2013年3月23日土曜日

福島原発停電 東電の体質は変わっていない


22日の各紙は福島原発停電事故を問題視して、東電の体質が変わっていない、事故の教訓が生かされていない、東電に切迫感がない、事故を迅速に公表する姿勢がない、事故は収束していない等々と批判する社説を掲げました。これまでは東電を批判しなかった朝日新聞や毎日新聞も同様な社説を掲げました。 

東京新聞は東電幹部が「事故」と言わず「事象」と呼び、「原子力の世界では放射性物質の影響が出なければ事故ではない」と言い張ったことを、住民の心情への思いがないと批判しました。
東電は事故対応でいつも「何処が悪い」という態度を見せて批判されますが、それは大量の官僚の受け皿(天下り先)であったことに加えて、事故後も大手のメディアが決して批判がましいことを言わないで来たことにも拠っていると思われます。 

しんぶん赤旗は、問題の配電盤が2年前の事故直後から屋外に置かれたトラックの荷台に仮設されたままで、バックアップも持っていなかったことに驚き、炉心が破壊した1~3号機には高放射線量でいまだに近づくこともできない実態は、「収束」とは程遠いとしています。

福島原発は東電の説明では日量48億ベクレル(実際はその5倍くらいでは、という人もいます)を空中に放出しているということですが、最近、東京海洋大学が、海への放出がなくなったとされる2011年6月以降も 計算上1日80億~930億ベクレルのセシウム137が放出されていることになる※と公表しました。
※  原発専用港の海水は、海流や潮の満ち干で1日に44%が入れ替わると推定され、セシウム137が公表されている濃度になるにはそれだけの流入がある筈と

 いずれにしても収束とはほど遠い状況です。
以下に新潟日報の記事を紹介します。

なお22日付の福島原発停電に関する社説は、新潟日報・朝日・毎日・東京・赤旗に加え下記の地方紙などが載せています。
福島原発停電   東電の変わらない体質         南日本新聞 3月22日
福島第1原発停電  事故の教訓を忘れたのか       徳島新聞 3月22日
福島原発停電   東電対応に切迫感がない      神戸新聞 3月22日
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【社説】 福島原発停電 電源対策の甘さ露呈した
新潟日報 2013年3月22日 

 東京電力の電源対策への甘さがあらためて露呈したといえる。
 福島第1原発で停電があり、1、3、4号機の使用済み核燃料プールといった重要設備の冷却が最大29時間停止した。
 複数の冷却システムがこれほど長時間にわたって停止したのは、事故後初めてのことである。
 使用済み燃料プールの冷却をめぐっては、昨年も4号機の装置が自動停止するなどトラブルが絶えない。
 過酷事故から2年が過ぎたというのに、原発がいまだに不安定な状況にあるということだろう。
 東電が各配電盤を調べた結果、3、4号機の冷却システムに接続されている屋外の仮設配電盤内部で、焦げ跡とネズミとみられる小動物の死骸が見つかった。
 配電盤に小動物が接触してショートし、停電の原因になった可能性があるという。
 この配電盤は事故から2カ月後の2011年5月から使用している。
 問題はケーブルを引き込むための隙間などから小動物が入り込む恐れがあったのに、十分な対策を講じていなかったことだ。
 原子炉の冷却と異なり、バックアップの電源もなかったのである。さらに今回は、電源多重化工事のために、本来別系統の1号機電源と連結していたことが影響を広げた。
 冷却機能が失われれば、燃料の温度は上がり続け、再び深刻な事態を引き起こしかねない。
 東電はバックアップがない理由について、プール内の燃料は冷えており、危機的状況になるまで時間的な余裕があることを挙げている。
 確かに、管理温度上限の65度に達するには4~26日程度要するといわれる。だが、約4日と短い4号機は燃料体が1533体あり、発熱量も他に比べて高い。
 
 原発事故は東日本大震災に伴う電源の喪失で冷却ができなくなり、炉心溶融につながったのである。
 背景にあったのは「安全神話」を過信して、万が一への対策を怠っていたことだ。
 それがどれほどの被害を今なお、もたらしているか。東電は現実を直視すべきだろう。
 公表の遅れも見過ごすわけにはいかない。原子力規制庁が最初に発表したのは停電から約3時間後、東電はさらにその後である。
 福島県や協定を結ぶ原発周辺の12市町村に連絡したのは約40分後とはいえ、こうした姿勢では住民らの不信や不安が募るばかりだ。帰還の動きにも影響を与えよう。
 
 事故時をはじめ、東電の情報開示への姿勢は度々問題視されてきた。時間的余裕が今回も同様の対応をさせたとしたら、緊迫感が足りないと言わざるを得ない。
 福島第1原発では汚染水が1日数百トンも増え続けており、保管は限界に近づきつつある。放射線量はいまだに高く、廃炉への道のりは不透明と言っていい。
 
 求められるのは原発事故の収束であり、安定だ。東電と国にはそのことを強く胸に刻んでもらいたい。
 
 
 

2013年3月22日金曜日

屈辱を購うあてはどこに? 政府のTPP試算に批判噴出


自民党が21日に開いた農林部会、農林水産戦略調査会などの合同会議で、政府の行ったTPPの影響試算に対して、基本的な考え方が違っているとする批判が相次ぎました。

 曰く、 試算対象の33品目以外の作物で生計を立てている人たちのことはどうなるのか、今はものが行き渡っているので一部の食料品の価格が下がったからと言ってその分が他の消費に回るという時代ではない、プラス効果だけを過大に評価していて非関税障壁をなくすマイナスやサービス自由化のマイナス分がカウントされていない、北海道内だけで11万人の雇用減少がある、農業生産額の減少だけをカウントしてそれに伴う関連産業のマイナスはカウントされていない、 等々です。

 自民党はいち早く政府一任を決めておいて、今さら何を言うのかという面はありますが、批判はいちいち尤もです。 

17年前にアメリカ、カナダと北米自由貿易協定(NAFTA)を結んだメキシコの現在の惨状を見れば、日本の将来も見通せます。
アメリカなどの多国籍企業がメキシコの農業や工業に参入した結果、メキシコの主食(トウモロコシ)の自給は崩壊し、零細な農民たちは仕方なくアメリカに移って農業や養豚、養鶏、食肉加工などの過酷で「のぞまれない仕事」につきました。アメリカへの移民者は合法・非合法を併せて2,000万人(人口の2割)にも上るということです。 

NAFTAで煮え湯を飲まされたメキシコとカナダは当初TPPに参加しませんでしたが、昨年10月から他国に遅れて参加しました。その時飲んだ屈辱の条件が後に明らかにされ、それを知った日本政府はビックリして両国に問い合わせたということですが、彼らがそれを忍んでも加盟したのは、日本が参加すれば数年後遅くとも10年後には農業が崩壊するので、その先は農業大国のアメリカ・カナダそしてメキシコが自由に価格を協定して日本に対して永久に食料を売りつけることができるという見通しがあったからだと言われています。しっかりした見通しがあったわけです。
 
それでは日本にはそうした屈辱を購うどんな見通しがあるというのでしょうか。
 
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自民農水合同会議 政府試算に批判噴出
東京新聞 2013年3月22日 

 自民党は21日、農林部会、農林水産戦略調査会などの合同会議を開き、安倍晋三首相のTPPへの交渉参加表明に合わせて政府が公表した影響試算について議論した。参加者からは、試算の対象や前提の置き方に批判が相次ぎ、政府側は答えに窮した。(清水俊介)

 試算は、TPP交渉の結果、加盟各国の関税がすべて撤廃されたことを条件に、その十年後の国全体の経済規模を、現行の関税が残った場合と比べて機械的に算出したもの。
 試算によると、工業製品の輸出増などにより企業が利益を上げ、所得も増えて個人消費は拡大。企業の投資も増えて、国内総生産(GDP)を6・1兆円押し上げると見積もる。一方、海外からの輸入に押され、農産品などの国内生産は2・9兆円減少。差し引きしてGDPは3・2兆円増えるとした。

 合同会議では、関税の撤廃で消費者物価が下がり、結果的に消費が3兆円伸びるとの政府の計算に批判が続出した。
 今村雅弘元農林水産副大臣は「食料品などが安くなったから他のものを買うという時代ではない」と指摘。野田毅元自治相は「取らぬたぬきの皮算用。プラス効果を水増ししている」と酷評した。
 試算が、TPP参加のマイナスを農業生産の減少にしか触れていないことにも多くの異論が出た。政府が重要品目に位置付ける方針の砂糖は国産と外国産で品質にほとんど差がない。関税が撤廃されると、サトウキビなどの国産原料は全て外国産に置き換わり、国内の生産額が1500億円減るとされた。

 これに対し、宮路和明元厚生労働副大臣は「サトウキビが作られなくなると、製糖工場がなくなり、機械業者にも影響がある。関連産業のダメージのほうが大きい」と強調。「6兆~7兆円の損害があり、(3・2兆円の)プラス効果は帳消しになる」と訴えた。
 このほか複数の出席者が「雇用機会がどれだけ失われるかは出さなければいけない」と試算に注文を付けた。

 合同会議の進行役を務めた小里泰弘農林部会長は「農業がだめになれば、加工業、流通業など他産業にも影響が出る、という観点からも新たな試算は必要だ」と締めくくり、政府側に対応を求めた。
 
 
 

衆院憲法審査会が開かれました +


21日、衆院憲法審査会が開かれ、第3章「国民の権利及び義務」と第4章「国会」について自由討議を行いました。
その中で日本維新の会とみんなの党は、迅速な意思決定を可能にするとして1 院制への移行を主張しました。
自民党、日本維新の会、生活の党は政教分離原則の緩和を訴え、地鎮祭における玉串料の公費支出などを容認すべきだとの見解を示しました。
 また民主党は憲法改正に慎重な立場を明らかにし、公明党は環境権の明記を主張し、共産党は護憲の立場から勤労者の権利向上を訴えました。
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<衆院憲法審査会> 維新とみんな、1 院制移行を主張
毎日新聞 2013年3月21日 

 衆院憲法審査会は21日、第3章「国民の権利及び義務」と第4章「国会」について自由討議を行った。日本維新の会とみんなの党は、迅速な意思決定が可能として1院制への移行を主張し、その他の政党は2院制の維持を訴えた。一方、昨年12月の衆院選の「1票の格差」は「違憲」との高裁判決が続いていることに、議員からは不満の声も漏れた。

 維新の西野弘一氏は「首相公選制を前提に1院制への再編成を検討している。2院制では衆参のねじれで政治的停滞を招きかねない」と語った。みんなの小池政就氏も「一刻を争う国政課題が2度にわたる審議で停滞し、国民の背負うコストも膨大だ」と、衆参両院の統合を主張した。

 一方、自民の葉梨康弘氏は「現行憲法の立場を踏襲している」と2院制を支持し、民主、公明、共産、生活の各党も2院制維持を訴えた。

 憲法は47条で、選挙制度は国会が法律で定めると規定しており、各党は「1票の格差」をめぐる高裁判決にも言及。自民党の中谷元氏は「民意のくみ上げ方に司法が違憲、無効を決めることに疑問がある」と語った。民主党の篠原孝氏も「平等だけで議員が選ばれていいのか。都市の意向で日本中が変えられてしまう」と同調した。

 一方、みんなは格差是正の必要性を強調。公明、共産の両党は、比例代表を重視した制度改革を訴えた。

 第3章をめぐっては、多くの政党が環境権やプライバシー権など「新しい人権」を明記すべきだとした。【岡崎大輔】
 

政教分離の緩和を主張 衆院憲法審査会で自民、維新など
産経新聞 2013年3月21日 

 衆院憲法審査会(保利耕輔会長)は21日、日本国憲法第3章「国民の権利および義務」と第4章「国会」の論点整理を行った。自民党、日本維新の会、生活の党は政教分離原則の緩和を訴え、地鎮祭における玉串料の公費支出などを容認すべきだとの見解を示した。

 第3章の議論で、3党は政教分離を定めた第20条に関し、「儀礼・習俗の範囲内であれば憲法で国や地方公共団体が宗教的なものに関わることができることにする」などと主張。政教分離原則の緩和で一致した。

 また、自民、維新、みんなの党は外国人参政権を認めない考えを表明。民主党は憲法改正に慎重な立場を明らかにした。公明党は環境権の明記を主張し、共産党は護憲の立場から勤労者の権利向上を訴えた。

 一方、第4章に関しては維新とみんなが一院制を主張したのに対し、他党は二院制維持を支持した。
 

自民党からも「一院制」 憲法審査会
  朝日新聞 2013年3月22日 

 衆院憲法審査会は21日、第4章の「国会」について自由討議を行った。自民党は二院制維持の立場だが、「ねじれ国会」の弊害を念頭に出席委員から一院制を求める意見が相次いだ。一方、日本維新の会とみんなの党は一院制を主張した。

 自民党は昨年4月にまとめた憲法改正案で「国会は衆議院及び参議院の両議院で構成する」と二院制を明記。21日の審査会でも葉梨康弘氏が「自民党は二院制について現行憲法を踏襲している」と説明した。

 だが、党憲法改正推進本部長代行の船田元氏は「衆院の優越性を強められないなら一院制を目指すべきだ」と主張。衛藤征士郎氏も「ねじれ国会で決められない。速やかに一院にすべきだ」と語った。みんなの小池政就氏も「国政の課題が二度にわたる審議で遅滞する」と語った。
 
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衆院憲法審査会 憲法理念の実践こそ 笠井氏が主張

しんぶん赤旗 2013年3月22日 

 衆院憲法審査会は21日、憲法第3章「国民の権利及び義務」と第4章「国会」について検証を行いました。日本共産党の笠井亮議員は、憲法が定めた基本的人権や国民主権原理に基づく議会制民主主義の全面実践こそ求められると主張。東日本大震災と福島原発事故、大企業による非正規雇用労働者の大量解雇や雇い止めなどをあげ、憲法理念に照らして現実をただすよう主張しました。

 公明党の斉藤鉄夫氏は「新しい人権はより積極的に明示すべきだ」と述べました。笠井氏は「新しい人権は憲法の民主的な解釈から導き出されるものとして裁判規範、行政の重要な原則として定着している」と主張しました。

 自民党の保岡興治氏は「基本的人権を尊重するあまり、日本社会は利己主義が広がっている」などとして、「公益」「公の秩序」による基本的人権の制限を主張。自民党の中谷元氏は「社会的活動、結社は、その目的によっては一定の制限をかけることも検討すべきだ」などと述べました。

 笠井氏は「公共の福祉は人権と人権がぶつかり合った場合の調整原理であり、国家が国民の人権を制限するためのものではない」と指摘。「21条(『集会・結社の自由』)は民主主義の政治プロセスを支える中心的な人権であり、目的による結社の規制など極めて異常だ。国家による思想調査や戦前の治安維持法に通じる危険なものだ」と批判しました。

 また、日本維新の会の西野弘一氏は「政治に強いリーダーシップを生み出すため首相公選を導入し、一院制にすべきだ」と主張しました。笠井氏は「二院制の意義は、国民の多様な意思を国会に反映させ、審議を慎重なものにすることだ」と指摘。「政治の不安定の根本原因は、政治が民意を反映していないことにある。民意を正確に反映する選挙制度への改革とともに、政治の中身を国民本位に憲法に基づいてかえていくことこそ急務だ」と述べました。
 
 

2013年3月21日木曜日

ヒットラーが思い起こされると


 20日付の東京新聞に「茶色に染まり始めた朝」と題された短いエッセー風の文章が載りました。

 「茶色」はカギ十字の色、ナチスドイツを表します。ナチス党が生まれてから90数年、ナチスドイツが消滅してから既に70年弱を経過した今日、この日本に何やらナチスの台頭を連想させるものが・・・という著者の思いが書かせたものと思われます。 

 よく知られている様にナチス党が台頭した時期には共産党も躍進しました。発足10年後の1930年の総選挙でナチス党が第2党に躍進したとき共産党は第3党でした。それで財界は共産党を抑えるためにナチス党に献金し応援しましたが、ナチス党は勢力を拡大する過程で人民寄りの姿勢も見せたので、一時は財界からの献金がなくなって財政的に困窮したりもしました。 

 32年、ついにナチス党は第1党になり翌年1月にヒットラーが首相になると、その3日後に国会を解散させました。そして選挙期間中に国会放火事件が起きると、それを口実に3,000人以上とも4,000人以上ともいわれる共産党幹部を逮捕・拘束しました。 

 選挙後にはただちに「全権委任法」を、これは憲法に規定のないものであったために成立には議員の2/3以上の出席で2/3以上の賛成を要しましたが、反対議員は拘束し欠席議員も出席とみなす(特例法)という暴挙のもとに成立させました。

 またナチス党以外の全ての政党は解散させ、軍隊と警察を掌握し秘密警察(ゲシュタポ)を創設して完全な独裁体制作り上げましたが、それは首相就任後僅か2年のうちでした。

 そしてヒットラーが首相になってから数カ月しかたたないうち、国民には「当局に反対しただけで警察の追求を受ける」という認識が広まり、「今更じたばたしても無駄である」という感情に包まれたといわれます。また恐怖体制の中ではナチスはみせしめのために左右両派の人物を攻撃するだけで良く、人々を威嚇する必要はなかったいうことです。 

 当時の大統領や前首相はヒットラーのことを「ボヘミアの伍長」とか「ペンキ屋風情」と見下して、首相につけてもすぐに挫折すると見做していました。
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 ナチスの台頭を許したものは「事なかれ主義」。
 インテリの無力と評する人もいます。
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茶色に染まり始めた朝
【私説・論説室から】 東京新聞 2013年3月20日 

 「事なかれ主義」がファシズム台頭を許すと警鐘を鳴らし、フランスでベストセラー、多くの国でも翻訳された短編寓話(ぐうわ)『茶色の朝』。作者のフランク・パブロフ氏を仏グルノーブル市の自宅に訪ねたのは、邦訳が出版された九年前のこと。欧州で移民排斥など右傾化の嵐が吹き荒れ、日本も教科書検定問題など息苦しさが漂う時期だった。 

 “茶色”とはナチスの象徴の色だ。あらすじはこうだった。

ある日、毛が茶色以外のペットは法律で禁止された。これを批判した新聞が廃刊となり、本や服装、政党名に茶色が強制されていく。しかし、不自由のない日々だからと声を上げないでいると、過去に茶色以外のペットを飼った者まで逮捕される法律ができ、主人公に危険が迫る・・・。 

 パブロフ氏は諭すように解説してくれた。民主主義を花瓶に例えて「少しだけ欠けたのをほっておくと、ひびはだんだん大きくなる。まあいいかと思っていると、いつの間にか割れてしまう」。毎朝起きたら注意を払い、時には行動しないと守れないものだ、と。 

 そう、夏の参院選まではタカ派色を隠し、「国のかたち」を変えにかかるのは選挙後だろうと油断していると・・・。武器輸出三原則は例外の積み重ねですでに骨抜きに。集団的自衛権行使を模索する動きも、自衛隊の国防軍への改編や交戦権を認める新憲法づくりも、この国ではもう相当に前のめりなのだ。 (久原穏)
 
 

 

2013年3月20日水曜日

原発被災支援法の早急な施行を


 昨年6月全会一致の議員立法で成立した「原発被災者支援法」が、いまだに棚ざらしになっていることを批判する社説を東京新聞が掲げました。
支援法は日本版「チェルノブイリ法」と呼ばれ、一定の線量以上の放射線被曝が予想される「支援対象地域」からの避難、居住、帰還といった選択を、被災者が自らの意思によって行うことができるよう、国が責任をもって支援しなければならないと定めたものです。
被災者にとっては死活にかかわる法律であるにもかかわらず、支援法に基づいて決められる筈の諸々の具体策・具体案の策定が全く進んでいないということです。
なぜ長い間放置されたままになっているのでしょうか。 

参考にしたと言われるチェルノブイリでは、居住可能限度を5mSv/年とし、1 mSv/年以上の地域は「移住(避難)の権利地域」と定め、とどまる人にも離れる人にも医療や生活を支援しましたが、日本ではどうでしょうか。
国は3.2μSv/H=28mSv/年以上の地点をスポット毎に「特定避難勧奨地点」と定め(妊婦や乳幼児のいる世帯でようやく2.0μSv/H=18mSv/年)、指定の世帯には1人月10万円の賠償金が払われるものの、それ以外の地域には払いません※1。そもそも現行法令による放射能の許容限度は1 mSv/年なので、それを大幅に上回る法令違反の措置です。
※1 12月24日「特定避難勧奨地点の判定基準 日本の恐ろしい現実」

また国や県が「放射線は心配しなくて良い」というムードを先導するために、被曝の惧れを感じながら居住している人たちにとって、被曝の軽減や回避を許さない雰囲気が醸成されているという現実もあります※2。
※2 10月14日「放射能汚染地域にニ重の悲劇が生まれています」

 こうした後進性を脱し被曝の被害を少しでも軽減するためにも、一刻も早く細部を詰めて施行して欲しいものです。
 
 以下に東京新聞の社説を紹介します。
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【社説】 原発被災支援法 いつまで待たせるのか
東京新聞 2013年3月19日 

 支援はいつ始まるのか。「原発被災者支援法」は福島だけでなく、もっと幅広く、公的支援の外に置かれる近県の住民や自主避難者らにとっても頼みの綱だ。待ち望む被災者を裏切ってはならない。
 「原発事故子ども・被災者支援法」は、日本版「チェルノブイリ法」と呼ばれ、昨年六月の国会で、超党派提案の議員立法として全会一致で成立した。福島原発事故によって被害を受けている子どもや住民に「避難の権利」を認め、健康や暮らしの支援を目的にする。原発事故の避難区域外の住民には支援がなく、広い地域の支援を目指しているが、施策を仕切る復興庁が根幹になる基本方針すら定めていない。全国会議員が賛成した法律が九カ月もたなざらしというのは、異常だ。

 今月、国会で開かれた市民集会は、動かない政府への異議申し立てさながらだった。放射能汚染と戦ってきた各地の代表がこの二年を報告し、法の具体化を訴えた。
 福島県境の宮城県白石市に住む古山智子さんは、「県境で支援を線引きしないで」と訴えた。県南部は年間被ばく線量が、一般の被ばく限度の1ミリシーベルト(毎時0.23マイクロシーベルト)を超え、福島と変わらない地域が珍しくない。だが、継続的な健康調査もない。文部科学省のモニタリング地点はあるが、周辺が除染されて線量が低い。深刻さが隠されているようで不満だ。
 同じく県境の栃木県那須塩原市の手塚真子さんも、子どもの健康被害を心配する。有志を募り、福島県の病院と提携して甲状腺がん検査を実施すると、希望者が殺到して対応しきれなかった。
 線量は下がったとはいえ、事故前より高い。福島市から新潟市に自主避難中の村上岳志さんは、余計な被ばくを避けたい思いを認められるべきだと訴える。

 低線量被ばくを恐れながらも、地域がぎくしゃくするのを恐れて声を上げられず、地域に残る住民は大勢いる。だからこそ支援法は自己決定権を尊重する。元の居住地にとどまっても、離れても、分け隔てなく被ばくを避ける権利を保障する。支援は健康管理や就労、就学、医療、保養など。体内に入った核種を調べる内部被ばく検査は今すぐ行うべきだ。
 「チェルノブイリ法」も、年間被ばく線量が1ミリシーベルト以上の地域を「移住(避難)の権利地域」と定め、とどまる人にも、離れる人にも医療や生活を支援した。日本ができないはずがない。被災者に希望を持たせてほしい。
 
 
 

2013年3月19日火曜日

「コメント」 : 受付情報


3月以降現在までに下記の記事にコメントをいただきました。
青字の部分が今回新規にいただいたものです。 

コメントは、記事の最下段の「1件のコメント」などと書かれているところをクリックすると、ご覧になれます。 

件数には事務局からの返信の分は含めてありません。 

(記事の日付の降順に掲載)
記  事  の  タ  イ  ト  ル
掲 載 日
数
日 付
ISDS条項は国家主権の上に裁定機・・・・
2013/3/16
1件
3/19
96条が改正されれば日本の基本構・・・・
2013/3/13
1件
3/19
統治者がルールを変えてもよいのかと
2013/2/23
1件
3/3
 
 
 
 

 

 

憲法改悪阻止のために


法学館憲法研究所ホームページの「今週の一言」のコーナーに、「憲法改悪阻止のために―自民党改憲案から考える」と題する論文が載りました。
字数の制約があるために短い論文になっていますが、自民党改憲案の問題点が極めて簡潔に述べられています。 

9条の改悪が機密保護法・軍事裁判・海外派兵などを含む完全な軍隊の保持を目指したものであることや、自民党改憲案は一貫して国家を国民の上に置いて、国民の基本的人権を抑圧しようとしているものであることなどが述べられて、こうした自民党改憲案の危険性が分かれば、なおさら現行憲法の優れている点が良く分かるので、それが改憲阻止の力になるとまとめています。 

以下に事務局のつくった要約文を掲載します。
(URLをクリックすれば原文にジャンプするのでどうぞ原文もお読みください)
末尾に「自民党改憲案の第九条(抜粋)」を添付しました。
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【法学館憲法研究所 今週の一言】 
憲法改悪阻止のために―自民党改憲案から考える
吉田健一 2013年3月18日
憲法会議代表幹事・弁護士
(要旨 事務局要約)
 「自民党改憲案と比べると現行憲法の意味や大切さがよく理解できる」とある学習会の参加者から感想が寄せられた。
 昨年12月、改憲を明言する安倍首相が誕生した。自民党、さらには維新の会など合わせると改憲を進めようとする衆議院議員は75%にも達している。
当面、96条改憲を目指すとしながらも、9条に焦点をあてた改憲をねらっていることはいうまでもなく、今年の参議院選挙での結果によっては、改憲の動きが加速される危険が大きい。

あらためて自民党改憲案がどのようなものなのかを条文に沿って検討すると、現法憲法のどういう点が否定されようとしているのか、具体的に考えさせられる。
自民党案は戦争を行うことを前提にし、9条を改憲して徹底的に現行憲法を否定する内容となっている。憲法前文からは、戦争遂行に障害となる平和的生存権も消し去られている。
 
そして戦争をするための国防軍を保有し、海外での活動を含めた役割が明記される。軍隊の統制、秘密の保持、軍事法廷(審判所)の設置が規定される。
国民も、領土等の保全や資源の確保のために協力させられる。
戦争になれば国民の権利を制限できる緊急事態法制が導入される。 

 自民党案は、基本的人権が侵すことのできない永久の権利である(97条)とした天賦人権規定を削除し、基本的人権には責任及び義務が伴うとし、公益及び公の秩序に反してはならないとする。これは本質的な違いである。
集会、結社、言論の自由においては、公益及び公の秩序による制限を重ねて強調している。
家族の尊重や助け合いまでうたわれ、国とか「公」の立場がしきりに強調される。国旗国歌を尊重することまで国民に義務づける。

国民が個人として尊重されるために権力の横暴を制限するはずの憲法が、逆に国民を制限するものとされてしまう。
 改憲を発議できる要件を議員の3分の2から過半数に緩和する96条の改憲はもとより重大問題である。
 

このような自民党案の危険性とあわせて、現憲法が戦争を否定し、国民が個人として尊重されるための仕組みをつくっている意味を確認し、国民に知らせることが改憲の動きを止める大きな力になる。
 憲法改悪を許さないために、諸団体や労働組合、研究者が一緒になって、憲法を学び、憲法を実現する運動を進めてきた。
 いよいよ正念場である。
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(参考資料)
自民党改憲案の第九条 (抜粋)

第九条   (略)
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
 
(国防軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2   (略)
3   (略)
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

(領土等の保全等)
第九条の三 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。