東京新聞が「年のはじめに考える 民主主義が死ぬ前に」とする記事を掲げました。
日本学術会議会員の任命拒否問題では1000余りもの学会などから声明や意見書が出されましたが、その中でも秀逸なものとして注目された「イタリア学会」(藤谷道夫会長 慶大教授)の声明を取り上げて解説したものです。
イタリア学会の声明は古代ローマ時代の事績を様々に紹介しつつ、現代における菅首相の根本的な誤りを具体的に分かりやすく指摘しています。
記事の末尾に「声明全文」を添えましたので併せてご覧ください。
ところで表題が「民主主義が死ぬ前に」となっていることに意外な感じを持つかもしれませんが、民主主義は「ファッショ/ファッシズム」によって比較的簡単に死にます。
ドイツが、当時最先端の民主的憲法と誇ったワイマール憲法を持ちながら、ヒトラーによって完全なファッシズムが生みだされたのがそのよい例です。
日本国憲法がよもや為政者によって繰り返し破られるとは誰しもが予想しなかったことですが、安倍前首相によって日本国憲法は大いに蹂躙されました。
その後を受けた菅首相も、出だしから「学問の自由」を冒しただけでなくその理由を語ることを国会で65回も拒否しました。これも明らかな憲法63条違反です。
「民主主義が死ぬ」は、現実の問題といえます。
お知らせ
降雪状況により8日、9日は記事の更新が出来ない可能性があります。ご了承ください。
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年のはじめに考える 民主主義が死ぬ前に
東京新聞 2021年1月6日
「古代ローマの護民官がいたなら」と思いたくなります。日本学術会議会員の任命拒否問題には、さまざまな学会などの声明・意見書が出ました。昨年末で「千」の大台を超えたとか。中でもイタリア学会のそれは秀逸です。
菅義偉首相には「学問は国家に従属する『しもべ』でなければならないという誤った学問観」があると徹底抗議する文面です。歴史の縦糸を縦横無尽に飛び回り、批判の矢を次々と繰り出します。
万有引力や相対性理論から始まり、ガリレオ裁判、古代ギリシャの詩人アイスキュロス、カフカの「審判」、ソルジェニーツィンの「収容所群島」を持ち出し、首相の「手前勝手な考え方」を徹底的に暴く論旨は明快です。
◆公務員こそ権力批判を
その中で登場するのが護民官です。政権の勝手な振る舞いから国民を守る公的機関こそ護民官だったと指摘します。「現代の公務員に匹敵する護民官は、時の権力を批判・牽制(けんせい)するために作られた驚くべき官職」だったのです。
公務員は国民全体の利益のために働くはずです。でも首相に人事を握られた日本の公務員は恐れをなして政権批判どころではありません。同学会は諭します。「政権が間違った判断をすれば、国民のために批判することは、むしろ公務員の義務」なのだと…。
情報公開制度を始めたのもイタリアだったそうです。紀元前五九年、執政官に就任したカエサルが決めました。
この制度で元老院の速記録、議事録が作られ公開されると、貴族の権力は大いに削(そ)がれたといいます。隠れた不正ができなくなったためです。それまで国民は元老院でどんな議論が行われているかすら知らなかったのです。
つまり情報公開が民主主義への一歩となっているのです。逆に言えば、民主主義を破壊する手段は「説明しないこと」と「情報を秘匿すること」です。
◆虚偽答弁助長したPM
現代ニッポンの政治状況を読み解く重要なカギです。安倍前政権も菅政権も、説明を粗末にする政治を長く続けているからです。
菅氏らは学術会議問題が紛糾する臨時国会でも「お答えを差し控える」と何十回も繰り返しました。何も答えないのです。「問題ない」も「指摘は当たらない」のパターンもおなじみです。「仮定の質問には答えられない」も。
事実と異なる国会答弁は常習的でしょう。「桜を見る会」では安倍晋三前首相は百十八回。学校法人・森友学園問題のときは、官僚の虚偽答弁が百八回です。
この官僚に「PMより」のメモを渡していたのは安倍氏側でした。プライムミニスター(首相)の略です。書かれていた言葉は「もっと強気で行け」でした。公文書改ざんや隠蔽(いんぺい)、官僚の忖度(そんたく)、議会軽視も横行しています。
憲法は権力の集中と乱用を防ぐ装置ですが、憲法だけでは民主主義を守るには不完全です。「質問に誠実に答える」「ウソをつかない」など、当たり前の礼儀や不文律、慣習が大事なのです。政党同士の寛容さと自制心も…。
「柔らかいガードレール」と呼ばれます。レビツキーとジブラットという二人の米ハーバード大教授が著した「民主主義の死に方」(新潮社)に出てきます。
<どれほどうまく設計された憲法だとしても、それだけで民主主義を護(まも)ることはできない>
<うまく機能する民主主義のすべては、憲法や法律には書かれていないもの、つまり広く認知・尊重される非公式のルールに支えられている>
不文律の規範は「民主主義の柔らかいガードレールとして役に立つ」のだと…。それを考えると、いかに安倍・菅政権が柔らかいガードレールを破っていることか。
臨時国会を野党が求めても開かない、あるいは野党に優先させていた質問時間の慣習を破る−、さまざまな横暴によって、不正あるいは後ろめたい政策への批判を国民に見えにくくしているのです。
二人の教授は歴史を振り返り、「悲劇的な民主主義の崩壊が起きるまえに、基本的な規範が失われるケースが数多くあった」事実を指摘します。その後の政治体制は独裁や軍政などに移ります。
反民主主義、つまり個人や社会、思想を権威に服従させる権威主義に向かいます。全体の利益を個人の利益より優先し、全体に服従させる全体主義=ファシズムにも通じる道です。民主主義の「死」です。
◆権力が正しさ決めるな
イタリア学会は学術会議問題の本質について「時の権力が何が正しく、何が間違っているかを決めている」と批判しています。的を射ています。国民には説明せず、情報を秘匿しつつ、異論を許さぬ政治手法には、とことん抗(あらが)いましょう。民主主義が死ぬ前に。
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イタリア学会による声明 全文 (太字強調部分は原文に拠ります)
「日本学術会議会員任命拒否についてイタリア学会による声明」
日本学術会議が推薦した第25期会員候補者105名のうち、6名が菅総理によって任命されなかったことについて、明確な理由説明はなく、説明の要求を斥けることは学問の自由の理念に反すると同時に、民主主義に敵対するものであり、これに断固として異議を唱えます。《説明しないこと》こそが民主主義に反する権力の行使(国民に対する暴力)であり、主権者である国民に説明責任を果たすことが民主主義の基本だからです。情報公開の制度は古代ローマの時代イタリアの地で芽生えました。イタリア学会としてこれを看過することはできません。必ず説明責任が果たされることをイタリア学会の総意として要望致します。
令和2年10月17日
イタリア学会会長
藤谷道夫(慶應義塾大学教授)
理 由
イタリア学会は「日本におけるイタリア学の発展と普及に寄与することを目的としている。」(イタリア学会会則第3条)イタリア学を通じて学び得た知見を社会活動に適用することは、学会の目的に適う実践的行為と判断し、今回の声明を発した理由を簡単に説明したい。
菅首相は「(学術会議の会員は)広い視野を持ち、バランスの取れた行動を行ない、国の予算を投じる機関として国民に理解されるべき存在であるべき」だと述べた。これをテキスト解釈にかけると「国の税金を使っている以上、国家公務員の一員として、政権を批判してはならない」という意味になる。ここには2つの大きな誤謬が隠されている。学問は国家に従属する《しもべ》でなければならないという誤った学問観であり、国家からお金をもらっている以上、政権批判をしてはならないという誤った公民観である。
学問は、国家や時の権力を超越した真理の探求であり、人類に資するものである。与党に資するものだけを学問研究とみなすことは大きな誤りである。学問研究によって得られる利益は人類全体に寄与するものでなければならず、時の政権のためのものではない。判りやすい例を挙げれば、日本は西洋から数学や物理・化学を始め、あらゆる分野で多大な恩恵を無償で受けた。万有引力定数や相対性理論を発見したのは日本人ではない。その恩恵と利益を受けながら、その使用料は払っていない。なぜなら学問成果は全人類の共通善として無償で開放されているからである。日本国には受けた恩恵を人類に返すべき義務があることは言うまでもない。
「国からお金をもらっている以上、政権批判をしてはならない」というのは手前勝手な考え方である。公務員は政権の《しもべ》ではないからである。公務員は国民全員の利益のために働く。政権が間違った判断をすれば、それを国民のために批判することは、むしろ公務員の義務である。古代の中国では臣下が君主に行ないを改めるよう諫言することは褒むべき行為とされた。翻ってイタリアの地、古代ローマの時代には、時の政権の勝手な振る舞いから国民を守るための公的機関である護民官が設置されていた。現代の公務員に匹敵する護民官は、時の権力を批判・牽制するために作られた驚くべき官職である。
次に、菅首相は憲法23条が保障している「学問の自由」の意味を理解していない。「学問の自由の保障とは、学者が学問的良心に従って行なった言動の評価は、まずは学者どうしの討論に委ね、最終的には歴史の判断に委ねるべきであり、間違っても《時の権力者》が介入すべきではない、ということである。」(小林節慶應義塾大学法学部名誉教授)権力が学問世界に介入する事例は西洋史に無数に見出される。1632年ガリレオ・ガリレイが『天文対話』を完成させた時、ローマ教会は検閲を行ない、教皇ウルバーヌス8世とイエズス会士はこれに激怒し、同書を禁書にした。ガリレオはローマの異端審問所で証言するよう出廷を命じられ、翌年、6ヶ月にわたる裁判を受けさせられた。ガリレオは自分の誤りを認めさせられ、異端審問官の前で研究を放棄するよう宣誓させられた。そしてフィレンツェ近郊で残りの9年の生涯を軟禁状態で過ごすことになる。教会の決定に疑義を挟むことなどあってはならず、時の権力に反する主張は時の権力の判断によって封殺された。
「今回、菅首相は、特定の学者の言動について《広い視野を持っているか》《バランスの取れた行動であるか》について自分の権限で判断したと告白し、その結果、《国の予算を投じる機関(の構成員)として国民に理解される存在ではない》と認めたのである。問題は、仮に菅氏が高い実績のある学者であったとしても、同時に、《首相》という権力者の地位にある間は、そのような判断を下す《資格》が憲法により禁じられているという自覚がないことなのである。にもかかわらず、高い実績の学者たちが全国から会議に集まるために1人につき月2万円余の交通費を用意する程度のことを逆手にとって学術会議に介入しようとするとは、《選挙に勝った者には何でも従え》という、政治権力者の思い上がり以外の何ものでもない。」(小林節名誉教授)
私たちが最も問題とするのは、《説明がない》ことである。憲法63条は「答弁または説明のため出席を求められた時は、国会に出席しなければならない」と義務付けている。この趣旨について政府は「首相らには答弁し、説明する義務がある」(1975年の内閣法制局長官)と見解を示している。しかし、菅首相は官房長官時代から記者会見で「指摘はまったくあたらない」と木で鼻を括った答弁を繰り返して憲法を無視してきた。
世界で初めて情報公開制度を始めたのはイタリアである。「執政官に就任して(前59年)、まずカエサルが決めたことは、元老院議事録と国民日報を編集し、公開する制度であった。」(スエートーニウス『ローマ皇帝伝』第1巻「カエサル」20)これが民主主義への第1歩である。それまで国民は元老院でどんな議論を、誰がしているか知る術もなかった。議員が私利私欲で談合を行なっても、知る由もなかったが、議事録が速記され、清書されて、国民に公開されるようになったおかげで、貴族の権力は大いに削がれた。隠れての不正ができなくなったからである。一方、その時代から2000年以上経った今の日本では、安倍政権下で情報は秘匿され、文書は改竄・捏造、削除され続けてきた。確かに、日本では民草に説明をするなどという伝統も習慣もなかった。江戸城で開かれる老中会義の内容が知らされることもなければ、人事異動のプロセスも民草には窺い知ることもできなかった。おそらく安倍・菅首相が目指す世界はこうした江戸時代のものなのであろう。
人事で恫喝して従わせる手法は、一種の《暴力》とみなされる。紀元前5世紀のアイスキュロスの作品『縛られたプロメーテウス』には権力の何たるかが活写されている。この劇は二人の登場人物がプロメーテウスを連行する場面から始まる。プロメーテウスは絶対君主であるゼウスの意向に逆らって、天上の火を盗み、人類に与えたために、暴君ゼウスから罰を受けて、スキュティアーの岩壁に磔にされる。この時、彼を連行する2人の登場人物の名前に作者の意図が巧みに織り込まれている。二人はKra/toj(クラトス)とBi/a(ビアー)という名だが、ビアーの方は劇中で一言も言葉を発しない。ギリシャ語でクラトスは「権力」を、ビアーは「暴力」を意味する。無言の暴力を用いて他者を従わせるのが権力であるという寓意である。ギリシャ語のビアーやイタリア語のviolenzaは単に武力による物理的な暴力だけではなく、圧力や強制を意味する。ビアーのように《説明しない》ことが権力(クラトス)なのである。同じく、カフカの『審判』では主人公ヨーゼフ・Kは、ある日見知らぬ2人の男の訪問を受け、何の理由も告げられず、逮捕される(この2人の男はまさに「クラトス」と「ビアー」を暗示している)。その後、何の説明もなしに、有罪とされ、「犬のように」処刑される。この小説でも《説明しない》ことが権力であるとして描かれているが、これが現実になったのが、ソヴィエトである。ソルジェニーツィンの『収容所群島』にはまさに何の《説明もなしに》逮捕され、強制収容所に連行される日常が記録されている。逮捕するのは決まって深夜である。深夜に訪れることで逮捕者を恐怖させる効果を狙ってのことだが、また同時に、近隣住民が翌朝、隣人が忽然といなくなったことを知って恐懼するよう仕向けるためでもある。これが不安をかき立て、恐怖を蔓延させる。いつ自分が逮捕されるか人々は戦々恐々とし怯えるようになる。これによって国民は心理的に権力によって完全に支配される。つまり、《説明しない》ことこそが権力の行使であり、国民を無力化させる手法なのである。こうして国民は恐怖と不安から権力に従うようになる。なかには権力に忖度し、取り入る者が出て来る。こうした事例からも民主主義がいかに「説明すること」にかかっているかが判る。説明と情報公開が民主主義を支える命であり、それを破壊する手段は《説明しないこと》、《情報を秘匿する》ことなのである。たかが6人が任命されなかっただけで、ガリレオを持ち出すのは大げさであり、学者はそうした政治的な喧噪から離れて研究をしていれば、好いではないかと思う人がいるかもしれない。ましてや一部の学者の話であり、自分たちには何の関係もないと思っているかも知れない。しかし、問題の本質は、時の権力が「何が正しく、何が間違っているかを決めている」点において、ガリレオ裁判と変わりない。科学分野の基礎研究の予算は削られ続ける一方で、軍事研究には潤沢な傾斜配分がなされる今の日本にあって、また軍事研究に手を染めない学術会議の方針を苦々しく思う自民党政権においては、杞憂で終わらないことを心得ておく必要がある。実際、すでに文科省は今月17日に行われる中曽根元首相の内閣・自民党合同葬義において弔旗を掲揚し、葬儀中に黙禱するよう、国立大学や都道府県教育委員会、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合などに通知を送っている。公金は自民党のためのものではなく、国民のためのものである。国民全体の奉仕者である公務員を、自民党のための奉仕者に変えようとする暴挙は許されない。かつて次のように臍をかんだマルティン・ニーメラーの轍を踏まないためである。
(文責:藤谷道夫)
ナチスが最初、共産主義者を攻撃した時、
私は声を上げなかった。
なぜなら私は共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者が牢獄に入れられた時、
私は声を上げなかった。
なぜなら私は社会民主主義者ではなかったから。
彼らが労働組合員を攻撃した時、
私は声を上げなかった。
なぜなら私は労働組合員ではなかったから。
ユダヤ人が連れ去られた時、
私は声を上げなかった。
なぜなら私はユダヤ人ではなかったから。
そして彼らが私を攻撃した時、
私のために声を上げてくれる者は誰一人残っていなかった。
通常の娯楽に加えて、(古代)ローマ人の労苦に満ちた厳しい生活を陽気なものにしてくれるものに、凱旋式があった。(中略)民衆は大喜びで拍手喝采していた。だが、部下の兵士たちから将軍に向けて罵詈雑言を浴びせる習わしがあった。将軍の弱みや欠点、愚行の数々を公衆の面前であげつらうのである。将軍が高慢にものぼせ上って、自分を無誤謬の神(絶対に正しい偉い人間)だと思い込んだりしないようにするためである。例えば、カエサルには、部下たちがこう叫び立てていた。「禿げ頭の大将よ、他人の奥さんたちを物色してんじゃねぇぞ!あんたは商売女(淫売女たちで)で我慢してりゃいいんだ!」現代の独裁者たちに対しても同じように言うことができたならば、きっと民主主義にとって怖いものは何もなくなるだろう。
(Indro Montanelli, Storia di Roma, Rizzoli, Milano, 1969, pp.141-142)
「犬儒派(キュニコス派)のディオゲネース(前400/4頃-325/3頃)は、世の中で最も素晴らしいものは何かと訊かれたとき、《何でも言えることだ(言論の自由parrhsi/aパッレーシア)》と答えた。」
~ディオゲネース・ラーエルティオス『ギリシャ哲学者列伝』69~
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。
2021年1月7日木曜日
年のはじめに考える 民主主義が死ぬ前に(東京新聞)
緊急事態宣言解除はGW以降になる/菅・二階内閣は退陣すべき
6日の新規感染者数は全国で6001人と過去最多となりました。死者数も12月30日と並ぶ65人で過去最多となりました。
東京都内では6日、1591人の過去最大の新規感染が確認され、はじめて2日連続で1000人を超えました。また新規感染者数の7日間平均値は 12月1日が444・3人だったのに対し、5日は979・4人になり、1か月あまりで2・2倍に増加し過去最多となりました(接触率が一定でも感染率が上がればその分感染者数が増えるので増加は加速します)。
政府は7日首都圏の緊急事態宣言を出す予定ですが遅きに失しました。白鴎大学の岡田晴恵教授は慎重に言葉を選びながらでしたが、4日の「羽鳥慎一モーニングショー」で、「11月に出せば良かった」と述べました。「1ヵ月以上も遅れた」という意味です。
それなのにどうも政府は飲食業の「時短」に留めた上に、1ヵ月間で鎮静できると考えているようです。
西浦博・京都大教授(感染症疫学)が6日までにまとめた予測によれば、首都圏で昨年4~5月の宣言時に近い厳しい対策を想定しても、東京の1日当たりの新規感染者数が100人以下に減るまで約2カ月が必要とされています。何よりも「飲食店の営業時間短縮を中心とした施策のみ」の場合、感染者数は2カ月後も現状とほぼ同水準(1300人/日)に留まりました。 ⇒ 東京の感染者数シミュレーション 十分に減少させるには(NHK)
これでは飲食業者の死命を制することになる「時短」を要請してみても何の効果もなく、宣言解除の見通しはゼロです。とても、「経済を回す」とか「東京五輪で起死回生を期す」どころの騒ぎではありません。
本当にそれでいいのか。本当に感染を抑制することができるのか。
日刊ゲンダイが別の角度から緊急事態は4ヵ月に及ぶとする趣旨の記事を出しました。
併せて東京新聞の記事「『緊急事態宣言で感染下火の保証ない』尾身会長」と植草一秀氏のブログ「菅二階利権ファースト内閣 引退勧告」を紹介します。
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緊急事態宣言解除はGW以降 4カ月長期戦必至「3つの根拠」
日刊ゲンダイ 2021/01/06
第3波の勢いが止まらない。5日の新型コロナウイルスの感染者は全国で4900人を超え、またもや過去最多を更新。7日、菅首相は首都圏の1都3県への「緊急事態宣言」発令を決定するが、昨春の第1波をはるかに超える大波を抑え込むのは至難の業だ。政府がもくろむ短期決戦どころか、4カ月超の長期戦を強いられそうだ。その根拠は少なくとも3つある。
◇ ◇ ◇
【スケール】
昨春の感染者数のピークは4月10日の708人。緊急事態宣言が奏功したとはいえ、数十人レベルに落ち着くまで約1カ月半の「STAY HOME」が必要だった(別表のグラフ)。
直近の感染者数は4000人超の高水準だ。ここから数百人レベルに減らしていくだけでも前回以上の時間を要するのは確実だ。しかも、現状がピークとも考えにくい。グーグルの感染予測(5日時点)によると、1月3日から同30日までの28日間の感染者は16万人超と、1日当たり6000人近くと見込んでいる。ピークアウトのスタートラインがさらに高まる可能性も十分あり得る。
【気温】
北京大のグループは、気温が1度上がると感染者が約3%減ると解析している。昨春の第1波は日に日に暖かくなる気温要因が感染縮小に寄与したと考えられる。実際、前回発令の4月7日の東京の平均気温は12・4度だったが、解除された5月25日には21・6度と10度近くも上昇していた。
ところが、今回は逆だ。気象庁のデータによると、1月5日の東京の平年の平均気温は5・5度。下旬には4・9度まで下がる。その後、上昇に転じるが、感染者が800人程度だった11月初旬の15度程度になるのは、4月下旬まで待たなければならない。
【二番煎じ】
全国で実施された前回は、人と人との接触を「最低でも7割減らす」ことが求められた。ところが、今回は4都県に限定し、飲食店の時短営業が中心。はたして絶大な効果が望めるのか、はなはだ疑問である。
さらに、“二番煎じ”はどうしてもインパクトが弱い。
コロナ対策にあたる政府分科会の尾身茂会長は5日の緊急会見で「緊急事態宣言そのもので感染が下火になる保証はない。必要ならさらに強い対策もあり得る」と発令前から追加対策をにおわせた。終盤には「なかなか協力を得るのが、(昨年)4月に比べると困難になった」と発言。表情も含めて自信なさげだった。
長期戦は避けられない
西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)は言う。
「感染者、重症者、死者の数、病院の逼迫度は昨春よりもはるかに深刻な状況下で、寒さや変異種などの悪材料も加わっています。それなのに、前回よりも狭く、緩い対応でうまくいくわけがありません。感染が収まらず、追加で対象地域を拡大したり、規制を強化することになるのでしょう。長期戦は避けられません」
東京五輪開催をにらんだ政府の短期決戦シナリオはどう考えても大甘だ。解除まで最低でも4カ月はかかり、GW以降も緊急事態宣言が継続していてもおかしくない。
「緊急事態宣言で感染下火の保証ない」尾身会長、コロナ拡大の長期化に言及
東京新聞 2021年1月5日
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は5日、「埼玉、千葉、東京、神奈川の首都圏では、既にステージ4(爆発的感染拡大)に相当する対策が必要な段階に達している」として、行政機関や大企業での極力7割のテレワーク実施やイベント開催要件の強化などを求める緊急提言を発表した。
分科会の尾身茂会長は記者会見で、首都圏を中心に感染拡大が続いており「緊急事態宣言を発出すべき時期が来ている」と述べた。
また「緊急事態宣言で感染が下火になる保証はない。1~2週間の単位では無理だ。必要ならさらに強い対策もあり得る」と強調。1カ月ぐらいで感染状況を1段階下のステージ3(感染急増)に近づけたいとの認識を示した。
提言は、首都圏では重症者や死者が増加し、通常の医療や高齢者福祉にも深刻な問題が出ていると分析。首都圏の感染状況が沈静化しなければ、全国的かつ急速なまん延の恐れがあるとした。
具体的な対策としては、首都圏では不要不急の外出・移動の自粛のほか、テレワークの徹底や収容率を50%にするなどのイベント開催要件の強化を要請。大学や職場などでの飲み会の自粛、テークアウトの推奨も必要だとしている。(共同)
菅二階利権ファースト内閣 引退勧告
植草一秀の『知られざる真実』 2021年1月 5日
菅内閣の能力不足が日本の市民を不幸に陥れている。
東アジアのコロナ被害は相対的に軽微だ。
中国、台湾、韓国、日本を比較してみる。人口100万人当たりコロナ死者数は
台湾 0・3人
中国 3人
韓国 19人
日本 29人
欧米では
ベルギー 1700人
イタリア 1253人
英国 1108人
米国 1091人
だ。
日本の人口当たりコロナ死者数は欧米比では30分の1から50分の1だが、中国の10倍、台湾の100倍だ。
コロナ感染抑止のための菅内閣政策対応が後手後手だ。
国内の新規陽性者数が1660人になり、3ヵ月ぶりに過去最高を更新したのが11月12日。11月18日には新規陽性者数が初めて2000人を超えた。
東京がGo Toに組み込まれたのが10月1日。人の移動拡大が3週間後の新規陽性者数拡大につながる。この関係を順当に反映して新規陽性者数が急増した。
11月20日にコロナ対策分科会が感染拡大地域のGo To見直しを提言。「英断を心からお願いする」と述べた。
しかし、菅内閣は11月21日からの3連休の人出拡大を意図的に放置した。感染抑止よりも旅行業界への利益供与を優先したのだ。
札幌、大阪、遅れて東京でGo To見直しが行われたが、すべて、それら地域を目的地とする旅行だけの停止で、これら地域を出発地とする旅行は停止されなかった。
11月21日からの3連休の人出拡大を背景に12月中旬から新規陽性者数が急増した。
12月12日には全国の新規陽性者数が初めて3000人を突破した。
このなかで菅義偉首相は12月11日にニコ動に出演。「ガースーです」と自己紹介し、Go To一時停止について問われると、「そこはまだ考えていません」と答えた。
12月12日に新規陽性者数が3000人を超え、12月13日発表の毎日新聞世論調査で内閣支持率が40%に急落する一方、不支持率が49%になって支持、不支持が逆転した。
世論調査結果を受けて菅首相の態度が急変。
12月14日にGo Toトラベルの全国一時停止が表明された。
しかし、菅首相はその発表後に銀座で開かれた8人でのステーキ忘年会に参加。
GoToの一時停止も12月28日からの実施とされた。
感染拡大を放置すれば影響は幾何級数的に拡大する。2週間後の実施という判断に菅内閣の驚愕の「のろさ」が表れている。
12月31日、東京都の新規陽性者数が1300人を超えた。
これを受けて1月2日に首都圏1都3県知事が緊急事態宣言発出を要請した。菅首相が対応することは可能だったが、表に立たなかった。
しかし、内閣支持率がさらに急落することは必至で、この点に思いを致したのか、1月4日になって緊急事態宣言の検討に入ることを表明した。
12月28日から実施した外国人の入国制限も、もっとも数が多い、感染状況が落ち着いている国・地域を対象にした、
1.出張などの短期滞在者を2週間待機免除で受け入れること
2.駐在員や技能実習生などの中長期滞在者を2週間待機付きで受け入れること
を除外したものだった。
菅首相は「先手先手」と自画自賛したが、ザルの入国規制だった。
1月7日に発出されると見られる「緊急事態宣言」もザル宣言になる可能性が高い。
単なる「夜8時以降の飲み会禁止」宣言に過ぎないものになる可能性が高い。
相変わらず「戦力の逐次投入」で、「戦略失敗の認定と撤回」が行われない。
菅中将のインパール大作戦は大失敗に終わり、菅中将は責任を明らかにする必要が出てくる。
それでも菅中将は、「作戦は私のせいではなく、部下の無能さのせいで失敗した」と言い張るのだろうか。
(以下は有料ブログのため非公開)
07- 特措法改定 野党、十分な補償要求 共産党 罰則導入に反対
5日、コロナ特別措置法改定について議論する政府・与野党連絡協議会が国会内で開かれ、立民党、共産党、国民党の野党は昨年12月の臨時国会に共同提出した特措法改正案をベースに、休業事業者への給付金支給の法制化や医療・検査体制の強化を求め、十分な補償が必要だと主張しました。
共産党の田村智子議員は罰則規定の導入には反対だと表明し、「事業をつぶさない補償、働くみなさんの生活が保障される給付を出すべきだ」と強調しました。
また共産党東京都議団は5日、政府が緊急事態宣言の検討を表明したのを受け、事業者への補償徹底と検査拡大を小池百合子知事宛てに申し入れました。
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新型コロナ 特措法改定
野党、十分な補償要求 共産党 罰則導入に反対 政府・与野党連絡協議会
しんぶん赤旗 2021年1月6日
新型コロナウイルス対応の特別措置法改定について議論する政府・与野党連絡協議会が5日、国会内で開かれ、各党が意見を述べました。立憲民主党、日本共産党、国民民主党の野党は昨年12月の臨時国会に共同提出した特措法改正案をベースに、休業事業者への給付金支給の法制化や医療・検査体制の強化を求め、十分な補償が必要だと主張しました。
野党は同時に、緊急事態宣言の発出の大前提として、今月15日で申し込みが打ち切られる持続化給付金、家賃支援給付金の継続と複数回の支給、雇用調整助成金特例措置の延長などを要求しました。
日本共産党の田村智子政策委員長は、特措法改定をめぐって議論となっている罰則規定の導入には反対だと表明。営業しなければ倒産するため営業に踏み切っているのであり、「事業をつぶさない補償、働くみなさんの生活が保障される給付を出すべきだ」と主張。罰則で従わせることは、社会的な分断を生むことになるとして、「感染症対策としては最悪の事態を生みかねない。連帯こそが必要だ」と求めました。
また田村氏は、政府のコロナ対応で、科学的知見にそった政策が出されていないと批判。「各地で(感染状況の指標である)ステージ3の判断もしないまま、ステージ4の緊急事態宣言に進んでいる。『Go Toキャンペーン』の開始時も、感染症対策の立場から政策的な検討をどこが責任をもち、どう行ったのか。政府は答えられなかった」と指摘し、「この誤りを繰り返さない仕組みが求められている」と述べました。
補償・検査 都は徹底を 政府の緊急事態宣言検討 党都議団が要請
しんぶん赤旗 2021年1月6日
日本共産党東京都議団(大山とも子団長、18人)は5日、政府が新型コロナウイルスの感染拡大に対する緊急事態宣言の検討を表明したのを受け、事業者への補償徹底と検査拡大を小池百合子知事宛てに申し入れました。
申し入れでは、自粛要請は補償と一体に行わねば「暮らしと営業に深刻な影響を与え、要請の実効性も担保できない」と指摘。小池知事が4日夜の会見で補償にも新たな協力金支給にも具体的に触れなかったことに対し、「これでは命と暮らしを守ることはできない」と批判しました。
その上で、▽営業短縮要請に伴う協力金を拡充し、日割り支給も行う ▽外出・イベント自粛で影響を受ける全ての事業者を財政支援する ▽国に持続化給付金・家賃支援の延長を求める ▽医療福祉施設、感染多発地域への集中的PCR検査を行う ▽保健所支援を強化する ▽都立・公社病院の地方独立行政法人化を中止し、体制を強化する―よう求めました。
多羅尾光睦副知事は「要請の趣旨に留意しながら対策に尽力したい」と答えました。
2021年1月6日水曜日
新潟県9条の会 会報No98のPDF版を掲示します
一面のタイトルは
憲法壊憲・「戦争する国」づくりに繋がる軍事大国化の動きを許さず
総選挙で「市民と野党の統一候補」を当選させ、憲法が活きる政治を実現しよう
です。
ここでは11月21日に新潟市で開催された市民アクション@新潟の学習講演会で、半田滋氏(元東京新聞記者・独協大学非常勤講師)が行った講演(「急浮上した敵基地攻撃‐踏み越える専守防衛」)の要旨が紹介されています。
中見出しは
・日本列島全休の軍事基地化が着実に
・またもや国民世論に追い詰められ安倍首相は退陣に
・米兵器の爆買いは「政治案件」で対価は原則前払い、最終価格・納期・条件は米国次第
・自衛隊は「敵基地攻撃能力」をすでに保有している
・「敵基地攻撃能力」は「地城を選ぱない攻撃能力の保有」に
です。
二面の左半分は県内各地の取り組みが3つ紹介されています。
・「湯の町湯沢平和の輪」
日本の政府は、核兵器禁止条約に署名・批准を政府への意見書提出を求め12月議会に請願
・「加茂九条の会」
加茂の鳥畳-一叫通算646回、延べ参加6698人に
・「長岡・良寛の里9条の会」
「コロナと憲法」学習講演会を開催
です。
追記)当「湯の町湯沢平和の輪」による「請願書」について
当会は、12月町議会に向けて、核兵器禁止条約の署名・批准を日本政府に求める請願
書を提出しました。この中で世界では「核兵器による安全」ではなく「核兵器のない世界
による安全」を選択する国が広がっていることを訴え、唯一の戦争被爆国である日本政
府が核兵器廃絶の先頭に立つよう、政府に求めることを呼びかけました。
二面の右半分には論文「学術会議の人事介入問題は、人権・民主主義の大問題 理由もな標的にされる「暗黒社会」の再現は許してはならない」の一部が掲載されています。
タイトル
学術会議の人事介入問題は、人権・民主主義の大問題
理由もな標的にされる「暗黒社会」の再現は許してはならない
中見出し
・歴史の反省の上に「学問の自由」が憲法の条文に、学術会議が設立
・「学問の自由」の核心は「政治権力からの独立性」の保障
・「軍事研究」は最も「不自由な研究」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
PDF版をご覧になる場合は、下のURLの部分をクリックしてください。
最初に1面が表示されるのでそのまま画面を下方にスクロールすると2面が表示されます。
文字が小さい場合には画面下の(+)マークを必要回数クリックしてください。小さくする場合は(ー)マークをクリックしてください。
(新潟県9条の会 会報No98)
https://drive.google.com/file/d/1-RAqVX_KfJ6KjhW55fmv6YBxKpbr7Z3_/view?usp=sharing
緊急事態宣言 十分な補償と検査の抜本的強化を 共産・志位委員長
菅政権は7日に首都圏について緊急事態宣言を出す方向と言われます。年初の会見で菅首相は飲食業に於けるコロナの感染リスクを強調し、「限定的、集中的に行うことが効果的」だと述べましたが、休業要請などに伴う補償については語りませんでした。医療体制についても、東京を始めとして逼迫していることを認め、スタッフの確保や財政支援、病床確保を進めるなどと述べましたが、野党が一貫して要求している減収補填には触れませんでした。これでは単なるリップサービスです。
22時や20時で飲食店の営業を終了させるのは、それ以降が来客の時間帯という店が多い訳で「時短」ではなくて実質的な「営業停止」に当たります。昨年の緊急事態宣言での補償は全く不十分で多くの飲食店がかつてない苦境に陥りました。事業継続を断念した店も少なくなく、飲食店で働く労働者も収入の手段が断たれ住まいまで失う事態が後を絶ちませんでした。
今度こそ「休業の要請と補償は一体」という感染対策の鉄則を貫くべきですが、そうした姿勢は見られません。
共産党の志位委員長は4日の記者会見で、「これだけ新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況で、緊急事態宣言を出すこと自体はやむを得ない」と述べるとともに、菅政権がコロナ対策について無為無策で、「Go To」事業に固執するなどの逆行を続けてきたと指摘し、「こういう事態に立ち至った責任は極めて重い。まず菅政権の重大な政治責任が問われないといけない」と批判しました。
そのうえで、「十分な補償と検査の抜本的な強化がどうしても必要。この2つの点で、従来の政策の延長上の対応では感染を止められない。政策の転換が必要」と強調しました。
また菅首相の念頭にある特措法改正に関連して、共産党、立民党など野党4党共同の「新型インフルエンザ特措法等改正案」は、「自粛を要請するさいには十分な補償、協力金、給付金、これとセットで行うことを法律で定めるという内容」と説明し、菅政権が狙っているであろう「罰則」の設置については、「罰則を入れ込むことは賛成できない。それでは問題の根本解決にはならず、国民の間に分断を持ち込み、警察国家になっていくという心配もある」と反対を表明しました。
またしんぶん赤旗は「主張」の中で、「自治体がPCR検査拡充に躊躇なく取り組めるよう全額国費で検査を行う仕組みをつくることが重要」と述べています。
これはコロナ問題が起きた当初から一貫して言われ続けてきたことにもかかわらず、いまだに保健所にはなかなか電話がつながらず、つながっても容易には検査を認めない(というマニュアルがいまも生きている)など、殆ど改善されていないようです。
しんぶん赤旗の4つの記事を紹介します。
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緊急事態宣言を検討 1都3県 菅首相、補償語らず
しんぶん赤旗 2021年1月5日
菅義偉首相は4日、首相官邸で年頭記者会見し、東京都と埼玉、千葉、神奈川の3県を対象に新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言再発令の検討に入ると表明しました。9日にも発出し、対象期間は1カ月程度とする方向です。
宣言発令は1都3県の知事が2日に政府に検討を要請していました。菅首相は、1都3県で感染者が減らず、ここ2週間は全国の感染者数の半数を占めているとして、「より強いメッセージが必要だと考えた」と主張。宣言に基づく対策としては、飲食の場の感染リスクを軽減する必要性を強調し、「限定的、集中的に行うことが効果的」だと述べました。一方、休業要請などに伴う補償については語りませんでした。
観光支援事業「Go Toトラベル」の全国での一時停止期限が11日で切れることに関しては、「緊急事態宣言となれば再開はなかなか難しい」と述べました。また「給付金と罰則をセットにして、より実効的な対策をとるため」として、新型コロナ特別措置法の改定案を18日召集の通常国会に提出する考えを示しました。
新型コロナウイルス感染対策のワクチンについて、2月下旬までに接種開始できるよう準備を進めていると表明。医療体制については、東京などで逼迫(ひっぱく)状況が続いていると述べ、スタッフ確保や財政支援、病床確保を進めるなどと述べましたが、減収補てんには触れませんでした。水際対策に関しては、2国間のビジネス往来を認める枠組みについて「相手国の国内で(コロナの)変異種が発見された際には即時停止する」と述べました。
その上で、夏の東京五輪・パラリンピックについては、人類がウイルスに打ち勝った証しとして、「大会を実現するとの決意のもと準備を進める」と改めて主張しました。
菅首相が緊急事態宣言検討
十分な補償と検査の抜本的強化を 志位委員長が表明
しんぶん赤旗 2021年1月5日
日本共産党の志位和夫委員長は4日、党本部で記者団の質問を受け、菅義偉首相が同日、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県の知事の要請を受け同都県に緊急事態宣言発出を検討すると述べたことについて、「これだけ新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない状況で、1都3県の知事の要請は重いものであり、宣言を発出すること自体はやむを得ない」と述べました。
志位氏は、菅政権がコロナ対策について無為無策で、「Go To」事業に固執するなどの逆行を続けてきたと指摘し、「こういう事態に立ち至った責任は極めて重い。まず菅政権の重大な政治責任が問われないといけない」と批判。そのうえで、「十分な補償と検査の抜本的な強化がどうしても必要だ。この二つの点で、従来の政策の延長上の対応では感染を止められない。政策の転換が必要だ」と強調しました。
志位氏は、すでに出されている要請も含め、休業要請やさまざまな行動制限の要請について、「お店をつぶすわけにはいかない。安心してお店を閉め、休むためには、今度こそ十分な補償をすることが何より大事だ」と指摘。「政府が今やろうとしている持続化給付金や家賃支援給付金の打ち切りは、とんでもない話であり、継続・拡充こそ必要だ」と述べました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社民党の野党4党共同の「新型インフルエンザ特措法等改正案」に触れ、「自粛を要請するさいには十分な補償、協力金、給付金、これとセットで行うことを法律で定めるという内容だ」と述べました。
罰則 賛成できない 新型コロナ対策 特措法改定で志位委員長
しんぶん赤旗 2021年1月5日
日本共産党の志位和夫委員長は4日、記者団から、政府が新型コロナウイルス対策の特措法改定案に事業者への罰則を盛り込む方向で検討していることについて問われ、「罰則を入れ込むことは賛成できない。結局、罰則だのみになってくる。それでは問題の根本解決にはならず、国民の間に分断を持ち込み、警察国家になっていくという心配もある」と強調しました。
そのうえで、「十分な補償こそ大事であり、それによって感染拡大防止の実効性を担保すべきだ」と述べ、「そもそも特措法を改正しないと補償が出せないわけではなく、政治が判断すればすぐにできる。そのための政治決断こそ必要だ」と語りました。
主張 緊急事態宣言検討 コロナ対策の根本姿勢改めよ
しんぶん赤旗 2021年1月5日
新型コロナウイルス感染の急拡大に歯止めがかからない中、菅義偉首相が4日の記者会見で、緊急事態宣言の発令を検討すると表明しました。東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象とし、週内にも宣言する方向です。状況をここまで深刻化させた菅政権の責任が問われます。しかも、菅首相の記者会見では、検査・医療の抜本的拡充策も、営業や雇用への強力な支援策についても踏み込んだ発言はありませんでした。このままでは宣言をしても実効性のある感染抑止策になりません。菅政権は根本姿勢を改めるべきです。
要請と補償は一体で
緊急事態宣言は、昨年3月に改定された新型インフルエンザ特別措置法による措置です。首相は専門家の意見をもとに発令し、対象地域の都道府県知事は、法的根拠に基づく休業要請などができるとしています。昨年4月の感染拡大の際には、7都府県でまず発令され、全都道府県に拡大されたのち5月に段階的に解除されました。
今回検討に入った緊急事態宣言について、菅首相は「限定的、集中的に行う」と述べました。飲食店への営業時間の短縮要請などを中心に行うことが念頭にあるとみられます。しかし、「内容を早急に詰める」というだけで、補償については触れませんでした。これでは飲食店の経営者や労働者に不安を与えることにしかなりません。
今度こそ「要請と一体の補償」という感染対策の鉄則を貫くべきです。昨年の緊急事態宣言では、当時の安倍晋三政権による補償は全く不十分で、多くの飲食店がかつてない苦境に陥りました。経営が立ち行かず事業継続を断念した店も少なくありません。宣言解除後も感染が収束しきらないまま秋から冬の「第3波」に突入し、年末年始の書き入れ時が直撃されています。飲食店で働く労働者も収入の手段が断たれ、住まいまで失う事態が後を絶ちません。
営業を支え、雇用を守る対策と一体となった措置でなければ、国民の暮らしはいよいよ成り立ちません。感染の抑止に実効性を持たせるためにも、菅政権は要請と一体での万全な補償を明確に打ち出すことが必要です。持続化給付金や家賃支援給付金の打ち切り、雇用調整助成金のコロナ特例の縮小は許されません。
ひっ迫する医療体制の中で苦闘する医療機関などへの本格的な支援強化について菅首相が言及しなかったことは大問題です。感染者急増で年末年始も懸命に奮闘している人たちに対し、あまりに冷たい姿勢です。医療機関への減収補填(ほてん)、医療従事者への特別手当の支給を早急に行うべきです。自治体がPCR検査拡充に躊躇(ちゅうちょ)なく取り組めるよう全額国費で検査を行う仕組みをつくることが重要です。
「人災」は許されない
感染拡大に拍車をかけた「Go Toトラベル」に固執し続けることは、あまりに重大です。危機的事態を招いたのは、菅政権による「人災」という他ありません。
野党の国会延長要求に逆らって、昨年12月早々に臨時国会を閉じたことは、菅政権に危機感がなかったことの象徴です。
昨年、「勝負の3週間」などといいながら無為無策を重ねた菅政権への国民の不信と批判は高まるばかりです。政治の抜本的な転換が急がれます。