいた原発ゼロへの志向などは全く無視して、早くも原発の新設を認める可能性にまで言及しました。 

田中正造は、足尾銅山の鉱毒問題を追及し、衆議院議員を辞してからは鉱毒被害の中心地  谷中村に住み、田を荒らされた農民たちのために闘いました。
    今年は田中正造が没してから100年になりますが、東京新聞は元日の「筆洗」のコーナーで、「正造が生きていたら、『加害者が何を言う』と一喝するだろう」と書きました。
アメリカからの働きかけがあったとはいえ、この地震の多発国に50数基という原発を建設したのは50年以上も続いた自民党政治であり、その結果 原子炉の溶融・爆発という最早回復不能の一大悲劇を生んだことに対する反省が、何も見られないことを言っているわけです。

戦後の公害裁判の嚆矢となった新潟水俣病第一次訴訟を主導して勝利を導いた坂東克彦弁護士も、田中正造の闘いが日本の公害事件(裁判)の原点であると高く評価し、平田慶吉の「鉱害賠償責任論」の考え方を裁判に援用したということです。※1
坂東弁護士は、熊本の水俣病事件においても、「見舞金契約」で沈黙させられていた患者たちを損害賠償訴訟に立ち上がらせ※2、その裁判にも参加して、チッソ㈱の西田工場長から「原因はチッソ㈱排水中の有機水銀」という決定的な証言を得たり、同社の細川医師の臨床尋問で、「細川ノート」を公表してチッソ㈱がそのことを早くから認識していたことを明らかにするなど、 多大な貢献をしました。
※1 著書「新潟水俣病の三十年」他いくつかの報文で
※2   のちに「見舞金契約」は患者を騙して結んだもので公序良俗に反し無効であるとする判決が出ました

 足尾鉱毒事件は1885年8月に初めて新聞で報道され、1899年には鉱毒による死者数は1,064人と公表されましたが、時代的な制約もあって事業差し止めなどはされずに、実に、足尾銅山は銅が掘り尽くされる1973年まで操業が続けられ、精錬所は更に1980年代まで操業が続けられました。 

 足尾銅山の鉱毒事件が公表されてから100年以上が経過している今日、世界が見守るなか 日本の原発はどのような帰趨を辿ろうとするのでしょうか。
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筆洗 (2013年1月1日)
東京新聞2013年1月1日 

 「予は下野(しもつけ)の百姓なり」。田中正造の自伝はこの言葉から始まる。「小中の土百姓」「溜(下肥)かつぎ営業」とも自称した。国会議員になっても、辞めた後も生涯一農民という認識は変わらなかった(小松裕著『真の文明は人を殺さず』)。 

足尾銅山の鉱毒問題を追及、明治天皇に直訴を試みた正造は、還暦を過ぎても遊水池化に抵抗していた谷中村の農民の粗末な家に泊まり込んだ。常に民衆に軸足を置く政治家だった。 

銅山から渡良瀬川に流れた鉱毒は、洪水のたびに下流に被害が広がった。天災と人災が複合した「合成加害」と喝破した正造は、洪水被害の三分の二は「私欲と奸悪」が原因の人災と言い切った。 

今年は正造の没後百年になる。五年ぶりに再登板した安倍政権は自らの原発政策への反省や検証もないまま、民主党政権が決めた二〇三〇年代に原発ゼロという方針を覆し、原発の新増設さえ視野に入れる。正造が生きていたら、「加害者が何を言う」と一喝するだろう。 

銅の採掘のために伐採され、製錬所が出す亜硫酸ガスや山火事ではげ山になった足尾の山林は、ボランティアが木を植えて、荒涼とした山肌に緑が戻ってきた。 

自然との共存を主張した正造に今、学ぶべきことは多い。新年に当たり、もう一度かみしめたい言葉がある。 

<真の文明は山を荒さず 川を荒さず 村を破らず 人を殺さざるべし>
 
 
 

2013年1月1日火曜日

憲法に女性の権利をうたったベアテ・ゴードンさんが死去


 連合国軍総司令部(GHQ)民政局のスタッフとして日本国憲法原案の起草作業に携わり、男女平等に関する条項を書き上げた米国人女性ベアテ・シロタ・ゴードンさんが昨年12月30日、膵臓がんのためニューヨークの自宅で死去しました。89歳でした。 

 ベアテさんは少女時代(5歳~15歳)を日本で過ごし、渡米後アメリカのミルズ・カレッジ(女子大)を首席で卒業した才媛で、6ヶ国語に堪能でした。
太平洋戦争終戦時、まだ日本にいた両親を探すためにGHQ民生局に就職し、若干22歳で日本国憲法の原案作成に携わり、社会保障と女性の権利についての条項を担当しました。そして「女性の権利」について、当時の世界の憲法において最先端といえる人権保護規定を作りました。 

彼女の憲法原案作成時の活躍については、当HPの二つの記事
7月16日付「憲法制定のころ4 ベアテ・シロタ・ゴードン」
7月20日付「憲法制定のころ5 憲法調査会におけるベアテ参考人の陳述」
で紹介しています。(上記のURL=青英字の部分 をクリックすれば該当記事が開きます) 

 以下に東京新聞の記事を紹介します。
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ベアテ・ゴードンさん死去 日本国憲法の男女平等条項起草
東京新聞 2013年1月1日 

 【ニューヨーク共同】 第2次大戦後、連合国軍総司令部(GHQ)民政局のスタッフとして日本国憲法の起草作業に携わり、男女平等に関する条項を書き上げた米国人女性ベアテ・シロタ・ゴードンさんが昨年12月30日、膵臓がんのためニューヨークの自宅で死去した。89歳だった。娘のニコルさんが31日、共同通信に明らかにした。追悼式は後日行われる。 

 ニコルさんは「母は生前、憲法の平和、男女同権の条項を守る必要性を訴えていた。改正に総じて反対だったが、この二つ(の変更や削除)を特に懸念していた」と語った。供物で弔意を示したい場合は護憲団体「九条の会」に寄付してほしいという。
 
 
 

‘12年12月分 コメント 詳報


 12月は2件のメントをいただきました。
ありがとうございました。コメントをいただけるのは大変に張り合いです。
今後とも宜しくお願いいたします。

  (なおこの詳報ではプログソフトの編集機能を利用しているため、各文章の段落は削除された状態で表示されています。)
 

追記
① もしもコメントの記入に当たり上手く行かないことがありましたら、2012.9.10付の「コメントリスト 1」をご参照ください。
② コメント欄を利用して記事を投稿いただけます。
その場合は、冒頭に「投稿記事」と書き、次に(タイトル)を「 」付で表示してから、「本文」をお書き下さい。
  お送りいただいた記事は、当ホームページの趣旨に反しない限り掲載させていただきます。
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‘12年12月分 コメント  

(記事の発行日順に掲載) 

国防軍は 米軍の無給の傭兵に  (2012/12/12)
☆コメント
第46回衆議院議員選挙の結果は、小選挙区制という非民主的な選挙制度のもとでのものとは言いながら、極めて衝撃的なものとなりました。「戦争への道か平和の継続かー明日の日本の明暗を分けるこの重要な課題にしっかりと向き合い、子どもや孫たちに胸を張れる誤りのない選択を!」との呼びかけは総選挙に当たって行われたものですが、選挙結果が明らかになったいま、私たち一人ひとりに改めて“生き方”の選択を迫る呼びかけになっているように感じます。「闘いはここから、闘いはいまから」と決意を新たにしているところです。お互いに手を携えて、平和のために頑張り抜きましょう。・・・匿名(12/12/17) 

返信
コメントをありがとうございます。 安倍氏は「まず96条(2/3 発議条項)から手をつける」と言っていますから本気です。 仰る通り「闘いはここから、闘いはいまから」です。・・・事務局(12/12/18)  

“民意の行き場”を奪ったのはメディア  (2012/12/20)
☆コメント
確かに、この度の総選挙でマスコミ、とりわけ大手新聞各紙やNHKをはじめとするTVの果たした役割は重大だと思います。これらの巨大マスコミが「民意の行き場」を奪い自公政権への「回帰」を誘導したことが、小選挙区制という民意を大きく歪める最悪の選挙制度と相まってこのような結果を生みだしたとの分析は、的を射たものと考えます。そのことは、今回の総選挙が原発、消費税、TPP、9条改憲といった国民の命と暮らしに直接深く関わる大きな課題がいくつもあり、政治への高い関心の下で行われたにも拘わらず投票率が極めて低かったことでも裏付けられると思います。こうした巨大マスコミのあり方には、本当に憤りと苛立ち禁じえません。  思えば、原発安全神話の垂れ流し、消費税の導入・引き上げの必要性の大合唱、TPP参加の後押し、領土問題などを梃にした9条改憲の環境づくりなどなど、巨大マスコミの果たしてきた、また果たしている否定的な役割は枚挙に暇がありません。そういえば、小選挙区制の導入を煽り実現させたのもこれらの巨大マスコミではなかったでしょうか。  こうした“事の実態”を具体的に広く知らせていくことが、民主主義の発展と国民の立場に立った政治革新のために欠かせないと痛感させられたこの度の選挙でした。・・・匿名 (12/12/25)  

返信
コメントをありがとうございます。 全てご指摘のとおりだと思います。 小選挙区制度法が成立したときも、それまでは膨大な死票を生む悪の制度だとして小選挙区制度を否定して来たメディアが、突然にしかも一斉に“てのひら”を返すように、「政治改革の要」だとして評価するという異様な現象が見られました。そのスクラムがそれ以来基本的に継続しているのではないかと思われます。・・・事務局(12/12/25)
 
 
 

 

新年おめでとうございます


新年おめでとうございます
今年もどうぞ宜しく
お願い申し上げます 

 昨年は、被曝の影響が徐々に現れ始め、貧困化が進み、景気は益々悪くなり・・・と、暗く悲しいニュースが殆どでした。そんな中で年末の衆院選では、自民党や日本維新の会などの改憲勢力が躍進し、一貫して改憲を訴えている安倍氏が首相として再登場しました。

安倍政権は今夏の参院選までは低姿勢で過ごし、そこ(参議院)で多数派を形成できれば、憲法96条(改憲は、衆・参両院各3分の2以上の賛成で発議できる)の「3分の2」を「過半数」に変更することから、改憲に着手すると言われています。 

9条の会の運動もいよいよ正念場を迎えることになりますが、自民党の改憲案は極めて反動的なものなので、その実態が明らかになればとても国民の多数が支持するとは思えません。その点が護憲運動の大きな支えになるものと思われます。 

ところで本ホームページは昨年5月から本格的に運用を開始しましたが、昨年度の
記事数は        280本
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いただいたコメントは   36通
でした。 

 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。